幻夢の銀仮面編 2話 「初めてのピアツェンツェア王都」
幻夢のメンバーと再開を果たしたシーナは次の大切な約束を果たす決意をする。
ピアツェンツェア王国の王城へ行き王家の人達と会う事だ。
中々ヘビーな出自のシーナにとっては、かなりの決意が必要な人生の転換期と言って良い話しだ。
今回だけは、誰の力も頼らず1人で行くと決めていたシーナ、でもユグドラシルには頼ろう、同一存在だしね、と逃げ道はしっかりと確保するのも怠らないシーナであった。
実は王城へ行くのは一瞬だトムソン鍛冶屋と王妃ファニーの私室はノイミュンスターの転移陣で直結されているのだから。
でもいきなり行っては向こうも驚くだろうから先に手紙を書いて返事を待ってから出発しようとか色々考え込んでいたら、
ノイミュンスターの「転移陣で先に手紙を送れば良かろう」の一言で解決した。
王妃ファニー宛に手紙を書いてノイミュンスターに送ってもらった・・・
ら五分でファニーがやって来てシーナを思い切り抱きしめた、早っ?!
これにはノイミュンスターもびっくりした様だった。
「あーんシーナ!久しぶりいい!」と頬を頬でウリウリウリウリウリウリウリウリと超長いウリウリをされて苦笑いのシーナ、五分程ウリウリして満足したのかようやく話しをする気になったファニー
「お久しぶりです!お母様、と言っても私には一瞬だったので全然実感がないのですけど」とヘラリと笑うシーナ。
「まぁ!そうなのね?エレンさんの言う通りでしたのね・・・・」と何かに気づいたファニーがシーナの胸を見て、揉んだ?!「ひゃっん?!」とシーナがまた艶っぽい声を出す!
「まぁ!すっかり大人の女性になって!素敵な淑女になりましたね」
と感極まったファニーがシーナを抱きしめた、こうして落ち着いて話しが出来るようになるまで30分かかった。
「やはりそうですか・・・」と残念そうなファニー、地龍の王太女になったシーナが正式にピアツェンツア王国の王女の地位を完全に返上する旨を王妃ファニーに伝えたのだ。
「でも家族としてのお願いでしたら冒険者として幾らでもお受けします!」
とファニーの手をガッシリと握ってシーナが伝える。
「しかし顔を見られるのは不味かろうな、ラーナ王女と同じ顔じゃからな、余計な事を考える輩が必ずや出る、何か策を考えねばな」とノイミュンスターが提案する。
「そうですわね・・・冒険者ギルドのハイマスター様に相談して見ますか?」と指を頬にあて思案するファニー。
「ハイマスターさんってイノセントさんですか?」と言ってすぐに「しまったぁ!」と思ったシーナだったがもう遅い・・・
「あら?なぜシーナがイノセント様の事を知っているのですか?」
と不思議そうなファニー、完全に疑念を持たせてしまった?
「えっ?えっと?イノセントさんが前に仕事でスカンディッチに来た時に知り合いました!」と咄嗟に上手く誤魔化せた!
と自分を賞賛したが産みの母親には勝てる訳がなかった!
「うふふ、シーナ?あなたとラーナはやはり双子ですね、嘘をつく時の癖が一緒ですわ」と1秒で嘘を見抜かれる、ズズイとシーナに顔を近づけるファニー、後退りすら許されない見事な詰め寄りだ。
この詰め寄りには軍師たる王女ラーナでも逃げられないのだ。
「さあ!シーナ?なぜイノセントさんと知り合いなのですか?」と母の気迫に完全に圧倒されるシーナであった。
結果、母の気迫の前に完全敗北したシーナは結局はゴルド王国での事を全て白状させられたのだった・・・・・・チーン
話しを聞き終わりファニーは頭を抱えたが「まぁ、今が無事ですので良しとしましょう!」とシーナの頬を手で掴み左右に引っ張った?!
「!!!いひゃひゃひゃ!いひゃいれふ!ほはあひゃま!」と涙目のシーナの目を見て「次は必ず母に相談なさい!」と一喝された。
「はい・・・ごめんなさい」としょんぼりシーナであった、母は強いのだ!
それを見ていたユグドラシルが「わたくしも負けられません!」何故かファニーに対抗心を燃やすのだった。
「お母様、私とラーナが嘘をつく時の癖ってどんな感じなのです?」頬をスリスリと先程一発で嘘を見抜かれたのが凄い不思議に思ったシーナ。
「さあ?」首を傾げるファニー、「ふえ?」どう言う事?と言った感じのシーナ。
「直感・・・としか言えませんわ、目の動きや口調、声のトーンとか?全部まとめての癖かしら?」と凄い曖昧な表現だ、「それじゃあ対策なんて取り様がないじゃないですか?」と思って項垂れるシーナ。
「とりあえずはシーナの第一王女の地位の返上は了解しますわ」とやけにアッサリしてるなーと思ったら、
「その代わりピアツェンツア王家はシーナの後見人になりますわ」と全然アッサリしてなかった?!
