幻夢の銀仮面編 8話 「幻夢の銀仮面(ラーナ)の冒険 その4
誘拐犯達の馬車の一団だと思われるが確証が得られて無いので憲兵の制服を着ているマッテオとチャーリーが探りを入れる事になった。
マッテオは腹芸が出来ないので話しかけるのはチャーリーだ、銀仮面は面が割れてる可能性が高いので茂みに隠れて後方支援だ、まぁ、面が割れて無くても後方支援一択なのだが、真っ先に突撃をかますお姫様などシーナくらいのものだ。
マッテオとチャーリーの2人は手を上げながら一団に近づいて行く、元々打ち合わせ済みなのだろう馬車はゆっくりと停止する。
3人の役割は応援が来るまでの時間稼ぎだ、下手に攻撃をして誘拐された女性が殺害されたなど最悪だ、チャーリーは先ず雑談で時間を引き延ばそうとする。
「いやーちょっと良いかな?すまないね、南部からの指名手配されている強盗団の賞金首達を追いかけて捜査をしていてね、協力して欲しいのだけど」と全く関係ない別の事件をでっち上げて相手の警戒心を緩和させる。
マッテオは近づくと絶対に馬車を観察しようとするのでチャーリーの後ろ2mで合図がある迄待機させている、やる気が無い様に見せる為に馬車を見ないで明後日の方向を見てる様に言い含めている。
「そうなんですね、それはもう協力させて頂きますよ」と笑顔で応じる年配の御者の男、本当にこの日のみ雇われた可能性も高いので慎重に観察する必要がある、探知魔法は察知されるので観察力頼みである。
「ありがとう、それで馬車の中をざっと見たいのだけど良いかな?」と検閲の基本行動から始める、「ええ、どうぞどうぞ」と気持ち良く応じる御者、そこで初めて合図を受けたマッテオが馬車に近づいて観察を始める、外から馬車を観察してすぐに1台の馬車から不審な点を幾つか発見するが今はスルーをする。
なるべく時間を稼ぐ為にゆっくりと別の馬車の中の検閲をするマッテオ、中に居る男達にゆっくりと質問をしている間にチャーリーは御者の男と雑談を続ける、「最近はゴルドからの混乱で治安が悪くなって参っちゃうよ、俺なんて人出不足のせいで、一昨日から王都に出向する羽目になっちまってさ、恋人に愛想尽かされないか心配だよ」と自分は王都の事は余り知りませんアピールをするチャーリーだった。
その間、銀仮面は遠視で熱源を感知していた、
「なるほど、馬車の中が二重構造になっていて馬車を外から覗いただけでは分からない様になっているのですね」と手の込んだ犯罪の手口に感心するのと同時に呆れていた、その技術を普通に活かせば何不自由なく暮らせるのに、と思う銀仮面だった。
その時遠くに多くの熱源を感知した、数は約300!おそらくは憲兵隊と冒険者の拘束部隊だろう、到着予定は15分後と予想される、遠距離からの魔法攻撃のタイミングを計る銀仮面。
「もうそろそろよろしいでしょうか?」とチャーリーの長い世間話しにそろそろ嫌気がさして来た様子の御者、マッテオがさりげなく誘拐の被害者が乗っているであろう馬車に背を向けつつ近づいて行く、熱源感知の結果、敵の数は13名、人数は少ないがアナベルからの情報でバンパイヤが数人混じっているのは確定だ、油断は出来ない。
応援部隊到着まで5分、これ以上警戒されず引き留める事は無理そうだ、銀仮面は魔力抑制術式を解除して銀仮面の防衛機構の全てを起動させた、御者の男がピクリと反応する「ん?どうかしたんかい?」チャーリーは最後の引き延ばしを試み見ると同時に身体能力上昇魔法を即時発動出来る状態にした。
「クソ!囲まれてるぞ!」と馬車から1人のバンパイヤが飛び出した!その瞬間を逃さず「炎槍!!」銀仮面は全力で炎槍を撃ち出した!数は30以上!
ドガガガ!!ガンガンガンガン!!ゴオオンンン!!
銀仮面の炎槍が女性達が閉じ込められている馬車以外に広範囲に着弾して爆炎を巻き上げ馬車の破片が周囲に飛び散り始める!
いきなりの高威力の広範囲魔法攻撃に面を食い動きが止まったバンパイヤにマッテオが右側面から上段で斬りかかる!
ズバアア!!これは完全に奇襲になりバンパイヤの肩口にマッテオ剣が深くめり込み更に魔力の波動が傷口を焼く!「ギャアアアア!」マッテオの剣はノイミュンスター特製の対魔法生命体用の魔剣だ!即死には至らないが凄まじいダメージがバンパイヤに入る!
「おのれぇ!」御者の男が本性を現して魔法でマッテオを攻撃しようとしたがチャーリーの横からの薙ぎ払いで両手首を飛ばす!
「あぎゃああ!!」男は悲鳴を上げながら御者台から転げ落ちた所を「氷弾!」銀仮面の氷の速射魔法が追撃して来る!
