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至上の無名光術師の苦難  作者: 八指犬
12/23

12章 冒険から遠い街

余計な情報を排除する為に殊更場面転換を明示する事は致しません。会話の間の表現を重視し、詰まりの無い会話はそれに応じて発言が連続します。発話者が分かりにくい事も多々ありますがご容赦下さい。その代わりに「」の鍵括弧を一纏めとして同一人物の発話が描写を挟まずに連続する事はほぼ排除しております。

また、多少前後している事もありますが描写は時間順となっております。

1節 噂と圧力

 

ネメッカとユッミルは出かける。集会所に差し掛かると二人以外に視線が集まっている。

 「どういう事なんだろうな?」

 「さあ?相手は誰だろ?」

 「エッヒネ様に誰が?」

 「けどエッヒネ様は強いから強引には無理だろ」

 「ああ、相当絞られる」

 「いやいや、合意だろ。気の迷いかもしれないが」

 「それはそうか。あの人に生半可で行くなんて無いだろうしな」

 ユッミルはさっさと抜けようとする。

 「ユッミル様、おはよう」

 エッヒネは駆け寄ってくる。

 「そう言えばユッミルって前にエッヒネと組んでた」

 「けどシェンハもいたぞ」

 「シェンハの目を盗んで…」

 「可能だろう」

 「けど強引には無理だろう」

 「まあ分からないか」

 「おはようございます」

 「今日はごめんなさい」

 「それにしてもそろそろなのですね」

 「ユッミル、嘘はつかなくて良いでしょう」

 「行きますよ」

 「少し前には話したのに冷たいですね」

 「当たり前です。揉めない美乳より揉める黒ずみおっぱいでしょう」

 「ネメッカ様、胸もあなたの方が美しいですから」

 「あらっ、良いのかしら」

 「いえいえ、きっとそうに違いないと言う意味ですよ」

 「確かめてみようとは思わないの?」

 「エッヒネ様は私を困らせたいのですか?」

 「心当たりは?」

 「森や泉に一緒に行った時に失礼を働いていないとは言えません」

 「そうですね。大丈夫ですよ。行きましょうか」

 ネメッカはユッミルの手を体に引き込んで歩いていく。

 「それで今日はその事ですか?」

 「ええ」

 会議室に着くとリッネとシェンハが近づいてくる。ネメッカはそれを気にしつつもシーリュノと話している。土の二人はまだである。しばらくしてラーハも来る。

 「ミーハちゃん、そろそろ生みそうよ。経過は順調ね。多分、次女になる気がするわ」

 「えっ。分かるんですか?何をしたんですか?」

 「失礼ね。魔力の流れで分かるのよ。あなたも妊婦を数人抱えてるという噂だし調べてたらいずれ分かる様になるわ」

 「そんなものですか」

 「ユッミルさん、私のも見てくれます?」

 「ありがとうございます」

 ユッミルは自分と近い魔力を感じる。

 「ユッミル、私とも仲良くして欲しいわね」

 「シェンハ様との友好は大歓迎ですよ」

 「冒険の友とは遠出したいわね」

 「忙しいので考えておきます」

 「私の方もいつでも塔に気軽に来てくれて構わない。私が用事があるのだから君に用が無くても大歓迎だ」

 「忙しいのは嘘では無いですから」

 土の団の二人が来たのをユッミルは確認する。

 「土の人が来ましたのでそろそろですね」

 ユッミルは席に着く。

 「揃った様なので始めましょうか。火の団の招集という事ですけど」

 「はい、火の団は諸事情あってバッソーさんが指揮所を高頻度で担当できないので担当は少なめですがこの度は私までお産という形でしばらく出向けなくなります」

 「それはおめでとう」

 「ありがとうございます。つきましては対応策として幹部を代替派遣するか、他の団に一時的に穴を埋めて頂くか、の裁可を仰ぐ為に招集した次第でございます」

 「木の団はどちらでも構いません」

 「土も同じだ」

 「水としてはこれ以上の負担は好ましくないですが一時的であるなら我慢しましょう」

 「月も同じだが今後を考えても幹部の派遣が望ましい」

 「私は後で休みを増やしてくれるならそれで良いわよ。ねえ、ユッミル?」

 「先程も言いましたが忙しいので私情ながら幹部の派遣をお願いしたい」

 「幹部だとすれば複数でしてシウさんも含まれるわよ?」

 「それは構いません」

 「そうね。シウと私の立場を交換しましょうか?」

 「困ります」

 「あなたも年寄りは嫌かしら?」

 「いえ、塔でお休み下さい。私の家は休息所では無いですから」

 「ちゃんとシウと同じ仕事をしてもですか?」

 「遠慮します」

 「それは残念ね」

 「それでどうしましょうか?」

 「回数の低下を最小限にしての代替幹部の派遣で構わない。こちらの幹部の人選にも配慮しよう」

 「光としてもその方がありがたいですね」

 「ユッミル、主導やってくれても良いんですよ?」

 「申し訳ない」

 「いえ、私達は一体なのですから構いません」

 「ネメッカ様が主導ですから」

 「そうね。けど実質的に光を率いているのがユッミルだと知らない人はこの中には少ないわよ」

 「そうかもしれませんが」

 「実際、私が反対するのは離婚とあなたの退会位ですし」

「ですが団員への求心力が優先ですよ」

 「それも問題は無くなってると思いますが」

 「では大きな異存は無さそうなので幹部複数を代わりに派遣します」

 「まあわしも動くがな」

 今後の担当は土を中心に火以外の担当を増やす事で決着した。

 「ユッミル、夜営にはいつ応じてくれるの?」

 「しばらく待って下さい」

 「ユッミル、どういう事ですか?」

 「知りませんよ。ネメッカ様が断ってくれるならそれで構いません」

 「私も君との夜営は希望しているが構わないのかい?」

 「忙しいのであまり頻繁には無理なので当面はお断りします」

 「シェンハ様、ユッミルは忙しいですし夜営はあまり気が進みません。それに目的は何ですか?」

 「鍛錬よ」

 「ユッミルを殺すのですか?」

 「いえ、それは無理よ。強いしあれでも」

 「でしたら尚駄目なのでは?ユッミル、少し私を後ろから抱いてくれます?」

 「まあ良いですけど」

 「ユッミルは私のですからあなたには貸しません」

 「横取りはしないわよ」

 「ユッミル、膝を私の足の間に入れて抱き込んでくれませんか?」

 「まあ良いですけど」

 「シェンハ様、良いんですか?ユッミルに抱かれるかもしれませんよ、こんな風に」

 「ネメッカ様、それは」

 「私は歓迎ですがシェンハ様は嫌でしょう。ユッミル、胸を掴んで下さい」

 「えっと、はい」

 「こんな風に襲われる危険もあります。あなたは先程ユッミルに勝てないと言いましたがこういう事ですよ。私はユッミルが私以外に靡くとは思っていませんがそんな危険をあなたが冒す事は無い。夜営は寝るんですからユッミルが寝込みを襲えばこれ以上の事もあり得ます」

 「だから大丈夫よ」

 「シェンハ様、大丈夫なんて言わないで下さい」

 「少々触ろうが構わないわよ」

 「はあ」

 「どういう事ですか?でしたらユッミル、服の中に手を入れて下さい」

 「えっ。まあ」

 「その、あの、シェンハ様はこれでも良いのかしら?私でも少しこうよ」

 「構わないわ。それにユッミルは手当たり次第にそんな事したりはしないし信頼しているわ」

 「そうですね。シェンハ様と夜営しても体には一切触れない方が良いですよね?」

 「何、その言い方?私が怪我したら抱きかかえれば良いし危ない時に抱き込むとかは躊躇してもらったら困るわよ」

 「危ない局面では躊躇しませんよ」

 「それに戦ってる最中に事故で体を触ろうが文句は無いわ。だから問題は無いわよ」

 「ですが基本的には遠慮します」

 「分かったわ。今は引くけど私の要望は変わらないわ」

 ユッミルとネメッカは家に帰る。

 「それで行くんですね?」

 「先に昼食ですが」

 ユッミルはシャーユの方を気にしている。

 「メシャ、土の団はまだまだ忙しいよね?」

 「そうね」

 「シャーユはこっちで引き取ろうか?」

 「それはありがたいけどユッミルの邪魔になるわよ。それに夜は面倒を見てあげたいし」

 「そうだね。こっちも取りあえず向こうでの生活が安定してからだしね」

 「ユッミル、そう言えば伝言を預かってたわ。火の団は君の無性の街での色々に相談に乗るから一度来て欲しいと言っていたわ。」

 「そうですか、手が空いたら行きますね」

 「うん、けどまあ伝手もあるから行ってみても良いと思うわよ」

 「ありがとうございます」

 「ええ、エッヒネが休暇だから火の団の参謀が表にも出てくるわよ」

 「イーサさんみたいなものですか?」

 「まあそうだけど少し違うわよ」

 「考えておきます」

「話は終わりかしら?ユッミル、ネミークは心配しないんですか?」

 「まあイーサさんがいるし」

 「私が行けないのは歯がゆいですね、それに少し逃げを疑ってしまいます」

 「えっと元々そこまで塔に顔を出す事は強制されてませんよ?」

 「そうでした。けど私がここに来ればユッミルは逃げられなかった。けど向こうはそうでは無い」

 「ネメッカ様は逃げたくなるような女では無いですから」

 「分かっていますが少し不安になっただけです。忘れて下さい」

 ユッミルは先にある程度の荷物を運び込んでからレヒーハとフーニャと無性の街に姿を現し、家に入っていく。

 「さて」

 「フーニャさん。何をしているんですか?」

 「この前、ネメッカ君が服を脱いで作業していたら君は困っていたから困らせてやろうと思ってね」

 「この前は危ないものはありませんでしたが今回は大きなものや少し尖ったものもあります」

 「ああ、私の体が使えなくならない様に気を付けろと。仕方ないね」

 「もうそれで良いです」

 作業が一段落すると持ち込んだ食品でレヒーハがいつの間にか菓子を作っていたので休憩に食べていく。ユッミルが横になると二人も隣で寝る。

 「確かに眠い。服を脱ぐ気力が無いだけだから脱がせたければ脱がせるがいい」

 「今はただただ寝ますよ」

 フーニャとユッミルは少し寝たがレヒーハの眠りは浅く、夕食はレヒーハが用意していた。

 「これからどうする?」

 「明日は私が色々見てきますので家で大人しくしてて下さい。ただ、来訪者があればその幼い感じで応対してもらう可能性もありますからレヒーハさんは頼まれても元に戻さないで下さい」

 「それは良いですけど私とユッミルさんは夫婦なんですよね?」

 「そうですね」

 「でしたら仲良く買い物に出た方が良いですよね?」

 「ええ、それは問題無いです」

 「ユッミル殿は私が幼いとやる気が落ちるのか?」

 「いえいえ、選択肢が少ないですからそんな事は無いと思いますよ。ですから逃げ出したくなったらさっさと言って下さいね」

 「今日はどうする?」

 「先に夕食を食べ終えますよ」

 ユッミルは夕食を終える。フーニャも食べ終えるとユッミルは後ろに回り込んでフーニャを抱き寄せる。

 「どうします?お風呂は前の家より小さいですけど」

 「君が誘うなら断らないよ」

 「ではさっさと脱がせていきますね」

 「君は意外とシウにどう思われるかを気にしていたのか?」

 「さて、どうでしょう。手は自分でお願いしますね」

 「はあ?そこは君が強引に脱がす所だろう」

 「いえ、この服は小さいので破ってしまいかねません」

 「変な動きはしないから普通に脱がせてくれ」

 「まあ良いですが」

 ユッミルは仕方なく服をある程度緩めてから手を突っ込んで袖から腕を引き抜いていく。

 「ユッミル、かなり攻められてる感じで良いぞ」

 「こっちはあなたの腕を掴むので必死です。やはり自分で抜いて欲しいですね」

 「女の胸から下を丸出しにさせ残った服には何度も手を突っ込む。そんな状況に不満なのか?」

 「でしたらここまでにしますか?」

 「せっかく出てる所は触ればいいだろう」

 「まあフーニャさんも女ですしね」

 しばらくしてユッミルはフーニャに横に寄り添われながら風呂に入る。

 「フーニャさん」

 「別に構わないだろう。そもそも初めてでも無い」

 「私はこういうやり方は望みませんけどね」

 「どうせ狭いしこれでよいだろう」

 「そうでしたね」

 しばらくして二人は上がる。

 「今から寝ますけどいつもの調子でしゃべるなら静かに寝ますからね」

 「拒否権は無いのか?」

 「ですからたくさんしゃべれば静かに寝ますという事です」

 「まあ私が望んだ事だし構わない」

 ユッミルが目を覚ますとフーニャを抱き枕の様に抱いている。ユッミルは服を着てフーニャにも服を着せ、抱き直して眠りにつく。朝、ユッミルが目を覚ますとフーニャの顔が近い。思わずフーニャの尻を触って服を着てる事を確認する。そして、口が濡れ気味な事に気付く。

 「まあ我慢させてたんですね」

 「そうだな」

 「もう一度仕切り直すか?」

 「いえ、出かけますよ」

 ユッミルは少し姿を変えて家を出て歪曲視野で人がいない事を確認するとさらに姿を変えて中心街を見回る。ある程度見回って少し買い物もして昼過ぎには帰宅する。レヒーハはきっちり髪型等を変えて家の周りの掃除や裏の庭の雑草を減らして土の状態を確認している。土の状態の確認の為に一か所だけ水を撒く作業の辺りでユッミルは帰ってくる。

 「ユッミルさん、お帰りなさい」

 ユッミルは咄嗟に遮音する。

 「ハッジュ、ただいま」

 「えっと」

 「作業はもう良いから家に入るよ」

 レヒーハは少しだけ作業すると家の中に入る。

 「一度、練習した方が良さそうですね。ねえ、ハッジュ」

 「そうね、ルカロ」

 「ニーシャもしないか?」

 「夜の遊びでもユッミルと呼んではいけないのか?」

 「そうは言いませんけど。まああなたの場合、お父さんとかパパで構わないので間違ってもユッミルと外では呼ばない様に。家でも不必要に呼ばない方が良いですね。こちらも気を付けますね、ニーシャちゃん」