「こっ後見人ですか?!」後見人一体それは何ぞや?
「ほう、考えたのぅ、王家同士が後見人になるのは珍しい事ではないからのぅ、実際クライルスハイム様とアメリア様はリールの後見人だしな、
おそらくシーナの後見人には天龍王アメデ様になろうな、そこに神虎が後見人に入っても何の違和感もない・・・エヴァリスト辺りの策じゃな?」
と愉快そうなノイミュンスター。
それに対してファニーは「うふふふ」と笑って誤魔化した。
「いずれにせよこの話しは地龍側は受けるじゃろうて、メリットは有ってもデメリットは無いしな」そう聞いてシーナは「なら良いのか」と思ったが後見人をダシに何回もピアツェンツア王城に行く羽目になる未来をシーナはまだ知らない。
「でも色々と手続きがあるから一度シーナはお城に来ないとダメだわ、都合のいい日はいつかしら?」ぶっちゃけて言うと、王女の地位の返上も後見人の手続きも本人が城に行かなくても大丈夫だ、単に手っ取り早いだけだったりする。
一度シーナに実家を見て欲しいとの母親の思いで言ってるだけだ、そこはシーナも同じ思いなので王城に行く事を快諾する。
「元々今日お伺いするつもりでしたから準備は出来てます!」と空間魔法内蔵の旅行鞄をひょいと見せるシーナ。
中身はエレン&ユグドラシル監修のお出かけセットなので礼服も完備している、実はシーナはもの凄い大金持ちなので品物は大貴族に引けを取らない一級品ばかりだ。
パアアアとファニーの表情が明るくなり「では今から行けるのですね?」と聞かれてシーナが「はい!」と答えた。
「うむ、では王城まで送ろう」とノイミュンスターが手をかざして魔法陣に魔力を込めようとして・・・やめた?
「?ノイミュンスター?」と声をかけると「シーナお主がやって見よ、おそらく難無く転移魔法を使えるじゃろうて、練習じゃ」とノイミュンスターが促す。
「ふえ?!私がですか?」シーナは空間魔法が得意では無いので狼狽える。
「うむ、お主はこれから転移魔法を使う機会が増えるじゃろうて練習しておくに越した事は無い、なに、最初は我もサポートするから大丈夫じゃ」
確かに!と思いシーナは転移魔法にチャレンジして見る!
「良いかシーナ?転移魔法は誰が魔力を注入しても必ず同じ結果が出る様に作られておる、先ずは苦手意識を捨てるのじゃ、良いな」と魔法陣に手を出すシーナに手を被せるノイミュンスター。
「では、始めい」とのノイミュンスターの号令と同時に魔法陣に魔力を注入し始めるシーナ、ここでシーナは今まで違う感覚に気づく、
魔法陣の構造がはっきりと解るのだ、そう言えば進化の眠りの最中、ユグドラシルの授業で魔法陣の構造を散々勉強させられたな、と思い出したシーナ。
構造が解るなら問題ない、ゆっくりとそれぞれのブロックに正確に魔力を注入していく「なんと?」とノイミュンスターが驚いている、1分ほどで魔力の注入は終わった。
「これは驚いた、完璧ではないかシーナよ」と笑顔のノイミュンスターがシーナの頭を撫でる。
「えへへ、ユグドラシル先生から散々教えて貰っちゃいました」と笑うシーナ。
「なるほどのぅ、良いパートナーに恵まれたのぅシーナ」と頭をグシグシと撫でる。
転移魔法陣に何の問題も無いので、シーナとファニーが転移陣に入りいよいよ発動させる。
「では!行ってきますノイミュンスター!」とシーナが魔法陣を発動させる・・・と一瞬視界が揺れると今迄と違う光景が目に入る、そこはファニーの私室だった。
「凄いわシーナ!完璧な転移魔法だったわ!賢いわ!」と親馬鹿全開のファニーがシーナを抱きしめウリウリウリとする、すると廊下からドタドタドタと誰かが走って来る音がする。
「いかがなされましたか?!」とドアが開き慌てた様子の歳若い侍女の女性が部屋に入って来てシーナを見ると「あれ?何故ラーナ様がこちらに?」と凄い不思議そうな顔をする。
「あら、ごめんなさいねミリアリア、わたくしったら」おほほほと誤魔化すファニー
「え?ラーナ様はいつお帰りになられたのですか?」とシーナを見ながら首を傾げるミリアリア。
「えっ?あーとえーと」と挙動不審になるシーナを見て満面の笑みを浮かべたファニーがシーナの肩を掴み「この子はシーナです!やっと王城に来てくれましたわ!」
と言うとミリアリアはビックリした顔で、
「えええー?!シーナ様ですか?本当ですか?」と騒ぎ出すミリアリア!煩っ?!
