ヴィアール辺境伯領編 31話 「人魔大戦とは?」その7
「ああ・・・どうしましょう!
作戦が成功するのか心配でどうにかなってしまいそうですわ!」
「お母様・・・大丈夫ですわ」
「ラーナ?!貴女は何でそんなに冷静になって聞いていられるのですか?!」
「だって作戦が成功したからお父様がここに居て私が居ます」
そうだね作戦が失敗してたらヤニックはここに居ないしラーナも産まれてないよね。
「もう嫌ですわー!!わたくしったら何度も何度も・・・」
真っ赤な顔を覆いテーブルに突っ伏してしまったファニー。
「はははは、そう言う事だね。ファニーは本当に感受性が高いよなぁ」
「もう!揶揄わないで下さいまし!!」
「でも・・・ここでの作戦成功率は本当に低かったんだよ。
何せアークトルネード・ブラストの使い手が私とイリス老師とエドしか居なかったんだからね」
「えっ?でも8人での集団魔法だって・・・」
「エルフの魔導士達が援軍が来たんだよ。
エルフ達にとってもレムリアの敗北はそのままラーデンブルクの危機だったからね」
ちなみにその時のイリスは長老達の承認を得ずラーデンブルクを出奔しての黙示録戦争参戦だったので長老達から公爵の地位は剥奪されていた。
なので、ただの冒険者に過ぎなかったイリスは援軍要請など出せない状況だった。
それでもエルフ達にはイリス元女王を慕う者が数多く居て、窮地の元女王を救わんと自分達が援軍に赴く事を長老達に詰め寄ったそうだ。
「最終的にはイリス老師の人柄に人類は救われたんだよ」
そう言ってヤニックは楽しそうに笑った。
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「なんで!こんな危ない所に来るのよ!アンタ達ーーー!!
わあああああんんん!!!」
嬉しいのか怒ってるのか分からない師匠が大泣きしてます。
ここに来て鬼としか思ってなかった師匠が滅茶苦茶可愛い性格だったと解りました。
「なんでって?そりゃ私達がイリス老師の弟子だからですよ」
「これは自慢ですが、修行をサボってた老師より私の方がアークトルネード・ブラストに関してはもう上ですよ」
「ほ~ら泣かない老師、飴をあげますわ」
「ばかーーー!!!・・・・・・飴は貰う・・・」
俺も貰ったがエルフの飴はフルーツの味がして滅茶苦茶美味かった。
そう言えば10ヶ月ぶりに味がする物を食べたなぁ・・・
飴一つで不思議と気力と共に魔力も漲って来たぁ!!
やっぱり「兵站」って重要だね。
俺がピアツェンツェアの国王になったら食糧生産重視だな!
エルフ達の色々な差し入れで他の勇者達の元気も回復した様子だ。
うん!やっぱり「食」は大事だ!全ては「食」からだ!
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「こんな事があったから私は農業改革と産業改革に拘ったんだよ」
「旦那様のあの異常とも言える熱意にそんな裏話が・・・」
元々高かったピアツェンツェア王国の食糧自給率はヤニック国王の代になって、
驚異の250%以上にもなっている。
そして余った食糧は西の大陸に、無料同然に送られているのだ。
長い戦乱で全てが疲弊し切っていた同盟国のヴィグル帝国の国民を餓死から救ったのは黙示録戦争のおかげだったのは皮肉な話しだ。
「西の大陸の食糧不足に関しては儂らも何か対策をせねば、と思っておったが不用じゃったな」
「そうだねー、大戦始まる前より食糧が増えたまでの印象だね」
西の大陸が拠点の天龍達も感心するほどのヤニック国王の功績なのだ。
「飯が食えないって辛いですからね」
飢餓の極限状態を長く味わったヤニックにしか出来ない歴史に残る大功績だ。
「良き国王様の元にいられて私達は本当に幸せです」
「揶揄わないでくれよラーナ」
冗談に捉えたヤニックだがラーナの偽らざる本心だ。
どこか目立つ事が無く、王妃ファニーの影に隠れた国王と言われたヤニック。
しかし彼はまさしく「勇者」なのだ。
勇者覚醒こそ出来なかったが世界の人間、数百万人の命を救った「真なる勇者」だ。
そんな父親を一生誇りにして生きようと改めて決心したラーナだった。




