新緑のアリーセ編 7話 「アリーセ社交界デビューに向けて」
アリーセの準備の為に学園のラーナの私室に強引に移動させられた一行。
建国祭の間は学園は休みなので学園にはほとんど人がおらず静まり返っている。
「へえ?じゃあ姫さんは、ずっと前から俺達の事知っていたのか?」
「そうですわ、3年前までは、シーナと意識を共有してましたから」
アリーセのドレスを合わせながらラーナが答える。
さすがは王女、多種多様なドレスを持っている。
実はラーナの趣味は「裁縫」なので普段着は自分で作っており、腕はプロ級だと本職からお墨付きを貰っていたりする。
今回のアリーセのドレスはラーナの手製だ。
ガイエスブルクはシーナとアリーセ、ガイエスブルクが出会った時の事まで知っていたラーナに対してかなり驚いている。
「ガイエスブルクとシーナが影でイチャイチャしてるのも当然知っておりますし、
ガイエスブルクが寝たふりのシーナにイタズ・・・」
「ワアアー!!!」いきなりのガイエスブルクの大声にビクンとしたアリーセ。
「イタズ??」首を傾げたアリーセから視線を外すガイエスブルク。
男の子だからしゃーない!寝ている好きな女の子がいたらねっ!
「そう言う訳ですので私に対しての気づかいは不要ですわ」
そう言いながら着々とアリーセにドレスを合わせていくラーナだが・・・
「あの・・・」アリーセはこれだけは言わねばと口を開く。
「あたしは晩餐会に出席するなんて一言も言ってませんです!」
あ・・・そう言えば一言も言ってないね。
「あら?出ないの?」ラーナがアリーセを除き込みながら尋ねると、
「・・・出ないとは言ってません」とアリーセが言い淀むとラーナはニコリとして、
「アンドレ皇子に会えるですものね~」と揶揄うとアリーセが驚き、
「なんでラーナ様まで知ってるのですかぁ?!」と絶叫した。
「その事はアンドレ皇子が直接聞きましたよ」予想してない事を言いだすラーナ。
「えっ?なんで姫さんが皇子と話したんだ?」首を傾げるガイエスブルク。
「だって今日は使節団の方達との会談でしたから」
ガイエスブルク達が仮眠してる午前中に、昨日行われるはずだった、皇太子との会談がちゃんと行われたのだ。
サボり魔ラーナだが、要所の仕事はちゃんと、こなすのだ!後でサボって怒られない為に!
「話しには聞いていたけど・・・要領が良い姫さんだな、シーナと似ているのは顔だけだな」苦笑しているガイエスブルク。
「ママも少し見習うべきです」ラーナの要領の良さに感心する2人、今もサボる為に別の仕事をしている要領の悪いシーナだった。
「うふふ、シーナは真面目さが魅力的なのですよ」と笑うラーナはやっぱりシーナと同じ顔だった、性格は全然違うけど。
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こうしてなし崩し的に大晩餐会へ参加することになったアリーセ、この大晩餐会は参加者が500人を楽に超える規模だ。
アリーセの様に追加での参加者も多いので、王宮側は最大700人予想で準備を進めている。
ヴィグル帝国の使節団を歓迎する為なので貴族の他には商人の参加が多い、ヴィグル側に良い取り引き相手を紹介をする為だ。
戦争が終わると西の大陸は元々肥沃で資源も多い土地だ、この千載一遇のビジネスチャンスに商人達も本気で商売アピールをしてくるだろう。
そう言った大商人の後ろには、高位貴族が後見役で付いているのが常なので高位貴族もヴィグル帝国と繋がりを持つ絶好の機会だ。全力で商人を支援する事だろう。
なので、謁見会場、舞踏会会場、中央大ホールの3箇所で行われる。
人数が多すぎるので基本は立食形式になり、自分または従者が食事を取り席に運ぶのだ、案外大物の人物は自分で食事を取りに来る事が多いので、用意された席に居る人間は少ない。
ラーナがそんな伏魔殿にアリーセを一人で行かせる訳も無く、ラーナの友人のヴィアール辺境伯家の一門の子爵令嬢と言う設定で一緒に参加する。
「あれ?姫さん、大晩餐会に出るの嫌だったんじゃないか?」
せっかく逃げ切ったのになんで?と言う感じのガイエスブルク、うん、そうだよね。
「理由も無く周囲に絡まれるのが嫌なだけですよ、今回の様に理由があれば、私はちゃんと参加しますわよ」
「絶対その理由は「面白そうだから」だとアリーセは思います!」
「うふふ、そんな事ありませんわ」ニコニコしてるラーナを見て・・・
「助けて下さいママ!妹さん怖いです!」と心で叫んだアリーセ。
「・・・なあ?レンヌさん、姫さんっていつもこんな感じなのか?」
「・・・いつもはもっと、あざといわよ?」
「・・・そうか」・・・ガイエスブルクは「ああ!シーナで良かった!」と、シーナの良い所を再確認出来た、ガイエスブルクだった。
軍師ラーナ!今日はもう絶好調の様子だ。
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大晩餐会の支度を終えた瞬間「なんか!ママが暴れる予感がします!」突然アリーセが叫んだ。
「えっ?なに?アリーセ?」天龍レンヌは困惑している。
「・・・いえ、多分気のせいです・・・」今のは何?と思うアリーセ。
シーナの眷属たるアリーセは、ある程度はシーナの感情がダイレクトに伝わるのだ、修行途中で、まだきちんとそれが認識出来ないアリーセには悪い予感としか思わなかったのだ。
「大丈夫だろ?あいつも最近は無謀な突撃しなくなったからな」
ガイエスブルクは笑うが、残念でした地龍君よ大ハズレですよ、奴は殺る気です。
「不安になるからやめてね?」一体シーナになにが?
