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隻腕の龍戦士修行編 8話 「ブザンソン地下要塞発見セリ」

日没同時に偵察隊は密かに陣地を出発する、夜遅くや夜明けなどは逆に警戒が厳しい事があるので夕食時の方が警戒が薄いのだ、但しそれは偵察に関してはの注釈がつくが。


攻撃を行えば食事を済ませたばかりの元気一杯の兵士達に猛烈な反撃を食らうのは必至だ、だから警戒が緩い時間帯と言える。


ササササササ

身を低くして街道の脇を一列で走る、何か前方で見えたら道の脇の茂みに素早くなるべく音を立てずに飛び込む手筈だ。


道なき道を進むと草木を踏む音が響き余計に煩いのだ。

この辺りにはあちこちにの物陰に冒険者の歩哨がへばりついているので危険が有ればすぐ魔石を振動させて教えてくれる手筈だ.


ササササササ

順調に城塞まで2、5km先まできたシーナはいったん止まり茂みの中に隠れる、エレンやガイエスブルクと違い探知距離が短いシーナには魔道具の補助が必要だからだ。


義手の拳を外して魔石のついた直径30cmパラボナアンテナの様な魔導具をつける。


「それは?」小声で重装歩兵の兵士が訊ねる。


「探知魔法を拡大させる魔導具ですね」


「へー面白い物があるな」


「みなさんはここで待機して下さい、私はあそこで探知を行います、危なかったら助けて下さいね」とへらりと笑うシーナ。


シーナが選んだポイントはここから400m先の茂みが窪んだ場所だ要塞からは死角になる。


「わかった、頼んだぞ嬢ちゃん」護衛の重装歩兵と冒険者は窪みを囲う様にバラバラに動き出した、シーナの直近に付くのは30代前半の何かいかにも強そうな冒険者2人だ、さりげなく2人がAランク冒険者なのはシーナが怒るので秘密になっている、強そうではなくめちゃくちゃ強いのだ。


シーナ達3人は探知の準備をする、シーナが膝立ち状態で義手の魔導具を地面に押し当てて冒険者の1人がシーナに地図を見せる、もう1人な周辺警戒だ。


「いきます」小声でシーナが呟くと魔導具の魔石が薄く赤い光を放つそれを冒険者がすぐに布で覆う。


探知を始めて3分が経過してシーナが最初の施設を発見する。


「ここから北に2400m先に塹壕の下2mに3m×10mの空間が有りました」


冒険者が素早く地図に書きこみシーナに見せる、正しく書いてあるのでシーナは頷く。


更に同じ様な空間を3つ見つけてシーナは探知を東に向ける、するとシーナの表情が曇る。


「これは?」シーナは更に東に探知を移動させて今度は北へ移動させる。


「とても大きな空間を発見、ここより北東4500m先に地表より6m下に高さ5m幅25m奥行き250mの空間を確認」

「っつ!」冒険者は息を飲みながら地図に書き込みシーナに見せるとシーナは頷く。


「更に通路と思われる空間が、地表より6m下に幅3m奥行き250m以上の空間が北に伸びてます」

それも書き込みシーナに見せシーナは頷く。


「!!先程の大きな空間の10m下に高さ4m幅30m奥行き300mの大きな空間を確認!!!

