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新緑のアリーセ編 閑話 「建国祭の裏側で」

お祭りに参加している一般人に全く知られる事も無く。

公式発表もするまでもなく、ただの犯罪として収束したお粗末な反乱騒動。


ピアツェンツェア王国の歴史にも記録にも残される事も無く70名ほどの元貴族が農奴に没落したが気にする者は誰もいなかった。


「これで国内の反乱分子は大方始末されただろうな」

歳のせいか宰相のエヴァリストは少し疲れている様子だった。


「この辺りで引退されますか?叔父上」と国王ヤニックが言うと。


「良いのか?!」と前のめりになってヤニックに食いついたエヴァリスト。


「ええ、そろそろ叔父上を解放しないと天にいる父上に怒られそうなので」


少し寂しそうに笑うヤニック、今回の事に決着が付いたらエヴァリストの辞任を承諾しようと決めていたのだ。


「そうか、では有り難く引退させてもらうぞ」

いつも厳しい表情のエヴァリストが、穏やかな表情になる。


「はい叔父上、今まで本当に長い間、お疲れ様でした」


深々と頭を下げる国王ヤニック、随分とアッサリしてると思われるだろうが、ここに至るまでの2人葛藤は他人では想像も付かないほど深い物だろう。


若干25歳でピアツェンツェア王国の宰相に付き45年、国に全てを捧げた男の生き様は後の歴史書に燦然と輝く偉業として刻まれるだろう。


後任の宰相としてアスティ公爵家のグリード、とはならず財務大臣のクロッセート侯爵となった。


グリードやオスカルと言った若者達はこの後に更に経験を積み、クロッセート侯爵の後任の宰相となるだろう。


実は半年前より既に宰相の仕事はクロッセート侯爵が大部分を引き継いでいたのだ。


新宰相の補佐官には土下座侯爵改め子爵となったグレンが任命された。


元ゴルド王国から降伏した貴族で初の受爵と要職の任官とになり、降伏した他の者達にも希望が見えて来た。


旧ゴルド王国領での反乱騒動でピアツェンツェア王国に協力した者達にも男爵位が譲爵され、新しい体制が構築されつつある。


エヴァリストの宰相辞任に連座してスカンディッチ伯爵も引退となる、後任は龍都より派遣されるだろう。


国民への発表は建国祭後と決まった、エヴァリストには最後の公務となるのだ。


王宮内で大きな動きが裏で起こっているとは知らず、シーナは所定の位置でちゃんと仕事をしていた、本当に真面目な娘だ。


今日は建国祭の当日ともあり様々な儀式があるので大通りの屋台は王都外の会場に移動しており王都外は非常に賑やかだ。


1番の目玉は同盟国のヴィグル帝国の使節団を招いての戦勝パレードだ。

戦後の復興が上手くいっていると両国の国民にアピールするのが目的だ。


シーナ達はヴィグルの使節団の入城パレードの警備の為に城外の森の中に偽装小屋を作り、周囲を監視する為に魔道具を設置していた。


大分、魔道具の扱いが慣れたアリーセは魔道具の調整をしつつ、

「ヴィグルの王族の方は来るのですか?」アリーセは初めてのパレード興味津々だ。


「んー?ヴィグル王族は皇太子が来るらしいぞ」

同じく監視用の魔道具を調整しながら答えるガイエスブルク、特に皇太子には興味なしだ。


「わあ!王子様ですか?」

アリーセは普通の女の子の感性なので王子様に憧れているのだ、ピアツェンツェア王国の王子ロミオはまだ幼いので、さすがに憧れの対象にはならない様だ。


「どんな人なんですか?」ワクワクしながらアリーセが尋ねると、

「う~んと名前はエフレムさん、歳は23歳の男性です」

シーナが夢のかけらも無く端的に答える、つか男性って当たり前だろ!