やはり問題児を1人で行かせたのは間違いだったかも?と不安になるレンヌ・・・
オーバンに様子を見に行って貰おうかしら?と思案している。
「そう言えば、姫さんは準備しなくても・・・おお?」
振り向いたガイエスブルクの先には完璧に晩餐会の準備を終えた王女ラーナが優雅に立っていた。
ギリギリまで寝ていたいラーナにとって早着替えは必須の技能なのだ。
もう何年もやらされている、侍女やメイドにはこの程度は造作も無き事。
むしろ今日はラーナが寝てないのでやり易く余裕があったくらいなのだ!
何か無性に不安になったアリーセが「師匠もついて来て下さい!」とガイエスブルクに同行を願うと、
「あっやっぱり?俺も行かないとダメか?」
なんと無くそんな予感していたガイエスブルク、「当然です!」と頷いたアリーセ。
「そうですわ!ガイエスブルクには臨時の護衛騎士になって頂きましょう」
ラーナが侍女に視線で準備を促すと、侍女は一つ頷いた。
いきなりの無茶ぶりにも関わらずに超高速でガイエスブルクの準備も進む。
「いや凄いなこれ」ガイエスブルクもビックリの手際の良さで護衛騎士の装束が着せられて行く、「ウフフ、恐縮です」と笑う侍女達だった。
「殿下そろそろ」と控えていた女官のカーラが王宮への移動を促す。
外に出ると「おお?」と驚くガイエスブルク、どこにしまってあったんだ?と言わんばかりの立派な王族用の馬車が用意してあった。
そんなガイエスブルクの気持ちを察知して、
「これくらい常に用意してないと姫様には仕えられません」笑う女官カーラの苦労が偲ばれる。
「あーでも俺は護衛だから馬に騎乗して行くよ」と乗り手が居なかった栗毛の馬に騎乗する、ガイエスブルク、馬は嬉しそうに「ヒヒーン」と鳴いた。
「まあ!気性が荒くて乗り手を選ぶ馬ですのに」驚くカーラ女史に、「そうか?良い馬だぜ?なあ?」馬の首を撫でると「ブルルル」と甘える馬。
ガイエスブルクは武芸全般を習得しているので馬術もお手のものなのだ
「師匠!王子様見たいです!」大喜びのアリーセに「いや、こんな王子いねえよ」と笑うガイエスブルクだが若いメイド達も熱い視線を送っている。
実際に美青年に成長したガイエスブルクは異常な程にモテるのだ!
早く爆発して下さい!今すぐに!
するとまたアリーセがハッとして、
「やっぱりママが凄い怒ってる予感がします!」と叫ぶと、レンヌはダッシュでどこかに消えた・・・オーバンにシーナの様子を見に行って貰うのだ。
「あいつ・・・何を怒ってるんだ?」
「分かりませんが・・・あっ!でも終わった見たいです!何か静かになりました!」
「何が起こってんだ?・・・でも、まぁ終わったんなら大丈夫?なのか?」
「思念を送ってるのですが、距離が遠過ぎで上手く行かないです」
詳しい事は・・・今、まさに書いてます、完成したら投稿します。
「あっ!ラーナ様は何か分からないですか?」そう言えばシーナと意識を共有出来るラーナの存在を忘れていた、しかし・・・
「そうですわね・・・ネタバレ良くありませんわ」意味不明な言葉でかわされた。
「・・・今ここでネタバラシますわよ?」ごめんなさい!すみませんでしたぁ!