すると今度は40代ほどの女官らしき女性がドタバタと部屋に入って来て、
「こらあ!ミリアリア!何を騒いでいるのですかあ!静かになさい!」
と怒られたミリアリア、いや貴女も充分にうるさいよ?
「フローラ!シーナですよ!王城に来てくれましたよ!」とファニーまで騒ぎ出す始末だ。
するとフローラはシーナを見て「シーナ様ぁ??!まああ!大きくなられて?!」
とフローラまで騒ぎだす始末!これ誰が収集すんの?
結局は部屋にいた全員が騒ぎ出してそれを聞き付けた王妃専属侍女のトリー女史にガッツリと怒られて静かになった、
良く良く見たらミリアリア以外はスカンディッチの視察に同行していた人達だった事を思い出すシーナ。
「申し訳ありませんシーナ殿下、ここの者達は辺境伯家の出で騒々しいのです」
とトリー女史が紅茶を出してくれた、他の者は反省中だ、シーナは紅茶を一口飲み
「あはは、騒々しさでは私も変りませんのでお気になさらないで下さい」と笑う。
「辺境伯家の出身ってトリー様が一番の直系じゃないですか・・・」と小声で抗議するフローラ。
トリー女史は先代のヴィアール辺境伯閣下の妹さんでファニーの叔母らしい、ファニーが王家に嫁入りする際に先代の辺境伯に頼まれて王城に入ったとの事だ。
「何か言いましたか?フローラ?」「いえ!何も言ってません!」とやはりトリー女史も騒々しい!
「では!トリー様は私の大叔母様ですか?!」と目が輝かせながら尋ねるシーナ、こう言う所はファニーにそっくりだ!と言うかシーナの騒々しい所は辺境伯家譲りなのだ。
「やっぱりシーナ殿下は家の姫様ですねぇ」と納得するミリアリア、確かにシーナが増殖した印象しか無く騒々しい事この上無い、血の繋がりを感じる。
緊張の中赴いた王城だが妙な親近感で緊張が解れていくシーナだった。
その後ようやく静かに話しが出来る様になり、
「えっ?お父様はいらっしゃらないのですか?」
どうやらピアツェンツェア王国国王ヤニック・フォン・ピアツェンツェアは現在は親征軍を率いて西の大陸に遠征中らしい、
先のゴルド王国との戦いでピアツェンツェア王国は西の大陸の東部沿岸部の26地域を獲得したがその内の14地域の元ゴルド王国の貴族が結託し独立戦争を仕掛けて来たのが3カ月前との事。
魔族が暗躍してる可能性もありヤニック国王が自ら最前線で執っているのだそうだ。
「本当にあの国の元国王派の貴族達は碌な事しませんね」せっかくヴィグル帝国皇帝からの慈悲で助かった命なのに3年足らずで恩義を忘れて牙を向いて来たのだ、民衆達はピアツェンツェア王国側なので既に反乱軍の兵站は崩壊寸前らしい。
残りの12地域の民衆派の元貴族達はピアツェンツェア王国に忠誠を誓い親征軍に加わって前線で頑張っている、功績次第では爵位復権も可能との事だ。
「イノセントさんが言っていたのはこう言う事だったんですね」前にイノセントが「この先の信用や信頼を得るのはソイツ次第」と言っていたのが当たった結果だ。
「なかなかお父様に会えませんねぇ」
今回こそは!と意気込んでシーナだったが見事に今回も見事に空振りだ、「シーナが王城に遊びに来ました」との内容の手紙を戦地で見たヤニック国王はガックリして崩れて落ちた、側近の参謀から「陛下が凹むからやめて下さい!」とのお叱りの手紙がファニーの元に届いた。
仕方ないのでシーナはヤニック国王の事は後回しにした、生きていれば良い事もあるよヤニック国王。
ラーナは王立学園に居るのでコッソリと会いに行こうかと思ったが、直接シーナが1人で学園に行くのは危険なので護衛が必要との事だ、「私は地龍で強いので大丈夫です!」と言ったらシーナが戦うのは論外だと怒られた。
せっかく王城に来たのにこのままだと制限が多くてシーナが可哀想に思った王妃ファニーが「やはりイノセント様を頼りましょう!」
と王妃ファニーのいる後宮の西門から徒歩で20分の冒険者ギルド本部まで歩いてきた王妃ファニー達。
近くね?と思ったら元々初代の王妃が冒険者ギルドを立ち上げて管轄をしていたからとの事、なるほどね。
