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新春特別企画 「股関節破壊の舞踏姫」

皆様!明けましておめでとうございます!


お久しぶりの主人公シーナです!本年度もよろしくお願いします!


年末年始、皆様はどうお過ごしでしょうか?

私は旦那様と娘の家族3人で寝正月を決め込んでいます。


リール領は寒いですからね、どこにも行かないでゴロゴロしています。

王城から新年パーティーの招待状が届きましたが、私のお腹に二人目の赤ちゃんが居るので旦那様の地龍君が速攻でお断りしてしまいました。


でも、その新年パーティーで何か問題が発生しているようです。

大変ですよ魔王バルドルさん!早くナレーションをお願いします!


「ん?儂か?すまんが儂も年末年始は妻に外食とかのサービスせねばならないからな。

ナレーションはお主がやれば良いだろう?

どれ、今日から正月三ヶ日限りで「影見」のスキルを貸してやろう。

これなら身重な身体に負担が掛からずに王城の様子を見れるだろうて」


え?「影見」ですか?へーどれどれ?

・・・・・・・・・・・おおーーー?!これは凄いですね!バッチリ見えますよ!

これは・・・・・・・・・お母様の視点ですね?!


では!寝ているのも飽きて来たので久しぶりにナレーションをさせて頂きます!


「うむ、ではナレーションを頑張るが良いぞ。

視点は自由自在に変えれるから安心せい。但しお主が知っている者限定じゃ」


ふわー・・・「影見」って凄いチートスキルなんですねぇ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「あれ?!シーナ??」


「お母様?どうなされたのです?」


「いえ・・・何か近くでシーナの気配がしまして・・・

ラーナは何か感じませんでしたか?」


「いいえ?シーナはリール領ですよ?

仮にシーナが王都に来ようとしてもガイエスブルク子爵が全力で阻止しますわ」


「そうでしたわね・・・ああ~・・・シーナとキャリーに会いたいですわ!」


おお!さすがはお母様!私の憑依に気がつくとは流石です!


ちなみにキャリーと言うのは私の子供の愛称です。

本当の名前はキャサリンと言います、地龍君に良く似た顔立ちをしています。

あ!このお話しは最終話から6年ほど経過している設定ですよ。


早いモノで私も22歳、すっかりお母様になって子育て頑張っております。

なので残念ながら私自身では皆様にお伝え出来る様な特別なお話しって無いんですよねー。


おっと、それどころじゃ無いですね!問題って何なのでしょうか?

丁度その件でお母様と妹のラーナがお父様に呼ばれてお父様の執務室へと向かっている感じですね、早速付いて行きましょう!


お母様とラーナがお父様の執務室へ入ると・・・

「良くぞ来たな、王妃に侯爵夫人よ・・・」

お父様が○ンゾウさんになってました!お声も低くてカッコいいですね!


そう言えば妹のラーナはオルランド君と普通に結婚して、お姫様から侯爵夫人にジョブチェンジしましたよ!おめでとうございます!


え?オルランド君って誰?

本編の最初の方に出て来て、その後にチラリと登場して自然とフェイドアウトしてしまったラーナの婚約者君ですね。


ただ実際の国政では重要なポストに就いている、若きやり手の侯爵閣下です。

奥さんのラーナと共に日々権謀術数を頑張っています、毎日とても楽しそうです。


でも私は早く姪っ子か甥っ子の顔が見たいのです!

権謀術数も良いですけど私達の様に夫婦の夜の営みも頑張って下さいね。


「一体何事ですか陛下?」

何か国の一大事?!とお母様も王妃様の顔になりました。


「実は・・・ラーデンブルクの女王、イリス公爵が新年のパーティーに参加する事になったのだ」


「・・・はい?存じてます」首を傾げるお母様、仕草が可愛らしいです。


女王なのに公爵とは?これも本編と龍騎士イリスの中で書いてます。

どこに書いてあるかは忘れちゃいました!


「それが何か問題あります?」

お父様の話しの意図が分からずにラーナも不思議そうですね。


「そうですね、ラーデンブルク公国が鎖国を解きましたからね。

イリス公爵が外遊に来るのは当然ですね。

それでこちらにはいつ到着するのですか?」


お母様の言う通り、ラーデンブルク公国が1000年の鎖国を解いたんです!