「それで?それで?」王子と聞き、女の子らしく、アリーセがきゃっきゃしながら尋ねるが・・・


「それしか知らないですね」と正直に答えるシーナ、「え~」アリーセは不満そうだが今回は仕方ない。


戦争が始まって暗殺を防ぐ為にエフレム皇太子の情報は徹底的に秘匿されていたのだ。話しでは10歳年下の弟の皇子がいたはずだが確かな情報は無い。


ヴィグル皇帝には正妃の他に3人の側妃が居るので他にも皇子と皇女も居るはずだが

ここでもハッキリとした情報は無い。


「え~、お嫁さんが4人も居るのですか?」地龍は一夫一妻なので複数の妃を娶る風習は、アリーセ的にはあまり好感は持てないのだ。


実はピアツェンツェア王国の国王ヤニックにも側妃が3人居るがシーナとガイエスブルクは国王ヤニックのイメージがダウンすると可哀想なので黙っていた。


それにもうすぐ即妃の1人が出産するのでシーナに弟か妹が産まれるのだ。


そう言った経緯もあって兄弟で無駄な争いを避けたいシーナが王女の地位の返上を言い出した理由の1つだ。


ちなみにシーナは即妃達と顔を合わせた事は無い。


即妃の1人が自分とあまり歳が変わらない、大陸の東の島国の王国から来た17歳の若い公爵家の令嬢だと知っているだけでそれ以上は詳しく知らない。


もう1人側妃は、かつての三大公爵家のカミナード公爵家からの輿入れで戦場で夫を亡くした26歳の夫人だ。


彼女の場合は名誉の側妃と言えるので、本人も亡き夫の喪に服したいと、側妃として活動していない。


更にもう1人の側妃、彼女が問題だ。

2年前にギニャール伯爵家より19歳で腰入りした側妃で、身分的には1番家格が低い側妃なのだが彼女はとても野心的な女性だ。


もうすぐ出産が近いのが彼女なのだが、

ゴルド残党討伐戦の戦時中にヤニックの陣屋まで1人で押し掛けて種を仕込んだ女傑なのだ。


さて、今回の出産でどう出るか?と言った感じだろう。


ちなみに王妃ファニーはそう言う夫婦的な観点では、実に貴族らしい感性を持っているのでヤニックが即妃を持つ事に関してはヤキモチを焼くよりむしろ推奨している。


なんなら後2人は側妃を持つべきと思っている。


王妃ファニーと側妃達の関係性はそれなりに良好との事だが、そこは伏魔殿の王宮、裏で何が有るのか分かった物では無い。


今回の建国祭で4人の妃が初めて勢揃いするとの事なので、そんなヤバい即死イベントなどシーナは逃走する気満々だ。


ちなみにラーナも全力でブッチするつもりだ。

キッチリとヴィグル帝国の皇太子との会談と言う名目と準備の為の欠席をしっかりと国王のヤニックからゲットしている。


本来ならヴィグル帝国の皇太子こそがラーナの婚約者候補になるはずだが、

ラーナには次期宰相の子息のオルランドと婚約してるのでその件は対象外になる。

さすが軍師といった手廻しの良さだ。


今回はどちらかと言うと側妃達の地位向上目的なので王妃ファニーも目立つ動きはしないつもりだ。


今回の妃大集合イベントが終わると力の限り表舞台から逃げまくるつもりだ。


「うふふふ、シーナに作って貰ったコレが役に立ちますわ」

銀仮面のローブを手にニンマリする王妃ファニーだった。


夫に全て丸投げして実家のヴィアール辺境伯家へ帰省する計画まである。


王子ロミオは既に近衛騎士団長ティボーの実家に訓練名目で退避済みだ。


お祭りに参加出来ないのは少し可哀想だが仕方ない、お祭り見学は来年までお預けになった。


つまり正妃関係の王族が全員ブッチすると言う、1人取り残される国王ヤニックの胃に穴が空きそうな展開だ、しかも、


「ラーナとシーナはヴィアール辺境伯領の視察に連れて行きます、ファニーも久しぶりに里帰りさせます。陛下はしっかりと側妃様方の御機嫌を取って下さいね」


ヴィアール辺境伯家のスージーに笑顔で釘を刺された始末だ。


そして密かに王子ロミオもヴィアール辺境伯領へ招く予定だ。


要約すると「戦争が終わったんだから他の嫁さんとも、仲良くして、ちゃんと子作りしろ!私達は邪魔になるから逃げるからね!」


とスージーから発破を掛けられているのだ。


そんなこんなで、ヴィグル帝国の使節団が王都より5kmまで接近中との早馬での連絡が入る。


シーナが開発した通信用の魔道具の有効距離は最大でも5kmも無いのでまだまだ連絡の主流は早足になる。


