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ヴィアール辺境伯領編 3話 「ヴィアール城塞建造計画」

唐突に王妃ファニーがグリーンランド王国へ親征してしまい唖然としてしまった

視察団は今後はラーナが中心に取り仕切る事になった。


「旦那様、今回の視察、裏で王家と密約がありましたね?」


「うむ、王妃様の親征は既定路線だな」


スージーからの質問をアッサリと認めるスティーブン、王妃ファニーが征伐した後で

アストリッド妃がグリーンランド王国へ帰還する手はずだ。


王妃の親征・・・これは中々周辺国には強烈なメッセージだ。

今まではアストリッド妃の輿入れなど外交的な介入だったが今度は武力介入もするぞと言っているのだ。


「ご迷惑をお掛けします」

アストリッド妃はピアツェンツェア王国の配慮に恐縮しきりだ。


貴族然として淡々と話すスティーブンを見て、アリーセが「さっきの放送と全然違います!」と思わず叫んでしまい、


ハッとしてお口チャックすると、


「わははははは!その通りじゃアリーセよ!

ヴィアールのモンは皆こんな感じじゃ、なあにお主もすぐ慣れるわい」


大笑いするスティーブン。


「多分慣れないと思います」えらい所に来てしまったと思うアリーセは、


「私はもう慣れましたよ!」ドヤ顔の母を見て更にゲンナリしてしまう。


「でもこんな危ない場所にアンドレ皇子とアストリッド妃を連れて来たのは不味かったのでは?」 


ガイエスブルクがそう言うと、


「あっ俺の場合は戦いの修行の意味が強いから大丈夫です。

本国だとそれ以上に暗殺の可能性が高くて修行が進んでないのです」


アンドレ皇子は獣人の「銀狼族」と人間のハーフだ。龍種ほどでは無いが「強さ」を求める傾向が強いのだ。


兄のエフレム皇太子もその事も踏まえてアンドレのヴィアール辺境伯領への視察団に同行を願い出たのだ。


「なので何が起きても自己責任なのでご心配無き様に」


「そんな事にはアリーセが側にいる限りなりません!」当然怒る、アリーセ。


「あ・・・ごめんアリーセ」


「いいです、でもアリーセがいる事を忘れないで下さい」


好きな人に何か起こる・・・絶対に想像したく無いアリーセだった。


「あっ、わたくしも大丈夫ですわ、

わたくしの実家のグリーンランド王国もヴィアール辺境伯領とあまり変わらない環境ですからね」


お隣の国グリーンランド王国も似たような魔物生息地域なのだ。

戦いのリソースを魔物に振らねばならず王都の警備が手薄になりがちになってしまうのだ。


「そうじゃ!それを良い事にクソボケ共がたかって来よる」

グリーンランド王国の周辺国の王族の顔を浮かべ額に血管が浮き出るスティーブン。


「曾祖父様、お顔が怖いです!」アリーセはそう言うてスティーブンの眉間のシワを消すべく、眉間にチュッとキスをする。


基本的にアリーセの対人強化魔法や回復魔法などの支援魔法はキスをする事で効果が上がる。


「なんと?!アリーセよ、もう一度呼んでくれぬか?」


アリーセが「曾祖父様?」と首を傾げて不思議にまた呼ぶと。


「うむ!良い響きじゃ!お爺様も良いが曾祖父様も良いな!」

わははは!と笑うスティーブン、曾孫のキスにテンションが上がった様子だ。


「よし!ならばワシも一軍を率いてクソボケ共を蹴散らして・・・」


「なりません。アンソニーの出番を奪うつもりですか?」

スージーが疲れた様に諫める、疲れ顔のスージー、珍しい光景だ。


「何だか凄い爺さんだな」


「人間って怖かったんですね・・・」


「だろう?」


あまりに好戦的なスティーブンに呆れるガイエスブルクと人間の闘争本能に驚いた

ドレスデン。


なかなかに濃いヴィアール辺境伯領入りになった視察団一向だった。


今回の視察、実はかなり重要な国策に基づいて計画されている。