これは凄い世界史の転換期なのですよ!


「いや・・・既に我が国に到着していて今はカターニア公爵家に滞在している」


「はいい?!」


普通に来るなら船に乗り馬車を乗り継ぎ丸々1ヶ月は掛かる旅路なのですが、新年の1週間前に到着している事に驚きです。

そして王城に立ち寄る事無くカターニア公爵家に滞在しているとはこれ如何に??


普通ならカターニア公爵家が他国と手を組み何かを企んでいると疑われる所なのですが、それがカナーニア公爵家だと「ああ・・・一方的に押し掛けられたんだな・・・気の毒に」と思われます。


日頃の行いって大事ですよね。


「ああ・・・テレサさんか・・・」

ラーナがボソリと何か呟きましたが聞こえませんでした。


ラーナって昔からイリスさんの事になると凄く歯切れが悪くなるんですよね?

うーん??何かあるのでしょうか?


「え?それってイリス公爵閣下を国として放置しているって事ですよね?!

大変です!わたくしが直ぐにでもカターニア公爵家へ赴きイリス公爵閣下にご挨拶と国としての歓迎の意思をお伝えして来ます!」


「いや・・・イリス公爵からは「お忍びなのでお構いなく」との事だ。

既に公爵とは話しは終わっているので特別何かをする必要は無いんだよ」


そう言えば前にカターニア公爵令嬢だったセリスさんの結婚披露宴にも、お忍びで緊急参加して周囲を驚かせてましたよね・・・


「そうですか?・・・・・・なら陛下は何に懸念をお持ちになっているのです?」


そうですね・・・色々とイリスさんの行動は問題だらけだと思いますが、

それはイリスさんの個人的な問題でピアツェンツェア王国の方には失当は無い様に思います。

お父様は何を心配していらっしゃるのでしょうか?


「それは・・・新年パーティーでのイリス公爵のファーストダンスの相手についての事なんだよ・・・」


「え?ダンス?」


んん?何かの聞き間違いでは無いですね、イリス公爵のダンスのお相手について、お父様が悩んでいるとの事です。


はて?言い方は悪いですが、それは「誰でも良くないですか?」

なんでそんなに悩んでいらっしゃるのでしょうか?


お母様もそう感じたのか怪訝な表情で考えてから、

「確かに未婚のイリス公爵閣下のファーストダンスの相手を未婚男性がするのは少し問題がありますわね」と考察を始めました。


他国の未婚の首相のファーストダンスの相手を独身の男性がする・・・

その場合は確かに「イリス公爵閣下の結婚相手かも?」と邪推される可能性はありますね。


例えば私達の国の王太子ロミオ君とかですね。


でもそれなら既婚者のお父様がお相手すればよろしいのではないでしょうか?

お母様もそう思ったのか私と同じ提案をすると・・・


「嫌だ!余のファーストダンスの相手はファニーしか居ないのだ!」


「そ・・・それは嬉しいのですが・・・でも・・・ええ~?」

お母様の言う通り「そんな我儘を言ってる場合か?」ですよ?お父様。


「それにな・・・イリス公爵が「ファーストダンスの相手は女性でよろしく」と言い出しておってな・・・」


ん?女性?何ででしょうか?ちょっと意味が分かりません。


「えーと?それなら、わたくしがイリス公爵のお相手をして陛下のお相手をエリザベス妃が務めればよろしいと思います」


そうですよね?それが1番丸く収まりますよね?

特に最近はエリザベス妃が公式の場でお父様の隣に立つ機会が多いので今回もそれで良いかと思います。


「ダメだ!余はファニーの股関節を命を賭けて守らねばならぬ!」


「え?!股関節???」

お父様は何を言っているのでしょうか?お母様の股関節を守るとは?

