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隻腕の龍戦士修行編 2話 「ゴルド王国へと出発!出来ず・・・」

王城から安全を伝える使者と護衛の騎士団が到着して王妃ファニーがお城へ帰る朝が来た、さすがに王女ラーナと王子ロミオが心配なファニーはぐずる事なく速やかに帰城する事にした。


「じゃあまた来るわねシーナ!」


「はい!お母様!」

ぎゅうううとシーナを5分間抱きしめて王妃ファニーはスカンディッチから王都へ帰城して行った。

それを護衛団が見えなくなるまで手を振って見送るシーナ。


「でもシーナって王妃似なんだな」とシーナの顔をじっと見るガイエスブルク


「え?そうですか?」


「うん顔も性格もそっくりだな」


「えへへへ」ガイエスブルクの指摘に照れ笑いのシーナ。


明日はヴィグルへ向けて旅の出発だ!既に旅の準備は終わっている。


ノイミュンスターに参戦の事を伝えると、

「そうか頑張るのじゃぞ」と地龍らしく超アッサリだった、地龍に言葉の駆け引きなど無いのだ!大体はね。


出発前に張り切る3人に「移動許可証は忘れるでないぞ」と原子爆弾を投下したノイミュンスター。


ピキーン、・・・エレンが完全に止まった?!

「大変!申請を忘れていたーー!!」・・・・・出発中止決定である。


「何しとんのじゃ?お主は、ほれ、とっとと本国に行って申請してこんか」と心の底から呆れたノイミュンスターだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うう・・・ごめん、ホントごめんなさい」トボトボと山を歩く一行。


冒険者としての手続きは全て終わったが地龍としての移動の手続きを完全に忘れていたエレン。

龍種が他の龍種の領域に入る際は絶対に書類手続きをしなければならない、龍種は書類にはうるさいのだ。


この場合必要なのは天龍と海龍の許可証だ。


本国の総務課へ出国と天龍と海龍へ入国申請手続き→天龍と海龍の入国申請の審査→許可証発行の流れだ、ここで最短でも最低10日はかかる。


海に居る海龍が書類審査?と思われるでしょうが、普通に陸上に入管管理局がある、

大陸から大陸までが海路になるので海龍の許可も必要と言う訳だ。


ちなみに天を飛んで西の大陸から中央大陸に来る天龍達もちゃんと海龍に上空通過の許可申請をしている、龍種は書類には本当にうるさいのだ。


しかし、これがあるからノイミュンスターが王城に天龍達が居る事を把握出来ていたのだ、かなり大事な制度だ、これを疎かには出来ない夢幻は出発をあきらめ手続きに向かう。


もし申請せず西の大陸に向かうとどうなるか、天龍や海龍に捕らえられるとかは無いが一切の支援は受けられない、例えば魔族に捕まり洗脳される事になっても救出作戦は間違い無く遅くなる。


その様な枠組みから外れた者は「はぐれ者」とされ魔族の標的になる、自然に龍種になる竜種は各地区の入管管理局の職員達が日々全世界を捜索して保護を行っている、大変な仕事だ。


「「シーナ様達の場合は年間パスポートの取得がお勧めです」」シーナ達の申請書類を見て総務課の職員の女性が指摘する。


頻繁に各龍種の領域を行き来する場合は毎回の申請が不要になる、この年間パスポートが有効だ。

これはリールも使用している、手続きには1か月ほど掛かるが非常に便利である、年度更新も簡単になる。


ヴィグル帝国への出発が1か月後に延期になった瞬間だった・・・


「もう・・・本当にごめんなさい」さすがに凹むエレン。


「しっ仕方ないですよぉ!そもそも私達が自分の事をちゃんとしてなかったのが原因なんですから!」必死のフォローのシーナ。


「全くその通りで返す言葉も無い、ごめんエレンお姉さん」申請の事を知っていたのに流石に自分の馬鹿さ加減に落ち込むガイエスブルク。


その通り!全員が悪い!皆さんも行政の手続きは忘れずに!


