ヴィアール辺境伯領編 1話 「ヴィアール辺境伯領へ出発」
「出発!!」
先頭の護衛騎士団長の号令で視察団の一団が動きだした。
王妃と第一王女を伴う使節団なのでかなりの規模の行列になったのだが・・・
更にヴィグル帝国のアンドレ皇子と何故か第一側妃アストリッド妃が同行する事になったのだ。
どうせまた作者の思い付きだろ?いいえそんな事はありません。
そんな目で見ないで下さい、本当なのです信じて下さい。
理由は後ほどちゃんと書きます。
そんな訳で護衛の数が増えてとんでもない行列になり後世の歴史書には、
「ヴィアールの行幸啓」と呼ばれる大掛かりな物となってしまった。
そして何故か王妃ファニーと王女ラーナが乗る馬車に第一側妃アストリッドが同乗をしている。
出発時に「是非とも同乗させて下さいませ」とアストリッドに頼み込まれて別段拒否する理由も無く承諾したと言う訳だ。
専属の侍女1人を伴い馬車に乗り込んだアストリッドだが、なんかモジモジとして、
落ち着きがない様に見える。
「建国祭ではお疲れ様でございました、アストリッド様」
絶大なコミュ力を誇る王妃ファニーは気兼ねなくアストリッドに話し掛ける。
するとアストリッドは凄く嬉しそうな笑顔になり、
「はっはい!ファニー様もお疲れ様でございました」と、
頬を赤らめ、声を弾ませ可愛いらしく返事をする。
えっ?なに?可愛いですわ!思わずウリウリウリウリウリしたくなったファニー。
ラーナも可愛い義母に一瞬抱きつきそうになり、ハッとして、
「これが真のお姫様ですのね」と思ったが、いや君の方が上位のお姫様だからね?
ラーナの義母と言っても2歳しか離れてないのだが。
なのでまだヤニック国王も手付けをしていないし、今の所はする気も無い。
アストリッド妃の輿入れは「言うなれば王女の保護」だからだ。
彼女の故郷のグリーンヒル王国は人口50万人ほどの小国で周辺の国から併合せんとずっと狙われていた。
せめて娘だけでも安全な所に・・・
そう考えたグリーンヒル王国の国王にアストリッドの保護を頼まれて、ヤニックが、
「なら妃とした方が良いでしょう」と第一側妃に据えたのだ。
そのおかげでグリーンヒル王国は現在安定している。
超大国ピアツェンツェア王国に正面から喧嘩を売る度胸がある国がないからだ。
周辺国が大人しくなってグリーンヒル王国の安全が担保されたのでヤニック国王が今回の同行を提案したのだった。
グリーンヒル王国はヴィアール辺境伯領に隣接しているのでアストリッドにとっては久しぶりの里帰りと言う訳だ。
「今回は同行の許可をして頂きまして誠にありがとうございます」
ペコリと頭を下げるアストリッド。
こう言う仕草に少し幼さを感じるがラーナやシーナが達観し過ぎているのだ。
初めてのお姫様枠に作者も張り切っています。
そのシーナだが、ファニーにも、一体どの馬車に乗っているか良く分からなくなっている、ラーナは護衛計画に参加しているので把握しているが。
味方が分からないなら敵は尚の事分からないのが狙いの配置だ。
実の所、シーナとガイエスブルクは騎士に扮して騎乗してファニー達の馬車の付近で護衛任務に就いている。
そしてシーナ達が乗る予定の豪華な装飾が施された馬車にはイノセントが派遣したAランク冒険者が3人乗り込んで敵の襲撃に備えて迎撃体制で待機している。
「せっかくですから!」と馬車には魔導榴弾砲が3門、シーナによって設置された。
無論、豪華な装飾はシーナのお手製だ。
ちなみにこの馬車、馬が居なくても魔石の力で3kmほどなら自走出来る。
それを知ったイノセントに「事前にちゃんと書類を出せ!」と怒られた。
「今回はゆっくりとご両親と過ごして下さいね」
アストリッドと、初めてしっかりと顔を合わせて話したファニーだが、なんだかもう1人娘が出来た感覚になっている。
「はい!」おそらくアストリッドもファニーを母の様だと感じているのだろう。
