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閑話 その3

メアリーの妹アデリーナを学園内でのイジメから救うべく魔王バルドルと海湊龍クローディアが動き出した。


世界の守護者の1人バルドルと海龍ナンバー3のクローディアの2人・・・

たかが学生相手にオーバーキルなんてレベルで済まない悲惨過ぎる過剰な戦力だが、まぁ、イジメをする奴が悪いのは言うまでもないだろう。


「私達が脅すだけじゃダメだと思うわ。

イジメを無くす為にはアデリーナが勇気を出さないとね」


「でもでも・・・怖いですぅ・・・それに・・・」


アデリーナから更に詳しく話しを聞くと・・・


一対一でのイジメなら対決のやりようも有るのだが相手は上級生の格上令嬢4人、挙げ句の果てに最近では取り巻きの上級生の男子生徒が4人も加わって計8人が主犯だと言うから悪質極まりない。


「ふむ・・・軽く考えておったが思った以上に事態は緊急を要するな・・・

男も加わって来ているとは、つまりそう言う事じゃろうて。

危険なのはアデリーナだけでなくメアリーも危険じゃろうな」


バルドルの言葉に顔が真っ青になるメアリーとアデリーナ・・・

確かにイジメ以上の悪質な企みがあるだろう。


「随分とイジメに屈しなかったメアリーを恨んでるのねー。えらく根性曲がってるわー。

消し飛ばすのは簡単だけど恒久的な解決にはならないわね・・・

そいつら転生しても同じ事を繰り返すわよ・・・根本的な魂の矯正が必要ね」


「け・・・消し?」

クローディアの殺すだけじゃ済まん発言にビビり倒すアデリーナ。


「何か考えがあるのか?」


「アデリーナとメアリーが直接ソイツの前に行くのはもう危険だから私がアデリーナに化けるのは確定ね。

後はメアリーだけど・・・」


バルドルをジーと見つめるクローディア。


「え?!儂がメアリーに化んの?!」魔王バルドルさんの女装化決定である。


昔、イリスの修行に付き合い2人で九頭竜王に勝負を挑み、九頭竜王のイタズラで時限型精神封鎖攻撃と精神転換攻撃をモロに受けイリスは昏睡状態になりバルドルはイリスに1ヶ月以上憑依した事がある。

その時に酷い目に合って以来、女性化する事をメッチャ嫌がる様になった。


ちなみに次元高位存在のバルドルは性別を変える事も問題なく可能だ、やった事は無いが。


「・・・今からヴァシリーサを呼んで・・・」


「いつ出張から帰ってくんの?」


「・・・・・・・・・・2年後」


「2年後なら私は学園を卒業してますねぇ・・・」


「はいヴァシリーサ案はボツね、もう諦めなさい。

メアリーとアデリーナには私達に憑依して貰うわよ、私達はソイツらの顔を知らないからねね。

それにこの際だから貴女達にも少し度胸を付けて貰います」


「憑依・・・」

イジメて来る上級生よりクローディア達の方が怖い存在じゃないの?と思ったアデリーナは間違えていないだろう。


こうしてサクッとメアリーとアデリーナに化けたバルドルとクローディア。

本来なら幾つもの術式と儀式を駆使して模倣するモノだが、そこは世界最高峰の魔導士の2人、アッサリと変身してしまう。 


「うわー!凄いです!凄いです!」もろファンタジーに大喜びのメアリー。


「何か凄く不思議な気分です・・・」


目の前の自分達を興味津々で見ているメアリーとクローディア。


「うふふふふ~、見た目だけは完璧よ、中身は違うけどね」

イリスの「変形」のスキルと違い「模倣」は2ランクは落ちる変装スキルだ。


なので鑑定魔法を受けたら一発でバレてしまうが、下級生をイジメめる様な輩に上級魔法なんぞ使えんだろうとタカを括る事にした。


「相変わらず女のスカートはスースーしてて心許ないのぅ・・・」

王立学園の制服も魔力を編んで物質化したモノだ。


「バルドル様・・・中は見ないで下さいね?

・・・え?!バルドル様はスカート履いた事あるんですか?」


「うむ、長い間生きているとな・・・色々な事が起こるモノなのじゃ。

そしてお主の身体に興味は有るが絶対に見ない・・・お主達には分からぬだろうが、これ、見た方に結構大きなダメージが来るのじゃ」

とても素直なバルドル。


「魔王様なのに小娘の身体に、きょ・・・興味は有るんですね?」


「うむ、そりゃ儂も男じゃからな。

しかし本当に絶対に見る事は無いから安心せい・・・」


「そこまで強調されるのも少しショックです・・・」


前にイリスの身体でクレアとルナに強引に風呂にブチ込まれたバルドル。

その時、身体を洗う際にイリスの全裸をモロに見てしまい罪悪感が半端ではなかったのだ。

その後のアレやコレで散々神経をすり減らされたのだ。


身体を見られた当のイリスは、「へー?エッチ」で終わった。

思い切り爆睡していて見られた記憶が無いので別に恥ずかしいとは思わなかったらしい。

「お父さんに見られた様なモノだからねー」との事だ。


「やはりこう言うのは男の身体で外から見るべきなのじゃ」


「変な男の信念を語ってないで次の工程に進むわよ?