到着して見ると王城の一部の様な作りの大きな建物、初代王妃が国王に無断で後宮の建物の半分を切り取って作ったから普通に王城の一部だった、なんだか遠い御先祖様に親近感を覚えるシーナ、君も似た様な事しそうだもんね。
目立つからとシーナと王妃ファニーのみで建物内に入ったがノーアポだったので受付の前の長椅子で順番待ちする王妃ファニーとラーナ姫と思われているシーナの存在感が半端無い。
周囲の冒険者者が動揺しまくって受付の女性がすぐにイノセントの所へ案内してくれた、王妃を優遇したと言うより受付の長椅子で順番を待つ気満々のファニーとシーナが迷惑だったからだ、「マスター何とかして下さい!」が正解だろう。
受付の女性が部屋の扉の前に立ちノックしながら「マスター、お客様ですよー」と声を掛けると、「んー?入っていいぞー」とイノセントの声が聞こえたので「どうぞ入って良いですよ」と女性は一礼して戻って行った。
「失礼します」とイノセントの部屋に入るとイノセントは書類の山の中に埋もれていた、受付の女性だと思ったのであろう椅子から立ち上がり書類の山から顔を出したイノセントはシーナとファニーの顔を見ると書類の山に頭突きした?!
「いっイノセントさん!大丈夫ですか?!」慌ててシーナがイノセントの側に駆け寄ると、
「いや、余りにも予想外過ぎてさすがの俺も意識飛ばしたわ」と言いながら頭を上げるイノセント。
「イノセント様、お久しぶりですわ」とニコニコした王妃ファニーは通常運転だ。
「王妃様、ようこそおいで下さいました・・・ってシーナ、お前大きくなったな」とシーナの頭をグシグシと撫でるイノセント、「えへへ、そうですかぁ?」と久しぶりのイノセントのグシグシに嬉しそうなシーナ。
「本当に2人は仲良しなんですねぇ」
と話しには聞いていたが実際に見て驚くファニーだった。
「あーははは、まぁ同じ釜の飯を食べた仲間なので」と少し照れたイノセント、「はい!イノセントさんは師匠さんなのです!」と元気に答えるシーナ。
とりあえず落ち着こうと応接のソファに座る3人、
「そうか、そう決めたなら頑張れよシーナ」地龍の王太女になった事、ピアツェンツアの王女の地位を返上する事、ピアツェンツアの王家には冒険者として関わる事などの説明をしたらイノセントがシーナの頭をグシグシしながらそう応援してくれた。
「シーナの正体を隠すなら偽名を使い覆面などで顔を隠すのが一番でしょう」ファニーがイノセントに相談したら出た答えだ。
「あっ!オーバンさんですね!」シーナは身分を隠している幻夢なオーバンの事を思い出した。
オーバンは現在Sランク冒険者幻夢を名乗っている、それを踏襲するのが一番良いだろうとイノセントが出した答えだ。
「女の子が覆面なんていけませんわ!顔を隠すにしても美しくしないと!」とファニーは覆面が嫌な様だが美しく?と言われても。
「うーん・・・なら仮面とか?例えば白銀とか?」と白銀が金より好きな地龍でも独特の感性の持ち主のシーナが提案して見ると「白銀!それですわ!」とファニーが賛成する、王家の財力で素晴らしい仮面を作って見せる!と意気込むファニー。
「じゃあ試しに作って見ますね」とシーナが鞄から大量の白銀のインゴットを何気なく取り出しテーブルに並べていくとイノセントとファニーが仰天する。
「おいい!!シーナお前これどうしたんだ?!幾らすんだこれ?!」
一本おそらく1500万円相当のインゴットが20本はある。
「しししシーナ?これ純粋な白銀?!これどうしたのか母に言いなさい!」
王妃のファニーもこれだけの純粋な白銀のインゴットはほとんど見た事がない、王室の宝物庫にでも行かないと無理だ。
「えっ?地中にあるのを採掘して精錬しただけですよ?、家に帰ればまだ100本以上ありますよ?欲しいならあげますよ?その気になればまだまだ精錬出来ますから」とあっけらかんと言うシーナ
ちなみにエレンとシーナとガイエスブルクの貴金属収集の趣味は拍車をかけて今や3人の総資産は250億円相当を超えている!地龍の本能なので仕方なし!
