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ヴィアール辺境伯領編 30話 「人魔大戦とは?」その6

「確かに私は21連射で極大魔法のアークトルネード・ブラストを撃ったけど実際には砲身の役割だったんだよ」


「えっ?どう言う事ですか?砲身?ですか?」

砲身の意味が良く分からないラーナにヤニック本人から意外な真実が明かされる。


「正確にはイリス老師を含めた魔導士達による集団魔法だったんだよ。

参加したのは私を含めて生き残っていたアークトルネード・ブラストが使える8人の魔導士、核の私に全魔力を集結させて臨界点で全放出させたんだね」


敗戦濃厚になったスペクター達は防御戦に移り頑固に抵抗して勇者側は攻略の糸口が見出せなく戦闘は停滞していた。


魔族側は時間を稼いでアトランティスからの増援を待つ作戦だったのだ。


「この時点では魔族側の敗戦は濃厚だったけど、

ここで魔族側に増援が来てしまえば今度は10ヶ月戦い続けて疲労困憊の勇者側に勝ち目が無くなるからね、

お互いに生死のギリギリのラインだった訳だね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何ですって?」


私の作戦を聞いて怒りの為か目が吊り上がったイリス老師。

ここまでの険しい表情は今まで見た事が無いですね。


絶世の美女の怒った顔は美しさが際立つなぁ、なんて思った。


「無理よ・・・却下」

イリス老師ににべもなく却下されてしまったが・・・


「老師にもお解りですよね?クルーゼ隊長の強行突破が失敗した以上は取れる作戦はこれしか無いと」


「・・・・・・・・・」


今日の朝にあのクルーゼ隊長やイノセントが強行突破作戦に失敗して戦闘不能状態になってしまったのだ。


聖女達が必死に治療回復を頑張ってくれているけど回復するまでには3日は掛かるだろう。


ここでスペクターが好機とばかりに討って出て来てくれたら良かったのだけど彼らは防御結界に立て篭もったまま動く気配が全く無い。


増援が来るまで徹底防戦するつもりだ。

そうなれば勝てる事が分かっているからだ。


もう時間切れってヤツですね。


「そうだな・・・後は我等、魔導士による極大魔法攻撃しか無いな」

同僚のエドが賛成してくれたが彼ももうボロボロになっている、限界が近い。


「・・・・・・・分かった、ただし核になるのは私よ」


「それも無理だと分かってますよね?人間はエルフの魔力を受けられるけどエルフは人間の魔力を受ける事は出来ないと・・・」


「・・・・・・・・・・」


そう言う事なんですよね。

様々な理由が考察出来るけど人間の身体の方が魔力の汎用性に長けているからだと思われます。


「死んじゃうよ?ヤニックちゃん・・・」


「覚悟の上・・・って死ぬ気なんて全くありませんよ?!」

俺にはピアツェンツェアに戻らないといけない使命があるからね?


「絶対だよ・・・もう家族が居なくなるのはイヤ・・・」

そう言ってグスグス泣き出したイリス老師・・・


多分、大精霊シルフェリアの事を思い出してるんだろうなぁ・・・


老師は世界のどこかに亡くなったシルフェリアの魂を持った者が居ると信じて千年近く世界中を探し回っているもんなぁ・・・


「大丈夫ですよ師匠!

俺は今トランス状態です、得意なアークトルネード・ブラストなら20発分くらいはストック出来ますよ!」


「だから危ないんだってぇ~、ふええええ・・・」

遂に本格的に泣き出してしまったイリス老師。


参ったなぁ、泣かすつもりなんて無かったのになぁ・・・


「防御結界を砕いてくれさえすれば俺が必ず終わらせてやるよ」


「クルーゼ隊長?!」

ええ?!なんで起きてんの隊長?!


「俺の完全回復まで2日だ!2日後の朝に作戦決行だ」


「2日かぁ・・・きっついぜぇ」


「泣き言を言ってんじゃねぇイノセント!」


「わーたよ!兄貴!」


イノセントの兄貴?!あんなに瀕死だったのに相変わらず化け物ですね?!


作戦開始までの2日間、生き残った勇者達は回復と魔力の蓄積に努める事になった。

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