くっ!!逆探知されました!ここから撤退します!」シーナは小さな声で冒険者に伝える。


冒険者は頷いて赤く鈍く光る魔石を3回点灯させて周囲に撤退を告げる。


ササササササと重装歩兵と冒険者が集まると自陣に向けて小走りに走り出す。


走り出すと同時に警報を知らせる魔石が振動を始める。

敵の追撃隊が迫っているのだ、しかし明らかにこちらの撤退の方が早いので慌てず素早く撤退していく偵察隊。


結局600mほど進んだ所で警報の振動は止まる、敵の追撃隊は引き返した様だ。


自陣に戻るとすぐに冒険者の陣屋に向かう偵察隊、するとエレンとガイエスブルクの偵察隊も戻って来た。


お互いの無事を確認するも表情は渋い幻夢の面々、やはりエレンとガイエスブルクも非常に不味い物を探知した様だ。


「どうした?何か不味い物を探知したのか?」重装歩兵の兵士が心配そうに見ている。


「はい、非常に不味いです、詳しくは冒険者の陣屋で話します」


こうして偵察隊一同は冒険者の陣屋に向かい人数が多いので代表者が数人と幻夢がテントの中に入った。


「お疲れ様、何か嫌な物を見つけた様だな・・・報告を聞こう」

イノセントもシーナ達の様子からかなり不味い事態になっている事を悟る。


「先ず探知結果を見て下さい」

シーナ、ガイエスブルク、エレンの探知結果の地図を冒険者が机に並べる、それを見たイノセント、冒険者の代表、重装歩兵の代表は眉を顰めた。


「ブザンソン丘陵の下に大規模な地下要塞があります」とシーナ。


「少なくても私の探知限界外まで地下要塞施設があります、おそらくは丘陵地帯全域に広がっています」

エレンも眉を顰めたままだ。


「俺は地下30mまでに三層を発見しましたが更に地下に層があると思います、酸素の問題がありますから地下50mの5層構造だと思います」ガイエスブルクは淡々としている。


「間違いなく地龍が10人以上で作った構造物です、外殻は硬く固めてると思いますから外部から魔法での破壊は非常に困難と思います」とシーナは完全に無表情だ。


つまり地下要塞も問題だが最低でも地龍が10人以上敵方にいるのも問題だとシーナは思っている、構造物の大きさ的にもかなり力がある地龍だとも感じている、自分なら作れるか?と聞かれたら無理と答えるレベル・・・つまりシーナより強い地龍が要塞を築いて待ち構えてる証拠だ。


シーナ達の報告に陣屋内が静寂に包まれる、イノセントは地図をじっと眺めて

「とんでもない物作りやがったな爺様」と呟いた。


「すぐに上層部に報告したいので地図の写しを貰います」

と重装歩兵の兵士達は別の地図に探知結果を書き込んでいき、書き上がると「失礼します」と司令本部のある陣屋まで急ぎ足で駆けて行った。


重装歩兵の兵士達が出て行って冒険者だけになるとイノセントは大きな溜息を吐いた、そして、

「あんの爺様!ボケた振りしてまだまだ牙を隠していやがったな!これは最早一つの国と言って良い!辺境に追放になって小躍りして喜んだ姿が目に浮かぶぜ!」


「ふえっ?!ジャコブ将軍って野心家なのですか?」いきなりのイノセントの発言の意味が解らないシーナは素に戻ってしまった。


「いや、ジャコブの爺様は海龍の化身だ人間の権力なんぞに興味なんて無いな」


「!!ジャコブ将軍は海龍なのですか?!」これにはビックリなシーナ。


「ああ、そして俺の師匠だ、爺様に付いてる地龍も多分俺の知り合いだ、あの野郎共は自分の意思で爺様に協力してるな、あの爺様はな人を困らせる事が生き甲斐のイタズラ爺様なんだよ!」心底呆れ果てた様子のイノセント、なんか変な方向に話しが向かっているぞ?


「イタズラ?!それだけでここまでの事を?!」エレンも驚いた様子だ。


「えっ?どう言う事か良く分からないぜ?」ガイエスブルクは混乱中だ。


「これはな、地龍王、海龍王、天龍王の三龍王に仕掛けたイタズラなんだよ、別にゴルドを乗っ取るとか大陸制覇とかそんなモノに興味なんぞ無い三龍王が困れば爺様の勝ちだ「ほれほれどうする?どうするのじゃ?龍王様方」とか言ってる姿が目に浮かぶぜ」と本格的に机に突っ伏すイノセント。


「そんな事してなんの意味が?」さすがのシーナも大混乱だ。


「だから意味は無い、こうなると地龍も海龍も天龍も対処に大慌てだそれを見て笑うのが爺様の目的だ、人間の子供が壁に落書きして親を困らせるのを馬鹿みたいな規模にしただけだ」机に突っ伏したまま完全に脱力したイノセントが呟く。


「ええー??」シーナの頭から煙が上がりそうだ。


するとイノセントはガバっと起き上がり!