ドドドド!!「あが!ががあ!!」1発の威力は低いが連射での連続のダメージが入る、しかし銀仮面は魔法攻撃に集中し過ぎて周囲の警戒を怠ってしまった!
後方支援を潰そうとバンパイヤが後ろに周り込んでいたのだ!
銀仮面の真後ろで銀仮面を目掛けて大剣を振りかぶるバンパイヤ!・・・あっ!と思い銀仮面は全魔力を防御機構に注ぐ!間に合うか?!
さて、シーナはラーナと比べて魔法技術も剣技も状況判断能力も劣っているが圧倒的にラーナより優っている物が2つある。
1つ目は体内の魔力総量と2つ目は「実戦経験」だ、当然ラーナが今置かれている状況・・・いや、寧ろこの様な状況下で最大の防御機構が発動する様に徹底的に作り込まれているのだ!
ある一定量の魔力が防御機構に注がれると必殺の「白銀輪乱舞」が自動発動する!かつての地龍王クライルスハイムが「必殺技を授けよう!」で伝授された技だ!
魔力を纏った直径10cmの白銀のチャクラムが100枚ローブに仕込まれた空間魔法術式から360度全方位に一気に撃ち出される!
これだけでもかなりの高威力の攻撃だが、白銀輪乱舞の真骨頂はここからだ!
それは100輪のチャクラムがここから銀仮面の周囲を高速で回り始めて敵を切り刻むのだ!
ザク!ザクザクザザザ!!100枚チャクラムが射程圏内に居るバンパイヤを次々と高速で切り刻む!「あ?!あああ!ああー??!!」
魔力が籠った白銀での連続攻撃・・・完全な偶然だがバンパイヤにとって正に最悪に相性が悪い攻撃だ、全ての生命力を削り取られたバンパイヤは剣を振りかぶったまま灰になり風に飛ばされて消滅した。
「ひいい!!」消滅したバンパイヤのすぐ側に別のバンパイヤがいたが目の前で仲間が一瞬で消滅したのだ、余りにも恐ろしい光景だろう、しかも100輪の白銀のチャクラムは光の軌跡を描きながら銀仮面の周囲をまだまだ大絶賛回転中だ。
銀仮面が一歩前に出るとチャクラムも律儀にその分一緒に前に出る!
「ひ!」とバンパイヤは小さく悲鳴を上げるが恐怖で動けない見たいだ、「降伏なさい!!」と凄みながら銀仮面が2歩前進したら「ひえ!!」と尻もちをつきそのまま大慌てで大の字に寝転がるバンパイヤ、無条件降伏だ。
銀仮面は震えてる足で頑張って立っている、残りは・・・周囲を見ると公園で会ったバンパイヤは銀仮面を見て既に地面で大の字になっていた。
残りの男達は金で雇われたただのゴロツキだった、マッテオとチャーリーがどんどん制圧を行なっている。
応援部隊も到着して犯人達の逮捕と無傷の馬車から無傷だが少し憔悴してる女性6人が保護が開始された。
それから直ちに現場検証も同時に開始されたが幻夢の銀仮面がいつの間にか行方不明になっていた。
これについては、「幻夢の銀仮面の報告は冒険者ギルドマスターのイノセント殿から来ると思います」とマッテオも面倒事は上司に押し付けるのが1番とイノセントに押し付けている。
こうしてバンパイヤによる誘拐事件は幕を下ろしたのだった。
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「と言う事らしいです・・・」と王妃ファニーが顔を手で覆いながらフローラからの報告内容を晩餐会の出席者に説明をしている。
「おおっ!さすがはラーナ王女殿下!大武勲ではありませんか!」とクロッセート侯爵は何かと高評価なラーナの武勲に大喜びだ。
「ラーナお姉さまもすごいです!」ロミオ少年も姉の大活躍を聞いて大喜びだ。
「いやはや驚きましたな」とティボー近衛騎士団長は楽しそうに笑っている。
「ラーナは凄いですね!」いや!お前はもっと反省しろ!
この時のシーナはイノセントに高威力の装備品管理体制不足を怒られて始末書と装備品の申請書類と管理改善計画書を書かされる未来を知らない。
「ラーナはいつの間にか消えてしまったらしいので明日の学園は予定通りシーナに代理で行って貰う事になりましたね」と王妃ファニーは死んだ目でこれからの予定を全員に告げる。
シーナは「ああー!そうでしたー!忘れてましたよ!」いや忘れていたんかい!そうですか遂に学園のお話しが始まる日が来てしまいましたか・・・俺は頑張るよ!
ミリアリアが「制服の仕立て直しなど全て完了済みです!」どドヤ顔で言うと、「本当に仕事が早すぎますよ?!」とシーナが叫んだ。
ちなみに行方をくらませたラーナは学園の私室に戻りお風呂に入っていた所をレンヌにとっ捕まっていた。
でもシーナが生徒として学園に行く事は確定事項なのだ。