思わぬ足止めを自分達でしてしまったがシーナは少し浮かれていた。

「アリーセちゃん元気かな?」

龍都に来たのだから樹龍アリーセに会いに学校に向けて歩く一行。


アリーセが居る学校は龍都中心部から南にある森林地帯だ、地下都市と言っても、完全な地下で無く巨大な渓谷の下にある巨大な洞窟内部に都市があると思って良い。

南の地域は地上の渓谷部なので森林地帯が広がっている。


その森林地帯の真ん中に高さ50m面積10㎢の学校がある・・・高さ50m面積10㎢の建造物とは少し想像するのが難しいと思うかとにかくナニコレ?!デカッ??!!と思って欲しい。


さすがの龍都でもこれ以上の建造物は王宮しかない、それが2階建てだと言うのだから地龍の体の大きさが解ると思う。


「ママ!ママ!ママー!!」建物の中から人化したアリーセが駆けてくる。

8歳くらいの大きな目が可愛らしい女の子、ユグドラシルの眷属らしい色白な肌に緑色の長い髪に緑色の瞳は上位精霊の「ドライアド」にも見える。


「アリーセ!!」この時ばかりはユグドラシルが出てくる。

アリーセをヒシッと抱きしめて頬にキスをする、アリーセは嬉しくて大泣きだ!

エレンとガイエスブルクは邪魔をしない様に少し離れている。


お互いに少し落ち着き「お勉強はどう?進んでる?」優しく頭を撫でながらアリーセの近況を聞くユグドラシル。


「あい!今は魔法のおべんきょうしてます!」舌足らずなのも可愛らしいアリーセ。


「今日から1か月くらい一緒にいられるよ」


「ほんとですか?!」パアアーと満面の笑顔になるアリーセ


夢幻の一行はここに居座る気で満々だ、1か月ここに留まり直接ヴィグルへ出発予定だ。


「覚えた魔法見せてくれる?」ワクワクしながら催促するユグドラシル、娘の成長を早く見たくて仕方ない様子だ。


「あい!」

アリーセはヌン!と手を小さな木にかざして「じゅせいじん」と呟くと木がスルスルスルと3mほど伸びた!


「おお!凄い!」


「へへへ」ユグドラシルに褒められて嬉しいアリーセがユグドラシルにしがみつく。


「いやこれ結構凄いわ、さすが樹龍だな」


「創造の魔法でしょ?今の?」


簡単に木を成長させたアリーセに驚くエレンとガイエスブルクの2人、

今のは植物に成長を促したのでは無くて成長した木を作り出したのだ、力が増せば荒地に森林を作り出す事も可能になる、かつてのユグドラシルと同じ事をアリーセはやったのだ。


