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戦乙女の英雄 その15

「ででででででででで」


「はい、ヤニック殿下がこの邸宅に来てますよファニー」


「でででででででででででで??」


「ない、貴女と会いたいと仰っています、どうしますか?」


「でででででで?ででででででででででででで?」


「さあ?どうするつもりなのか・・・わたくしにも分かりません」


「でででででで・・・でで?でででででででで」


「はぁ・・・分かりましたわ、そう殿下にお伝えします」


「何でそれでファニーと母上の会話が成立するのやら・・・

結局の所でファニーは殿下の事が好きなのか?嫌いなのか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・でででででで」


「そうか・・・まぁ、ゆっくり考えたら良いぞ」


「貴方も会話が成立しているじゃないアンソニー」


今の会話を要約すると、ヤニックが辺境伯邸に来たと知ったファニーが驚き過ぎて語彙が崩壊して「で」しか発音が出来ない状態で「何でここに殿下が?」と聞き、母スージーがヤニックがファニーと会いたいって言ってる→「わたくしと会ってどうするの?」と聞き→「今は恥ずかしいから会いたくないと答え→アンソニーからファニーはヤニックをどう思っている?と聞かれて→「分からない」と答えたのだ。


いや!面倒くせえ!普通に話さんかい!


「そうですか・・・分かりました。

では私はヴィアール辺境伯領で冒険者として働きながらファニーが会ってくれるまで待ちます。

宿は自分で取りましたので、どうか俺・・・私の事は捨て置いて下さい」


ファニーの性格的に最初から持久戦を覚悟していたヤニック。

ここに来る前に既に宿を取っているのだ、しかも長期滞在で。


「まぁ、ヤニック殿下は随分と計画的なのね」

このヤニックの用意周到さに驚くスージーだがヤニックは師匠のイリスと旅をする内に旅の先行準備と言う芸当を覚えているので、この程度は造作もないのだ。


そうしないと師匠のイリスは平気で野宿をするからだ。

ラーデンブルクへ向かう旅の初日に街の郊外に野営すると言い出したイリスに王子様のヤニックはメチャクチャ驚いた。


「エルフの女王が野宿なんて以ての他です!」


「大丈夫だって、私は元軍人だよ?野営なんて毎日だったんだから」


「お風呂や食事とかはどうするんです?」


「お風呂には入らない、食事は木の実を食べる?」


「ダメに決まってます!大体なんで護衛の方たちを置いて来てしまったのです?」


「も~、固いなぁヤニックちゃんは・・・3日くらい野営しても大丈夫だって。

護衛は要らない、あの子達も毎回の事だから自分達で勝手に帰るよ?

置き手紙も書いて来たから大丈夫だって」


「イリス女王陛下?何て書き置きして来たんですか?」


「ヤニック君、師匠!私は君の「し・しょ・う」ね、イリス師匠と呼びなさい。

書き置き?「用事があるから別ルートで帰るね、多分君達より早く到着するから心配しないでね」って書いて来たわ」


「はぁ・・・イリス師匠?それで大丈夫なんですか?」


「大丈夫じゃ無いわね、到着したら長老連中にギチギチに絞られるわね」


「ええ~?ダメじゃないですかぁ、何でこんな事をするんですか?」


「私の勇者としての行動を本国に知られたくないからね。

お城の中ってスパイがウヨウヨしているのよ?」


「え?それが分かっているのに放置しているんですか?!」


「スパイを利用して相手にカウンターを入れる為ね。

その為にも自由奔放で自分勝手な女王様の印象は大事なのよん。

敵には大いに舐めて掛かって貰いたいのよ」


「師匠?もっともらしい事を言って本当は普通に公務が息苦しいから逃げたんじゃないですか?

予定訪問先がピアツェンツア王国だけだったとは思えません」


「凄いわヤニックちゃん!何で分かったの?!」


「そんなの普通は分かりますよ~」


こんな感じに師匠のイリスが色々と・・・本当に色々と無頓着なのでヤニックが世話をしないとイリスがあっという間に埃塗れのボロボロになってしまうのだ。


街で宿屋を見つけてイリスを風呂にぶち込むのがヤニックの仕事になった。

そして毎回、イリスが揶揄って来るのだ。


「ヤニックちゃ~ん一緒に入る?良いお湯だよ~」

わざとヤニックに見える様にタラリララ~♪と足を見せるイリス。


「入りません!」


当時まだ12歳の純情なヤニックがイリスのラッキースケベ攻撃にゴリゴリとメンタルを削られたのは言うまでもない。


しかし・・・あの女王も処○の割にようやるわい。


え?なぜそんな事を知っているかって?本人から聞いたからじゃ!