お母様も思わず変な声を上げてしまっています。


「実は・・・」

無言のまま、お父様の隣りに立っていた宰相様のクロッセート子爵がようやく話しを始めました。


宰相さんは昨年、早期引退されて侯爵位と家長の座は息子さんのオルランド君に譲り自身は子爵になって宰相職のみに専念されています。

こう言う早期引退は貴族の中では結構良くある事ですね。


「イリス公爵閣下は知る人ぞ知る「股関節破壊魔」なのです」


「はい???」


えーと?予想もしてなかった物騒な単語が飛び出しましたよ!

「股関節破壊魔」ですか?!何やら恐ろしげな異名ですが?


「はぁ・・・イリス公爵閣下のダンスが激し過ぎて相手をすぐに倒してしまうのです」

ため息混じりにラーナが呟きましたね?そして「倒す」って何なんですか?!

それに何でラーナがそんな事を知っているんでしょうか?


謎が深まります!

もしかしてこのお話しは新春特別企画だけで無く、作者さんが凄く大事な裏エピソードのお話しを持って来た可能性がありますよ!


「その事をラーナ夫人もご存知で?さすがですなぁ」

義理の娘の情報収集能力に感心する宰相さん。


話しを戻しますとイリス公爵閣下のダンスは相手の股関節を破壊する威力がある?と言う解釈で良いのでしょうか?


これは結構怖いですね!割とホラーですよ!


「え?!ダンス中に蹴ったりするんですか?!」お母様も驚いてます。


「いや・・・それが普通にダンスをするだけなんだが、師匠・・・イリス公爵はダンスの超絶な名手でな・・・ヤバいステップを踏むんだよ。

しかも接待ダンスとかが一切出来ない、いつでも全力タイプでダンス相手が毎回振り回されるんだよ」


「その結果、相手の股関節に想像以上の負荷が掛かって最終的に筋肉痛になります」


「それでラーデンブルク公国で付いたあだ名が「戦慄の股関節破壊の舞踏姫」だ」


お父様とラーナが交互に補完しながら説明を続けます。

それにしてもラーナは今までイリスさんのダンスを見て来た様な口振りですねぇ。


確か舞踏会とかで顔合わせした事は無かったと思いますが・・・


「な・・・何か凄そうですわね・・・」遂にお母様も怯え始めましたよ。


「だから絶対に余の愛するファニーの股関節を師匠に差し出す訳には行かんのだ!」


「凄く嬉しいのですが全くときめかないのは何故なのでしょう?!」


お父様の勢いに飲まれないお母様は流石です!

そうですよね?!愛する股関節は無いです!え?無いですよね?!


「あの・・・でしたら・・・少し可哀想ですが、カターニア家のセリス様にお願いして見てはいかがですか?

何よりセリス様はイリス公爵閣下のご友人ですし」


ラーナが申し訳なさげに提案を出して来ました。

確かにセリスさんなら周囲もイリスさんも納得すると思います。


「セリス将爵夫人ですかな?ふむ?

・・・・・・・確かに彼女も令嬢時代は国を代表するダンスの名手でしたな・・・」


そのラーナの提案を吟味する宰相さんです。


将爵夫人とは、セリスさんが私の師匠のイノセント将爵閣下の奥様だからですね。

貴族爵位に置き換えると将爵は伯爵閣下と同じです。


「それがね・・・」お父様がラーナに報告書を差し出して来ました。


「これは?」それを受け取りラーナが報告書を読みます。




『報告、カターニア公爵家よりの重要通達事項


昨日カターニア公爵家で行われたイリス公爵閣下の歓迎舞踏会に置いて、セリス将爵夫人とイノセント将爵が股関節を負傷した模様。


「すまん、後は任せたヤニック、不甲斐ない兄貴ですまんな」


「陛下ごめんなさい、何とかイリスを止めようと頑張ったのですが私には力及ばず無理でした。無念です」


と両名よりメッセージが届いています。


尚、両名は股関節筋肉痛により新年パーティーの参加を見送るとの事です。


以上、諜報部より』





「・・・・・・・・・・・時は既に遅かったのですね」


「うん、師匠は元気バリバリでノリノリだったらしいね。

他にもカターニア公爵家門のダンスの名手6人がやられたそうだ」


「カターニア公爵家が落ちましたか・・・」


何ですかそれ!もう完全にホラーじゃないですかぁ?!