「偉い偉い良く頑張ったね」アリーセの頭を撫でるユグドラシル。

自分の力を受け継いでくれた娘が可愛いくて仕方ない様子のユグドラシル、おそらく「樹成陣」の魔法を使える者は世界にも10人もいないだろう。


「それがアリーセの母親なのか?」


いきなり後ろから声が聞こえる、見ると龍種の両親から産まれたと思われる人化した男の子の地龍が立っていた。


「うー!ドレスデンにはかんけいないです!」

男の子、ドレスデンに唸り声で威嚇するアリーセ、とは言え唸り声と言っても子猫の威嚇にしか見えないので可愛いらしいだけなのだが。


「関係無くはないだろ、俺はお前の教育係なんだから」


「あたしはたのんでないです!」フシャーと威嚇するアリーセ。


「君があたしの娘の教育係?あたしはシーナよ、よろしくね」そう言いながらニコリと微笑むユグドラシル。


「うっうう!はっはじめまして!ドレスデンです」顔を真っ赤にしてペコリと頭を下げるドレスデン、どうやら笑顔のシーナの美貌に恥ずかしくなった様だ。


「私はエレンよ、よろしくねドレスデン」


「ガイエスブルクだ、よろしくな」


「あっ!よろしくお願いします!ドレスデンです」再度頭を下げるドレスデン。


「・・・とても良い子に見えるのになんで威嚇するの?アリーセ」

ユグドラシルはアリーセの頬を両手で挟み目を見て問いかける・・・


「ドレスデンはアリーセをいじめるからです!」


「いじめてない!日課の戦闘訓練をしてるだけだろ?!」


「ドレスデンはアリーセを叩いたりします!」


「戦闘訓練だから隙が有れば叩くしかないだろ?!ちゃんと手加減はしてる!」


「「「ああーー」」」納得言った感じの3人。


樹龍は地龍の一員だが戦闘を好まない種族だ、地龍にとって普通の訓練でも樹龍的には嫌な事なのだ。


「これは教師の認識不足だね、私が伝えておくよ、

ドレスデン君、樹龍は戦いを好まない種族だから戦闘訓練は無しでね」


「そうなんですか?!」


「ああ、樹龍に戦闘を強要すると嫌われるだけだからな、魔法の訓練だけにした方がいいぞ」


「そんな・・・」良かれと思ってやっていた事が嫌われている原因だと分かりショックを受けるドレスデン。


「わかった?アリーセ、ドレスデンはアリーセを憎くて叩いたりしてた訳じゃないの、ドレスデンを許してあげて」

アリーセの目を見て優しく諭すユグドラシル。


「うーもう叩かないならアリーセはゆるします」


「ね?ドレスデン、明日からはアリーセを叩いたらダメよ」


「はっはい!ごめんアリーセ」とアリーセに頭を下げるドレスデン、素直な子だ。


「さすが母親だな」


「まあ、本当に世界の母親だからね」


この数年後に「娘に母親力で負けてる?!」と王妃ファニーがショックを受ける話しはまた別の機会に。


ちなみに様子を見ていたシーナは・・・

「ふわー、凄いですねぇユグドラシルは」とポヤーンとした事を考えていた。


こうして親子の再会は和やかに続いた。


ユグドラシルとアリーセを見てシーナは父親の地龍王クライルスハイムに会いたくなってすぐに謁見した。


普通は先ず王に謁見なのだがそこは地龍、細かい事は気にしない。


しかしエレンとガイエスブルクはアリーセと一緒に逃げた。

そりゃ自分達の会社の会長に好き好んで会いに行く人は少ない。


「「おお!シーナよ良く顔を見せに来てくれた!父は嬉しいぞ」」

娘に会って、ついさっきまで不機嫌だった地龍王が上機嫌になり、側近の龍戦士が驚いている。


体長が50mを越える地龍王である、父を見上げるシーナの首はいつも痛い・・・が今日は何故か下を見ている。


「はい!ヴィグル帝国に参戦する前にご挨拶に来ました!・・・ですがお父様一つ質問があります」


「「うむ!なんじゃ?」」


「この人達何をしているのです?」

シーナの目線の先には数十人の人間が一心不乱に床の掃除をしている、

人間が居るのも珍しいがなんで掃除とな?不思議に思うシーナだった。


「「この者達は不法侵入者じゃな、罰としてここの全てを掃除させている」」


「全部?!龍都全部ですか?!」ちなみに敷地面積は400㎢×三層くらいだ。


「「そうじゃ建物も全てな」」その内の建物面積は300㎢×3くらいある。


「「ほへー、何十年掛かるんでしょうか」」ちょっと想像出来ないシーナ。


一心不乱に掃除をする者の中になんとか伯爵もいた、さりげなく横目で様子を伺っている。


そうして彼はこのラーナ姫と瓜二つの少女をゴルド王国の言っていたシーナ姫と確信する。


「私にもようやく運が来た様だこの人の良さそうな姫に取り入りここを脱出して、その後この姫を人質にゴルドへ渡れば大臣にもなれよう」と性懲りも無く考えた。


しかしシーナは「なんでこの人達は生き恥を晒してまでここで何をしているのでしょうか?」と疑問に思い聞いただけだ、別に憐れんではいない。


シーナも当然この連中が自分とお母様を狙っていたのを知っている、情けを掛けるつもりは毛頭ないし話しをする気もない、何ならただの敵と思っている。


今のシーナはCランク冒険者になっている、そこに至るまでに盗賊討伐依頼や要人護衛依頼を数多くこなしており命のやり取りなど当然何回も経験している、無垢なお姫様では断じて無い。