だんだんとアストリッドに優しい顔と声色になって来たファニーを見て同乗している専属侍女がホッとした表情になった。
「アストリッド様!グリーンヒル王国の事教えて下さいませ」
ラーナ的にはこちらの話しを聞きたいのだろう、少し前のめりになって来た。
「はい!グリーンヒル王国は・・・」
こうして馬車の中は気まずい雰囲気も無く順調な滑り出しとなった。
さてもう一組重要なカップル、アリーセとアンドレ皇子だが、
彼女達の馬車は定石通りにヴィグル帝国の護衛騎士団の中心に居た。
「結婚まで4年かぁ、長いなぁ」とアンドレがぼやく。
「4年経ったらヴィグル帝国へ行くので待ってて下さい!」
まだ見ぬ異国に思いを馳せるアリーセだった。
アリーセの専属侍女には天龍アリスが正式に決まった。
「命令ですよ!アリーセをお願いしますアリス」命令だがお願いだか良く分からない言い方のシーナからの任命だった。
それからもう1人、護衛騎士見習いには、なんとドレスデン君が付いた。
誰だって?と思う人は隻腕の龍戦士編2話を参照して下さい。
アリーセが好きなドレスデンは、ガイエスブルクから聞いたアリーセの婚約にショックを受けた。
しかし相手が人間と聞いて安心した。
アンドレとドレスデンとは寿命が違い過ぎるので100年後を見据える!と実に地龍らしい事を考えて100年掛かりで口説くつもりだ。
「でも勢い余ってアリーセを泣かせんなよ」ガイエスブルクからは注意されたが、
ドレスデンには最初からそのつもりは無い。
今回の結婚は心から祝福して100年間はしっかりと護衛騎士を務めるつもりだ。
中々壮大な計画ですね。地龍には本当に呆れます。
結果的にこの計画はドレスデンがそばに居る天龍アリスから猛烈なアタックを受けてすぐ消える事になるのだが・・・君もリア充君ですね、早く爆発して下さい。
つうか、アリスの目が既にハートマークになってんじゃねえか!今すぐ爆発しろ!
ドレスデンはアリスに困惑しているが時間の問題だろう。アリスも美少女だもんね!
こうしてアンドレは恋敵のピンチを知らない内に回避していた。
「ドレスデンさんは歌とかに興味ありますか?」
「えっ?ああ、うん母さんが歌うから俺も良く歌うよ」
「じゃあ今度、歌劇を観に行きませんか?」
「えっ?ああ、うん」「やったー」こんな感じで仕事ほったらかしでドレスデンを構いまくるアリス、天龍の女性も積極的だね~。
その横ではアリーセとアンドレも楽しくお話しをしている。なにこれ?合コン?
そんな娘達と裏腹にシーナとガイエスブルクはちゃんと護衛の仕事をしていた。
これがこの2人の距離感なのだろう。真面目なだけとも言えるが。
そんな真面目なシーナ達に魔物のプレゼントが来る。
「紫虫が15匹ほど接近中!」ズバン!ザシュ!スパーン!
「黒狼の群れ20匹以上接近中!」ドン!ドンドンドン!ガガガガ!!
「中型の炎鳥が5匹!空から来襲!」ヒュードン!ヒューンドドン!!
「更に紫虫が30匹、南から来てます!」スパーン!スパパーァアン!
「凄え、ほとんどあの2人で倒しているぜ」
「なんか楽しそうじゃね?気のせいか?」
気のせいでなく、久しぶりの魔物討伐に2人は昂りまくっていた。
王都では、やれ王女だの、貴族だのとストレスが溜まっていたのだ。
「うふふ、ヴィアールではこんな物ではありませんよ」
スージーは2人の戦いぶりを紅茶を飲みながら優雅に観戦していた。
2人がヴィアールで魔物の無限湧きに突撃する日は近い!
実に地龍らしいデートをしている2人だった。
「ママと師匠が楽しそうです!」
戦いが嫌いなアリーセは2人の魔物の虐・・・戦いぷりにドン引きしていた。
「あっ!俺も行って来ます!」
それを見て地龍なドレスデンの血が騒がない訳がないのだ!
「私もお手伝いします!修行をしないと怒られます!」
「よし!行くぞアリス!」
「はい!ドレスデン!」
既に呼び捨てで呼び合う2人・・・相性抜群だね!