最重要目的は「同盟国グリーンランド王国」の安全保障を完全な物にする事だ。

今までは西方のゴルド王国との戦いが全ての国防目標だったのだが、

ゴルド王国は滅亡して占領地の運営も安定して来た。


加えてヴィグル帝国と同盟が完全に締結され西は完璧であると言って良い。


ピアツェンツェア王国が東に裂ける軍事リソースが上り懸案事項のグリーンランド王国の援軍に本格的に乗り出すのだ。


今まではグリーンランドへの援軍はヴィアール辺境伯家に一任して来たが今後は正規軍を投入する。


その為の宿営地予定の土地の視察も含まれている。

王妃ファニー不在だが早速、宿営地候補の土地の視察を開始する。


「ガイエスブルクよ、どう思う?」

もはやガイエスブルクを身内と思っているスティーブンに遠慮は無い。


それを察したガイエスブルクも遠慮する事はやめて素で接する事にする。


「正直、水場が遠くないか?井戸からの水だけだと、せいぜい5000人の運用が限界な気がする」


スティーブンは驚いた顔で、

「良くここの弱点が解ったでは無いか・・・そうなのじゃ、ヴィアールの地の弱点は水なのじゃ、普通に生活する分には問題ないのじゃが・・・」


「それでグリーンランドとヴィアールは密約を交わしてますわ。

グリーンランドから水をヴィアールから兵力を・・・と言った感じですわ」


アストリッド妃が補足を入れてヴィアール辺境伯領の問題を説明する。


「なら!水道を作りましょう!」これだ!とばかりに提案するシーナ。


「む?水路の事か?ヴィアールの方が高地になる故にそれは無理じゃ」


「水路ではありません!「水道」です!」

シーナは最近友人になったカターニア公爵家令嬢から色々と面白い物の話しを聞いていた。


細い管を繋ぎ圧力をかけると水が高所まで吹き上がるのだ、これは噴水などで使われているので珍しい技術では無い。


「この技術をもっと大規模に行います、

かける圧力が大きいと管の選定が難しくなりますがここは若竹を使います!」


「若竹とな?若竹をどう繋ぐのじゃ?」


「根の方と先端の方を交互に繋いでいきます、私は既に実証してますので実演して見ましょう。竹林はありますか?」


「うむ!当然あるぞ、軍事都市じゃからな!」


竹は柵や壁の補強などに用いる為に軍事施設には必ず栽培されている。

また、武器が不足した場合には竹槍などにも用いる事が出来るし水筒としても優秀な軍事物資なのだ。


竹林に移動した視察団、シーナは短剣でスパン!と3本の若竹を斬り取った。


「おお!見事な腕じゃの、シーナよ」


スティーブンに褒められて「えへへ」と照れ笑いをしながら短剣で若竹の先端に細かい切れ目を入れるシーナ。


「あっ!アリーセにはママが何をしようとしてるか解りました!」


クスっと笑いシーナは2本の若竹をグリリリと捻りながら簡単にハメ込んだ。


「出来ました!見て下さい!」

シーナに促されて視察団の面々は竹を覗き込み驚愕する!


「何と?!竹の中が立派な道になっておるでないか?!」


「ほおおお!これは面白い!」


「若竹なのは何故なのですか?」


「普通の竹でも良いですけど太いですから、多くの水を運べますが圧力をかけるのが大変になります。

検証した結果、若竹くらいの太さが1番効率が良いですね」


少し太めの水道ホースくらいですね。


「なるほど」


早速試して見ようとなり、とりあえず100mほどの水道を作って見る事になった。


ギリリリ、ギリリリ、ギリリリ、とドンドンと繋がれる若竹達。

「まぁ!これ施工が楽ですわ、女性でも出来ますよ」感心している文官の女性。


完成した竹の水道を井戸についている手組みポンプに刺して完成だ。


「では、どうぞ!」シーナの合図で1番非力と思われるアストリッド妃がポンプをカシャカシャと動かすと・・・


1分ほどで水道の先端から水が吹き出した!