「何にしてもこんなモン放置だ龍種に全て丸投げだ!とっととここを引き払ってゴルド王都へ向かうぞ!相手になんぞしてられねぇよ!」


「ええー?!良いんですかぁ?!」


「良いんだよ!天龍達が対処にあたるのだろうが、天龍達が来たら爺様と愉快な仲間たちは即無条件降伏だ!やった事と言えば地下に建造物作っただけだからな!大した罪に問えねぇ!ほっとけ!」

海龍ジャコブ、龍種で最強の問題児、絶対に関わりたく無いと思うシーナであった。

がしかしその問題児が向こうからガンガンとやって来る未来をまだ知らないシーナ達だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なに!ここを放棄して王都へ向かえと言うのか?イノセント」

この方面軍の総司令のガエル侯爵は突然のイノセントの提案に困惑していた。


かつての人魔大戦での戦友の言葉だが流石に理由を聞かずに受け入れられる提案ではなかったからだ。


「順を追って説明します」

そう言って、ジャコブ将軍の正体からブッチャけ出した、「クソ師匠の事なんぞ知るかよ!」とありとあらゆる情報をガエルに話す、最初は真剣に聞いてたガエル侯爵も頭を抱え出す。


「つまり我々がここを攻略する事に意味は無いと?」


「そうです、既に天龍側へ抗議の手紙を送っておきました、後は全て天龍へ押し付けましょう」

とても簡単には信じられない話しではあるがイノセントが嘘をつくと思えないし嘘をつく理由も無い。


ガエル侯爵も思考加速持ちでさっきから情報分析を行っているが意味不明過ぎて有効な解答を得られないのだ。


「・・・とりあえず天龍が動くのを待つ、要塞へ攻撃は厳禁とする」

この解答がガエル侯爵の精一杯の解答だった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「「リール様!人間からの書状が参りました!」」


いきなりの報告に困惑する天舞龍リール、今まで人間からの書状など受け取った事などなくあまつさえ自分を名指しの書状に驚く。


「「書状?人間から?」」とりあえず人化して書状を受け取って読み出す、「差し出し人はイノセント?・・・ああ、あの勇者の1人の異常に強い人間・・・なんで私に?」読み進めて行くとだんだん眉間に皺がよりワナワナと震え出した「何よ?これ」とリールが呟く。


「「如何しましたか?リール様」」書状を持って来た天龍の男性が心配そうにリールを見ている。


「誰か海龍王アメリア様へ使者として行く準備を、後は天龍王アメデ様に至急謁見の要請をして下さい」

とリールはニコリと微笑む。


「!はっ!はいい!!」

やべえマジ切れだ!と天龍の男性は思った、天舞龍リールが本気で怒った時は天龍王の事をお父様では無く天龍王様と呼ぶからだ、こりゃ国1つ滅ぶかな?と思った天龍の男性だった。



そうして天龍王に謁見したリールは天龍王アメデにイノセントからの書状の内容を説明する。


「「なに?海星龍ジャコブが国を作った?」」


天龍王アメデは娘の話しに困惑を隠せない、国を作ったってなんだ?・・・海星龍ジャコブ、海龍王の息子が陸上に国なんて作って何がしたいのか解らない。


「「つまり海星龍ジャコブが国を作り大陸の覇権を取りに来たと申すのか?」」


「「いえ、ただ作りたかったから作ったと思います」」


「「作りたかった?それでジャコブは何をする気なのだ?」」


「「何もする気は無いと思います、あの者の目的は我々を困らせたいだけなので」」


困らせる?確かに困惑する事態だが・・・ここは放置で良いのか?


「「では、我々は静観すれば良いのか?」」


「「出来る訳ないでしょう?!龍種が勝手に国を作るなんて世界の安定に関わる大問題です!私が出向き直接ジャコブを殴って来ます!!」


リールはマジで切れていた、このクソ忙しい時にあの馬鹿野郎はとんでもない爆弾を投下してくれたのだ!殴らないと気が済まない!

私達だけ働かされてたまるか!海龍王も地龍王も!そうだ、地琰龍ノイミュンスターも働かせてやる!と心に誓う天舞龍リールだった。


「とりあえず海龍王アメリア様には自分の息子を何とかしろ!と苦情を入れます、地龍王クライルスハイム様には地下要塞建設に協力した地龍達を何とかしろ!と苦情を入れます、それで私はジャコブを殴りに行きます!」


「「うっうむ・・・クライルスハイムとアメリアには儂から苦情を入れておくとしょう」」


「「では龍戦士を500名ばかり借ります!行って来ます!」」


ズンズンと足音を立てながら去る娘を何とも言えない顔で見送る天龍王アメデだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



海龍王アメリアは天龍からの使者の話しを聞き、ゆっくりと目を閉じて・・・

プカー・・・・と海の中で浮かび上がった?!気を失って浮力が発生したのだ!