その事を伝えると人間世界の金銭の価値観について2人掛りで2時間に渡り教え込まれた、説教なのだがシーナ的にこの話しは凄く面白い話しだったので満足した。
「ほえー、これそんなに価値があったんですねぇ、綺麗だから集めていただけなのに、だから地龍の貴金属の流出は禁止されているんですねぇ」と白銀のインゴットを手でかざし緊張感無しのシーナ
頭を抱え「また心配事が増えてしまいましたわ」まさか娘が大資産家だったとは夢にも思わなかったファニー
「あっ!大丈夫ですよお母様!私の家の周りは龍戦士の人達だらけなので」シーナの家の周囲は向こう三軒両隣全て龍戦士の家だ、たまに来る泥棒は100%捕まっている。
「確かに警護の観点から言うと異次元レベルでヤバいくらい安全な環境だな」イノセントが太鼓判を押したのでファニーは安心した様だ。
お説教がひと段落したのでシーナは仮面の作成を始める、
既に精錬済みなので金属操作魔法のみでインゴットを5cmにカットして薄く伸ばして2mmほどの板にして50cm×50cmにカットして自分の顔に当てて凹凸を合わせ顔の輪郭に沿ってカットする、美しいとの事なので海龍王アメリアの瞳をイメージして目の所だけカットしてズレ防止に魔力で顔に吸着させて完成だ!所要時間は5分の早技だった。
「どうですか?」と無言で見ていた2人に聞いて見る、どうもこうも「美しい」以外に感想はないだろう、純白銀製でシーナの顔とアメリアの目を模した仮面だ博物館に有って不思議でない代物だ。
「いや・・・地龍の造形魔法は初めて見たが見事なものだな」とイノセントは本気で感心していた。
「本当に素晴らしいとしか言えませんわ」とファニーは素で感動している。
「やっ・・・やめて下さいよぉ、私の造形魔法はまだまだって言われてるんですからぁ」
シーナの言葉は真実である、無の状態から作り出して一人前と言われるのだ、シーナは元々用意してあったインゴットを使い自分の顔に合わせただけで細工はアメリアの目だけだ、地龍的には精々半人前と言った所か。
その事を伝えると「マジかよ、そりゃあ地龍に買い物なんて必要ないよな」とイノセントが言うと「シーナの贈り物とかどうすれば良いのでしょう?」ファニーが真剣に悩み出したので、
「お母様、贈り物は何でも嬉しいですよ!」とシーナ、実際にファニーや誰かから贈られた服とかアクセサリーなどはシーナの宝箱に丁寧に入っている、
加えて白銀のインゴットなどはそこら辺の棚に無造作に放置されてるのでシーナの言う事は本当だ。
それを知ったファニーは感動の余りシーナを抱きしめて頬にキスをした。
「とりあえず変装はクリアで良いだろう、後は名前どうする?」とイノセントに聞かれて考え込むシーナ、「あっ!」と声を上げて「幻夢の銀仮面!」と答える。
「なるほどな分かり易いし幻夢の一員だとすぐに解る、奇抜な格好だが冒険者にはそう言う奴は多いから問題無いだろう」とイノセントが賛成してくれてファニーにも異存は無かったので「幻夢の銀仮面」に決定した。
「それでファニー様、幻夢の銀仮面への依頼内容は「ラーナ王女殿下の護衛」でよろしいですか?」イノセントが笑顔でファニーに確認する。
「はい!それでよろしくお願いしますわ!」とファニーが答えて契約成立だ。
「そう言えば」とイノセントが何かを思い出す「シーナ、いや銀仮面、お前今日からBランク冒険者だ、ゴルドの功績でランクアップしてたの忘れてた、
エレンもBランクでガイエスブルクはAランクだ手続きは俺がやっておく」
と冒険者には嬉しい知らせだった。
「やったー♪Bランクだー!って何が変わるのです?」
「1番変わるのは報酬の母数だがお前達には関係ないか・・・後は特別指名依頼でのランク制限が無くなる、全ての依頼の受注が可能になったぞ。
それからギルドから装備品の支給もあるがヴィグル帝国の国宝の戦斧を持ってるお前には関係ないな」とシーナ的には余り恩恵は無いが単純にランクアップは嬉しいシーナだった。
「ん?ヴィグル帝国の国宝?」聞き捨てならないイノセントの言葉にシーナの動きが止まる。
「ああ、何でもないから貰っとけ皇帝からの感謝の印だからな」
「シーナ・・・貴女は本当に今まで何を・・・」
とまた話しが長くなりそうな予感が・・・