メアリーとアデリーナはベッドに横になってね、今から精神を抜くから身体の方が倒れちゃうからね」


「はっ・・・はい!」


「精神を抜く・・・」


人外共に何をされるか全く分からず人間にイジメられている時より怖いアデリーナちゃん正解!


ベッドに横たわるメアリーとアデリーナに手を翳して・・・

「はっ!」とクローディアが一声掛けると瞬時にメアリーはバルドルにアデリーナはクローディアに憑依成功する。


《え?!》


《ええーー?!》


「どう?違和感とかないかしら?」


クローディアは「はっ!」の一言で済ませたが、これを人間がやろうとすると・・・以下省略


《視界がいきなり変わりましたけど・・・あれ?身体が動かない?》


「儂が寝るか気絶するかもしくはお主に主導権を渡せばお主の意思で動く様になるぞ?試して見るか?」


《はっ・・・はい!せっかくの経験なので・・・》「・・・うひゃあああああ?!?!」

主導権を渡された途端に変な悲鳴を上げるメアリー。


《どうしたんじゃ?》


「こ・・・コレ変です!何か凄い力が身体を駆け巡ってますー!

無理!コレ無理ですー!爆発してしまいますー?!?!

ええ?!アレ何ですか?!ブラックホールぅぅううう?!?!」


バルドルの体内に宿る莫大な魔力にオーバーヒートしそうなメアリーの精神体。

更にバルドルの力の根幹の精神的なイメージを見てしまう。


「なあに爆発はせんから安心せい」笑いながら身体の主導権を自分に戻すバルドル。


《び・・・ビックリしました~・・・バルドル様、気絶だけは無しでお願いします》

世界の深淵の一部を思い切り覗いてしまったメアリー。


「アデリーナもやって見る?」


「遠慮しておきますぅ?!?!」


「いいからいいから遠慮しないで、私はバルドルほどは魔力は大きく無いわよ?

はい交代!せっかくだからね、何事も経験よ」


「え?・・・えええええ?!?!?!いやああああああああ!!!!!

大津波?!?!?!死ぬ!死んじゃうーーー?!?!」


アデリーナが見たクローディアの力の根幹の精神的なイメージは高さ100mを楽に超えて超音速で自分に接近して来る大津波だった。

「映画○ィープ・○ンパクト」の終盤で隕石が落ちた時のアレである。


「きゅうううう??」余りの衝撃映像に気絶してしまうアデリーナ。

《あら?気絶しちゃったわ・・・そんなに刺激的かな?私って?》

刺激的と言うより箱入りの貴族令嬢にそんなモン見せんな。


アデリーナが目を覚ましたのは3時間後だった・・・




《もうあの方達がちっとも怖くなくなりました・・・》

極限を超える恐怖を体験した人間はトラウマにはならず全てが吹っ切れると言う。


「あら?いい傾向じゃない?ドンドン鍛えて行こうね」


朝が来て学園へ向かう為に男爵邸より歩いて学園へ向かうメアリー擬きとアデリーナ擬き。


《学園まで5kmほどありますが大丈夫ですか?》


「疲れぬか?と言う質問なら疲れんな。

単純に歩くだけなら1ヶ月くらい休まず歩き続けれるぞ?」


《・・・魔王様ってやっぱり凄いんですねぇ》


のんびり歩き1時間弱で学園に到着すると建物から王太子ヤニックがモノ凄い勢いで建物から飛び出して来た。


「ななななななななにしてんすかぁ??」突然の魔王の来訪に挙動不審なヤニック。


「おお!そうか、お主の事を忘れておったわい。

と言うか、まーだ卒業しとらんのか?」


「うぐっ!最終学年には進級しましたよ・・・

それで?本当に何をしに学園に来たんっすか師匠??」


「そうねぇ・・・ヤニック坊に頼めば話しが早かったわねー。

いえね?この学園でイジメが横行しているのよ?ヤニック坊、知ってた?」


「え?イジメっすか?・・・クローディアさん、詳しく教えてくれますか?」

さすがは勇者ヤニック、鑑定魔法など使わずともバルドルとクローディアの正体を接近して来ただけで一発で見破っていた。


そこからは王太子殿下にイジメをチクろう大会になった。


「へえ?へええええええええええ????」明らかに気圏が変わったヤニック。

思い切り「神虎」が目を覚ましている。


「はーい、ヤニック坊ストーップね。

これは私達の仕事だからヤニック坊は手出し無用よ?」


「そうじゃな、ここまで来たんじゃから儂らに任せておくが良い。

ああ・・・お主は着いて来るで無いぞ?得物が逃げてしまうのでな?」


こうして世界最強の男爵令嬢2人が意気揚々と王立学園へと乗り込んだのだった。

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