「「アメリア様?!」」直属の臣下の男性が浮かび上がる王を捕まえ優しく降ろす。


「「あ・・・ああ、ごめんなさい気を失ったわ、余りに酷い話しだった物で・・・」と王座に戻り頭を抱えた。


「「あの子なにをしてるの?ココにも戻らないから何をしてるのかと思えば・・・国?国って意味が全然解らないわ」」とブツブツと呟やき出した。


「「天龍側では天舞龍リール様を中心に対処にあたりますが、それでよろしいですか?」


使者として赴いた天龍の男性は息子の事で悩む海龍王アメリアを気の毒に思ったが自分にも使命があるので仕事に集中する事にした、仕事と言っても苦情を言いに来ただけだが。


ちなみに龍種は海の中でも普通に活動ができる、海龍が1番適正があるだけだ、実はエレン辺りは地龍でも空を短時間なら飛べる、ガイエスブルクは大気圏外へ飛ばされたら宇宙空間でも普通に活動が出来る事に驚いていたら「そうでないと大気圏外からメガフレア撃てないじゃん」とリールに意味不明な事を言われた。


「「ええ、それでお願いしますわ、こちらからも龍戦士を派遣しますわ」」

アメリアは頭を抱えたまま力無く答える、さらなる不幸の足跡が聞こえて来る、海龍王アメリアだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「「ぬっ?地下要塞?」」


地琰龍ノイミュンスターの報告に地龍王クライルスハイムは言葉の意味が分からず他の龍王と同じく困惑していた。


そんな場所に地下要塞を作った所で何か出来ると思えないからだ、しかし放置も出来ない問題だ、と思っていたら頼りになる忠臣がいた。


「「どうやらまたはぐれ者達が悪ふざけしたようですのぅ」」簡潔に彼らの目的を告げる。


「「そうか、また彼奴らか・・・そろそろ仕置きした方が良いかの?」」

度々妙なイタズラをして来る連中の存在を配下から聞いていた、地龍王が自ら罰するほどではなかったが人数は100人以上と多いので警戒はしていたのだ。


「「とは言え申請もせずに地下に施設を作った他は別段悪さした訳でないので大した罪に問えませんな、精々無償奉仕5年って所かと」


そうなのだこの辺が彼らのいやらしい所なのだ、放置は出来ないが厳罰にする程ではない、塩あんばいが非常に上手い連中なのだ。


ノイミュンスターの言う通りの罰ならば、寿命が長い龍種には無償奉仕5年など人間にしたらトイレ掃除一週間程度のお仕置きと同じだ。


「「とりあえずこちらから龍戦士を送り込み首根っこ掴まえてここに連れて来ましょう、天舞龍リールが切れてるらしいですからのぅ」


「「そうか・・・あの子にまた大暴れされる前に取っ捕まえておくか」」地龍王的には前回の天舞龍リールの騒動の方が遥かに頭の痛い出来事だったりする。


こうしてブザンソンの地に天龍、地龍、海龍の龍戦士が集まる事になり、海星龍ジャコブにとって100点満点の花マルですよ♪の結果になった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



腕を組みつつ悠然とブザンソン要塞を見つめるイノセント、その顔にどんな感情があるのかわからない。


微動だにしないその姿は孤高の存在に見える。


隣で共に要塞を眺める幻夢も同様だ、まさに無の境地と言えよう。


4人の姿が世界と同化しようとした時・・・


世界を切り裂く様な見張りの兵士の絶叫が響く!


「てってて天龍だああああー!!!」


空を見上げると感じるのは怒りの波動だ!


まだ高い位置にある太陽を背に空を覆う天龍の群れ、この世の終わりが来たかの様な光景だ!


その時!英雄イノセントの雄叫びが上がった!


「待ってたぜ天龍!!クソジジイを俺にも殴らせろおおお!!」とイノセントがブザンソン要塞に向かって猛然と走りだした!!


「「「ええええええーーー??!!」」」


幻夢の悲鳴が響き渡った。


次回遂に奴が登場してしまう!こんな話し書いて投稿して良かったのか?と公開直前に悩む作者だが、もう引き返せない!真なる者の登場まであとすこしだ。


「ん?なんか話しが変な方向に行ってません?」


そんな事ありません普通です

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