 「うーん、それだと君の中で私がいよいよ幼女ではないか。だが君は昨日ほぼ幼女を抱いてしまった事になるね」

 「そうですね、昨日は錯乱していたので今後はレヒーハさんにお願いしますよ」

 「冗談だ。昨日の君は正気だったし私の体は疑いようも無く大人だ」

 「まあ子供がしない事をしてはいましたね」

 やる事の無いユッミルはレヒーハとお互いに寄り掛かっていく。

 翌朝、ユッミルは自分で朝食を用意して無性の街を姿を消して見ていく。それを終えると月の塔に向かう。

 「私に用事?」

 「はい、今夜は良いですか?」

 「うん、じゃあ待ってる」

 「ほう、これは私への当てつけか?主導も主宰も揃いも揃って私を払いのけるね」

 「さて、何の事でしょう。今の私にはテーファちゃんの方が魅力的に移ります」

 「露骨だな、私が女なら精神的に強く打ちのめされるところだ」

 「とにかく光の塔に向かいます」

 ユッミルは逃げ出す。

 「ネメッカ様、おはようございます」

 「おはよう、ユッミル」

 「昼間は塔にいますが夜はテーファさんと過ごしますね」

 「今日は丁度いいですからネミークの傍にいてあげて下さい」

 「そうですか」

 ユッミルが主導部屋や主宰部屋のある階に行くと手ぐすねを引いた様に待ち構えていたイーサに予備の部屋に通される。そこには四人の女性とネミークがいる。

 「ネミークは女性に囲まれてますね」

 「あなたほどではないでしょう」

 ユッミルがよく見ると女性共は胸元が緩い。下までも緩い。

 「あの、僕はいらないですよね?」

 「そんな事は無いです。とりあえずお座り下さい」

 「何処に?」

 ベッドに腰掛ければ良いでしょう。ユッミルが歩き始めると女性の一人は体で後押しする。

 「お父さんが来たよ」

 ネミークの面倒を見ていた女性はユッミルの膝にネミークを乗せる。辛うじて嫌がらなかったのでユッミルは抱きかかえる。一連の所作で胸元は露骨に丸見えだったが意に介していない様だ。

 「イーサさん、どういうつもりですか?」

 「ネミーク様の世話は嫌だったですか?」

 「いえ、ですがここでする必要は無いでしょう」

 「ここに不満なのですか?」

 「気が散ります」

 「別に構わないわよね?」

 「はい、光の男性の前でこの姿ですから何もかも見えてる事は分かってますよ」

 「見てませんよ」

 「そういう事にしておきますがもう無駄なので服を脱ぎましょうか?」

 「それよりもユッミル様、ネミークちゃんを持ち上げられます?」

 「まあ」

 ユッミルがネミークを少し持ち上げると一人の女性が服の上半身をずらしてネミークを持ち上げたユッミルの膝の脇に足を入れてユッミルの膝に座る。

 「少し恥ずかしいですけど大丈夫です」

 「もうネミーク君は下ろして良いですよ」

 「なっ。何をやって」

 「お願いします」

 ユッミルは哺乳瓶を手渡される。ユッミルは横からネミークの口にそっと瓶を近づける。

 「ユッミルさんは何を勘違いしてるんですか?」

 「えっ」

 「私の胸はユッミル様に見せる為じゃないです」

 「そうですよね。なら何故?」

 「その哺乳瓶のミルクを私の胸にかけてネミークに飲んでもらう為です。胸を見たり揉んだりしたいならこれ位の仕事はこなして下さい」

 「は?」

 「まあ牛乳がこぼれても服を脱げばいいだけです。どうせ着てても同じですから」

 ユッミルは慎重にミルクを垂らしていく。

 「ちょっと少ないですけどとりあえず飲んでもらいましょう」

 「間違いなく非効率なんだが」

 「当然、ネミーク君が食いついたらあなたがまた出していくんですよ。こぼれそうになったら口や手で拭いて下さい。もちろん、たくさんかけて脱がせてくれてもあなたが吸ってくれても構いませんけど」

 ユッミルは水系術で辛うじてネミークに飲ませる。

 「ユッミル様、往生際が悪いですよ」

 「何の話ですかね」

 「お昼寝の時間ですねと言って女性に添い寝させて服をずらしてその上にネミークをさっさと乗せて長時間ほぼ裸にさせたり、ネミークを風呂に入れてやれと言って強引に服を脱がせたり、色々あるでしょう」

 「脱ぎたいなら脱げばいいでしょう」

 「脱いで欲しいのですか?」

 「さて、どうでしょう?」

 「まあ気分が乗れば脱がせて最後までしても構いません。ネミークは頃合いを見て私が預かりますから」

 女性が一人寄ってくる。ユッミルに軽く寄りかかる。布はほぼ乗っているだけでユッミルが払えばすぐにでもめくれ上がりそうだ。

 「まあ流石のユッミルもあれには陥落でしょうね。けど私だけでは退団は防げない。仕方ないわね」

 「イーサさん、ネミークをお願いします」

 「はい」

 「ユッミルさん、しばらく体を借りますね」

 残りの三人はベッドから降りる。一人の女性はユッミルを抱きかかえて仰向けにする。

 「分かりましたよ」

 「終わったらたっぷり私の体で遊んでくれれば良いですから」

 イーサと一人の女性はネミークをユッミルとは反対の方に向かせて世話をする。もう一人の女性は音と光を軽く遮断する。

 「ユッミル、見てましたが」

 「えっと、恥ずかしいです」

 「それよりあれを私にはしませんが私の体ではやる気が起きないのですか?」

 「ネメッカ様、それは違います。違いませんが違います」

 「えっ」

 「あなたは逃げませんよね?」

 「はい、望んで妻で居る訳ですから」

 「この人は逃げるかもしれません」

 「逃げませんよ」

 「はい」

 「ですが何回もこういう機会は無いかもしれません」

 「それは私ほどは気軽にはできないでしょうね」

 「多分、滅多にないからついつい色々したくなるんですよ」

 「だとすれば私は駄目ですね」

 ユッミルはネメッカを抱く。

 「ネメッカ様、私はそこにいるイーサとかいう人形使いと抱き合っても嬉しくないですし他の人ともネメッカ様ほどは嬉しくないでしょう。これじゃ駄目ですか?」

 「そうですね。駄目ではないです」

 「ユッミル様、少し腹が立ったのでユッミルが光の塔でネメッカと他の女を同時に抱いてるという噂を流していいですか?」

 「それは困りますがであれば他の女との遊びはやめますよ?」

 「私も女ですのであまり醜くて性格が悪いと言われると腹が立ちます」

 「醜いと言った覚えはありませんしその性格は光の団を支えてますから気にしなくてもいいでしょう。あなたが私を追い出しにかかればやめますし」

 「こ、困ります。いかなるご奉仕も致しますので是非残留を」

 「無駄ですよ。イーサさんに突っ込むと抜けれなくなる危険も感じますし」

 「そうね。私が抱いて守らないと」

 ネメッカはさっさとネミークを抱き上げてユッミルの手を引いて部屋を後にする。ネメッカは親子三人で昼食を食べている。少し遅れてイーサやフェノにリュッサも合流するがネメッカは意に介さない。ユッミルとネメッカでネミークの食事の世話をやっていく。

 昼からもユッミルとネメッカは交代でネミークを抱きながら見回りや軽い仕事をこなす。

 「約束なので今晩は行かないといけないけどようやく少し慣れてくれたからもう少しいてあげたいね。この時期に別の場所に行くのを増やしたのは少しまずかったね」

 「私はいつでも歓迎よ」

 ユッミルはテーファの家に向かう。

 「お帰り」

 「ただいま?ですか?」

 「うん、そう言ってくれる位来てくれても良いのよ?」

 「そうですね」

 「悩み事?」

 「いえ、そういう訳でもないですけど」

 「この時間って事は夕食はまだよね?話は食べながらでどう?」

 「そうですね」

 二人は席に着く。

 「今日はその、一緒に過ごすだけで良いというか」

 「私はそれも良いと思うから良いよ。もうもらうものは一旦もらった気もするし」

 「そうですか」

 「けどお風呂は一緒に入ってね。気が変わっても良いけど上手くやってね」

 「そうですね」

 ユッミルはテーファと風呂に入る。

 「どう?」

 「少しそういう風に向いたけど今日はやめておくよ。けど放っておいてという事ではないから」

 「分かってるよ」

 テーファはユッミルに肩を貸して月の塔での話をゆっくり聞かせる。しばらくして上がると服を着てまたテーファは少しの間、ユッミルを軽く抱き込む。その後、布団に入るとユッミルの半身に抱き付いて眠っていく。

 「テーファさん、ありがとう」

 「じゃあ私も行くから。またね」

 ユッミルは無性の街の仮住まいに向かう。

 「ユッミル殿、随分と久しぶりだね」

 「昨日はネメッカ様と仕事をしてただけですよ」

 「ネメッカとは数日前に別れたばかりだろう。このペースで帰ってたら進む調査も進まないだろう」

 「それは私がきちんとしますからフーニャさんは心配しなくて良いですよ」

 「期待させておいてあれだから少し位不平を言わせてくれ」

 「それは構わないですよ。ただ、この流れで言いにくいのですがしばらくしたら家に戻ります」

 「なっ。どういう事だ?」

 「午後から指揮所なのでお昼は向こうで食べようかと。シャーユの様子も気になりますし」

 「子供に見られても本当の子供には勝てないという事か」

 「それはそうですよ」

 「まあ今日はそれで良い」

 「それでこれまた言いづらいのですが指揮所から帰宅するのも向こうの家ですね。今日は帰らないのでよろしくお願いします。あまり遅い時間にこの家に出入りしたくないんです」

 「開いた口が塞がらないな。この短い時間立ち寄っただけでほぼ二日家を空ける気か」

 「文句は私を主宰にしたネメッカ様や指揮所担当を主宰に割り振る術師協会にお願いします」

 「もう無いだろうな?」

 「えっと明日の昼間は普通にまた無性の街を調べるので夕方には帰りますよ」

 「もう文句を言うのも疲れた。行ってきなさい」

 「では行ってきます。明日の夕方に戻ります。レヒーハさん、買い物は行ってくれて構いませんよ」

 「分かりました」

 ユッミルは変身して出て頃合いを見て一度姿を消し、家の近くで姿を戻す。

 「ただいま」

 家にはリュッサとシャーユとオーネしかいない。

 「どうしました?」

 「指揮所なので昼は近いここで食べようかと」

 「私が作るのでシャーユちゃんの面倒をお願いできますか?」

 「ええ」

 ユッミルは布団に横になりながらシャーユを撫でたり、適当に話しかけている。しばらくして昼食が出されてシャーユにはミルクを出す。ユッミルはミルクをあげながら食べる。

 「シャーユちゃん、ちょっと行動範囲が広がってるんですよね。」

 「それは良かった」

 「ちょっと面倒を見るのが手間なんですよね。レヒーハさんがいなくて今日はシウさんも不在でして肝心のメシャーナちゃんも昼間はいない事が多いので」

 「リュッサ、悪いね。エコさんでも助っ人に呼んだ方が良いかもしれない。シウさんに相談して勝手に呼んでくれても構わないよ。もちろん、フェノを呼び寄せても構わない」

 「それもそうですがユッミルさんも塔に行く暇があるならこちらにお願いします。やはりあなたかメシャーナちゃんでないとシャーユちゃんは大人しくなりません」

 「今日の夜はここに戻るからその話はまた後でね。指揮所の時間だから」

 「いて欲しいのは昼間なんですけどね」

 「じゃあ行ってきます」

 「はい、行ってらっしゃいませ」

 ユッミルは指揮所に向かう。指揮所にはシウがいる。

 「ああ、シウさん」

 「あらっ。光の主宰さん。火の主宰代理の一人、シウです」

 「あの、話は変わるんですけどリュッサさんが人が足りないと言ってるのでエコさん辺りにシャーユの面倒を見て欲しいと言っておいてくれません」

 「その必要は無いわ。今日はこれで出かけただけで普段はいるから」

 「けどこれ、多いですよね?」

 「そうね。エッヒネの出産時期にユッミルまでお出かけ癖がついて困ったものね」

 「すいません」

 「まあ良いわ。エコに声を掛けておくわ。今日、帰るのは遅れるけど」

 「それも困るのでメシャーナのいる日で」

 「少ないわね」

 「でしたらリュッサにネメッカ様か誰かを呼び寄せてもらってという事で。最悪、私がいる日に願います」

 「リュッサちゃんの事、怖いの?」

 「ネメッカ様みたいに甘くは無いですね」

 「そろそろ時間ね」

 「私はしゃべってても任務は果たせますけどね」

 「行くわね。また夜に」

 「ええ」

 シウは降りていく。

 「夜帰るって言ったっけ?」

 ユッミルは魔族領を見るが状況に変化は無い。相変わらず片翼だけ引っ込んでいる。

 「どうですか?魔族領」

 話しかけてきたのはほぼ初対面の土の幹部だ。もう一人はイーナである。

 「はい、泉の方は活発ですが森の方は不活発です」

 「俯瞰で見てもそうですか。調査は正しい様ですね」

 「どういう事ですか?」

 「水もだけどそもそも不要な光や少し無理な木を除いて各団は魔族領の調査をそれぞれでやっている。けど一度に広域にやるのはリッネ以外には難しいし泉の方は調査すら難しい。だから森の方は複数の団が時折答え合わせをする。けどまあ優秀な光の術師に聞くのが結局、正解。ただ、丸々信用するのはラーハ様が許さないし私も怠慢だと思うけど情報としてはやはり欲しいって所ね」

 「私も一日中見れる訳ではないですからあくまで今の話ですけどね」

 「ええ、でもまあ昼夜で陣地を大きく変える事は無いわ。攻めてくる直前以外はね。それにしてもリッネやあなたは強いわね。聞いたわよ、魔族領で普通に狩ってるって」

 「雷が魔族に効くだけですけど」

 「否定はしないのね」

 「ですが中級魔族にはいつも冷や汗をかいてますよ」

 「中級魔族なんてこちらの陣地に引き込んで主導級数人と幹部級十人以上でやっと一体ずつ倒せる。複数来た場合は主導級複数と幹部級5人ほどで抑え込んで幹部や主宰の応援を待つみたいな対処なのにあなたは主導級複数だけで狩っていく、しかも敵陣でという噂だけど」

 「そう言われると困りますがやはりエッヒネさんやリッネ様が優秀ですよ」

 「どうでしょうね」

 特に何事も無く指揮所の任務を終える。ユッミルは帰宅する。家にはシウとメシャーナとエコとリュッサにフェノもいる。

 

 

