ヴィアール辺境伯領編 32話 「人魔大戦とは?」その8
「それじゃあ・・・皆んな準備は良い?もう説明不用とは思うけど再確認するね?
唱える詠唱は「アークトルネード・ブラスト」ね、詠唱完了後は魔法陣のヤニックへストックする事、時間を掛けると敵に察知されるからなるべく早くね」
「はい!」
「おおう!」
「分かったわ!」
魔導士達が極大魔法連続発動でスペクターの防御結界を完全に粉砕する作戦が決行されるまで後10分、イリス老師から最後の絶対が行われます。
今回の集団魔法の手順は至ってシンプル、極大魔法をドンドン俺にストックして臨界点を迎えたら敵陣地に全力開放するだけだ。
動く敵に当てる訳でないから座標も固定出来るので補助魔法をほとんど集約系に回せるので楽なモンだね!
・・・なんて嘘です滅茶苦茶ヤバいです。失敗したら核の俺は死ぬどころか粉々に原子レベルに吹き飛んでもおかしくない超高難度の術式となってます。
まっ!言い出しっぺは俺だからね!絶対にやってやるよ!
俺の役割は集まる極大魔法が暴走しない様に制御する事です。
トランス状態の今の俺にしか出来ません!
「ヤニックは全魔力、全精神力、全気力を魔法の制御のみに集中させる様に。
多分臨界点でヤニックの意識は飛ぶから最終的な撃ち出しはエドが行うわ」
「はい師匠!」
「任せてくれ!」
うわー、気絶前提ですか・・・本当にただの核だよね、カッコ悪っ!
「クルーゼ、私も全魔力を使うから気を失うわ、後をお願いね」
「任せろ!死ぬんじゃねぇぞ」
「当たり前よ、シルフェリアに会うまで死ねるモンですか!」
「ヤニックもくたばるんじゃねぇぞ?」
「了解です、イノセント兄貴・・・
終わったらクルーゼ隊長とイノセント兄貴は俺に仕えて下さいね!」
「ん?んー、考えとくわ」
「俺は妹のフェナが居るからな、ピアツェンツェアには戻るぜ」
「ずるい!ヤニックちゃん!うちも人手不足なのにぃ」
「まぁ、この件は終わったら話し合おうぜ、イリス」
「・・・ええ・・・そうね!終わったらね!
フゥ・・・・・・・・・では!行きます!!!」
「Twelve spell !!!12術式の同時発動開始!皆さんどうぞ!!」
フオオオオエンンン・・・・各種補助術式始動!
「triple spell !!!maximumアークトルネード・ブラスト!!」
ゴオオオン!!!ドンドン!!!
うおおお?!既に3発仕込んでたんですか師匠?!
これぇ!!maximumですよね?!容赦無いぃ!!!
「maximumアークトルネード・ブラスト!!!」
「maximumアークトルネード・ブラスト!!」
「maximumアークトルネード・ブラスト!!!」
「maximumアークトルネード・ブラストォ!!」
「maximumアークトルネード・ブラスト!!」
「maximumアークトルネード・ブラスト!!俺はこのまま制御を手伝うぜ!」
ドドドド!!!ドンドンドン!!ドドドド!!!
「グオオオオオ???!!!」マジですか?!
事前発動の9発のmaximumの極大魔法を同時にストックですかぁ?!!!
容赦無いですね皆さん!!!情けないけど制御の手伝い頼んます!エド!!
既に体内の魔力回路が悲鳴を上げてますよ!!!
「みんなぁ!後は手数勝負!!急いで詠唱して!!」
「うおおおおおおお!!!!」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「私が覚えてるのはここまでなんだよ・・・
とにかく「熱い!」としか覚えて無くてね、多分魔力回路が焼き切れたと同時に脳の記憶の回路も損傷したんだと思う」
「ここから更に12発のアークトルネード・ブラストが追加されたんですよね?」
「最後まで意識があったエドはそう言ってたね」
「本当に滅茶苦茶です・・・」
「観測班が言うには「次元が歪んだ」そうじゃからな、直撃を受けたら我でも消し飛んでおったであろうよ」
直撃を受けたら・・・おそらく地龍王クライルスハイムなら地系の防御結界を張るか転移陣で逃げるかで回避したと思われる。
それでも甚大な被害を受けたを受けただろうけど・・・
「20年以上経った今でも爆心地は魔力障害が治まってないからねー、
現在も続く北の大陸の不作の最大の原因だね」
天舞龍リールが戦後の魔族の食糧不足の真相を指摘した。
元々、寒冷地で作物が育つにくい環境に魔力障害は泣きっ面に蜂になったのだ。
「余計な戦争を起こして自爆した訳じゃな魔族は・・・愚かな事じゃ」
本当に無駄な戦争を起こした魔族を軽蔑と言える目で見ていた天龍王アメデ。
「それでこの攻撃でスペクターの大半が消し飛んだらしくてね、
大勢は決してクルーゼ隊長達が掃討戦を行い人間・・・レムリア側の勝利に終わって現在に至る訳だよ」
「後の事は皆んなが知っている以上の事は知らないんだ」と笑うヤニック。
そう言うヤニックは、まだ何か色々と隠していると思った王妃ファニー・・・
多分それは仲間の死に関わる事なので話してくれるには、まだまだ時間が必要なんだな、とも。
「それでも生きて帰って来てくれただけで良かったですわ!」
その時に一緒に苦労をしたかったファニーだが、過ぎた時間は戻せない・・・
出来るのはこれからの未来をこの人と共に過ごす事しか無いと思った。