そしてお父様!イリス公爵閣下をもう師匠としか呼んでませんよ!


「でででも、それならどうすれば?・・・」

思っていた以上に深刻な問題でオロオロするお母様、どうか落ち着いて下さい!

必ず何か手は有ります!・・・・・・・・・・・何か・・・・手?


すみません、何も思い浮かびませんね?どうしましょう?


「あっ、イリス公爵閣下のお相手は私がやりますよ?」


「ラーナ!?」

そうアッサリと告げるラーナに驚くお母様。


「だっ!ダメだ!ラーナの股関節も師匠にはやらん!」

お父様も落ち着いて!とりあえず先ずは股関節から離れて下さい!


「しかし、ラーナ侯爵夫人もダンスの名手ではあるが・・・」

義理の娘が心配で仕方ない様子の宰相さんです。


そうですね・・・ラーナもダンスは上手だと思いますがセリスさん程とは思えませんね、そしてそのセリスさんも既に・・・


「大丈夫ですよ、お義父様。

これはもうダンスが上手い下手の問題ではありません。

イリス公爵閣下の暴走を如何にして抑えれるかの勝負です」


「でも・・・どうするのですか?ラーナ?」お母様もめちゃくちゃ心配そうです。


「とりあえず「お願い」します」


「お願い」ですか?簡単そうで難しい気がするのは気のせいでしょうか?


「ラーナよ、言い辛いが君は師匠の事を知らない。

師匠は暴走を始めると自分でも制御不能になるんだ、「お願い」してもダメだと余は思うんだ」


「いいえ、お父様、私ならワンチャンでイリス公爵閣下を抑えれる可能性があるかも知れないのです」


「ワンチャン??犬がどう関係するのですか?ラーナ?」


「ああ・・・いいえ、少しは可能性があるかも知れません」


その後もお父様とお母様に反対されたラーナでしたが、何故か頑なにイリスさんの相手をすると主張して結局はお父様が根負けしました。


イリス公爵閣下のファーストダンスの相手はラーナ侯爵夫人に決定です。


予想以上のハラハラ展開に私もドキドキです。

そして何かを隠しているラーナなのですが、それが何かは分からないです。

そして運命の新年パーティーが始まります。


そしてサクサクっと新年パーティー当日。


作者さんの作品はスピード感だけは有るのが魅力ですね。

でも爆速過ぎで、大事な設定を置き去りにして凄いスピードで走り抜けるので読んでる人をポカーンとさせる時が、しばしば、あります。


そして、「あっ、やべぇ説明してねぇ!」と、大急ぎで戻って来るのでごちゃごちゃするのです。

今回のお話しなんて正にそうですね!作品が完結する前にやれ!です。


会場で給仕をすると話しをしていたメイドさんに憑依してサクッと会場に潜入成功した私、・・・・「影見」のスキル凄いです!私も欲しいです。


魔王バルドルさんに尋ねて見た所、今の所、世界で唯一無二のスキルで魔王バルドルさんが亡くなると誰かに移譲されるそうです。


「ユグドラシルの瞳を持つ者の限定スキルじゃからな。

当然、お主にも継承権はあるが、移譲されるかは「神のみぞ知る」と言う訳じゃ。

儂よりお主の方が長生きすると思うから気長に待つが良い」

との事なので気長に待ちます。


あっ!言い忘れてましたが海龍王アメリア様が「ユグドラシルの瞳」を持つ者達で念話コミニティーを作ってグループ念話が簡単に出来る様にしてくれました。

暇な時は皆さんと良くお喋りしてますよ。


さてさて!そう言う訳なので早速「影見」を使い会場内をリサーチ!!すると・・・


おや?不参加だったはずのセリスさんが居ますね。

何かラーナとお話ししている様なので聞きに行きましょうか。


素早くラーナに憑依!「影見」本当に便利ですね!



「ラーナ様!やめた方が良いですって!

なんかこちらに到着した時点で凄くイリスのテンションが高いんです!

イリスは絶対にラーナ様をピンポイントで狙ってますよ?!」


「あっ・・・「ファーストダンスは女性限定」って、やっぱり私が狙われてたんだ」


おお?!憑依した途端に不穏な会話が聞こえて来ましたよ!