2節 進まない調査


 「あれ?随分人がいますね。」

 「私がエコをさっさと連れてきたのにリュッサはフェノを呼び寄せたのよ」

 「ユッミルさんにフェノさんを呼ぶ許可をもらいましたから」

 「けどフェノはまあそこまでシャーユの世話では役に立たないし昼間に本当に人がいない時だけで良いと思うよ」

 「えっと、私、別にシャーユちゃんに嫌われてはいませんよ」

 「えっと、シャーユが嫌いな人っているの?」

 「レヒーハさんは苦労してませんけど私は振り回されてますよ」

 「振り回されてても嫌われてるとは別の様な…」

 フェノとメシャーナとシャーユは夕食がまだの様でユッミルと共にする。用意したのはエコらしい。

 「メシャ、訓練はどう?」

 「順調は順調だけどレミーカさんには全然」

 「あの人は単体攻撃が強いだけだよ。メシャの方が走るのは早いし手数が使えればたくさん狩れるよ」

 「頑張るね、ユッミル」

 ユッミルはシャーユを膝に乗せてミルクを飲ませている。

 「シャーユちゃん、一泊二日で連れだしたりしないの?」

 「シウさん、それは意味が無いです。私が昼間に暇ならこちらで見ればいい。レヒーハさんは子守りでは優秀ですがリュッサさんと違って万一の時にシャーユを隠せません」

 「魔石はどうなの?」

 「まあ不可能ではないですが魔力は放出するので避けたいですね」

 ユッミルは夕食を終える。

 「で、誰と風呂に入るの?」

 「入りたい人はいます?」

 「私やエコは聞くまでも無いわ」

 「私ですか?」

 「そうですね。リュッサさんは中々分かりにくいですから。いえ、ネメッカ様やメシャが親切なだけとも言えますね」

 「特に断る理由も無いので構いませんよ」

 ユッミルはリュッサと風呂に入るが互いに遠慮がちだ。

 「昼間は申し訳ないです」

 「いえ、大丈夫ですよ」

 ユッミルは周りを見回す。

 「リュッサさんといる時のシャーユの様子はどんな感じですか?」

 「すぐに部屋中を這い回りますね」

 「それでどうなるんですか?」

 「しばらくしたら疲れて寝ます」

 「そうですか。私からすればシャーユが元気そうで安心なんですけどね」

 「私も嫌ではないですが疲れますね」

 二人は風呂から出て寝床に座る。フェノやエコも寄ってくる。

 「フェノか。塔の様子はどうだ?」

 「はい、塔の主がネミーク様の様な有様ですね」

 「ああ。で、魔石の売れ行きは?」

 「例年よりは良いですけど他の団は苦戦中ですし光もやっと商戦に参加できてるという感じですね」

 「光の団は困窮に慣れてるから大丈夫という事か」

 「人数も少ないですしね」

 「増えては無いのか?」

 「半年以上前にやめた子が一人だけ出戻っただけですね」

 「そんななのか」

 「今年はネメッカ様が活躍してませんし」

 「去年より前はしてたのか?」

 「ええ、評判はありましたよ」

 「それは深刻ですね」

 「いや、今年は結婚の話題が先行しただけです。まあ今後も減りそうではありますが」

 「やはり女の子が多いのだとしたら活躍してる女性が必要という事か」

 「まあそうかもしれません」

 「そうなるとフェノも有望か」

 「強引に目立つのは難しいですよ」

 「そうだな、魔族の襲撃が無い以上目立つ機会は無い」

 「だが事が起こりそうなら魔族の襲撃の予想はできるから活躍は可能だ。ネメッカと魔族領を見ておくから君も他の幹部同様中央通りに待機する時間を増やそうか。ネメッカにも指揮所滞在時の情報を積極的にフェノと共有させよう。フェノ自身も幹部扱いでの指揮所在陣を増やしてくれ」

 「了解しました」

 「無理はしなくて良いが北の地区の状況把握等魔族との戦闘の準備は必要だろう。ところでネメッカ様とフェノとルーエ以外で戦える女性はいないのか?」

 「ユッミル様を含めた四人以外となりますと私ですら戦力に数えないといけない位ですね。いずれにしても魔族を積極的に滅ぼすという事であればネメッカ様も中々難しくあなたとフェノ位でしょう。ルーエちゃんも不可能ではないですが」

 「君が剣を取っても駄目なのか?」

 「駄目とは言いませんが数体だけ倒してやられるでしょうね」

 「確かに光は支える方だな」

 「そうなると理想はネメッカ様だが僕との結婚で地に堕ちたイメージの回復は容易ではない」

 「ネメッカ様に怒られますよ。それにネメッカ様にも回復の意思が無い」

 「やはり光所属である以上大人も訓練は必要だろう」

 「そうですね」

 「今回の作戦が終わり次第そっちにも着手しないといけないかもしれない」

 「待っていますよ」

 翌日はまた無性の街を見回って適当に買い物をして夕方の早い内に無性の方の家に帰還する。

 「随分久しいな、ユッミル」

 「そうかもしれませんね。仲良くなるのにまた時間が必要そうですね」

 「私はユッミルさんとの時間が増えて嬉しいですよ」

 「何?」

 ユッミルはレヒーハに甘えていく。

 「今日はどうでした?」

 「そろそろ次の手を打とうかと思ってるよ」

 「どうするの?」

 「まだ内緒」

 「教えて。ユッミルさん」

 「すぐ分かるよ」

 「分かった。夕食はもうできてるから食べよ」

 ユッミルとレヒーハはくっつきながら夕食を食べている。

 「まさか、ユッミル。君は今日、選択肢が無いからレヒーハに飛び込んでるのか。つまり、私は完全に蚊帳の外」

 「レヒーハさん、これまで中々相手できなくてごめんなさい」

 「けど今日は相手してくれるんでしょ?」

 「はい、存分に」

 「なら気にしない」

 ユッミルは夕食を終えるとレヒーハと風呂に入る。

 「ユッミルさん、意外と積極的ですね」

 「嫌だったかな?」

 「いえ、驚いただけで」

 「ネメッカ様は向こうから来てくれるからそれはそれで良いけどレヒーハとも楽しいよ」

 「リュッサ、あなたもそろそろね。私もそろそろ隠せなくなりそうよ」

 「私はそういう役目じゃないので問題無いですけどシウさんは困ってそうですね」

 「それはそうよ。けどそこのメシャーナちゃんは膨らんでも何かユッミルは抱きやすくなったみたいに特に何も変わって無かったから羨ましいわね」

 「私も女扱いじゃないから変わらなかっただけ」

 「けど二人も授かったのだからその言い分は難しくないかしら?」

 「私は特殊だから良いの。けど確かにリュッサの事は女と見てるわね」

 「けどネメッカ様以外は変わりませんよ。ネメッカ様には女の用事が無くても飛び込んでいきますし」

 「知りたくない現実ね」

 「その点でいえばシウ様もそこそこ用事無くても行ってると思いますよ。シウ様は用事に変えてしまうので表向きはそうなってませんが」

 「あら。それは私の牙を削ぎに来てるのかしら?」

 「さて、どうでしょうね」

 「リュッサ、それよりあなたはエッヒネの相手を知ってるの?」

 「それをこの話の流れで聞くという事はユッミル様との関係を疑っているんですか?」

 「そうね。ユッミルは光の主宰について有名になる前からエッヒネと関わっていた。ネメッカよりも先よ」

 「私は知りません。ですが子供はネメッカ様の方が先なんですから先に関係が深まったのはネメッカ様なんですからその点は問題無い」

 「問題無いの?」

 「いえ、ですがそもそもエッヒネ様の相手がユッミル様かどうかは分かりませんし」

 「他に心当たりは?」

 「私はそこまでエッヒネ様の事を知りませんから」

 「それもそうね。けど知ってる私には他に心当たりは無い」

 「まあユッミルさんの以前の経歴は知りませんが冒険者になったのは最近の様ですから。他の人はエッヒネ様と関係があったなら既に結論は出てそうですしね」

 「あなたもそう思うのね」

 「そうであっても何も変わりませんけどね。ネメッカ様以外には関係のない話です。シウ様が脱落するならユッミル様は私がさらに面倒を見るだけです」

 「何か勘違いしてない?私はエッヒネに対抗してる面もあるからね。なおユッミルに向かうわ。まあユッミルに飽きられないよう緩急は付けますけど」

 「二人もユッミル居ないしさっさと寝れば?」

 「あなたは子供に付き合って早く寝ないといけないだけ。おやすみなさい、メシャちゃん」

 「あなたも子供の面倒は見ないと駄目よ」

 「シャーユちゃんもそうだけどある程度は皆で世話するしユッミルと寝る子と子供の世話をする子に別れれば良いしユッミルがここに来た時にユッミルの隣が空く事は無いわ」

 「そうなりそうですね」

 ユッミルは目を覚ますがレヒーハを抱き直してまた寝る。

 翌朝、ユッミルは先に起きて朝食を用意している。

 「レヒーハ、おはよう」

 「おはようございます」

 「昨日は僕は良かったけど」

 「私もです」

 レヒーハはユッミルの肩に体を預ける。

 「そうはいかない」

 「フーニャさん、邪魔しないで下さい」

 「そもそもユッミル殿、そんな事を言ってるがどうせ今日の夜は愛しのネメッカの所に帰るのだろう?」

 「いえ、今日もこっちですよ。指揮所は無いですから」

 「それで今日はどうする?」

「夜の話ですか?」

 「いや、夜は君が私の色香に勝てない以上予定はもう決まりだ」

 「昼はですね。火の団に行って話を聞いてきます」

 「火の団は忙しそうだが?」

 「土の団もですが人手はいますから大丈夫でしょう」

 「で、エッヒネとは会うのか?」

「どういう意味ですか?」

「知り合いだし挨拶位するのかと思ってね」

「いえいえ、手間を取らせる必要はありません」

「そんなものか」

「ユッミルさん、行ってらっしゃい」

 「はい、行ってきますね、レヒーハ」

 ユッミルは火の塔に向かう。

 「あの、イーサさん。どうしたんですか?」

 「仲の良い男性を見つけたので甘えてみましたが不快ですか?」

 「それは問題無いですがそんな深い仲でも無いでしょう」

 「いずれ分かりますよ」

 「ん?それより何故ここに?」

 「そろそろ頃合いかと思いましてフェノ様にご協力頂きました」

 「えっと、何か疑ってます?」

 「いえいえ、ユッミル様の計画に興味があるだけですよ」

 「なら塔に行った時に聞けばいいでしょう」

 「ネメッカ様にも話したいわけではない様子だったので」

 「そうだね。イーサさんにも話したい訳ではない。分の良い計画ではないからね」

 「そうですか。まあでも同席しますね」

 「分かりましたから離れてくれます?らしくないですよ」

 「でしたらユッミル様が優しく腰を取って下さいね」

 二人は火の塔に入る。

「ああ、ユッミルさん。話は聞いてますので呼んできますね」

 「ありがとうございます」

 「ユッミル様、私も手伝いましょうか?」

 「そうしたいのはやまやまですが光の塔を混乱させそうなのでやめておきます」

 「なるほどそうやってネメッカ様と一夜を共にした後の朝にシウ様の体も味わうのですね」

 「そういう状況にはあなたも加担しましたよね?」

 「そうですがユッミル様が意外と上手なので驚かされてばかりですよ」

 「いえ、選択肢が少ないので迷っていないだけです」

 「そういう考え方もあるんですね」

 「ユッミルさん、こんにちは」

 ユッミルは不意に声を掛けられて驚く。

 「あら?ユッミルさんは私に悪事でも働いたのかしら?」

 「エッヒネ様ですか?休んでいなくても良いのですか?」

 「ええ、別に疲れてる訳ではないわ。そもそも休みを取ったのは激しく動いて子供に悪影響を与えない為だしね」

 「そうですか、それでそちらが」

 「はい、ミューレと申します。初めましてユッミル様。本来はエッヒネが表に出れないから今回は私がユッミル様と話そうという事だったのですが」

 「はい、そう聞いてまして驚きました」

 「あら?火の団と光の団の同じ立場の人間の会談って感じで良いでしょ」

 「そう言えばそうでしたね。ですが退屈な話ですから飽きたらさっさと部屋に戻った方が良いですよ。イーサさんもあなたがわざわざ出る幕でも無い。必要ならきちんと頼みますから」