そう言いながら馬車を飛び出す龍種共を何とも言えない顔で見るアリーセだった。
「アッ、アリーセも行くのか?」
「行きません!」
心配するアンドレに即答で答えたアリーセ。
4人の龍種共の魔物討伐は続き、視察団が通った道に魔物が戻るまで3ヶ月を要する事になった。
付近の住人はそれは大喜びで、王家の人気が爆上がりした。
「楽しかったです!」思う存分に暴れてご満悦のシーナ。
今日は野営して夜を明かす視察団。王族が集まり簡単な晩餐会をしている。
食材が唸るほど狩れたので王族からメイドまで全員同じメニューで皆んな大喜びだ。
「ママはやり過ぎですよ!」
襲って来る魔物だけでなく、こちらから出向いて押し掛け討伐までやらかした。
ほぼ強盗の様な物だ。
シーナ達は後に狩る獲物を無くした冒険者から苦情が来て始末書を書かされるのだ。
「シーナ、ヴィアールに着けば幾らでも討伐出来ますから少し落ち着いてスピードを落としなさい」
そう言うスージーだが周辺の魔物を狩り尽くす前に、そのセリフは言って欲しかったな~。
ちなみに今回の討伐で冒険者レベルがAランクになったシーナ。
なんで分かったかと言うと同行していたAランク冒険者がきちんとカウントしていた・・・
シーナとガイエスブルクのどちらの討伐数が多いか、トトカルチョで賭けていたので必死になって数えていたからだ。
なにせ自分の金がかかっているので。
その討伐数を魔導具を使いイノセントに報告したらランクアップが判明した。
当然イノセントも賭けていたので数値はかなり正確なのだ。
そして賭けの結果はガイエスブルクが勝った。シーナはめっちゃ不貞腐れた。
「姫様がAランク・・・凄え!ですね」
地龍の強さを目の当たりにして興奮しているアンドレ皇子。
「まぁ・・・シーナ様はお強いのですね」
生粋のお姫様のアストリッドには刺激強かった様子だ。他国の王族もこれにはドン引きした。
それからドレスデンとアリスは協力し合って上手く立ち回っていたそうだ。
君達今日が初対面だよね。
「大変です!魔物が北から接近中です!」
なんと?!絶滅させたと思ったら生き残りがまだ?
お逃げなさい!せっかく拾った命を無駄にする物ではありません!
ここにシーナ魔神が居るんだ!魔物さん逃げてー!超逃げてー!
「私の獲物ですよ!手出し無用!」ガイエスブルクに負けたシーナが腹いせとばかりに魔物目掛けて走り出す!
ドカーン!!バキバキ!ゴオオオン!!周囲に破壊音が鳴り響く。
「なんかオーバーキルです!魔物さん逃げてー!」アリーセの叫びも虚しく、
30分後、魔物全滅の報告が来た。魔物さん・・・だから逃げろと・・・
魔物さーーん!!
この討伐でシーナは「隻腕の龍戦士」と呼ばれる様になったのだった・・・
・・・って今更かい!シリーズはもう終わったよ!
散々暴れ回って満足したシーナはガイエスブルクの膝を枕に爆睡してしまう。
「シーナの魔力がやっと安定したな」シーナの頭を撫でるガイエスブルク。
「そうですね、この所の乱れ方は酷かったです」
そう言いながらアリーセはシーナの額にちゅっちゅっとキスをする。
このキスは「緑の安眠の魔法」で最近は欠かせない日々の日課だったのだ。
「アリーセ、わたくしにもお願いしますわ」
「は~い」とファニーにもキスをするアリーセ。
「ちゅっ」とキスをするとフッと寝息を立て始めるファニー。
豪胆なファニーといえどやはりストレスは溜まるのだ、ファニーへのキスも日課になりつつある。
ラーナはガイエスブルクが居るのでさすがに別のテントで寝ている。
ファニーは良いのか?と聞かれると出会った子供の時から、シーナとガイエスブルクと一緒に寝ているので今更だ。
ファニー的にはガイエスブルクは息子と思っている。
ガイエスブルクは母親とまで行かなくても、家族に近いかなりの親近感をファニーに対して持っている。
「よし!俺達も寝るぞ」
「はい!」
こうして旅の初日の夜は更けて行く。
大変です!地龍君!
「なんだよ」
セリスが想像以上に好評で終わりました!
「良かったじゃねえか」
しかし本編の原稿が真っ白なのです!
「そりゃあんだけ他を書いていればな」
どうしましょうか?!
「いや本編も同じ様に書けよ」
そんな訳で急ピッチで書いてますが今日と明日の投稿でもう真っ白です。
マジで何も書いてません。
明日以降の投稿がいつになるのか作者にも分かりません。
いや〜これは困りました。
気長にお待ちください^^)/




