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ヴィアール辺境伯領編 6話 「リール子爵邸と天龍からの贈り物」

リール子爵領は話しの通り山ばかりで平地があまり無い地域だ。

この地域は長い間、「天龍教」が所有していた土地で、どの国にも所属した事は無かった。


山ばかりで作物が育たない不毛の土地かと言うとそうでも無く、土壌が良く小麦や芋などの栽培が盛んに行われている。


「あっ!段々畑です!」アリーセが指刺した方向には、森が拓けた山の斜面の全体に段々畑が広がっている。


「長閑ですね~」

アリスはそう言うが、どう見ても長閑とは程遠いヤバそうな建造物が段々畑の上方、

山の山頂付近に見えるのだが・・・


「あれは?」目をキラキラさせるアンドレ皇子に、

「この付近一帯を監視する天龍の防衛要塞ですね」天龍アリスが教えてくれる。


「えっ?!そうなんだ!凄え!」「おお!本当ですね!」


初めて見る龍種の拠点に興奮するアンドレ皇子とドレスデン、

アリスと言う恋人が出来たせいかドレスデンは恋敵だったアンドレ皇子とは友人の様な関係になって来ている。


ドレスデンが自分を好きだったなんて知らなかったアリーセは仲良くなった2人を微笑ましい表情で見ている。


なんか収まる所にスッポリと都合良く収まったご都合主義的な印象だが作者は最初は全く意図してませんでした。信じて下さい!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


子供達がワイワイガヤガヤしている時。


その頃のシーナはどうやって鉄道を引こうか悩んでいて静かだった。

想像以上に山の斜面がキツいのだ、「工事が大変そうです」と考え込んでいると、


「やっぱり陸橋が多く必要になりそうだな」ガイエスブルクが呟く。


夫のガイエスブルクが自分と同じ事を悩んでいてくれていた事に感動して、

「地龍君ー!」と思い切り抱きついた。


今のシーナ達の馬車にはシーナとガイエスブルクしか乗ってない。


バカップルを2人きりにしてやろうと全員が気を使ったのだ。

御者も気を使い窓もカーテンも閉めて防音魔法もバッチリ掛けて知らんぷりだ。


「うふふ、ありがとう地龍君」シーナはウルウルと瞳を潤ませながらお礼をする。


こうして3時間ほどの短い時間だったが、久しぶりの情事に普段は割と淡白な2人にしては珍しく思い切りイチャイチャしたのだった。


滅多に発情しない地龍ガイエスブルクが燃えるとそれはそれは激しく熱かったとだけ言っておこう。


まあ!若い夫婦だし仕方ないよね!

うん!もうほっとこう!2人とも良かったですね!


とっとと早く爆発して下さいね!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


新しい子爵邸は天龍教の教会の近くに建てられているらしい。


「今回は天龍が建てるからね!結婚のお祝いだから任せておいてね!」

天舞龍リールにそう言われたのでシーナ達もどんな建物か分かっていない。


天龍教教会と思われる聖堂が見えて来た。


「あっ!教会が山にめり込んでます!」いや、アリーセ言い方。

山にめり込んでいると言うより山の洞穴を利用して作られていると言った方が正解かも知れない。


山と一体化している大きな教会は独創性があって見応えあって面白い

「ほへー」建造には一日の長がある地龍のシーナも興味津々と言った様子だ。


子爵邸は教会の近くに建てられていると言うよりは教会を増築した感じで建てられていた。


ぶっちゃるとめちゃくちゃ大きい。

「えっ?これ何百人で住むの?」と言いたくなるくらいに立派な建物だった。


全体的に白を基調にした山城と言った印象を受ける。


「大きいですねー、掃除が大変そうでやり甲斐があります!」

掃除が密かな趣味のシーナも今から燃えている。


「なかなか防御力が高そうだな」

武人のガイエスブルクが気になるのはやはりそこだった。


馬車が子爵邸の前に止まるとメイドさんらしき人物が待っていた。


その人物を見て全員唖然とする事になったのであった。



「ようこそリール子爵へ、お待ちしておりました」

綺麗な所作で頭を下げるのは天舞龍リールだった。


「うええ?!りりり!んんん」思わず叫んだアリスにお口チャック魔法が飛ぶ!