オオオオオオ!!!大歓声が上がる。


「わたくしではどうかと思いましたが軽いですわ!全然苦にならないですわ!」

ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶアストリッド妃が可愛い。


「これは!使えるぞ!革新的な技術じゃ!」


「これは本当に驚きましたわ・・・」スージーも唖然としている。


「この方法で一般的な男性なら2km先まで水を送れると判明してますね。ですが!私は更に改良しちゃいました!」


ジャジャーンとシーナが空間魔法で取り出したのは魔石で動く魔導ポンプだ。

この構造も何と無くセリスが覚えていてシーナが完成させてしまった。


ポンプをセットして魔石を起動させると、


ブシャァアアア!!!

「うわあああ??!!」興味深そうに先端部を近くで見てた騎士が吹き出した水圧で1mほど飛ばされた!


「ああー!すみませーん!!見てなかったですー!」謝るシーナ。


「なんとぉ?!」


「まぁ?!」


「この様に管を細くするとより遠くへ楽に水を送れる様になります!

グリーンランドの貯水池からヴィアールまで25km程度ですから工事に1ヶ月も掛かりません!」


「いける!これは行けるぞ!シーナよ、でかした!」


オオオオオオ!!ヴィアールの領兵からも大歓声が上がる!

今までの取水制限から解放される目処がたったからだ。


「ママ!凄いです!」


「セリスさんに教えてもらったんですけどね」


2023年現在での東京都の渋谷、新宿区の1部地域で戦後施工された水道管で竹管が使用されて現在も現役でいて業者を悩ましているのだ。


施工図面も残されて無く、水道局に「ワシらにも詳細は解らぬのだすまぬな」と言われて、作者も冗談かと思ってたら本当に竹管で「マジかよ」と驚いた事があった。


見て見たら特に腐食も無くまだまだ実用レベルで「竹凄えええ!!」と驚いた。

頼んだ渋谷の業者が竹管を削って現在の塩ビ管に簡単に繋いでて少し引きました。


「後10年したら繋げる人も居なくなるだろうねぇ」との事でした。


話しが逸れました。


自分達の生死関わる問題なのでヴィアール辺境伯軍が総動員を掛けて何と4日間で第1水道を完成させてシーナをドン引きさせた。


今後は戦闘で破壊された事を考えて複数路で第5水道まで作るとの事。


ジャアアアアア!!ウオオオオオオオ!!

開通式で貯水池に水が送られて街が揺れんばかりの大歓声!!


「シーナ様!お見事です!」大興奮の兵士に誉めらて、


「いえ・・・これは私にも予想外過ぎて、お疲れ様でした」呆然としてるシーナ。


「これは・・・人間・・・ヤバいですね」ドレスデンも呆然としている。


「俺もドン引きだわ」


「人間って怖かったんですね・・・」


再度、人間共やべえと再度認識した龍種共でしたとさ。


ちなみに到着してから妙に静かだと思ったラーナは黙々と現地を見て築城の図面を引いていた。


軍師ラーナの本懐ここに有り!と燃えていたのだ!


この図面もセリスから「五稜郭」の事を教わりラーナが改良を加えて行く事になる。


こうして今後完成していく五角形のヴィアール城塞は300年に渡りピアツェンツェア王国の東の最重要防衛拠点として活用されて行くのだ。


この築城も3年で完成させて龍種共をまたドン引きさせる事になる。


着々と駐屯地の準備を進めて行くシーナ達・・・もう全然視察じゃないやん。


そんな中「グリーンランドに潜入した不穏な勢力の排除に成功!」との連絡が前線より入った。


「ふむ、いよいよアストリッド妃の帰国の準備じゃな」スティーブンがそう言うと、


「はい!心の準備は出来ております」

毅然とした態度のアストリッド妃、小動物の様に可愛いらしい、いつもの表情とは全く違う。


ピアツェンツェア王国の第一側妃としてグリーンランド王国の第一王女として今回の帰国に挑む覚悟を決めている。


波乱のアストリッド妃のグリーンランド王国への帰国作戦が始まる。

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