セリスさんは股関節筋肉痛を押してラーナに警告をしに来た様ですね。

イリスさんがラーナを狙うとは?どう言う事なのでしょうか?


「そっかぁ~、遂にイリスにバレたかぁ~、参ったねえ」


おお?!ラーナの口調が変わりましたよ?!

こんな口調のラーナ、双子の姉の私でも見た事がありませんよ?!


「うーん、大丈夫だと思うんだけどなぁ、イリスも大人になったから、その辺は弁えているとは思うんだけど・・・」


「ラーナ様?あのイリスですよ?人は簡単に変わりません!」


「まぁ・・・今更辞退も出来ないし、出た所勝負で頑張るよー」


「ラーナ様ぁ・・・」


・・・今のお話し・・・私が聞いて良かったのでしょうか??

イリスさんとセリスさんとラーナの間には何か秘密が有る様子です。


と、いよいよ国王陛下の新年の挨拶が始まります。

スピード感重視なので儀礼事はオールカットしちゃいます!

校長先生のお話しを長々と書いても仕方ないですからね!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「では皆の者!存分に楽しんで行ってくれ!」

はい!お父様の挨拶終了です!お疲れ様でした!サクッと次に行きますよ~。


楽団が演奏を始めて遂にファーストダンスが始まります。


舞台中央は主催の国王陛下とエリザベス妃ですね、やっぱりお母様はエリザベス妃にファーストダンスを譲りましたね、ここは大方の予想通りです。


第二王子、私の弟でもあるアラン君の為にも生母のエリザベス妃の権威は高めないといけませんからね。


そして王妃のお母様は・・・おお?!何と!王太子のロミオ君のファーストダンスの相手をします。


まだ12歳のロミオ君ですが舞踏会に立てる様になったのですね・・・

お姉様は嬉しくて泣きそうです・・・え?いや?!ロミオ君は社交界デビューしてたんですか?!と思ったら王太子教育の一環の予行練習だそうです。


お母様とロミオ君は周囲の邪魔にならない様に端っこに居ます。

お勉強頑張って下さいロミオ君!お姉様も応援してますよ!


さて問題はイリス公爵閣下とラーナです。

この意外な組み合わせに周囲も少しサワサワしています。


「うふふふふ~、ラーナ様、私のお誘いを受けて下さりありがとうございます」


「もう!手の込んだ事して!」


小さな声で会話をする、イリスさんとラーナ。


「まぁまぁ、お手をどうぞ」

どうやら男性パートはイリスさんが務める様です。

その為かイリスさんはドレス姿では無く、軍服を着ています、えっ?!軍服??


うええ?!これ・・・後でラーデンブルク公国で大問題になるのでは?

いえ!カッコイイ!カッコイイのですが、慣例としてはアウトですよー??

まぁ・・・怒られるのはイリスさんなので良い?のかな?


「はあ~・・・」小さな溜め息を付きイリスさんの手を取るラーナ。


「うふふふふ」と笑いグイっとラーナを引き寄せるイリスさん。

「きゃっ?!」イリスさんの腕の中にスッポリ収まるラーナ。


キャー??と周囲でセカンドダンス待ちの御夫人達から小さな黄色い歓声が上がります、何を隠そう私もイケナイ雰囲気にドキドキです!


「こんな事して後で怒られても知らないよ!」

抱きしめられて真っ赤な顔をしてイリスさんを見上げて怒るラーナ。


「いいからいいから」

爽やかな笑顔でラーナを見つめるイリスさん。


ふわ~・・・男装の麗人と美しい元王女・・・絵になりますねぇ。

私はラーナと同じ顔をしていますが、ちょっとこの雰囲気は出せないですねぇ。


そしてクルクルとダンスを始める2人、あれ?別に普通ですね?


「ふぅ・・・それで?いつ気が付いたの?」

ダンスをしながらイリスさんに質問をするラーナ。


「最初にラーナ様を見てピンって来たよ。

だってアメデ様が「ユグドラシルのママ」と縁を結んだって行ってたからね。

でもラーナ様の記憶が無い様子だから知らないフリしてたんだ」


ん?アメデ様?ユグドラシルのママ?・・・ユグドラシル?何か知っていますか?