シーナは通信の有効距離の拡大を目指しているが単体の魔道具では限界が近いのは分かっているので別の手段を模索中だ。


少し前に友人のセリス嬢に話したら、「それってまんま電話じゃん」と聞いた事ない単語が出たので詳しく聞くと本人も咄嗟に思い付いただけで良く分からないとの事。


消えかけの薄い記憶を辿るとどうやら細い銅線で建物と建物を繋ぎ、魔力を流して通話をするらしい、「ほーへー、面白い発想ですねぇ」と呑気な反応のシーナだが、

多分彼女の事だからその内、実用化してしまうだろう。


しかし現実に一般に普及させるのはかなりの時間が掛かりそうだが。


それよりもヴィグル帝国の使節団が接近しているので王都内の緊張感もMAXだ。


各所に警備員と誘導員の配置が開始されて、見物客の場所取りも解禁されて思い思いの場所に陣取り始めた。


シーナ達も散開して監視を始めている、今の所は問題無しだが油断は出来ない。


到着まで後3kmの伝令が入ったので王都正門ではセレモニーの体制になる、

到着を楽団と儀仗兵で迎える為に各位の整列が始まった。


出迎えは国王ヤニックと第1側妃だ、側妃達の話しはその内に詳しくやります。


現時点で誰の名前も設定も何も決まって無いのは内緒の話しだ、これから考えます。


王妃ファニーは王城で出迎えなのだが朝からステルスモードに入って存在感が無い。


謁見場での主役は第3側妃だからだ、第2側妃は喪中なので舞台袖で静かに佇むだけらしい。


第3側妃と貴族達が整列して待ち、

その中をヴィグル帝国の使節団を連れて国王ヤニックと第1側妃が入場する演出だ。


ちなみに王妃ファニーはこの時にこっそりと国王ヤニックの横に立つつもりだ。


ファニーは「何なら舞台袖の1番脇でも良いかな?」と思ったが国王ヤニックに、

「私の胃の為に頼むから私の横に立ってくれ」と懇願されたので致し方無し。


側妃達はこの最近の王妃ファニーの行動に困惑している、この機会に絶対にマウントを取りに来ると思って警戒していたからだ。


絶対にファニーが「わたくしこそが正妃ですわ!お~ほほほほ」となると思って警戒していたのだか・・・


マジでここ数日間、王妃ファニーの存在感が薄く、今日に関しては姿もほとんど見えないのだ。


存在感がないのは無論、シーナに作って貰った装備品を使用してるからだ。


王妃ファニーはそんなマウント取りよりも、ラーナとシーナにくっついて実家のヴィアール辺境伯領へ行く準備で忙しいのだ、何ならこの機会に、

「いっその事、正妃の座を誰かに譲りましょうか?」などと思っている。


いや、流石にそれは不可能だよ?話しを根底から作るの大変じゃん?


そもそもファニーが王妃になったのは、国王ヤニックと宰相エヴァリストに懇願されたからだ、権利に関心が無くて面倒がり屋のファニーが自分から王妃なんて面倒な事をやりたがる訳が無い。


ヤニックが視察に行った際にヴィアール辺境伯領で息女だったファニーに一目惚れして、何の脈絡も無くヤニックが突然婚姻を申し込む。


いきなり寝耳に水をぶっかけられたファニーは、

「何?この陛下マジやべえよ!逃げー!!」とマジで逃亡したのだ。


それをスージーが娘を華麗にひっ捕えて王城へそのまま連行されて、宰相のエヴァリストにガチで説得されて、ようやく実現した結婚だったのだ。


なので国王ヤニックと宰相エヴァリストはスージーに全く頭が上がらないのだ。


ラーナとシーナのヴィアール辺境伯領への視察と王妃ファニーの里帰りもスージーの鶴の一声で決定したくらいに頭が上がらないのだ。


スージー的には側妃達の地位が低い事を常々懸念していた理由も有ったのだが。


ヴィアール辺境伯家ほどの力が有り、国からの援助が一切必要なく、治外法権でも特に問題ない家門なら良いが、側妃達の実家は王家からの庇護が必要だからだ。


だから早く子を作って安心させてやれ!とスージーが言っているのだ。


建国祭が終わったらまた、一波乱ありそうだ。

水曜日から外伝の話の改稿版と新しい話しを投稿します^^


決して本編書く時間稼ぎしてる訳では・・・はいそうです、すみません^^

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