ヴィアール辺境伯領編 29話 「人魔大戦とは?」その5
「ヤニック!!右から3人だ!頼む!」
「フレイムストーム!!」ゴオオオオオオオオオ!!!
「そんなモン効かねぇよ!ヘッポコ魔導士!!」
「ぐ?!」ガキィイイインン!!!
皆さんどうもヤニックです!現在俺は大ピンチです!スペクターが強すぎます!!
しかもこちらは人手不足なので複数人相手なんて毎日です!!
「アイスストーム!!サンダーストーム!!」
ガガガガアアンン!!!!
「チッ?!」こうしてストーム系を連射して敵の苦手属性を探ぐり出して、
「アイスショット!!!」ドガガガガガガガガガガガ!!!
「クッソ!!!このヘッポコ魔導士が!!!」
手数の多い魔法で足止めしながら!
「アイスブリンカー!!」ズドオオオオンン!!「ぎゃあああ!!!」
本命を叩き込む!!この作業の繰り返しだ!
もう何回目だよ!!
「次!!!」ドオオオオオン!!ゴオオオオオオオオオン!
極大魔法?!そんなモン使う暇なんて与えてくれませんよ!
即時発動の中級魔法を主軸に「魔闘法」で接近戦に持ち込むので精一杯ですよ!
良かった!真剣に拳法の鍛錬しておいて!ありがとう師匠!
しかもコイツ等即死しない限りはすぐに回復して何回も来るんです!キリがありません!
まさに無限闘舞です!
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「こんな感じで魔法をひたすら連射しなければならない状況でね、
詠唱が必要な上級魔法なんて戦闘開始の最初しか使えなかったよ」
「・・・数で劣勢のレムリアに勝ち目が無いのでは?」
的確なラーナの指摘だが現実でレムリア側が勝利を収めたのは何故か?
「スペクターは短期で強引な肉体改造をしたからレベル上昇や新しい能力の進化が出来ないからね。
対して勇者の進化は上限無しだから、私の様な若輩者のレベルがガンガン上がって行ってね、徐々にレムリア側が優勢になって行ったんだ」
そう笑い、一つため息を吐いてから・・・
「でもそれまでに多くの仲間がね・・・」
そう言うヤニックは酷く悲しい表情だ、絶え間ない戦いが続き、仲間達が死んで行くの見て行く・・・
普通なら発狂してしまうが勇者はそんな脆弱な精神力はしていない。
そうでなければ、そもそも勇者にはなれないのだから。
「戦いが3ヶ月ほど続き・・・」
「3ヶ月?!その間停戦も無く?!」
「うん無かったね・・・毎日毎日24時間戦い続けていたよ。
時間が経過すると不利なのはスペクターも理解しているからね。
ああ、でも後半からは1日で30分ほど休める様になったかな?」
「しょ・・・食事とかどうしてたのですか?」
「栄養は魔力を変換して水分はアイスアローを食べていた」
「アイスアローを?!」
「真水だから美味かったよ」
攻撃魔法のアイスアローを食べる奴など居ない、先ずそんな発想すらないだろう。
「人間は極限を過ぎると妙に客観的で冷静に自分を見れる様になるんだ。
今思うとあれが「覚醒」の第一段階なんだろうね」
「でもそんな滅茶苦茶な事が人間に可能なのですか?」
まだ信じられない様子のラーナ、普通なら1ヶ月で過労死するだろう。
「う~ん・・・正直に言うと勇者は人間と言えるか私も疑問だね・・・
クライルスハイム様、どうなのでしょうか?勇者は人間なのでしょうか?」
ヤニックに質問され地龍王クライルスハイムは少し考えて・・・
「そうじゃな・・・進化した「人間」と言う表現が適切じゃろうな。
覚醒勇者の最終的な状態は我等と同じ魔法生命体になるのだからな」
「魔法生命体・・・「神」になると思って良いのでしょうか?」
「その認識で間違いなかろうて」
「旦那様・・・わたくし達を置いて神になどならないで下さい」
そう言ってヤニックに縋るファニーだが・・・
「だからもう覚醒に失敗したから私は人間のままだよファニー」
ヤニックは笑いながらファニーの頭を撫でる。
「ああ!わたくしったらまた・・・」頬がポッと赤くなるファニー。
そう・・・今は過ぎた過去・・・昔話しの最中だからね。
「それから最終盤になってトランス状態になった私は賭けに出る事にしてね。
1番得意だった極大魔法のアークトルネード・ブラストでの連続攻撃で残存のスペクターを一掃しようと思ったんだ」
「いつまでも続ける訳にも行かなかったからね」と笑うヤニック。
前にイノセントとシーナの会話に出ていた「極大魔法20連射」がヤニック本人から語られる。




