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片腕の王女編 4話 「片腕の王女が進む道」

ノイミュンスターに詳しい話しをと促されて王妃ファニーここまでの経過を話し、それをノイミュンスターはただ黙って聞く。


一通りファニーが説明を終えると一つため息を吐くノイミュンスターは、

「「そんなものシーナを逃がせば良かろうに」」と呆れた。


「え?」思わぬ言葉に動揺するファニー


これが王城であった一連の経緯を聞き終えたノイミュンスターの感想であった。


「「王家所有の地方の隠れ家とか幾らでもあるであろう?そこに隠してしまえば良かったろうに、幾らでもやりようはあったはずじゃがのぅ?


そもそも生贄も何も地龍は食事はほとんどせぬ、地龍王様も人間の生贄など捧げられてもいい迷惑なだけじゃ、間違い無く拒否されて放逐されて終わりじゃ。


それに他者を犠牲にして己れ達は生き残ろうなどの考えは地龍王様の逆鱗に触れるだけじゃ、そう言う輩こそ地龍王様は嫌うからな。


我と先に会い良かったぞ?激怒した地龍王様によって300年前同様に王城が滅ぶ所だったやもしれぬ」」


自分が犯そうとしたとんでも無いあやまちを諭され血の気が引くファニーであった。


それから300年前の真相を語るノイミュンスター


「「あの時、地龍王様が王城を滅ぼしたのはピアツェンツェア王家が大陸全土を疫病で汚染させたからじゃ。


人間達の勢力争いなど我等にはどうでも良い事じゃからな。


龍種の役目は世界の調和と安定じゃ、地を穢せば地龍が、大気を穢せば天龍が、海を穢せば海龍がそれを正すのじゃ、天龍が地を穢した者を守護をする事は絶対にない、寧ろ天龍王アメデ様が1番に激怒されておられたからな。


天龍達に国を滅ぼされなかっただけ良かったのじゃ、天龍は罪ある者に対しては我等地龍より苛烈じゃからのぅ・・・


それを自分達だけに都合の良い解釈をし300年も得体の知れない掟だか禁忌やらを守り続けるとは、ピアツェンツェア王家は大丈夫なのか?」」


「あっ・・・う・・・」あまりの正論に何の言葉が出ないファニー。


地琰龍ノイミュンスターの言葉はただ世界にとって正しい言葉、特定の種族の都合など論じるにも値しない。


「「さて、では次はシーナの今後の件じゃな」」


いよいよ本題、自分の命より大事な話しだ!全身に力が入るファニー。


「「シーナは我の娘としてスカンディッチ伯爵領で育ってよう」」とノイミュンスターがファニーに告げる。


「えっ?!」突然の話しに思考が停止するファニー。


「「他にも色々と手段はあると思うがシーナにとって1番安全なのはこれじゃな、我はシーナの事が気に入った、我の娘とすることに抵抗は無い」」とノイミュンスターは笑う。


幻聴でも聴いたかと疑いたくなる話しだった、最高位の地龍が里親ならどんな大国でも容易く手は出せない、しかし人に化ける事など容易い龍種だが子育てなんて出来るのだろうか?とも思うファニー。


「「うん?心配せずとも我は今まで2人の人の子を育てた事があるし、スカンディッツの住人の半分は人に化けた地龍じゃからのぅ」」


!!!ファニーにとってはかなり衝撃的な暴露だ!

人と交わる事が無いと思っていた龍種がこんなに身近に自分の王国内にいるとは夢にも思わなかった。


「「王城の中には天龍の化身も居るらしいのぅ、ファニーは王妃なのだからその程度の事は把握するべきじゃ」」更に衝撃的な真実を暴露をするノイミュンスター。


「あっ!つ!」次々と衝撃的な事実を告げられて身体が宙に浮いてる様な感覚になる、地龍だけでなく天龍まで自分のすぐ身近にいる?!


「「我は知らないが物好きな龍種が人の町に大勢住んでるとも聞いておる、我も物好きな1人になるのだがな」」ワハハハハと快活に笑うノイミュンスター


「「シーナはこのまま我が引き取って町の知り合い女に一旦預ける、ああ心配するで無いぞ普通の人間のシスターで他の人間の子も大勢おるぞ」」


シーナを預けるのはスカンディッツ伯爵が直接運営してる天龍教教会兼孤児院らしい、なんと!スカンディッツ伯爵も地龍の化身で人の子が好きなのだとか。


シーナの行く末が具体的に明確に開かれて行く!

夢心地のままノイミュンスターの話しに耳を傾けるファニー、昨日までは遥か遠い存在だった龍種が自分の身近な存在へ変わっていく。


「「まぁシーナもそうじゃがお主も死なせるのは惜しいのぅ、ピアツェンツェア王城には天舞龍リールと言う者が派遣されておる、我とは古き友だてお主の事も頼んでおこう」」


「天舞龍様ですか?!」神話の中の1つでも主役で登場する世界的にも有名な天龍だ!そんな存在までもが自分の城に?!と驚くファニー


「「うむ、大体の事は天舞龍がなんとかしてくれよう」」


ここでファニーは1つ疑問に思う。

「あの・・・失礼ながら・・・天龍様と地龍様の仲は余りよろしくないのでは?」それが人間世界の常識だからだ。


「「ん?ああ、それも人間の支配層に都合が良い解釈じゃな、確か天龍教と地龍教じゃったか?生憎と龍種は有史以来現在もしっかりと連携しておるぞ?はぐれ者以外はな」と何でもない感じで言うノイミュンスターだがファニーはそれどころではない。


次々と常識が打ち破られて行きどうしたら良いのか分からなくなるファニー、城に帰ってやる事が多すぎるしちゃんと理解も出来るかも不安になる。


「「ふむ、どうしても理解出来なければ国王に任せば良いぞ」」


「陛下ですか?」わたくしの旦那様が?と首を傾げるファニー


「「おそらく今回も我ら地龍に手を回したのは彼奴であろうな、我らはお主が山に入る前から事情だけは把握しておった、手を貸すかどうかは別にしてな」」


ますます分からない事が増えるファニー、一体どれだけ把握出来てない事柄があるのだろうか?


「陛下にお聞きすれば良いのでしょうか?」


「「お主に知らせてないのなら今は聞くべきで無いな、真相を知ったお主が危険に晒されるのを嫌っておるかも知れぬ」」


生け贄になりに山に入ったのに世界の真実を次々と明かされ、ただ困惑しっぱなしの王妃ファニーだった。



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