ヴィアール辺境伯領編 14話 「返事はどうした?」
結婚式当日の朝、エレンが「リリーアンナ」を無事に出産したと緊急連絡があった。
シーナとアリーセは魔力枯渇での能力低下で感知能力も激減していたのでリリーアンナの誕生に気付く事が出来なかったのだ。
多分気付く事は出来ないだろうと思いオーバンが速達を送ってくれたのだ。
人に気遣いの出来る男、オーバンなのだ.
「ううううう~、本当に良かったですぅ」
今世紀最大規模にシーナの目がウルウルして来た?!
ウワアアア??!!大惨事になる!咄嗟にアリスがシーナ顔にタオルを押し付ける!
ブワアアア!!超絶間一髪!超ギリギリでウエディングドレスはシーナの涙から守られたのだ!ナイスだアリス!
しかしお化粧はまた全滅だろう・・・ミリアリアがまたお化粧箱を取りに走った!
もう面倒くさいから常設しといた方が良いんじゃないかい?
「これはしかし、見事なタイミングでの吉報じゃのう。
産まれたリリーアンナもお主達の結婚を祝福してくれておるのじゃろうて」
ノイミュンスターがまたシーナを泣かす様な事を言った?!
ブワアアア!!わあああ??!!やっぱ追加の涙が来たぁ!
手早くアリスが追加の新しいタオルをシーナの顔に押し付ける!
アリーセも妹のリリーアンナの誕生の喜びに浸る暇も無い!せっせと新しいタオルをアリスに手渡す。
「もおおおお!!ノイミュンスター様!シーナ様を泣かさないで下さい!」
「おう?うむ、すまぬな」
涙の決壊でウェディングドレスが汚れるのを阻まんと格闘するアリスに怒られるノイミュンスターでしたとさ。
「だから脱水状態になるまで泣いてはダメですわ」
出迎えから帰ってきたラーナがオレンジジュースをシーナに飲ませて水分補給をさせている。
チュウチュウとウェディングドレス姿で子供の様にオレンジジュースを飲むシーナ。
その可愛い仕草に王妃ファニーが頭を撫で撫でしている。
その時、「ほえ?」「はにゃ?」妙な声を出すシーナとアリーセ、体内の魔力が急速に回復しているのだ!何も感じずにあっと言う間に全回復している。
「おおう!おいでになられましたかクライルスハイム様」
「ふえ?!」
シーナがノイミュンスターの方を見ると人化した地龍王クライルスハイムが立っていたのだった。
「お父様!」
いつも通りにクライルスハイムに抱きつこうとシーナだが、自分がウェディングドレスを着ていた事を忘れていた?!
案の定、盛大につんのめって軽快にブッ飛ぶシーナ!
「きゃああああ??!!」
姉のお馬鹿な行動に珍しく悲鳴を上げるラーナ!これはヤバい!
フワッ
魔力がシーナを包んで体が浮き上がりポフっとクライルスハイムの腕の中に落ちた。
「これこれ、花嫁がはしたないぞ、シーナ」
軽くキュっとシーナを抱きしめて笑うクライルスハイム。
「えへへへ、ごめんなさいお父様」
謝るシーナは、戻った感知能力でクライルスハイムの後ろに泣いてる文官の男性を発見した、えっ?なんで泣いてるの?
「えええ?!ヤニックお父様?!」
今日は居るはずがないピアツェンツェア王国国王ヤニックが居たのだ。
「うむ、娘の結婚式に行きたくても行けないとウジウジしておった故に我が連れて来たのだ、何2、3時間くらい城から不在になっても問題は無かろうて」
そう言うとクライルスハイムはシーナの肩を掴みヤニックの前へ差し出す。
シーナはつかさず、ヤニックに「お父様!」と抱き付いた。
ヤニックは泣きながらウンウンと、「綺麗だよシーナ」涙を流す。
「だから!させんと言うとろうがぁ!!」
アリスが国王ヤニックの顔にタオルを押し付けた!ヤニックの涙がウェディングドレスにかかりそうだったのだ!
「皆様!良いですか?!一旦落ち着いて下さい!!そして聞いて下さい!」
天龍の威圧を最大にアリスが現状を説明する。
「後30分ほどで結婚式が始まります、もう時間がありません。
そしてシーナ様は「純白」のウェディングドレスを着ています、ここまでは良いですね?!」
「「「「「「はい」」」」」
いい歳した大人共は最年少のアリスの話しを素直に聞き、返事をする。
何もしていない地龍王クライルスハイムも何故か一緒に返事をしている。
「純白なので汚れると目立つんです!
そして染み抜きしている時間もありません、ここもご理解頂けると思います」
「「「「「「はい」」」」」」ん?返事が増えた?
「なので汚さないで下さい!
感動して涙を流すならシーナ様から少し離れて下さい!いいですか?!」
「「「「「「「はい!」」」」」」」やっぱり増えてるじゃん?!
「シーナ様も泣かれるならタオルを持って泣いて下さい!」
「「「「「「「「はいいいい!!」」」」」」」」
結局部屋に居る全員が返事してんじゃん!
エレン出産の感動の話しがただのギャグになった瞬間だった!
《まっ・・・まぁ、私達らしくて良いじゃないの?》
《ほぎゃほぎゃ》
エレンお姉さん!お疲れ様っしたぁ!




