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片腕の王女編 3話 「王妃の覚悟と母の思い」

ドオオオオオン!!ゴゴゴ!!


山を登る王妃ファニーの前に突然何か大きな物が飛んで来て落ちた!


轟音上げながら王妃の前100m先に物凄い土煙が上がる!

あまりの衝撃に尻もちをつく王妃ファニーだったが、腕の中の子を抱き直してすぐに立ち上がり後ろに飛び退く!


「何事ですか?!」と前の脅威を確認しようとするが土煙が酷くて前が見えない。


痛む目を凝らして良く見れば煙が切れた先に大きな30m程の壁の様な赤黒い物が浮かび上がる!

赤黒い身体に大きな翼、緑色に光る鋭い眼光、長い口先に浮かぶは鋭い牙、地龍だ!


「くっ!」咄嗟にシーナを守れる様に抱え直して更に後ろに飛び退き王妃は目の前に現れた地龍を睨む!


ここで稲妻の様な声が森に響く!


「「どこに行く人間よ!お主如きが立ち入って良い山でないわ!」」


発せられた声の衝撃波で身体が飛ばされそうになる!がシーナを抱えているファニーは意地で踏み止まる、我が子を守る為に!


「ううっ!」

王妃はギリギリと砕けそうになるまで歯を食いしばり足に力を入れて現れた地龍を観察する、推定体長は30m以上、纏う魔力が余りにも大き過ぎて逆に認識すらできない超大物だ!

間違いなく「ドラゴンロード」と呼ばれる存在より更にその上のクラス、神龍の1柱だ!

人間で勝つか負けるかとか次元じゃない!国が滅ぶか滅ばないかのレベルの最高位クラスの地龍だ!


その地龍は明らかに人間を小馬鹿にした態度と物言いだが幾度となく戦場で敵とせめぎ合った王妃ファニーは相手の機微を感じる能力が高い、そうでなければ今ここに生きて立ってはいない。


「試されているの?」そう王妃は結論を出す。


この相手に勝てる可能性は皆無だが上手く立ち回れば活路が切り開く事が出来るかも?ここで王妃は命を賭けた大勝負に出る!


「地龍王様にお会いしに参りました!!!」目の前の強大な存在に出来る限りの圧力を掛けるべく王妃は喉などいらない!潰れてしまえ!の勢いで大きな声を張り上げる!


すると地龍はヒョイと片目を上げた、そうして

「「この!!無礼者があ!!矮小な人間の分際で王に会うなどと良うもほざいたなあ!!!」」

正に怒髪天をつくかの怒声が響く!普通の人間なら失禁し失神で済めば良い、ショック死レベルの威圧が王妃を襲う!


王妃ファニーの中に「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」との絶望が襲って来る!恐怖が自分の全てを侵していく感覚・・・王妃は自分の最後を悟る・・・

・・・・・・・いや!そうじゃない!!自分が死ねば娘が死ぬ!!


ここで死んでたまるか!娘を生かすんだ!


「死んでたまるかあーーーーー!!!!!」王妃は無意識のままにノイミュンスターに向かい叫んでいた・・・

そうしてパタリと娘を庇う様に背中から倒れて失神した。






・・・・・・・・・・・・

「きゃっ」・・・・・・・・


・・・・・・・「きゃっきゃっ」・・・・・・・

声?・・・・・・


「あーう」

これはシーナの声?・・・


「だあーう」

わたくしのシーナの声だわ・・・


!!!!!!



「シーナ!」わたくしの可愛い我が子シーナは?どこ?ファニーは飛び起き周囲を見渡しシーナを探す王妃ファニー、すると


「「おお、目が覚めたか?」」と先程とは全然違う穏やかな声が聞こえて来た。


「シーナ!シーナ!シーナは?!どこ?!」更に辺りを見まわすファニー。


「「娘はここだ」」とまた優しい声が聞こえる。


まだ意識が朦朧とするファニーが声のする方向に振り返ると胡座かいて座る地琰龍ノイミュンスターの大きな手の上にチョコンとシーナが乗っかっていた。


「だーあーうー」ノイミュンスターに片腕を出して手を振って必死に何かを訴えているシーナだった。


「「さっきから我に話しかけて来るのじゃが何を言っておるのか解らぬのぅ」」とさっきとは全然違う優しい目でシーナを見つめるノイミュンスターはシーナの伝えたい事が何か分からないで少し困った様子だ。


「シーナ!!」王妃は震えてる足で必死で駆け寄りノイミュンスターの手の上のシーナに飛びかかり両手でしっかりと抱きしめる!涙を流して娘を抱きしめる母をノイミュンスターは眺める。


「「して王妃よお主と娘の名は?何と言うのだ?」」ノイミュンスターの言葉に、はっ!と我に返りノイミュンスターを見上げるファニー。


「わっ・・・わたくしの名はファニー、娘はシーナと申します」ぎゅっとシーナを抱きしめて少し後ずさるファニー。


「「んっそうかよろしい、ファニーにシーナだな」とシーナを抱きしめながらオロオロするファニーを見て「「さっきとは随分と違うのぅ」」と心の中で笑う。


この面白い王妃とこの娘に少し我の手でも貸してやるかとノイミュンスターは思う。


自分の威圧に耐えたファニーを気に入ったが、母の気絶の後に自分を見て笑う赤子の事を更に気に入ったノイミュンスターであった。


更にこの子には何かが有ると直感もしたのだが・・・この時はまだノイミュンスターにも正確には分からなかった。


「「ではファニーよ、お主に訊ねる、地龍王様に如何なる用があるのだ?」」先程とは違い威圧も無い、単純に疑問を聞いてるだけだ。


「えっ?あっあの・・・地龍王様にわたくしの身を生贄に捧げ、娘のシーナを救って頂きたく、まかり越した次第です」と王妃がしどろもどろに答えるとノイミュンスターは動かなくなってしまった。


「「・・・・・・・・・」」無言のままファニーを見つめるノイミュンスター、その目に映る感情は・・・呆れ?


「あっ・・・あの?」そのノイミュンスターの目にどうしたら良いか分からずに本当にオロオロしだすファニー。


ここで「「なんじゃ?いきなりその物騒な話しは?」」心底呆れた声で返答したノイミュンスターであった。

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