 「まあ座りましょう」

 「そうですね」

 四人はソファに腰掛ける。当然、イーサとユッミルが隣でミューレとエッヒネが向かいであるがイーサは近い。

 「では本題の前に最近の無性の街はどういう感じなのですか?」

 「そうですね。寒季が終わったばかりなのでこれから活発になるとは思いますが低調ですね」

 「原因は?」

 「そこまでは分かりませんが食糧が不足気味ですね。皮の買い取り価格低下で冒険者が狩りを控えてます。ユッミル様も知ってるとは思いますが獣の数も少ないですね」

 「ですが穀物はどうなんです?」

 「それは例年通りですが肉の代用としての消費もある程度あるのでこちらも不足気味ですね。肉ほどではないにしろ、価格は若干高いです」

 「金回りが悪いんですか?」

 「ええ、皮の修繕は高くないですから。それに物価高による買い控えに耐えかねて価格を下げる商店も増えていますから」

 「郊外の景気はそこまで悪い様に見えませんが?」

 「おそらくですが選択肢が少ないので価格を下げずに済んでいるという事でしょう。少し給与は下がっていますが」

 「各団はまだ大丈夫ですがこの状態が長く続くとまずいのでは?」

 「多少は痛手ですが問題は無いですよ。まあ皮の修理屋はこっちにいませんから」

 「食料は?」

 「問題ありません。そもそも向こうが肉を特段高く買ってくれる訳でもないので各団には十分供給しています。少し減ってはいますが」

 「獣からとれる皮と肉の価値の差が大きいのは厄介ですね」

 「ええ、皮の売値が安いので溜め込んだり、自分での使用が増えてますね」

 「はい、私も防寒具を自分で作りましたね。皮を惜しみなく使ったのでかなりの効果でしたが」

 「寒いなら私に頼れば良いわよ」

 「今後はお子さんの世話が大変でしょう」

 「ユッミル様が手伝ってくれるなら全く問題無いでしょ?」

 「考えておきます」

 「それでどうですか?無性の街での生活に関する相談はありますか?」

 「もう少し自力で色々やってみます。いずれにしても後日もう一度伺います」

 「分かりました」

 「でしたら次は主宰会談と筆頭側近会談ね」

 「えっ」

 「まあ良いでしょう。エッヒネ様、ユッミル様は私達の夫である事をお忘れなきよう」

 「分かってますよ」

 エッヒネはユッミルを軽く抱き込みながら主宰部屋に引っ張っていく。

 「エッヒネ様、話でもあるんですか?」

 「まあ座って」

 「はい」

 「で、まず君は私に用は無いの?」

 「えっと、父親がいない事にさせて申し訳ないです」

 「それは分かってて誘った私が悪いから」

 「そうですか」

 「他には?遠慮は不要よ」

 「いえ、そのエッヒネ様にこれ以上ご負担頂く訳には」

 「君と関わる事が負担なら部屋に連れ込んだりしないのは分かるわよね?」

 「そうですね、私が困っているだけですね」

 「つまり、用は無いのね」

 「そういう訳では無いですが何か頼むのは気が引けます」

 「なら仕方ないわね。じゃあ私の用事に付き合ってね。まず、疲れたから体を揉んで。何処をするかは任せるわ」

 ユッミルは肩を揉んでいく。

 「ベッドに寝た方が揉みやすいかしら?」

 「いえ、とりあえずは大丈夫ですよ」

 「なら少し膝もお願いできるかしら?」

 「構いませんよ」

 「やりにくそうね」

 「そんな事は無い…」

 エッヒネは服の裾を捲っていく。

 「エッヒネ様、そんな必要は無いです」

 「必要よ。でもユッミル君は私の体にもう用は無い筈だから我慢は難しいの?でもこんな年寄りの体に大した魅力は無いから大丈夫よね?」

 「やはりわざとでしたか」

 「いえ、意思表示よ。私は構わないわ」

 「困るのでそう言われても」

 「ええ、多少困ろうが構わないわ。ただ、何かされても私は言わないしネメッカちゃんに聞かれたら正しく私が誘ったと答えるわよ?」

 「いえいえ、エッヒネ様は側室ではないですから」

 「つまり、私の誘いを断るのね?」

 「ならマッサージももう良いのですか?」

 「まあ良いわ。これからは一々誘ってると親切に教えるのはやめるわ」

 「それは良かったです」

 「ふーん」

 ユッミルは膝を揉んでいく。

 「もう良いですよ」

 「なら少し私がお返しをするわね」

 エッヒネはユッミルの後ろに回って足でユッミルの腰を挟んでユッミルの手を伸ばしながらほぐしていく。

 「エッヒネ様、少し露骨ですね。あなたは美しいから良いですが粗雑な女性がやると下劣ですよ」

 「粗雑な女性が鈍感男をその気にさせるにはこれ位じゃないといけないわ」

 「エッヒネ様は粗雑な女性ではないです」

 「けど手を出してくれないなら同じ事」

 「えっと粗雑だからでは無いです。確実に隠し通すのは無理かもしれませんし」

 「それは単なる言い訳で私に魅力を感じないのね。押し倒すベッドもあるのに」

 「これ以上ネメッカ様に不義理はできません」

 「つまり、本気の可能性もあるのね。なおさら逃がしたくなくなったわね」

 「えっと、その、ネメッカ様相手ですらそういう膨らんだお腹の時は断りましたしエッヒネ様も今は駄目です。安らかに子供を待って下さい」

 「なら口で我慢するわね。下さいね」

 「浮気はしませんよ」

 「ネメッカ様には子供の事をばらすとやんわり誘いながら脅されて口が滑ったと言えば良いわ」

 「それで済むなら観念します」

 「はあ、渋々で残念だけどまあ良いわ」

 ユッミルは部屋から出る。

 「イーサさん、私は一度家に戻ります」

 「特に別れる理由も無いので付き合いますね」

 「くっつくのはやめて下さいね。話をしましょう」

 「良いですよ」

 「ネメッカ様はどうですか?」

 「機嫌は良いです。あなたのご機嫌取りが功を奏したみたいですね」

 「団の方は?」

 「特に変わりませんが次の子供が近いので仕事を前倒してますから少しだけ忙しいですよ」

 「すいませんね」

 「ユッミル様、それはどういう意味ですか?」

 「えっとあなた方に負担を掛けたので」

 「お願いしたのはこちらですからそういった考えはお捨て下さい」

 「イーサ様の姿がはっきり見えるなら返事を引き延ばしたくなりますね」

 「御冗談を。歪曲視野で見放題でしょうに」

 「そうでしたね。分かりました。そういう言い方は控えます」

 「こちらも失礼しました。ユッミル様はこれからも塔にいらっしゃるのにはやってしまいました」

 「ネメッカ様がいますから塔ではあまり何も無いのでは?」

 「ユッミル様の要望もあれば可能だと思いますが」

 「ネメッカ様にそんな要求はできません」

 「配慮不足でした。それに急ぐ事ではないのでじっくり整えます」

 「けどやはりイーサさんにまで子供を作らせてしまったのは業務が滞るので失敗だったのでは?」

 「その失敗が起きなければ次もあるという事で良いですね?」

 「えっと、ネメッカ様への負担は掛かりますよね?しかも原因が浮気ですよ?」

 「分かりました、やはりネメッカ様に明確な許可をもらいます」

 「あなた、やはりいよいよ堂々と影の主導ですね」

 「それはあなたでしょう。あなたの機嫌を天秤に掛ければこの後家で相手しろと言われると断れない」

 「しませんよ」

 「残念です」

 ユッミルとイーサはユッミルの家で昼食を食べる。

 ユッミルはシャーユと遊ぶ。

 「エッヒネと会ったのかしら?」

 「何故そう思うんですか?」

 「エッヒネの好きそうな匂いが君の背中から香るのよ。イーサさんのとは別にね」

 「シウさんはエッヒネさんにかなり興味があるんですね。末永く仲良く暮らせばいいのに」

 「ユッミル、それは女であると証明する為にあなたを襲えという事かしら?卑怯な男ね」

 「エッヒネ様が寂しそうなので」

 「ならあなたが囲えば?私は構わないわよ」

 「現役の主導と主宰同士は良くないですよ。同じ団は別ですが」

 「ならもし私が主宰になったらどうするの?」

 「もう側室ですからシウさんにご理解いただいて側室を抜けてもらいます。現実として火の塔で寝泊まりするんですから」

 「あなたは光の塔で寝てないけどね」

 「ですが一定程度は寝てますしここは塔に近い」

 「けどユッミルはどっちにしろ毎日は相手にしてくれないし変わらないわね」

 「えっと、予定でもあるんですか?」

 「うん、多分無いわね。けど離婚はしないわ。君が私を嫌いになったと言わない限りね」

 ユッミルはレミーカの家に向かう。レミーカに二日後以降無性の街で多少姿を変えて活動する事とソヨッハが髪や姿を明日変えに来る旨を伝えて明日の予定を聞いてユッミルは無性の街をゆっくり経由して木の塔に向かう。

 「ユッミル様、こんにちは」

 「ソヨッハ、久しぶりだね」

 「そうですね」

 「ところでユッホさんは?」

 「いつも通り訓練の指導をしてますよ。呼びます?」

 「邪魔はしたくない。早速だけど明日の朝、僕の家に来てくれませんか?」

 「構いませんよ」

 「今回は変装の相談だけなので近々またお願いする事になるとは思いますが」

 「分かっていますよ」

 ユッミルはそのまま無性の方の家へ立ち寄る。

 「言いにくいのですが今日も向こうに泊まりますのでゆっくりしてて下さい」

 「なら私も帰る。それなら解決だ」

 「でしたら何度も送るのは面倒なので数日向こうにいてもらってその間はレヒーハと二人ですね」

 「くっ。まあ良い。今日は大人しく寂しく寝ているよ。さあ、行っておいで」

 「ありがとうございます、フーニャさん」

 ユッミルは帰宅する。

 「明日はソヨッハとここで待ち合わせて出かけるから居るのは夜だけだね」

 「私達は夜に君の相手をする為だから毎日夜だけでも良いのよ」

 「ありがとうございます」

 ユッミルはシャーユの方に向かう。ただ、シャーユが少し反応が悪く、ユッミルは引き上げる。

 「流石に少しシャーユちゃんも家を留守にする父親には愛想をつかしてしまいましたかね?」

 「諦めて大人しく私達の相手をしなさい」

 「シウさんはともかくリュッサはどうしたの?」

 「はい、エコさんが来るようになったら手が空いたので」

 「エコさん、良い人ですけど普通の縁談とか無いんですか?」

 「私には聞かないのね?」

 「シウさんはもう答えが出てそうですし特にあなたは術師を引退でもしないとそういう方には向かないですよ」

 「私って術師を引退したら恋に走る様に見えるの?」

 「そうですね。術師で居る限り、興味は持たないと思います」

 「君の事は男として見てるわよ」

 「嬉しいお言葉ですが生涯の相手としては見てませんよね?」

 「それはあなたもでしょ」

 「はい、ネメッカ様がいるのでお互い、それで良いと思いますしやめたら別の人に行くと思います」

 「そうね、そんな気もする。けど子供ができて気が少し変わってるわね。術師をやめずにこの関係を続ける、迷惑かしら?」

 「ネメッカ様やイーサさんの意向次第では側室は年を重ねると縮小の可能性もありますから頃合いを見てそちらから抜けて頂いてもこちらとしてもありがたいです」

 「一応、良い相手がいれば抜けるわよ。だからユッミルは遠慮なく体をぶつけに来てね」

 「分かってますよ。シウさんは突然いなくなってもおかしくないですから今のうちですね」

 翌朝、家の前でソヨッハを待つ。横にはシウがいる。変装の出来具合をシウに評価して助言をもらう事になった訳だ。

 「シウさん、お久しぶりです」

 「そうね」

 「シウさん、エッヒネ様の代わりで忙しくないんですか?」

 「ええ、指揮所担当が五日に一回程度増えただけだから」

 「そう言えば分担してるんでしたね」

 「ええ、三人の内二人が順番に担当する形。二十数日でそれが6回。それぞれ一人一人は4回だから大体五日に一回ね」

 「十分多いと思いますよ」

 「けどあなたも指揮所の回数増えてるんでしょ?」

 「はい、ユッミル様には会ってませんが」

 「ネメッカ様が抜けた分を補おうとするのでそこまで行けていません。今回の事もありますし」

 「ところでレミーカってどんな人なの?」

 「よくいる土の男性術師ですよ。優秀な手数の多い中距離以上の射撃担当ですよ」

 「人柄を聞いたのだけど」

 「でしたらシウさんは土の団の男性はどんなだと思ってますか?」

 「難しい質問ね」

 「えっと」

 「ユッミルに勘違いされない様に答えないと」

 「何を勘違いすると」

 「私が土の団の男を好む事ね」

 「好まないんですか?」

 「そうね。感覚だけど」

 「で、どういう人だと思うんですか?」

 「強さに重きを置いていそう」

 「ああ、それだと誰もシウさんは口説きませんね」

 「褒め言葉として受け取っておくわね」

 「ええ、まあレミーカさんにもそういう傾向はあります。どちらかと言うと術を軸にした戦闘の完成度ですけどね」

 「まあなんとなく分かったわ。まあ害は無い方の土男ね」

 「レミーカさんは女ですけどね」

 「それは知ってるわよ。とにかく行くわよ」

 三人はレミーカの家に着く。

 「君は確かシウさんだったね。指揮所では何度か見かけたがユッミル君の側室になってからはまだだから声を掛け損ねていたよ。私は最近は下にいる事も多い」

 「あの、本来は僕が引き合わせるべきでした。申し訳ない。ただ、僕の家への来訪は構わないんですよ?場所が分からないなら光の塔の人に案内してもらえばいいですし」

 「またの機会にするよ」

 「でしたら本題ですね」

 ソヨッハはレミーカの髪色を変えていく。

 「どうですか?」

 「はい。悪くないですね」

 「これはどういう狙い」

 「幹部のふりをした用心棒スタイルですね」

 「ああ、まあ良いんじゃないかしら?私も部下のふりをした愛人スタイルにしてもらおうかしら?」

 「いやいや、シウさんに仕事は無理ですよ。それ以上はシウさんには無いです。今が一番いい」

 「ふーん、ソヨッハちゃん、相談しよっか」

 「ユッミルはゆっくりしてくれ」

 シウとソヨッハは部屋の奥でこそこそ話し始める。

 「ユッミル殿、今日は来訪してくれて嬉しかったよ」

 「いえ、忙しいとはいえ中々来れなくて申し訳ない」

 「気にしていない。ただ、森で訓練をしているのだからもっと誘ってくれても良いとは思っているがね」

 「ええ、ですが家で陣立てしてそのまま向かうので予定を知らないレミーカさんを誘うのが中々」

 「なるほどそういう事情は失念していた」

 「ええ、ですからしばらくは行きませんが行くようになったら集会所で待って頂くと参加してもらえます。ただ、それにしても行かない日もあるので放置にもなりかねないのでお願いはしにくいですね」

 「それは理解したよ。だが君の家に居座らない事にしたのは私だ」

 「それにしても来訪できずに申し訳ない」

 「ああ、ここに夜に来る事は無いんだな?」

 「中々難しいでしょうね」

 「なら今でも構わないぞ」

 「えっ」

 「好きにして構わない」

 「まさか、しませんよ。シウさん達がいますからね」

 「そうだったな。先に帰ってもらわないと」

 「ん?」

 「シウさん、少しいい加減にしてくれないか?」

 「そうね、特に問題無いと思うし帰るわよ、ユッミル」

 「えっと、まず家に帰るとは言ってませんよ。それに折角レミーカさんの家に来たのでもう少し話をしていきます」

 「まあ良いわ。ソヨッハ、帰るわよ」

 シウ達は帰っていく。

 「ユッミルさん、もうそういう事ですよね?」

 「いえ、側室とは言いましたが必ずしもそういう関係とは限りません」

 「良いのか?それとも私では役不足か」

 「役不足かですか。私も悪いですがあなたと会う機会が少ないので分かりませんね」

 「体つきで分かるだろう」

 「いえいえ、体つきならあなたは普通ですね。特に問題は無いですけどね」

 「であってもか」

 「ええ、そもそも現状ネメッカ様を除いて側室だけでも五人以上の子供を産んでしまうしネメッカ様も二人目以降も遠慮なくでしょうから無理にそういう事をする必要は無いんですよ。むしろ私としては隣で戦ってくれる人が貴重なんです。その点ではレミーカさんは当てにしてます。フーニャさんでは少し足りない」