《いいえ??私にも何が何だかサッパリです》


うーん?どう言う事なのかサッパリ分かりませんね。

大人しく2人の会話を聞きましょう。


「私の方からも質問するけど、ラーナ様の記憶が戻ったのいつなの?」


「セリスさんの結婚披露宴の時よ、イリス・・・何か私にしたでしょ?」


「え~?なんの事かなぁ?」


「もう!とぼけちゃって・・・」


「でもまた貴女と話せて凄く嬉しいよ!エリカ!」

イリスさんの笑顔がとても眩ゆいです!美しいです!


・・・でも「エリカさん」と言うのは??ユグドラシルは知ってますか?


《いいえ?私も知りませんね》


「そうね、私も凄く嬉しいわイリス・・・」

そう言って嬉しそうに見つめ合う2人・・・恋人同士の様ですよ。


はっ?!これはもしや!!前世で2人は夫婦だった?!


《違うと思いますよシーナ?エリカさんは、女性のお名前です》


あや?そうなんですか?残念です。


「じゃあ久しぶりに会えた事だし・・・」


「え?まっ、まさか!私は今は人間だからね?!優しくしてよ?!イリス?!」

えっ?何か雰囲気が変わりましたよ?


お話しが済んだのかイリスさんのステップが徐々に早くなってますよ!

ラーナも必死になって付いて行ってます。


「あははは♪♪♪楽しいね?エリカ!」


「楽しいとかじゃあなくて!だから!私は人間だから優しくしてっての!

力も耐久力も今はイリスの半分も無いのよ?!」


おお?!イリスさん見事なステップです!噂通りですね!

見事にラーナをクルンクルンと回してますよー。


「じゃあ鍛えよう!あはははは♪♪♪♪」


「だから止め・・・優しくしろっつってんだろーーー!!」


うわあ?!ラーナがキレた?!キレましたよーーー!!

あんなに声を荒げたラーナは見た事がありません!


「あははははは♪♪♪大丈夫!行ける行ける♪♪♪」


「行けない!無理無理無理無理これ以上無理ーーーー!!」


こうして曲が終わるまでイリスさんにクルンクルンと回され続けたラーナでした。





「だから言ったのに・・・人間、そうは変われませんよ?」

椅子に座ってグッタリしているラーナの顔をハンカチで拭き拭きしてくれているセリスさんです。


「今回はマジヤバだった・・・マジで死ぬかと思った・・・」

虚空を見つめる完全にグロッキー状態のラーナ。


「この程度でだらしないなぁ・・・それでも龍騎士なの?」

自分でも少しやり過ぎたと思ったのかイリスさんもラーナのお顔を優しく拭き拭きしています。


「い・・・今は運動不足の侯爵夫人ですわ、おほほほほ」

ラーナは棒読みでうわ言を呟いています。


でもこの3人の関係性が全く分かりませんね・・・昔なにがあったのでしょう。

龍騎士・・・ラーデンブルク公国の精鋭部隊の名前ですね?

ラーナが昔、龍騎士とどんな関係があったのか凄く気になります!


「うーん・・・エリカはもうダメかぁ。

じゃあセリス!セカンドダンス行って見る?」


「無理無理無理無理無理無理!!股関節が痛いんです!助けて下さいエリカ!!」

ラーナに思い切り抱きつき助けを求めるセリスさんに、

「・・・人は簡単には変われない・・・」と呟いたラーナ。


結局イリスさんは、この後も大暴れして、お父様の股関節を破壊して、何故かクルーゼさんも巻き込み事故を貰い股関節を破壊されました。


お母様はお父様に緊急避難させられてました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に参加しないで良かったです!!


新年パーティーを覗き見した感想は・・・

「戦慄の股関節破壊の舞踏姫が噂以上だった」です!


ラーナの事も気になりましたが、その後のイリスさんのダンスの凄まじさで全てが霞んでしまいました。


ところでユグドラシルさん!感想は?


《あの可愛いかったイリスが・・・》


はい!以上、新年特別企画の読切外伝を終わります!

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