「何言ってるか分からんが大丈夫そうなら行くか?」
シーナに何があったか気にはなるが・・・ここに居てもどうにもならんので王宮に行く事にする。
「わっ?動き出しました!」初めて馬車に乗るアリーセは勝手に動き始めた馬車に、
興味津々だ、地龍は馬車に乗る習慣が無い為だ。
特にシーナが転移魔法を覚えてからは遠くに行くのも一瞬だったので乗る機会は皆無だったのだ。
はしゃぐアリーセを見てラーナは「ウフフ可愛らしい姪ですわ」とニコニコしている
今回もアリーセが大晩餐会に出席するから自分も参加する事にしたが、そうでなければ絶対に参加する気はなかった、ラーナはツンデレなのだ。
学園か王宮までは街中を突っ切り3kmほどあるので馬車だと30分ほど掛かる、今日は人手が多いのでもう少しかかる。
「そういえばお母様にお会いになりましたか?」
「王妃様ですか?いえ、ないです」
「それでしたら王宮でお母様にご挨拶しましょうか」
「はいです!」
2人にとって何の事も無い会話だったのだが王妃ファニーが物凄い反応をする事になる未来を2人はまだ知らない。
その後他愛の会話しながら1時間ほど掛けて王宮に到着した王女一行、逃げた王女ラーナが自分から戻って来た快挙に王宮内が少し騒然となった。
「ラーナ様、サボりはダメです!」
可愛い姪アリーセに怒られて結構反省したラーナを見たカーラー女史が「これは使える!」と思ったのは内緒だ。
とりあえず王妃ファニーに挨拶する為にファニーの私室に向かうラーナとアリーセ、
ガイエスブルクは嫌がったが強制参加になった。
「お母様、ただいま戻りました」部屋に入って来たラーナを見てめちゃくちゃ驚いた顔のファニー、そんなにかい?!
「ラーナ・・・貴女が自分から戻って来るなんて・・・お医者さんを・・・」
「私はいたって健康ですのでお構いなく!」
「でもこんな事今まで一度も・・・あら?ガイエスブルクさん?」
ラーナの後ろで呆れ顔で立っているガイエスブルクを見つけたファニー。
「お久しぶりです、王妃様」礼儀をしっかりと弁えているガイエスブルクはちゃんと騎士の礼を取る。
「ええ、お久しぶりですわ、・・・え~とそちらの方は?」
ガイエスブルクの隣に立つアリーセを見て不思議そうな顔のファニー。
「お母様、シーナ・・・ユグドラシルの娘さんのアリーセですわ」
ニコニコしながらアリーセを紹介するラーナに、
「はい?・・・ユグドラシルの娘さん・・・ですか?」と少し考えるファニー。
「アリーセです!初めまして王妃様!」元気いっぱい挨拶するアリーセ。
「はい、初めまして、よろしくお願いしますわアリーセさん、・・・え~と?
ユグドラシルはわたくしの娘同然ですからその娘さんのアリーセさんは・・・」
ますます考え込むファニーを不思議そうに見ているアリーセ。
「つまりアリーセさんはわたくしの孫ですわね・・・孫ぉ?!」
やっと事実に気がついたファニーは衝撃を受けた!
「孫・・・わたくしの孫、初孫・・・」固まったファニーを不安そうに見て、
「アリーセが孫だと嫌ですか?」少し涙目で聞くアリーセを見ているファニー・・・
するとゆっくりとアリーセの頬を撫でて、思い切り抱きしめた?!
「かっかかかか、可愛いですわ!アリーセ!わたくしの孫!」
アリーセに超ウリウリウリウリウリウリウリウリウリを始めた王妃ファニー!
アリーセはめちゃくちゃ驚き固まっている。
「絶対にこうなるよな・・・」結果が予想出来ていたガイエスブルクは笑っている。
「そうですわね、1時間は無理かと思いますわ」とラーナも笑っている。
その後予想通りに丸々1時間ウリウリウリウリされたアリーセはグッタリだ。
「その内慣れますわ」と慰めるラーナに、
「毎回これされるのですか?!」と驚くアリーセに、
「今日は少し控えめ目でしたわ、次をまだ長くなりますわ」と答えるラーナに、
「早く助けて下さいママ!」と叫んだアリーセでしたとさ。
「アリーセを大晩餐会でわたくしの孫としてデビューさせましょう!」
「お母様、それはダメですわ」と一刀両断に却下するラーナ。
「なっなんでですのラーナ?、貴女はアリーセが可愛くないのですか?!」
「勿論可愛いですわ、だからこそ有象無象の者達の前でデビューさせるべきではありませんわ、然るべき場所でシーナと共に大々的に宣言する必要があるのですわ」
「つまりどう言うことですの?」
「シーナに逃げ道が無くなりますわ」
「!さすがですわ!ラーナ!」
「そう言う陰謀は人気の無い所でやって貰えませんか?」苦笑するガイエスブルク。
「ママのお母さんと妹さん!怖いです!」思わず絶叫したアリーセだった。