単に魔力の塊を飛ばして物理的に口を閉じさせるだけなのだが。


するとリールはニッコリと笑い、


「皆様、お部屋の準備は出来ております、どうぞこちらへ」

メイドさんリールは手でそれぞれの部屋を指し示すと金髪のメイドさん集団が現れて荷物を運び出す。


「皆さん全員、天龍さんの龍戦士です!」アリーセは心の中で悲鳴を上げた。

最近アリーセも修行が進み鑑定眼を修得したのだ。


「さあアリス様もどうぞ」

ニッコリと笑う幼い印象のメイドさんだが当然彼女も天龍の大先輩だ、アリスの冷や汗が止まらない。


「これ絶対今からお説教だぁ!」

任務を忘れてドレスデンと遊び回った道中を思い出す。


案の定アリスだけ別の場所に案内させられる、ドナドナ状態で連行されるアリスの表情は暗い・・・


するとスッとドレスデンが横に立った。


「俺も任務をほったらかしで遊んだから一緒に怒られる」

漢気を見せるドレスデンだが超格上の龍種達に囲まれてめっちゃ緊張している。


「うふふ、なかなか将来有望な方ですわ」

少し驚いた表情の後、楽しそうに笑うメイドさん。


こうして若者2人はお説教部屋へとドナドナされて行ったのだった。

この後2人は3時間に渡り任務中の心得を斉唱させられ罰としてトイレ掃除2週間を言い渡された。


随伴してきた者達がそれぞれの部屋に向かうとリールがニコリと笑い歩き出したので一緒について行く。


「こちらがリール子爵閣下の執務室でございます」

今日は有能メイドさんの気分なのだろう、リールが建物内を案内してくれる。


入って見てビックリするシーナ達。

執務室はシンプルな作りなのだが本の量が半端で無く凄い!


「うわああああ」アリーセは感動して語呂が死んでしまった。


「ほへぇーー」シーナお前もか!夫人がみっともないですよ!


「えっ?リールお姉さん、これって前に言ってたお礼ですか?」

前に天舞龍リール消滅危機の時、全力で助けてくれたシーナ達へのお礼に本をくれると天龍王アメデが言っていたのだ。


「左様でございます。

図書館には更に多くの御本を用意してございます」


「うわあ、うわああああ」本が大好きなアリーセはもう夢中になっている。


「凄え!!これ絶版されてた冒険家の物語の本だ!」

ヴィグル帝国の皇子が絶賛するくらいに貴重な本ばかりの様だ。


「凄いですわ!凄いですわ!」既にラーナの語呂も死んでいた。


「こっ・・・これほどの貴重な御本は王宮にもありません」

じっくりとタイトルを見て歩いているカーラ女史も驚いている。


「恋愛物の御本はわたくしの趣味でございます」


「リールって恋愛物が好きなんだ?!」と全員の心が一つになった瞬間だった。

失礼極まりないので全員が黙っていたが。


ちなみに姿の見えないマッテオは、

「そんな!リール様に案内をさせるなど畏れ多いです!」と逃げた。

神と崇めていた天舞龍リールに未だにフランクに接する事が出来ない真面目なマッテオ君であった。


「それから面白い物も用意しております」そう言ってニコリと笑うリール。


「面白い物って何ですか?」シーナが質問すると、

「うふふふ、面白い物です」と含みがある言い方をされた。


その面白い物を見に行く為に洞穴内の階段を上がって行く。


「ん?何か天空城と作りが似ているな?」

一度天空城に行った事があるガイエスブルクが気付くと、


「そうですね~」と緊張の無い返事がシーナから返って来た。


階段を昇り切ると大きな空間があった。


そこに並ぶ全長15mほどの機械達、それを見てガイエスブルクが渋い顔になって、

「なんでロケットブースターが置いてあるの?」と呟いた。


「ろけっとぶーすたーって何ですか?師匠」

何これ?状態で謎の物体を観察しているアリーセ。


「うふふふ、ロケットブースターではありませんよ、正確には「飛行機」です」


それを聞きドンドン渋い顔になって行くガイエスブルク。

何じゃい?何か言いたい事があるのかい地龍君?文句なら聞くぞ?


「へえ~、「飛行機」完成したんですね~」


「未完成ですよ」


「未完成なら持って来ないで下さい!リールお姉さん!」


「未完成なのでここで研究所を作り研究しております、ついでなので」


「ああー!そう言う事で天龍が子爵邸建設を引き受けたのかぁ!」

遂に頭を抱えたガイエスブルク。


「ええ?!そんなに危険な物なんですかぁ?!」

思わず飛行機から飛びのくアリーセ。


「大丈夫ですよ、噛み付いたり、爆発・・・したりしませんよ?」


「何で「爆発」の所を言い淀むんですかあ?!」

珍しく混乱して声が高くなっているガイエスブルク。


「大変です師匠が壊れました!」


そんなガイエスブルクを尻目に操縦席に座っているシーナ。


「大丈夫ですよ地龍君!前と違いシートベルトが付いてます!」


「ちゃんと研究しましたから」


「シートベルトだけ研究しても仕方ないだろ?!墜落しない!シートベルトが無くても大丈夫な安全な物の研究をしてくれよぉ!」


まぁ、持って来ちゃた物は仕方ないですよ地龍君。


「うるせえよ!絶対に俺は試験に付き合わないからな!」


こうしてリール子爵領は国内で唯一の「飛行機」持ちの領となったのだった。

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