 「まあフーニャは優秀だがまあ言いたい事は分かった。だが仕事だから気が変われば言ってくれ」

 「ええ、依頼をしてあなたの人となりを見れば変わるかもしれませんね」

 ユッミルは家に寄る。

 「お帰りなさい、ユッミル」

 「シウさん、機嫌が良さそうですけど何か勘違いしてませんか?」

 「あっ、そうだったわ。ユッミル社長、今後の運営方針について話があるんでしたね。こちらで話しましょう」

 「シウ、今日はすぐ戻る。シャーユの様子を見に来ただけだから」

 ユッミルはシャーユを見ている。シャーユは近づいてくる。

 「向こうに連れて行きたいのにな」

 「メシャちゃんは歓迎でしょうね」

 「けど今やこの子が嫌がりそうだね」

 「で、ネミーク君は可愛がらないんですか?」

 「光の塔は遠すぎる」

 「ネメッカ様に告げ口して良いですか?」

 「構わないよ。隠しても仕方ない分かりやすい本音だからね。ネメッカ様を嫌がるなんてのは無いしね」

 「そうですね、ネメッカ様とユッミル様が長くここに居座るのは良くないです」

 「優秀な光の術師に早く辿り着ければ良いのだが」

 しばらくリュッサを交えてシャーユと遊ぶとユッミルは日が暮れる前に無性の家に向かう。

 「今日は早いな。それともまだ出るのか?」

 「いえ、いますよ」

 「ならば一緒に寝てくれるのか?」

 「寝たいのですか?」

 「それは難しい質問だ。君は私の重視する趣を解すると直感しているがであればこそ粗雑な女は好まない。安易に寝てしまうと粗雑な女認定されかねないから答えに困る」

 「その割には粗雑な誘い方の気がしますが」

 「入り口が粗雑でも相手はしてくれそうだと思ってね」

 「失敗してますよね?」

 「いや、結果として相手はしてくれている」

 「そうですね。けど現状はレヒーハさんにすら負けていますよ」

 「いやいや、レヒーハは強い。今はそれで良い」

 「そうですか」

 「だが私とて目の前に何かがあれば冷静ではいられない。そこをうまく使って遊ぶといい」

 「遊んでるのはフーニャさんの方ですね」

 「かもしれないな。だから君も遊ぶと良い」

 「分かりましたよ」

 ユッミル達は三人で夕食を食べる。それを終えるとレヒーハとユッミルで風呂に入る。

 「やっとゆっくりできます。レヒーハさんなら一人と同じ位安らげます」

 「ネメッカ様とでは駄目なのですか?」

 「いえ、あの人は魅力的ではありますが休ませてはくれません」

 「ネメッカ様と比べられると困りますけどね」

 「レヒーハさんは魅力を自覚してないのが良いのですよ。シウ様は自覚に溢れてるので困ります。フーニャさんの様に間違った小さな自信家も困りますが」

 「ユッミル殿、聞こえているぞ」

 「フーニャさんも結局は遠慮してますけどね」

 「駄目ですよ。本人が隠そうとしてる事ですし」

 「良いだろう。私は無遠慮だ」

 フーニャは本を丁寧に置いて風呂に割り込む。

 「ユッミルよ。存分に抱くが良い」

 「まあ小さいですしそこまで狭くないですね、ニーシャ」

 「なっ。どういうつもりだ」

 「ニーシャは良い子だけど寂しかったかな?」

 ユッミルはフーニャの頭をゆっくり撫でる。

 「娘ごっこを望むのか」

 「ニーシャ、可愛いね」

 「ねえねえ、お父さん…」

 「ネメッカ様、心配では無いのですか?無性の家はリュッサの監視がありません。木がよこしたとはいえネメッカ様とは違う魅力がありますからシーリュノ様の意図とは別に問題が起きかねない。そもそもユッミル様がメシャーナ様を連れて行っていない理由が分かりません」

 「それはそうだけどテーファとの機会が増えれば問題無いわ」

 「増えるとは限りません」

 「そうね、そうなったら警戒するわ。けどユッミルが私に愛想をつかさない限り、戻ってくると思うけどね」

 「だと良いのですが」

 「さあ、風呂から上がったらさっさと寝ますよ」

 「あの、このまま寝たいのですが寒くは無いですか?」

 「寒くないから大丈夫だよ」

 

 

 

 



 3節 待ち時間



 翌朝、ユッミルはフーニャを連れて家に戻る。

 「久々に軽く森の状況確認に向かいますが皆さんの予定は?」

 「私は知っての通り子守です」

 「それなら心配無い。僕が引き受ける」

 「まさか」

 「はい、そういう訳で僕はリュッサとシャーユの護衛に専念するので他の人はすぐに守れません。フーニャさんとシウさんにも来てもらいますがオーネさんはやめておきましょう。レミーカさんがいれば合流します。リュッサ、今回は偵察ですから君も歪曲視野で情報収集して下さい」

 「そういう事ですか。ですがそれならネメッカ様の方が優秀でしょう」

 「ネメッカ様はイーサさんが必要と判断すればやりますよ。私が干渉する立場では無い。それに君も慣れておく方が良い。戦いを避け続けられるとは限らない」

 「そうね。せっかくこの家にいるのだからユッミルに助けてもらって強くなった方が良いわよ。留守番はエコ、任せたわよ」

 「そうだね。二台も暖炉があったら森が燃え尽きてしまう」

 「あの、火の団は全員がシウさんみたいな焦げ量産機じゃないですから。ですがシャーユちゃんも行かせるならシウさんの瞬間火力は必要ですね。私は大人しく留守番します」

 集会所近くに行くとレミーカとソヨッハがいる。

 「ソヨッハ?」

 「はい、レミーカさんにユッミル様の移動ルートを教えていたんです。まさか来るとは思いませんでした」

 「今から軽く森に偵察に行くのだけど」

 「その子もですか?」

 「そうだね。私も子守をしないと嫌われてしまう」

 ユッミルは顔や体をぼかしながらシャーユを抱いている。近づかないと何をしてるかはあまり分からない。シウも協力の一環として抱きつく様な形でシャーユへの視界を遮っている。リュッサもユッミルの隣をあるいて周囲を警戒しつつ時折視界の遮断を真似ている。その後フェノも合流し、森に入るがやはり獣は少ない。

 「一体位は狩りましょうか。もう少し様子を見てからですけど」

 「そうね。けど乾季だから数は増えてはいるわね」

 「ですけどいつものこの時期よりは少ない気がします」

 「ソヨッハ、木の団でもそういう話はあるの?」

 「はい、シーリュノ様が冗談半分で森の食料を増やすなんて言ってますけどね」

 「ああ、けどシーリュノ様がさじ加減を間違えたら獣が群れを作り出して弱い冒険者が狩れなくなりそう」

 「そうなってもユッミルは狩れるわよね?」

 「そうだな。強い班で上手く頭数を減らせば良いだけだからそうなっても問題は無い」

 「ユッミル様がシェンハ様やリッネ様と討伐すればどうにでもなります」

 「事前に調査して本当に多ければ肉は冒険者に事前に通知して振る舞えばいい。」

 「まあシーリュノ様がやるとは言ってないからね」

 「そうですね。ですけど気楽でいれるかは分かりません」

 「そうだね」

 少しだけ奥に進んでいく。

 「フェノ、この子に術を見せたいから獣を連れて来てくれないか。レミーカさんも援護を頼みます。リュッサは周囲の情報を把握してフーニャさんの目になってくれ。リュッサ、ソヨッハが回復してくれるから出し惜しまなくて良い」

 「では行ってきます」

 「ユッミル、面白い仕事をくれて感謝する」

 「私は?」

 「お任せします」

 「ユッミルの丸焼きを作っても良いの?」

 「シャーユを守る為にとめますけどね」

 「なら散歩してくるわ」

 フェノは獣を追い立てる。獣の左後方にはフェノ、右後方にはレミーカがいる。獣はユッミルを察知すると速度を落とす。フェノは間合いを詰める。シウは獣の後ろに火の塊をゆっくり打ち出す。獣は少しだけ離れた位置にいるリュッサとソヨッハを狙う。ユッミルは側方から雷射を織り交ぜた光射を打っていき光点も放ちつつ獣にゆっくり近づく。ユッミルは雷雲で獣をほぼ仕留め切ると動かない獣を雷装剣で解体していく。ソヨッハやリュッサが駆け寄って来て程なくしてフェノもシウと帰ってくる。

 「強力ね。流石、光の実質主宰でリッネと同格なだけあるわね」

 「嫌味ですか?あれは準備時間が長い。奇襲する場合の初手しか使えません」

 「リッネを前線で餌にすれば時間なんてかなり稼げるわよ」

 「その前に終わる気もしますが」

 「いや、それならリッネはきっともうやってる」

 「シウさんもそう思いますか?」

 「ええ、リッネは必要な戦力が揃ったらやりたいと思う」

 「そうですよね。どうなんでしょうね。」

 ユッミルは森から引き上げる。

「シウさん、昼を食べた後火の塔に向かうのでシャーユをお願いしますね」

 「ええ、面倒を見るのはほぼリュッサだけど」

 「そうでしたね。ところで火の塔に一緒に来ます?」

 「どういう事かしら?」

 「シウさんには今回の作戦を知ってもらって構わないので」

 「遠慮するわ」

 「分かりました」

 ユッミルは昼食を食べると火の塔に向かう。

 「ミューレさんはいますか?」

 「ええ、いるわよ」

 「こんにちは」

 「何か用事なのね」

 「そうですね。今回の無性への一時移住は光の術師探しが目的なのは聞いてますよね?」

 「はい、イーサさんやネメッカ様も優秀な術師の不足には頭を悩ませてるとの噂を聞きますしユッミル様もエコから無性の街で少し前に探した事があるのは聞いていますし今回もそうだとは聞いています」

 「はい、そうなんですが今回はかなりの強力な術師だと踏んでいます」

 「踏んでいます?」

 「はい、今回の相手はおそらく無性の街での探偵です」

 「なるほど。ですけどそれはあまりお勧めできません。尻尾を掴むのが大変なのは知ってますよね?」

 「それは重々承知しています」

 「その上に上々の収入もあるので光どころか団に所属する利点はあまり無い」

 「そうですか。でしたら勧誘を狙いつつも無性の街の探偵に関しての調査に切り替えます」

 「そんなに気になるのですか?」

 「ええ、ですからこちらも探偵事務所を開業します。依頼は大してこなせませんが」

 「そうですか。つまり、事務所を探して欲しいと」

 「話が早くて助かります。流石に中心街の近くの土地は普通には売っていない」

 「分かりました。少し手配できないか探しておきます。時間が掛かるので期日をここで区切るのは無理なのでエコかシウ、もしくはエッヒネを通して連絡します」

 「結構かかるんですね」

 「いえ、あっさり見つかる事もありますよ」

 ユッミルは塔を後にすると家に帰る。フーニャやシャーユと遊ぶ。しばらくしてメシャーナが帰宅する。ユッミルはシャーユをメシャーナに引き渡すとリュッサと夕食の用意をしていく。夕食を終えるとフーニャを連れて無性地区の仮屋に戻る。

 「私の体はどうだったね?」

 「軽かったですよ」

 「まあ良い。風呂にでもしようではないか」

 「レヒーハさん、夕食は食べました?」

 「いえ、今から用意しましょうか?」

 「はい、少し控えめにしますがお願いします」

 「ん?」

 「フーニャさんは私の用事を待ってる間に食べたみたいなのでいりません」

 ユッミルは二度目の夕食を食べるとレヒーハと夕食の片づけをする。そのままくっつきながら風呂に入って一緒に寝ていく。翌朝、ユッミルは光の塔に向かう。

 「ああ、ネメッカ様は指揮所ですか。」

 「はい、鬼がいないので私は誰も守ってくれません」

 「私は主宰ですから守りには協力しますしまして守りを破る気は無いです」

 「でしたら宿舎で寝て寄って来た女性となら遊んでくれますか?」

 「ネメッカ様がいないなら主宰部屋で仮眠したいのだが」

 「それでも同じ事ですね。それどころかその場合には私がはっきり仲介しますから断った場合、その子は恥じてやめるかもしれません」

 「あの、来るのが分かっていたんですか?」

 「いえ、ですが機会は伺っていますよ」

 「ところでリュッサさんは家ですし残り二人は居たとしても対象外ですよね?」

 「はい、ですが私は対象内ですよ」

 「はい?」

 「側近特権ですね」

 「ネメッカ様にイーサさんが本気の遊びに誘ってくると告げ口しても良いのですか?」

 「ユッミル様はリュッサとは遊ぶのに私とは遊ばないのですか?」

 「イーサさん、別に私はあなたを信用していない訳では無いですよ?」

 「ですがリュッサ以下は望ましくない」

 「いえ、基本的にはリュッサ以下でしょう。直属の側近と妻の側近であれば直属を優遇しますしそれをやめろというのは困ります」

 「分かりましたがリュッサ以外の二人よりは少し上であって欲しいのは駄目ですか?」

 「今回は宿舎で寝ます」

 「まあ良いでしょう」

 ユッミルが宿舎に入ると僅かな光と湯気が見える。特に遮光術は掛かっておらず横から見えている。ユッミルはさっさと空き布団に入る。気配が歩いてくるのでよく見ると服が横の布団に置いてある。思わず見ていくが相手は気づかずにすぐに背を向けて服を着ていく。

 「ん?あっ。ユ、ユッミル様?」

 何故か女性が着ていた服は下に落ちる。

 「もしかして」

 「見ないで下さい、恥ずかしいです。とりあえず布団に入らせて下さい」

 ユッミルの布団に手を掛ける。

「服は下にあるし入るなら自分の布団でしょう」

 「イーサさんには密命を受けてユッミル様を宿舎で夜に見かけたら遊ぶ様に言われています。私に拒否権はありません」

 「それなら気づかないふりをすれば良かったでしょう」

 「いえ、正確には遊ぶと返礼がありますから遠慮なさらず」

 しばらくすると宿舎にどうも服を脱ぎながら入ってくる女性がいる。ユッミルは動きを止める。ただ、ここで声を掛けると別の女性を起こしかねないので待つ事にした。そして、近くに来ると布団を上げて招き入れる。