あやつが聞きもしないのにベラベラと儂に念話で変な愚痴を言って来るからじゃ。


「ねえバルドルさん?なんで私には男性の縁がないのかな?」


「うむ!知らん!」


本当に分かるか!公務で忙しいのにそんな事で念話してくんな!

つかお主も公務中ではないのか?また近習にチクるぞ?


ちなみに儂は、妻は普通におるが子はおらぬ。

儂が結婚している事でイリスを煽ったら、あやつ泣きながらマジで攻めて来おった!

そして儂は魔王城の連中にめっちゃ責められて悪者にされて妻にも叱られた・・・


ちょっと揶揄っただけじゃん?!そんな怒らんでも・・・

そして魔王城の連中は同盟国の女王とはいえイリスに甘過ぎるのじゃ


まぁ、あやつが男とイチャイチャしてる姿はちょっと想像出来んな。

イリスに男性経験が無いのはイリスに可愛げが無いからじゃね?知らんけど。





「と言う事もありまして・・・」


「そ・・・そうですか・・・相変わらずですねイリス師匠は・・・

うふふふふ・・・そうですか、エルフの女王ともあろうお方がヤニック殿下に御御足を見せるなんて・・・

今度しっかりとお話しをしないといけませんわね」

ギラリとスージーの目が光る。


ヤニックの狙い通りに怖い姉弟子は変態師匠のイリスにお仕置きしてくれるらしい。


同門の姉弟子に情け容赦なく師匠の破廉恥な醜態をチンコロして満足したヤニックは一度、辺境伯邸から退去して領内を見学する事にした。


もう一つの目的でかる魔王バルドルの動向も探るつもりだからだ。

勇者として場合によっては魔王バルドルを討伐しようかとも思っている。


ん?討伐?


ほおおおお??魔王バルドルの討伐ねぇ~?


そうかそうか、分かったよヤニック君?

そう言う事ならこちらも先制攻撃で王太子殿下の来訪の歓迎をしようか!


と言う訳で魔物型ゴーレム3000体でヴィアール辺境伯領都を襲撃します!

と言うかヤニック君を集中攻撃でよろしくです。


やってやんよ!勇者ヤニック!掛かって来いや!!


『良いぞー、バルドル!やれーーー!!』


いや君は声援に出て来なくて良いよ?「世界の言葉」さん・・・これ牽制だからね?


『愚かなる者に正義の鉄槌を!!言う事を聞かない人間にお仕置きを!!』


テンション上げ上げの世界の言葉さん、ストレス溜まってんなぁ・・・

君、言う事聞かない人間相手に絶対に私怨が入ってるよね?


まぁ一応、世界の言葉の許可も取れたし転移魔法陣を展開じゃあ!


ズゴオオオオオゴゴゴゴゴゴオオオオオオ・・・




カーン!カーン!カーン!

ヴィアール辺境伯領都に喧しい警鐘が鳴り響く!


警鐘と共に冒険者達が冒険者ギルドに走る!情報と報奨金額の確認の為だ。


「襲撃だーーー!!敵の召喚魔法陣の複数展開を確認!数3000以上!

報奨金は敵一体に付き10000円(相当)ボーナスも有り!!」


「よっしゃああああ!!野郎共!稼ぎ時だぁ!!」


「うおおおおおお!!!来た!来た!やっと来たぁああ!!」


久しぶりの魔王軍襲来に一気に色めき立つヴィアール辺境伯領都の冒険者達。

君達、本当に戦うの好きだね~。


いや・・・単純に金欠だなコイツ等。


こうして定期的にガス抜きをしてやらないとコイツ等、暇つぶしに真魔族の領土に攻めて来るんだよ!


今日は新型のケンタウロス型ゴーレムのお披露目と試験も兼ねておる!

よっしゃ!行けーーー!!ケンタちゃん!冒険者共に突撃じゃあ!


あ・・・前足のバランスが悪かったか、つんのめって転んでる、修正修正。


「?!?!?!何でいきなり魔王軍が攻めて来るの?!

って?!何?!この馬人間は?!?!キモ?!」


キモ!とか言うんじゃねえ!ケンタちゃん可愛いだろうが!


突然の魔王軍の襲来に驚くヤニックだが、82%くらいはお前のせいだよ?

さあ!お手並み拝見じゃな、勇者ヤニックよ!

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