人の姿をしているが正真正銘の地龍だ、人間のお姫様の様な「敵だって人間です」なんて甘い考えなど最初から持ってない、敵は殺すか殺されるかの対象でしかないのだ。


そもそも龍戦士を目指そうなんて考える者がそんな甘い精神力のはずが無い、彼女も立派な武人だ、なのでシーナは彼等への興味をすぐに失い、

「では!お父様!稽古のお相手をお願いします!」


「「うむ!良かろう!」」

と地龍王と共にアッサリと去って行ってしまった。


呆気にとられ残された、なんとか伯爵とその一味には残りの人生数十年は掃除作業しか道は残されていない。


ちなみに地龍王からは「逃げたければとっとと逃げれば良い」と言われているが高さ800mの断崖絶壁を昇る必要があり、ここにいる連中には不可能だろう。


シーナ達は普通に降りて昇って行くのだが、この点からしてもこの連中にどうにか出来る相手では無いのだ。



その後の1か月は地龍王との稽古三昧とアリーセと遊び倒す日々が続き、

「フリーパス来たよ!」とエレンが部屋に飛び込んで来た!


ようやく天龍と海龍からフリーパスのブローチが届いたのだ。


天龍はサファイア、海龍は真珠が埋め込まれたなかなかの一品である。


ちなみに本人以外の他の者が着用してそれを悪用しようとした瞬間に文字通りの爆発をする、龍種もダメージを受ける爆発なのでかなりの規模の爆発だ。


盗難されたら遠隔操作で爆破可能な便利機能も搭載されている。


時には敵拠点に放り投げて拠点ごと敵を粉砕する事も可能だ、実際リールが昔にやった、もちろんその後はお叱りを受けて始末書は確定だが。


ブローチなのは龍化と人化に対応しての事、なかなか至れり尽くせりだ。


明日出発すると知ってギャン泣きするアリーセをユグドラシルが抱きしめて一緒に寝てよしよしと宥める事3日経ち。


地龍王の「必殺技を授けよう!」で二週間の修行延長して。


ガイエスブルクが偶然兄と再会してエレンが一目惚れしてから1か月後にようやく実現したラブラブデート事件で3日間の待ちぼうけ。


またアリーセがグズりユグドラシルのポンポンで2日。


オーバンの「あの・・・海上の決戦でピアツェンツェア王国海軍が勝ちましたよ?」との手紙に我に返った夢幻が出発したのは、フリーパスが届いて21日後の事だった。


「さあ!いよいよ出発ですよ!」

アリーセを寝かしつけての夜明け前の出発だシーナの目は寝不足で赤い。


「お疲れ様、ってかもう行かなくて良くね?」とガイエスブルク


「何言ってるんですか?!地龍君!行きますよ!」


「さすがに行かないとマズイね、怒られるよ多方面から」と苦笑いのエレン。


「エレンお姉さんが兄貴とあんな騒動起こすから」とジト目でエレンを見る。


「ごめん」顔が真っ赤になり手で覆うエレン。


エレンとガイエスブルク兄の話しは外伝でその内に・・・

・・・・えっ?もうやってんの?!本編より先に?馬鹿なの?!頭大丈夫?!


「西の港町まで2700kmくらいあるけど・・・どうする?」 とエレンとシーナに尋ねるガイエスブルク。


どうするも何も馬車しか無いと思うのだが・・・違うの?


「え?地龍らしく走って行きますよ?・・・それとも馬車使います?」


えっ?!!走る?!!2700kmを?マジで?


「いや、馬車じゃ何日掛かるか分からないだろ?ただでさえ遅れまくっているのに」


「そうだね、走ろうかその方が早いし」


そうか、早いんだ・・・・


「では!出発ぅ!」


こうして夢幻は西の大陸を目指し2700kmの旅に出た・・・自走して・・・

え?マジでこいつら正気?と思う人は次回へ。

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