 「はい、ご苦労様です。イーサさんの差し金ですね」

 「けどね。イーサさんが頼んだのは今日行く事であってこれの待機要員ってのは私で決めた事よ。ユッミル様はイーサのせいで疑いすぎ。抱きたいから抱いてるの」

 「分かりました」

 ユッミルは女性を抱きながら半身にさせていつの間にか上に出ていく。

 「あら。逃げ場が無くなったわね」

 「逃げるのは自由ですよ」

 「逃げたいとは言ってないから気にしないで」

 「ユッミル君、最近は来てくれないなあ」

 「テーファ、この前会ってるでしょ?」

 「そうだけどネメッカさん程は相手してくれない」

 「今は忙しいのよ。私も二日会ってないし」

 「だったら光の塔にはそろそろ来そうだね」

 「そうね」

 「今もう来てたりして」

 「早すぎよ」

 「ネメッカさんと遊ぼうとして不在だよね」

 「テーファ、やめて。それにイーサの言い分は認めているわ」

 しばらくしてユッミルは主宰部屋に戻りフェノの横に寝ようとする。

 「ユッミル様」

 「起こしたか、すまない」

 「いえ、それよりどうしたのですか?」

 「ネメッカに会いに来たが指揮所なのを忘れていた。少し寝てから朝食にしようかと」

 「私を敷き布団や抱き枕代わりに使って下さい」

 「そうだな。その方が手足を伸ばせる」

 ユッミルはフェノに半身を乗せると眠っていく。しばらくしてイーサとフェノに起こされる。そのまま二人と朝食にする。夜の番の女性達も同席する。

 「ユッミルさん、主宰か主導は塔に居てくれないと困りますからネメッカ様が指揮所の時間位こうして居て下さいね」

 「そうですね。この時間帯頃に来れる日は来たいですけどね」

 「ユッミル様は忙しいのですからお気になさらず」

 「そうですよね。忙しい合間を縫うのですから何か重要な用事かここにいる良さが無いといけませんね」

 「分かりました。午後まで居てネメッカ様にも会いますから」

 ユッミルは後から来たネミークの世話を焼き始める。

 「ネミーク、喋れる様になったらママにユッミルは優しいって言ってね」

 「ネミークは十分にあなたに懐いてますよ」

 「だと良いのですけど」

 ユッミルはネミークを抱きながら軽く仕事をしている。特に魔石への術注入を間近でネミークに見せていく。結果として少し高位の術が注入された。

 「ネメッカ様、昼食…」

 ネメッカはネミークに気を遣いながらユッミルに抱き付いて口を軽く合わせる。

 「昼食ね。行きましょう」

 ユッミルはネミークをネメッカに預けながら昼食の後も一緒に塔の見回りに付き合う。昼過ぎにはリュッサも来る。

 「では帰りますか、リュッサさんも来て下さい」

 「ええ」

 ユッミルは月の塔の方面に向かう。

 「えっと、何処に行くんですか?」

 「あなたも行ったことがある家ですよ」

 「そんな所ありましたっけ?」

 「知ってますよ、テーファさんの家で何やら密議をしてるみたいですね、ネメッカ様とも」

 「まあ隠しても仕方ないですね。ネメッカ様は私達三人でユッミル様を取り込もうと画策しています」

 「そうですか、まあ有難い行為なので黙ってはおきますがそんな必要は無いんですがね。リュッサさんは私の側近なのですからネメッカ様の不当な要求は報告して下さいね」

 「はい、そのつもりですがそんな人ではないですよ。そもそも元々はネメッカ様に惹かれて入団したので」

 「であればその密議は嫌ではないのか?」

 「これも悪くは無いですよ」

 二人はテーファの家に着く。

 「あれ?今日はリュッサさんも連れて来たの?」

 「はい、お二人にお願いがありまして。特にリュッサさんになのですが」

 「えっと、嫌な予感がするのですが」

 「はい、少し面倒なのですがお願いしたいです」

 「とりあえず話を聞きます」

 「今、無性の家には偽装家族がありましてフーニャさんはニーシャという娘をしてもらっています。一応、人が少ないのですが全く居ないのではないので偽装を強化しようかと」

 「私がやるんですか?」

 「毎日では無く三日に一回で構いません」

 「それで何を?」

 「フーニャさんとリュッサさんにはいくつかのパターンで偽装してもらいます。一つは中心街と家の中間位でリュッサさんが待機してフーニャさんを見かけたら自分とフーニャさんの姿を消しながらフーニャさんに近づいてしばらくしたら伝音でフーニャさんに知らせてそのままフーニャさんとテーファさんの家で昼間の間過ごして下さい。次のパターンは家の玄関でフーニャさんに合図してフーニャさんの幻影を作り、しばらく歩かせます。フーニャさんにはそのまま家に居てもらいます。夕方にはフーニャさんの幻影か変装で扉だけ開けて閉めて帰還して下さい。フーニャさんをテーファさんの家で預かった場合は家から少し離れた場所でフーニャさんの姿隠しを解除して家に帰ってもらって下さい」

 「分かりましたけど玄関でのばかりでは駄目なんですよね?」

 「そうですね。定期的にテーファさんの家ですり合わせの話をしてもらいます」

 「ですけどいずれ魔力が不足しそうですね」

 「そうなんですか?」

 「ユッミル様ではないのですから」

 「でしたらソヨッハと定期的に落ち合える様手配しますね。私も手が空いてる時はやりますが」

 「はい、そうしてくれると助かります」

 「ですがシャーユはこれで火に染められそうですね」

 「エコさんは私より優しいですから大丈夫ですよ」

 「そうですね。リュッサさんはもちろんですがエコさんには感謝しないといけません」

 「えっとじゃあ私はリュッサさんの動きに合わせて出かける時間を遅らせればいいのね?」

 「お願いします」

 「良いよ」

 「でしたら明日は私が朝早くに向こうに行ってフーニャさんに事情を話します。フーニャさんを連れていきますのでお願いします。明日自体は自分の姿隠しだけでも良い位です」

 「分かりました」

 「話が纏まったみたいだし夕食の準備をして良い?」

 ユッミルはテーファと風呂に入って抱きながら眠る。

 翌朝、リュッサに早めに起こされてフーニャを迎えに行く。レヒーハを含めて朝食を食べ、変装を維持してはいるが三人で出かける。ユッミルはいつの間にか姿を消し、リュッサを見つけるとフーニャの姿も消して抱きかかえてリュッサとテーファの家に向かう。テーファはユッミルが戻ると月の塔に出かけていく。レヒーハは買い物を済ませるとさっさと家に帰る。

 「リュッサさん、前はああ言いましたが帰りは必ずしもフーニャさんを家に帰す必要はありません。テーファさん次第ではありますが一晩程度ならここに泊めても構いません。その上でフーニャさんに扮して出かけるふりをしてくれればありがたいですがしない日があっても良いです」

 「言いたい事は分かりました。上手く調整します」

 「で、ユッミル殿はまんまとレヒーハと二人の夜を増やしていくわけだな」

 「そうはなりますが結果的には家に帰る日が増えますね。シウさんを放置するのも問題ですし」

 「リュッサさん、今日は良いですよ。次は塔か家に昼に会った時に夕方の手本を見せます」

 「それより朝のもう一つが心配なのですが」

 「分かりました」

 その日はユッミルとフーニャはそのまま家に帰る。

 「私はいよいよ本格的に無駄骨を折り続けるんだな」

 「それを言われると返す言葉が無いですね」

 「弱気だな。ならやってくれるんだな?」

 「良いですよ。だがただやるでは千載一遇の機会に見合わない」

 「あまり無茶な要求は飲めませんよ」

 「無茶は言わないよ。そうだね、僕が何を言ってもやってもらおうか」

 「えっと?」

 「僕は普段正直にして欲しいと懇願しているが」

 「そんな懇願してましたっけ?」

 「今回は不正直に拒む。が、君はどんな言葉を言われても続けてくれ」

 「そういう事ですか。フーニャさんは陰湿ですね。良いでしょう」

 「では一緒に風呂に入って私が風呂から出たら開始だよ」

 「あの、口は構いませんが実際に仕草が拒否したらやめますからね」

 「服を脱がす事や体に触る事には抵抗しないと約束しよう」

 ユッミルとフーニャは風呂に入る。ユッミルは怪訝な表情をしている。

 「心配するな。君からもう一度やりたいと言わせてやるさ」

 フーニャはユッミルに背を向けて風呂から出て服を着ようとする。

 「待て」

 「待ちません」

 ユッミルは慌てて風呂を出る。

 「口調も変わって…」

 ユッミルはフーニャの手を取る。

 「やめて下さい」

 「何をだ?」

 「服を着るので手を離して下さい」

 「そんな必要は無い。来てもらうよ」

 「そんな所、触らないで」

 「良いから早く済ませるぞ」

 「卑怯だぞ、ユッミル殿。そっちがその気なら。離して下さい」

 「そうだな、布団に付いたしな」

 「恥ずかしいから見ないで下さい。したくないです。服を着させて下さい」

 「フーニャ、動いたら終わりだぞ。約束だからな」

 「やめて。無理にしな…」

 「はい、終わり。約束は守ったぞ」

 「ユッミルよ。よもややり始めて投げ出す訳ではあるまい。抵抗はしないが終わりでは無い」

 「はい?どうしたら終わるんですか?」

 「私が満足して君の愛は受け止めきれない、ありがとうと言ったら終わりだ」

 「はあ?」

 「私の全身を無防備に開かせれば降伏するよ。そうすれば終わる」

 ユッミルはフーニャの体を手当たり次第に触っていく。

 「くっ、触らないで嫌」

 「そうですか、残念です」

 「ちょっと、そこ触らないで。こんな男に良いように高揚させられるなんて屈辱」

 「その言い草は後々にも効きそうですね」

 「もう諦めたわ。好きにしなさい」

 ユッミルは更に触っていく。

 「全て開かれてしまった。君の私の体への欲情は凄すぎて受け止めきれないが今度は受け止めるのでまた願いたい」

 「フーニャさん、やっぱり本当に丸出しは駄目だと思いますよ。次が無い」

 「何を言っている?君は触っただけ。口づけもしていないし私の愛の囁きも聞いていない。伸びしろは有るよ」

 「では一回位は次もしますよ」

 「仕方ないだろう。競争の厳しい君の側室の中で生き残るにはこれ位しないと」

 「はあ、フーニャさんは優位な状況でも優位に立ちきれませんね。冗談ですよ、ここまでしなくても一緒に寝てフーニャさんが良い子ならまだまだこちらからお願いしますから。頻度は低いですが」

 「分かればいい」

 ユッミルはフーニャを抱き寄せて眠っていく。

 「ユッミル殿、おはよう」

 「おはよう」

 「昨日のは失敗だったのだろうか。分からない」

 「聞くのは野暮ですよ。いずれ分かります。今は僕にも分かりません」

 ユッミルはフーニャをテーファの家に届けると光の塔に向かう。

 「やはり駄目だったか」

 ユッミルが塔に着くと珍しくミヨーナが出迎える。ユッミルに抱きついていく。

 「遂に私の出番って本当?」

 「リュッサの出張が増えてフェノも出かけるから部屋での相手は私でしょ?」

 「うん、悪いけど時間は増えると思う」

 「つまり、何気なく立ち寄ってそのままされちゃうのね」

 「あの、ミヨーナ。子供にこんな事を言っていいのか分からないけどネメッカ様がいる人は中々他の女に向かわないと思うよ」

 「でも光の女に色々手出ししてるんでしょ?」

 「そうそう、そんな色んな女に手を出す男とは適当に付き合っておけばいい」

 「あっ。付き合う?側室認定?」

 「いや、君は側近や世話係」

 「世話でしょ、やっぱり」

 「そういう世話は含まない」

 「けどリュッサとは子供まで作ったんだよね?」

 「そうそう、子供ができる位の大人でない限り、駄目だよ」

 「その大人かどうかどう判断するの?」

 「えっと」

 「前もそうしたけど体だよね?」

 「いや、それはそうだけど」

 「じゃあ一緒に風呂に入るから品定めして大人になったら正直に相手してね」

 「えっと、イーサさんにそういう事聞いてないよね?」

 「うん、私はユッミルの側近だからネメッカ陣営とは距離を置いてる。それにネメッカ陣営の偵察もしてるよ」

 「ネメッカ様と敵対する事は永久にないですからやめなさい」

 「ユッミル、嬉しいですね。その通りです」

 「ネメッカ様ですか。少し待って下さい」

 「いえ、構いません。私は側シ…ッキンですから正室様の時間の邪魔はしませんな感じだから部屋で待ってるね。ネメッカ様に飽きたら来てね」

 「私が消極的だから飽きて来たんですか?」

 「そんな事は無いですよ。執務室で楽しくお話ししましょう」

 ユッミルはしばらく執務室でネメッカやイーサと話すと慎重に主宰部屋に入る。

 「ノック位してよ。この除き魔」

 「光術師ですから除き魔なのは否定しませんがそう言うという事は体を見られたくないんですよね?なら風呂は無理ですね」

 「それは、その、そうやって弱みを握っていう事を聞かせる気ね。恥ずかしいのも見られたし」

 「言う事を聞いてくれるなら服を着てくれますか?」

 「不正直ね。それに風呂に入るんだから」

 「恥ずかしいと言うなら隠す為に服を着るでしょう」

 「ごめんなさい、嘘塗れです。罰として体を触りまくって下さい」

 「罰になるのか?」

 「見られるのは平気だけど触られるのは怖いです」

 「なら風呂はやめた方が良いね」

 「もう良いから私を強引に抱いて風呂に入って下さい」

 「体を調べるだけならそのままこっち向いてくれれば良いけど?」

 「それだと一緒に風呂に入らないでしょう」

 「はあ、仕方ないですね」

 ユッミルはミヨーナと風呂に入る。しばらくするとリュッサも割り込んでくる。

 「ミヨーナちゃん。君にはまだ早い。分かったら上がりなさい。ユッミルさん、ミヨーナはまだ子供ですよね?」

 「それはそうですが」

 「上がればいいんでしょ」

 ミヨーナは風呂から出る。ユッミルも出ようとするとリュッサが引き留める。

 「恥をかかせないで下さい」

 「ごめんなさい」

 ユッミルは必要以上にリュッサを抱く事にした。しばらくして風呂から出る。少しだけ三人と話をしてから廊下に出る。

 「ユッミル、ちょっと良いですか?」

 「あれ?」

 「ユッミル、ここは廊下ですよ。私を触りたいのは良いですけど部屋でしましょう」

 「昼食を食べたいのですけど」

 部屋に入るとネミークが適当に鎮座している。いつの間にか心地よさそうな椅子が導入されて大人しい。ユッミルが部屋に入ってベッドの近くに差し掛かるといつの間にか体勢を崩す。するとネメッカの服が捲れている。

 「ネメッカ様、わざとですね」

 「あなたが襲ったのに何を言ってるんですか?けど悪い事では無いのですから続けて良いですよ」

 「本当にどうやって覚えたのか。けど私はネメッカ様に簡単に暗殺されますね」

 「誤魔化さないで好きにして良いですよ」

 「昼食にしたかったんですが」

 しばらくするとネメッカとユッミルは機嫌が良さそうにネミークを連れて出てくる。ネメッカはユッミルの膝にネミークを乗せる。ユッミルは時折哺乳瓶でネミークにミルクを飲ませながら食事を済ませていく。ユッミルの食事が済んだ頃合いでネメッカはさっとユッミルの正面を陣取る。いつの間にか服は緩んでいる。ネミークはネメッカの片方の乳を咥える。

