幻夢の銀仮面編 9話 「銀仮面の学園生活 その1」
「嫌ですよぉ!ラーナが帰って来たのになんで私が学園に登園するのですか?!」シーナは下着姿で頑張って抵抗していた。
前にはミリアリアが学園の制服を持ち、左右には化粧品とブラシを持つ侍女、後ろには満面の笑顔の王妃ファニー、他周囲にはたくさんのメイド軍団の包囲網だ!
四面楚歌とは正にこの事だろう、ウルルンと涙目で静かに椅子に座っているラーナに視線で助けを求めたシーナだが・・・
ラーナは涙目どころかガチで泣いていた?!この涙は?悲しみでは無い!痛みなのか?心無しか身体が前のめりになりお尻を押さえている?
昨晩こっそりと学園の私室に帰ってお風呂に入っていたラーナだったが、幻夢の銀仮面の装備を脱いだので認識阻害魔法が無効化してしまった事を完全に忘れてたラーナは天龍レンヌに速攻で見つかり捕獲された。
当然ラーナはレンヌに素っ裸のままにお説教を喰らい速攻で服を着せられて、笑顔で待つ王妃ファニーの元へ連行された。
そこでラーナは笑顔のファニーから問答無用で膝に乗せられてお尻を100発思い切り叩かれたのだ、今までの最高は70発だったので記録大更新だ!やったねラーナ♪
余談だがお尻ぺんぺんは辺境伯家伝統のお仕置き方法だ、王妃ファニーは通算で2500発以上は母親のスージーから叩かれている。
なので後遺症や痣が残るなど絶対に無い叩き方をマスターしている、何せ自分が叩かれまくったのだ!
そんなお尻ぺんぺん初心者的なしくじりはしないのだ!
なのでラーナは今、お尻が痛くて行動不能だ、なのでやはりシーナが代理で登園する事になったのだった。
「ごめんなさいシーナ、私マジ無理です」とシーナの助けを嗚咽混じりに拒否するラーナ、それどころじゃ無い様子だ。
「もう、変な事をするから悪いのですよぉ・・・」とシーナは気の毒に思ったが呆れたので今の言葉を返したら「ごめんなさい、本当にマジ無理です・・・」とラーナは更にシクシク泣き出した。
王女ファニーは子供を甘やかすだけの母親ではないのだ!叱る時はちゃんと鬼になれる母親なのだ!ちなみに自然に治るまで治療は許されていない。
ラーナの姿を見て、「あっ、これもうダメな奴だ」とようやく観念したシーナだった。
制服は平民にも簡単に着れるがモットーなのでアッサリと準備は終わった、王妃ファニーから「学生生活をして見るのも経験の一つですよ」嗜められて「そう言えば龍都でも学園に通った事無かったですね」と少し前向きになったシーナだった。
いきなり放り込まれても困るだろうとミリアリアが臨時の侍女として付き添う事になった、ミリアリアは2年前の学園の卒業生でなんとビックリ2年間生徒会長を勤めていた才女との事。
王妃ファニーの辺境伯家に連なる子爵家の令嬢で田舎令嬢と馬鹿にされていたが持ち前の明るい性格と根性、それに才覚で学年主席の座に君臨し続けていたとの事だ。
「ミリアリアさんって凄い人なんですねぇ」と新たなる獲物に目が光るシーナ、どうして?なんで?の知識欲魔人シーナの質問攻撃をミリアリアが全て捌き切るお話しはまたの機会に。
とりあえず遅刻しそうとの事で転移魔法で学園のラーナの私室に飛び、速攻で登園の準備をしてミリアリアと共に魔導研究課のAクラスへ向かう、シーナはしばらく学園の探検をしていたので学園内で迷子になる事は無い、ついでにラーナの人間関係もバッチリ把握している、護衛任務には必須なので当然だ。
廊下をラーナと同じ様に静々と歩くシーナ、この手の教育はエレンやユグドラシルから受けているのでお手のものだ、「ラーナ様、おはよう御座います」と同じAクラスの男爵令嬢のイドから挨拶される、
「イド様、ご機嫌よう」と笑顔で応じる、ラーナの仕草や言動なども護衛としてバッチリ把握している、シーナは知識欲が強い学者見たいな性格なので日々の勉強は怠らないのが取り柄だ、ラーナは天才肌でシーナは秀才肌と思ってくれて良い。
このイドと言う少女はラーナの親友で学園内で一緒に行動する事が多い、他にも3人ほど親友と呼べる友達がいるが残念ながら高等部進級の際に学科が別れてしまった。
ラーナの所属している魔導研究課のAクラスの人数は定員20名に対して13名在籍と少ない、単に専門的過ぎて将来的に学者志望の生徒しか選択しない為である、その代わり全員がかなり優秀だ。
「皆様、おはよう御座います」とシーナはクラスに入りクラスメイトに挨拶すると、「おはようございます」「はよー」とバラバラな挨拶が返って来る、王女殿下に対して不敬な態度だが、ラーナがそうして欲しいと根気強くお願いしたので何時もクラスはこんな感じでストレスレスだ。