 「ネメッカ様、そこまで脱ぐ必要は無いでしょう」

 「服が汚れますし」

 「なら授乳しなくても良いでしょう」

 「やはり私の汚い乳は見たくないですか?」

 「ネメッカ様は魅力的ですからもう勘弁して下さい。ここではできませんしこの後も用事があるんですから」

 「そういう事ですか」

 「その、今日だけでは無く毎日、ネメッカ様と寝たくはあるんですよ?ですがそうは行かないんです」

 「言い訳ですね」

 「すいません」

 「まあ良いですよ」

 昼食後、ネミークとネメッカに見送られ、ユッミルはリュッサを連れてフーニャを迎えにテーファの家に行く。ユッミルは遮光を長時間範囲展開してリュッサに練習させる。その後、最低限できる様になったのでフーニャを家に押し込むとリュッサと家に戻る。

 「フーニャさん、不機嫌でしたね」

 「ええ、ですが今は適当に演技してもらわないと困ります」

 「まあそこまで難しい役目ではないですし大丈夫でしょう」

 「ああ、ユッミル。お帰りなさい」

 「シウさん、ただいまですね」

 「えっと、話があるから火の塔に来て欲しいそうよ」

 「やはりそろそろでしたか。ミューレさんはやはり優秀ですね」

 「あら?四人目?」

 「それは無いですね。そんな事をする位ならエッヒネ様を主宰退任を迫って口説いて撃沈しますよ」

 「エッヒネにそれを言って良いの?」

 「いえ、ミューレさんを口説くのはそれ位不義理ですよ。火の団の運営戦略面での屋台骨を折るなんて残酷な事はできません。それに魅力としてはエッヒネ様には敵いません」

 「エッヒネを褒めれば私が対抗すると言う打算で言っているの?」

 「あの、ミューレさんにそういう警戒をされるのは大損失なのでやめて下さいという事ですよ。回り回ってシウ様の行動が問題視されるかもしれませんよ」

 「何よ、それ」

 「分からないでしょう。ですからお願いします。それかもう側室をやめたいならそうして下さい」

 「分かったわ。そこまで言うなら絶対しないから」

 「良かったです。お願いしますね」

 「エッヒネを誘うのは良いわよね?」

 「いえ、とにかくミューレさんに伝わりそうな事は駄目ですよ」

 「まあつまらないけど構わないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 4節 任務


 翌朝、ユッミルは火の塔に向かう。

 「思ったより早かったわね」

 「ええ、こちらこそそう思ってますよ」

 「それで本題なんですけど安めの案件を入手しましたよ」

 「それは良かったです」

 「ただ、条件付きでして」

 「まあそういうのはありますよね」

 「その条件というのが不良の鎮撫でして」

 「えっと?」

 「その物件は少し郊外ですが中心街からそこまで遠くは無い。ただ、治安が良くないんですよね。詳しく言えば不良が居座っています」

 「誰か対処しないんですか?」

 「無性の街の積極管理の対象地域では無い上に倉庫街も近く、空き事務所も多く、住民がいる訳でもない」

 「なるほど。というか私を選んでやってませんか?ただ、私に対人戦の経験はありません」

 「はい、ですから怪我をさせてはいけませんが相手の武器は壊して構いません。押収しますので」

 「どういう事ですか?」

 「火の団は無性の街の行政管轄外の地域の治安維持に協力しています。光以外の各団は周辺地域を守っていますが火の団は残りを守っています。その代わりに無性地区の一部区画に火の団の引退者は優先的に住めます。そもそも引退者が無性の街に商店を構える率も高いので無性の街には火の団は顔が効きます」

 「そういう事ですか」

 「どうします?」

 「えっと、雷装剣を使えと?」

 「はい、相手は短剣での武装ですね。素手の人もいますがそちらはこちらが処置します」

 「そう上手く行くんですか?」

 「まずはユッミルさんが短剣持ちの短剣を溶かして頂ければ後は幻術での回避を重点に歪んだナイフを投げてきた場合に雷盾で防いでやって下さい」

 「そういう事ですか、実際にその人単独制圧は危険と」

 「まあそれ以上にもう一つが重要なんですがその場には火の団の査察官が同行しますので彼女達の防御がユッミルさんにお願いしたい最大の任務です。その査察官に攻撃したら殺さない程度に怪我をさせても構いませんが望ましくはありません。ですから最初に一瞬で短剣を使い物にならなくして戦意を削いでほしいのです」

 「要するに雷系術で脅せと」

 「そういう事です。実際にユッミル様がいる期間しか決定的な効果はありませんが術師協会への敵意を一定程度は牽制できるかと。その人の格闘術も術による強化の効果は大きいのですが分かりにくい。ですが短剣を変形させられたり、投げナイフを遠隔防御されれば多少は怖気づくでしょう」

 「ところでこちらは私以外が同行しても良いですか?」

 「構いませんがその人達の安全はユッミル様が確保して下さいよ?」

 「それでいつですか?」

 「格闘要員次第なのでまた誰かに連絡しますが今度は無性地区の火の家に来て下さい。シウさんから伝達する場合は彼女は火の塔と言うかもしれませんが火の家の方に来て下さい。私が不在であればマッラ等が呼びに行って待つ事になるかもしれませんがお待ち下さい」

 「そうですか。ところで上は地味に騒がしいですね」

 「エッヒネ様の出産が近づいてますからね。周りに人が常にいるのであなたの面会環境を整備するのは骨が折れますが」

 「大丈夫ですよ」

 「少し非情ですね」

 「あなたもそれに加担してるのは気のせいですか?」

 「いえ、申し訳ない。本当は非情とは思っていませんしエッヒネには感謝してます。ただ、ユッミル様にはご迷惑をお掛けしました」

 「そうですね。あの場はあれで良かったですが後々が面倒でした」

 「ですがあなた達は同格の位置ですからほとぼりが冷めれば子供も同席しての面会は何ら不自然では無い」

 「別に構いませんよ。その子が良い子ならエッヒネ様を介さずに関係を持ちたい位ですし」

 「ありがとうございます。事情をどれ程話すかは流石に私が口を挟む訳にはいきませんがこれからも上手く援助していきますね」

 「ではまた今度ですね」

 ユッミルは指揮所に向かおうとしたが時間が早かったので集会所付近で食事をする事にする。

 「ユッミルか、一人は珍しいな」

 「レミーカさん、僕は用も無く女性と無闇に出歩いてる訳では無いです。ところで何をしてるんですか?」

 「集会所で依頼を物色していたがあまり芳しくないのでどうするか、しばらくすれば家に昼食に帰ろうと思っていた所だ」

 「まあ私も指揮所前にさっさと昼食を食べようとしていたのですが」

 「なら家に来ると良い」

 「えっと、量はあるんですか?」

 「問題無い」

 ユッミルはレミーカの家に向かう。レミーカは予め蒸らしてある麦飯を再び熱湯にさっと潜らせると同時に温めらていたスープを掛ける。

 「ああ、たまにはこういうのも良いですね」

 「まあ土の団ではこんなものだよ。さっさと作れる粗暴な料理が多い。けど今回のユッミル君は急いでいる様だからちょうど良いだろう?」

 「ええ、そうですね。それに味が悪い訳でもないですから問題はありません。少し食べにくくはありますが」

 「ああ、かなりの時間蒸らさないと柔らかくはならないからな。だがそんなに待てない」

 「そうですね。それでですけどレミーカさんは対人戦の経験はありますか?」

 「訓練はある程度しているが実戦は無い。ここはそういう場所では無いからな」

 「そうですよね。実は火の団に無性での仲介を依頼したら不良懲罰的な事を交換条件に出されてしまって」

 「ああ、そういう事か。良いだろう、協力する。君よりは対人戦は上手だと思うし任せると良い」

 ユッミルは急いで指揮所に向かう。そこにはシーリュノがいる。

 「シーリュノ様、お疲れ様です」

 「久しぶりね。特に私の何かに注目する気は無い様だけどやはり私の体も顔も見飽きたかしら?」

 「ネメッカ様以外の女性で興味のある人は少ない。流石にその中に高い能力で顔や体が霞むあなたは入りませんよ」

 「つまらないから帰るわね」

 「はい、お願いします」

 ムヒューエとエコがやってくる。

 「エコさん。家は大丈夫ですか?」

 「ええ、リュッサちゃんがいますし」

 「えっと、ユッミル。あんなに女性がいるのに留守が心配なの?」

 「あんなにという程いませんよ。特に今はシウさんが家を空ける事が多いですし光の人達も忙しいですしネメッカ様に頻繁に来て頂く訳にもいきません」

 「木の団の子は?」

 「ああ、僕と同行する機会も多いので。それに一人だと問題です」

 「そう、なら時折昼間にいたらいたでありがたいのかしら?」

 「ええ、夜は一人は留守番がいるので」

 「なら考えておくわ」

 やはり魔族は右翼がかなり凹んでいる。中央で多少動きはあるものの基本的には低調で何事も無くユッミルは撤収して光の塔に引き上げる。

 「ユッミル、お帰りなさい」

 「ネメッカ様、ありがとうございます」

 ユッミルはフェノとイーサを交えてネメッカ母子と夕食を食べる。

 「さて、出かけますか」

 「はい?」

 「今日はテーファの家に泊まります。夕食は先に済ませる様に言ってありますから心配無用です」

 「お待ち下さい。主導と主宰が一緒に居るのに同時に抜けるのは気が引けるんですが」

 「フェノさんとイーサでも一晩なら代わりは務まります。見回りもルーエにお願いしています」

 「分かりました。嫌な事では無いのですがどちらを立てればいいか困ります」

 「好きにして下さい。一応、リュッサもいますけどね」

 ユッミルはネメッカとテーファの家に向かう。

 「早速ですけどお風呂を用意してますよ」

 「誰と入ればいいんですか?」

 「ユッミルが決めて下さい。当然、二人同時でも構いません」

 「でしたら…」

 「口では無く手を動かして下さい」

 「えっ」

 「一緒に入りたい子の服はユッミルが脱がせて下さい」

 ユッミルは顔を力ませながらテーファの服を脱がせていく。ユッミルはネメッカの方を向く。

 「ユッミル君、まだ?」

 ユッミルはネメッカの服を手慣れた手つきで脱がせていく。次にネミークの服を脱がせながら自分も脱ごうとする。

 「ユッミル」

 「どうしました?」

 「ネミークの世話はリュッサに任せて下さい。一緒に入りたい子に子供や男は含みません」

 リュッサはさっとネミークの服を直して抱き上げる。ユッミルは不服そうに服を脱いで二人に近づく。二人は両脇を固めてユッミルを風呂に入れる。

 「ユッミル、私を抱いてるのは良いけどテーファから逃げてない?」

 「テーファさんはやはり慣れません」

 「つまり、私にはときめかないと」

 「安らぎを感じてはいけないのですか?」

 「まあ私よりときめく相手がテーファちゃんなら良いけど他はやめてね」

 「ユッミル君、たくさん触れ合ったら私にも慣れるよ」

 テーファはユッミルを抱き寄せる。

 「ネメッカ様、助けて下さい」

 「どうして?」

 「テーファさんにやられて気を失ったらどうするんですか?」

 「何を言ってるか分からないけどユッミル君が倒れても抱き上げて介抱するから大丈夫」

 「だって、逃げ場はないのよ」

 「ネメッカ様は良いんですね?僕をテーファ様に譲って」

 「それもそうね」

 「そうか、抱き合ってるのはテーファさんとネメッカ様で僕は関係ないみたいなので上がります」

 「ユッミル、観念しなさい」

 「分かりましたよ。上がったりしませんから後ろから抱かせて下さい」

 ネメッカはユッミルにもたれる。

 「ネメッカ様の体はやはり魅力的ですね」

 「ありがとう、ユッミル」

 「はい、ネメッカ様の体に飽きたりはしませんよ」

 「その、楽しませられて良かったわん」

 「そろそろ寝たいのですけど思惑通りですか?」

 「テーファもその気にさせてくれればそうね」

 「テーファさんは中々難しいんですよ」

 「ユッミル君、酷い。私はやる気よ」

 「取り合えず上がりましょう」

 三人は少しだけ体を拭くと布団に入っていく。

 「ネメッカ様、分かってますよね?僕たち二人はもうその気なのにテーファさんはまだです」

 「そうね、そういうしかない」

 「テーファさん、やはり物足りないみたいですね」

 「そんな事ないよ。ユッミル君に抱かれると嬉しいし」

 「悪いのは僕ですからテーファさんは気にしなくて良いです。ネメッカ様が簡単すぎるんですよ」

 「仕方ないでしょ。君しかいないと思っちゃったんだから」

 「いえ、それはこちらとしても嬉しいのですけどテーファさんをその仲間に引き込むのはすぐには無理ですよ」

 「そうかしら?ユッミルもテーファに遠慮してない?」

 「それはありますがネメッカ様が上手く遠慮しなくて良い雰囲気を作ってくれたからですよ」

 「ユッミル君、甘えて良いよ」

 「ネメッカ様、今はこうしておきます」

 ユッミルはテーファに抱きつく。しばらくするとテーファが押し返す。ネメッカも逆側でユッミルに体を乗せる。

 翌朝、ユッミルが起きるとネメッカとテーファも横に寝ている。そして、家にはフーニャもいる。リュッサは相変わらずネミークの世話をしている。

 「ほう。ユッミル殿は昨日は随分楽しんだようだな」

 「フーニャさん、静かにして下さい。寝てる時のネメッカ様はこれはこれで魅力的なんですから」

 「まあいい、正妻との時間の邪魔は無粋だからな」

 しばらくしてテーファも起き、ネメッカも起きる。ネメッカは上半身を起こしていたユッミルを押し倒し、ユッミルに跨る。

 「ネメッカ様、はしたないですよ」

 「私は永遠のネメッカ様じゃないわ。ユッミルには時折欲を隠さないの」

 「まあ良いですがこの後は塔に戻らなくていいんですか?」

 「ユッミルこそどうするんですか?」

 「今日は家に戻ります」

 「まさか」

 「そうですね。フーニャさんを送り届けたら家に戻ります」

 「仕事を放りだす気なのか?」

 「むしろ仕事の連絡待ちですよ」

 「ユッミル、別にそこまでして光の団を強化してくれなくていいのよ」

 「一度始めましたからある程度までやりますよ」

 「分かりましたよ。けどその口ぶりだと昼はここにいるのね」

 「ええ」

 「私は休むから仕事を見せてね」

 「ネメッカ様は優秀な光術師なので断れませんね。良いですよ。ただ、姿は自分で隠して下さいね」

 ユッミル達は遅めの朝食を食べて今度は服を着ても密着している。そこまで間を置かずに昼食も三人で密着して食べていく。夕方、テーファに見送られてユッミルとネメッカは家を出る。フーニャの姿はユッミルが消している。フーニャを下ろすとフーニャは歩いていく。従来の道に戻ってしばらくして姿を現させる。

 「ユッミル、これは何?」

 「一応、家族という設定でフーニャさんが子供なので毎日では無いですが通学の体裁を整えてます。リュッサがやってくれる事も多いです」

 「そうですか、帰りますか」

 「あの、ネメッカ様は塔ですよね?正規の道に戻れば誰もいない所で姿は戻しても大丈夫でしょう」

 「駄目ですか?」

 「イーサさんには言ってあるんですか?」

 「戻りますよ。ユッミルは来て」

 「ごめんなさい」

 「帰りますね」

 ユッミルは家に戻る。リュッサはおらずシウとエコとメシャーナ母子のみだ。

 「この家も遂に火に乗っ取られてきましたね」

 「あら?火以外を追い出してるの間違いじゃないかしら?」

 「結果的にはそうなってますね。そうなってくるとそれ以外が気になりますけどね」

 「もしかして私と風呂に入りたくなった?」

 「風呂はまだ駄目だけど寝るのは一緒が良いかな」

 「まあ人が減ったからだとは思うけど良いよ。それとは関係なくシャーユには優しいし」

 「シャーユは大人の人達と違って大人しいからね。貴重だからついつい一緒に居たくなる」

 「他の子ができたら目移りするの?」

 「シャーユだけは無理かな。けど娘はまだシャーユだけだし男の子が続くかもしれないしね」

 「今はこれで良い。ネメッカもとっとと二人目産めって事だよね?」

 「メシャ、まだ何も決まってないからね?」

 「分かってるよ」

 翌朝、早い内に無性の家に戻る。ニーシャが出かけていく幻を生み出す。フーニャとレヒーハで朝食を食べる。

 「ユッミル、今日は出かけないのか?」

 「そうですね」

 「その状況で態々私を家に押し留めたのだね」

 「ええ。フーニャさん、お話をしましょう」

 「まあ構わないが」

 「まずは膝に座って下さい」

 「ユッミル君、私を娘に仕立てるのはやめないか」

 「今は設定上もそうなのですから丁度いいでしょう」

 「それこそ私がしてやられた訳だな」

 「嫌なんですか?」

 「まあ不服だね。側室から地位が低下している」

 「えっと実の娘はかなり良い位置ですよ」

 「一緒に寝てくれないだろう」

 「ああ、そういう事ですか。ですけどもう寝ましたよ?」

 「これからどんどん設定を強要されればそんな機会は無くなる」

 「いずれは撤収して戻りますし関係ないかと。心配しすぎですよ」

 「なら今でもすればいいだろう」

 「あの、ネメッカ様とすら一緒に居ても昼間からは少ないですよ」

 「じゃあ今夜なのか?」

 「フーニャさん、抱いてる時に不服な女は流石に困ります」

 「ユッミル、卑怯な。だが良いだろう。今回は引き下がる」

 ユッミルは昼食を食べるとレヒーハと昼寝をする。夕食後はレヒーハと風呂に入る。

 「フーニャ、寝るぞ。さっさと脱げ」

 「何を。まあ良い」

 「遅い」

 「随分不機嫌だな」

 「君が願った割には手際が悪い」

 「そういう事か。身の丈に合わない要求と言いたいのだな。確かに悪かった」

 「反省したようですがそれはそれとして相手はしてもらいます」

 翌朝、ユッミルはニーシャの幻影を纏って中心街を横切り、学校のある丘の区画の手前で幻影を解いてから中心街を見回って光の塔に向かう。

 ネミークを見かけたので昼食として同席する。

 「ネメッカやイーサは呼ばなくて良い」

 「怒られますよ?」

 「子供に会いに来て世話を焼く旦那に怒るんですか?」

 「分かりましたよ、昼食だけ食べに来たらたまたまいたネミークちゃんにちょっかいをかけたという言い方をしない様に気を付けます」

 「まあ良いんです」

 ユッミルは昼食を終えると塔を出て家に向かう。家にはリュッサとシウとオーネがいる。シャーユは少し放置気味だ。

 「シャーユはどうしたんですか?」

 「ええ、一人でいたいみたいだから見てはいますけど手は出さない時間を増やしてるんですよ」

 「そういう事ですか」

 ユッミルも微妙な距離感で座る。しばらくするとシャーユが寄って来て弱い頭突きを打ち込む。ユッミルは少しふらつく演技をしてから軽く頭突きを返す。シャーユも真似て転げてからユッミルに再び近づいて手をユッミルの間の前に出す。ユッミルが手を取るとユッミルの肩に起用に乗っていく。ユッミルは少し思案したもののシャーユを落とさない様にゆっくり立ってみる。少し歩くが危なそうなのでユッミルは頭を下げてシャーユを呼び込んで前で抱き直す。

 「ねえ、ユッミル。それ、私を脱がせてからやってくれないかしら?」

 「遠慮します」

 「それは残念ね」

 ユッミルはシャーユを降ろす。シャーユは一人遊びに戻っていく。その後はシウがユッミルにくっつく素振りを見せながら談笑して時間は過ぎていく。ユッミルとシウは夕食の支度をするがリュッサは出かけていく。そして、入れ替わる様にエコが帰ってくる。

 「エコさん、お帰り」

 「はい、ただいまです」

 エコは夕食の手伝いを始める。

 「ユッミルさん、明日は外で食事でもどうですか?」

 「そうですね、朝食後にでも」

 「分かりました」

 「ユッミル、明日は家で一緒にお風呂でもどうですか?」

 「お断りします、ここに泊まる予定は無いので」

 「私の地位が低下したという事で良いのかしら?」

 「三日後には戻りますけどそのままが良いのであればそのままにしますよ?」

 「地位を戻したければと何か要求すればいいのにね」

 「そんな事をすればシウさんは私に飽きるでしょうが」

 「そうかしらねえ?」

 「そうです」

 「断言されるのは嫌ね」

 「とにかく地位を下げる気は無いですよ」

 ユッミルは一人で風呂を終えるとメシャーナを呼び寄せて一緒に寝る。翌朝、エコと火の家に出かける。しばらくするとミューレがやってくる。

 「おはようございます、ユッミル様」

 「おはようございます」

 「格闘要員との日程調整ができました。明後日ですね。ですので今から状況視察に行きます」

 「治安は良くないんですよね?」

 ユッミルはその地区の状況の事前説明を受けてからエコとミューレを伴って視察に向かう。ミューレ達を遠目に待たせてユッミルは歪曲視野を使って状況を見た後に姿を消して様子を見る。

 「そうですか、では帰りましょうか」

 ユッミルはミューレを塔近くまで送ると家に戻る。家にはメシャーナ母子とシウがいる。

 「エコ、明日は私が指揮所だから留守番をお願いね」

 「はい」

 「ユッミル、私は出かけるけどシャーユをお願いね」

 「明日は忙しいのでエコさん、お願いします」

 「大丈夫ですけど明後日は無理なのでシウさん、お願いしますね」

 「良いわよ」

 「ユッミル、嫌い」

 「えっと」

 「でも離れたくない。子供まで産んでおいて」

 「メシャ、忙しいのは本当だよ」

 「分かってる」

 しばらくしてリュッサが帰ってくる。全員で夕食を食べる。

 「ユッミルさん、そろそろお願いします」

 「回復ですか?」

 「そうですね。でしたら明日はちょうどソヨッハに用事があって連れ回すので来てもらいましょうか。本当は先に北での用事を済ませようと考えていましたが。であれば向こうに泊まります」

 ユッミルは無性の家に向かう。特に何も考えずにフーニャとレヒーハと風呂に入って寝る。

「ユッミル、明日も家にいないのか?」

「昼はですね。レミーカさんと視察ですね」

 「何故、レミーカとだ?」

 「少々治安が良くない地区に行くのでね。私がついつい雷撃を使っては大問題ですから」

 「とにかく私は留守番なんだな」

 「いえ、明日はあなたも連れていきます」

 「どういう事だ?まさか万が一の時の生贄か?」

 「と言っても昼間はテーファさんの家でいつも通りニーシャちゃんの登校ですね」

 「子供になるという私には難易度の高い仕事だがまだ続けるのか?」

 「ニーシャちゃんは大人とは程遠いし永遠になれそうに無い位だから大丈夫だよ」

 「ユッミル、流石に酷いな。お詫びは体で払ってもらうぞ」

 「明日の夜はここには泊まらないかと」

 翌朝、早目にソヨッハを迎えに行く。ユッミルはソヨッハを抱えて少し急ぐ。ソヨッハを家の近くまで送ると引き返してフーニャをテーファの家に送り届けてからレミーカを迎えに行く。

 「少し急ですが不良討伐は明日に決まりました」

 「問題無い」

 「今日は事前視察ですけどどうしますか?」

 「同行しよう」

 レミーカを連れて家に戻る。

 「リュッサさん、どうですか?」

 「はい、回復しましたけどね」

 「ソヨッハさん、今度はレミーカさんをお願いします」

 「ユッミル、私がもっと巨乳の方が良いなら変えさせて良いわよ」

 「遠慮します」

 「それか萎ませてそんな小さな胸、誰も相手にしないから永久に俺の性奴隷で居ろでも良いわよ」

 「はあ冗談は程々にして下さい」

 ユッミルとレミーカにソヨッハは無性の街の中心街に向かう。

 「どうします?」

 「流石に今日近づくのは得策ではないだろう」

 「えっと」

 「ユッミルは見えるだろう」

 「私は昨日見たんですけどね」

 「そうか。なら私の姿を消して近づける様にしてくれるのか?」

 「それでも構いません」

 ユッミルはソヨッハを背負ってレミーカを先頭に中心街の外郭にある倉庫街の周りをうろついて遠目から不良の様子を見ていく。大した時間もかけられないのでしばらくして月の塔の近くに着く。

 「こっちから行った方が帰りを考えると良かったですね」

 「私はそうでもないが」

 「でしたら明日の集合はここにしましょうか?火の人とは中心街の北東側で待ち合わせなんですが先にレミーカさんと落ち合っても構わない」

 「それならユッミルさんの家で良いでしょう」

 「そうでしたね」

 ユッミルはソヨッハを少し迂回して木の塔に送り届ける。

 「少し待っていて下さい」

 さほど時間が掛からない内にソヨッハは戻ってくる。

 「今日はそちらに泊まりたいのですが」

 「えっと構いませんよ」

 ユッミルは家に戻る。

「ユッミルさん、お帰り」

「どうしたんですか?」

「ミューレさんが面倒事を頼んだみたいでごめんなさい」

「大丈夫ですよ」

「少し遅いですけど断っても構いませんよ?」

「いえ、大丈夫です」

 「でしたら明日はよろしくお願いします」

「はい」

家に入るとオーネは寝ていてリュッサがシャーユの面倒を見ている。シウもいる。ユッミルはそのままソヨッハとお互いの近況を話している。途中、夕食では帰ってきたメシャーナとシャーユにリュッサと触れ合い、シウと風呂に入るがそれを終えるとソヨッハの話の続きをしていく。

 翌朝、レミーカが訪ねて来て出かける。ソヨッハと出ようとするがエコの不在に気づくもすぐに火の家の南の待ち合わせ場所に向かう。そこには火の女性が三人いるが一人はエコだ。ミューレもいる。

 「エコさん?」

 「火の団は無性の街外郭の治安維持を担っています。厳密には無性の街外郭は名目上は無法地帯ですが実際にはそれだと困るので火の団が自主的に巡回しています。その代わりに引退した火の団の術師が無性の街で困らないよう色々としている。他の団の人もね。で、私達は巡回しつつ、攻撃されたら反撃もしますがこちらからは手が出せない。火の術ですしね。巡回は火の術師が交代で担っていますが限られた人だけです。欠員があると補充しますけどね。ですが本来は向こうが踏み外したら掃討は当然として定期的に部分掃討はしたい訳です。任せましたよ、ユッミルさん」

 「具体的にはどうするんですか?」

 「後はビッサに聞いて」

 ミューレは北に去っていく。

 「ユッミル様、初めまして。ビッサと申します。数日に一回巡回を担当しています。本来は指導で済ませるのですが効果が高いとは言えません。私は珍しい近接系設置が得意なので牽制にはなりますが逃げれば終わりではあります。ユッミル様が処置して下さることは感謝しています。ですがくれぐれも大きな怪我はさせない様に、できれば怪我も最小限で済ます様に願います」

 「それはそのつもりですがそれは格闘家さんに言った方が良いかと」

 「ええ、まあそれはそうなんですが」

 「私も援護しますから行きましょう」

 ソヨッハとレミーカも含めた五人で南下して木の術師と合流する。木の術師の格闘家は自己強化系である。

 「まず、事に当たる前に物件を紹介頂けますか?」

 「ええ、構いませんが」

 「そこで襲われたら対処はしますよ」

 「分かりました」

 一行はまず物件に向かう。三方に不良がいる。ただ、巡回によく参加するビッサに警戒しているのか、様子を見ているだけだ。

 「ビッサさんはここでお待ち頂けますか?」

 ユッミルは隙を見てビッサと自分以外の姿を消してしまう。ユッミルは不良の方に近づいていく。不良は奥の路地に引く。歪曲視野で不良が五人ほどいると確認する。

 「警告に来た。用が無いなら二筋程南に移動しろ」

 「はあ?何を言ってやがる?」

 「この辺りに居座る際に君らは邪魔だ」

 「そんな言う事聞く訳ないだろ。まあ火の団の巡回の時位は散歩するけどな」

 「その巡回がいないのに攻撃しないのか?」

 「はあ?いるだろうが」

 「何か勘違いしてないか?力づくでもやれるぞ?」

 「おいおい、怪我したいのか?」

 「口ばかりで何の意味があるんだ?全員でも構わないぞ」

 「ああ、喧嘩したいのか。良いぞ。身の程を知ってもらう」

 「なら悪いがさっさと片付ける」

 ユッミルは一人目の男のナイフを一瞬で曲げていく。次に次々と敵のナイフを空中に弾く。同時に幻術を解除する。エコはすぐさま空中に飛んだナイフを火の術で溶かす。ユッミルは幻影に戦わせてさっさとソヨッハとエコの所に戻り、格闘家に任せる。二人と互角だった格闘家をユッミルは幻影で援護し、無事制圧に成功する。五か所程度で4人から8人の不良グループの武器を破壊して制圧していく。

 

読了ありがとうございました。今年前半は時間が取りづらいので次話は2月になります。基本は中旬以降ですね。その次も3月以降で基本は3月後半になりますが基本的には3月中を見込んでいます。

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