クラスメイト13名の内、7人が男子で6人が女子生徒だ、全員仲が良いのも魅力的なクラスだ。
基本席が空いてるので自由に座るがラーナは教卓から正面後ろが指定席だ、これは警備の関係上である、ラーナは少し近眼なので1番前に座りたいのだが却下されている、シーナ?健康優良児なので裸眼の視力は左右2,0だ。
でも一応ラーナと同じ様に伊達眼鏡をつけている。
教師の白髪頭のお爺ちゃん先生が入って来たので全員起立して、「「おはようございます!」」と挨拶をする。
「はい、皆さんおはようございます、座って下さい」と優しい口調の先生に着席を促されて全員席について授業が始まる。
「全然、授業内容が解りません」なんて事は無く、学者シーナは真剣に授業を聞く、シーナ的には復習レベルの基本魔導術式の構造の授業だが、お爺ちゃん先生の話しが解り易く楽しいのだ、ラーナがこの課を選択した理由が良く分かったシーナだった。
あっと言う間に午前の授業が終わり昼食の時間になった、シーナは別に食事を取らなくても問題無いが、「早く食堂に行きましょう」とお腹を空かせたイドに手を引かれて食堂へ向かう。
すると正面から平民と貴族の生徒が5人ほど歩いて来ていてシーナは1人の少女に目が止まる。
「あれ?あの子報告書にあったアナベルさんと言う子では?」とバンパイヤな少女アナベルを発見して声を掛けようとしたら、スッテッーンと効果音が付くレベルでアナベルは転んだ。
「ええ?何で?」と思ったら全員が貴族の子息や令嬢の10名ほどの一団の1人の男に足を掛けられたのだ、アナベルを見てニヤニヤしてしている、一緒に歩いていた友人だと思う女生徒達に起こされる、すると女生徒の1人がその一団に、
「あんたら何すんのよ!!」と盛大に喰って掛かった!
「何ってなんだよ?平民」と足を掛けた男はニヤニヤしながら応じる、いや、その子どう見ても高位の貴族令嬢だぞ?
「この子に足を掛けたのあんたでしょ!あたし見てたんだからね!」とヒートアップする女生徒、勝気そうな顔立ちにウェーブ掛かった長い金髪で碧眼の女生徒だがシーナの頭の情報網に1人該当者がヒットする、
クリスティーナ・フォン・カターニア公爵令嬢だ。
三大公爵家の一つのカターニア公爵家の次女だったはず、前に姉のセリス嬢の変わった護衛依頼の時少しクリスティーナとも話したので覚えている。
「へっ、だから何だってんだ?平民の分際で俺に意見でも言おうって言うのか?」と尊大な態度を崩さない男、いや、だからお前より高位の貴族だっての。
「貴族だろうと平民だろうとやって良いと悪い事の分別くらいあるでしょ?!」と更に怒るクリスティーナだが、一団の貴族の令嬢にクリスティーナを知っているのだろう1人の女生徒の顔色がドンドン悪くなって行く、それはそうだろう、彼らの家の家格がどれだけ高いか分からないが最高位の公爵令嬢にここまでの不敬を働いたのだ、何が起きるか見当も付かない。
「うるせえ平民だな!潰すぞ!」との男の一言でさすがにシーナも頭に来た!ので遠慮なく介入させて貰う。
「いかがなされましたか?カターニア公爵令嬢?」シーナは静かな口調でゆっくりとした動きで騒ぎの輪の中に入って行った。
「あっ?!何だ!お前?!・・・!!らっラーナ王女殿下?」と男は相当ビックリした様子だ、だが許して上げないとばかりに・・・
「あらまぁ、怖いですわね、私はクリスティーナ・フォン・カターニア公爵令嬢の事は存じておりますが貴方方の事は全く存じておりませんの・・・お名前、教えて頂きたいですわ」と首を傾げてニコリと笑うシーナ、但し額に血管が浮き出てるが・・・
要約すると「お前等誰なんだよ?」だ。
ここに来て喧嘩相手が公爵家令嬢で王女殿下がその加勢に入ったとようやく理解した貴族の子息と令嬢達、最低でも降爵位は免れないとんでも無い大失態だ!下手をすれば家門取り潰しも充分にあり得る。
そもそも学園内で平民虐めなどヤニック国王の治世下で許される訳もないのだが。
ここでシーナは地龍の威圧を少し加え「あら?聞こえなかった様ですわね、貴方方のお名前とお家の名前を教えて頂けたら嬉しいのですが?」と更にニコニコと返答を促す。
要約すると「王女が聞いてんのに何で黙ってんだ?早く教えろや!」だ。
もう彼ら全員涙目だ、いやもう泣いてる令嬢も居る。
しかしここで心優しいバンパイヤな少女が彼らに助けを出す、
「あの!私は大丈夫です!幻夢の銀仮面様!」
助けを出すどろか縦断爆撃の爆弾投下をしたアナベルだった。




