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戦乙女の英雄 その12

「うおりゃあああ!!!」ドゴオオオン!!

ヤニックの完全八つ当たりドロップキックで盗賊の三人がブッ飛ぶ!


「うわあああ?!何だテメェ?!」


「テメェこそ何だ?!この野郎!!」バギィ!!「ぎゃあああ?!」

余計な声を掛けて来た盗賊の顔面にヤニックの右ストレートが炸裂する!


「めんどくせぇ事やってんじゃねえぞ!テメェらぁ!!」

ドボオオオン!!「ぐへええ?!」ヤニックの膝蹴りが盗賊の腹に直撃する!!


後に商団の護衛の冒険者?が語る・・・

「最初は盗賊の仲間割れかと思ったくらいガラが悪かったよ」と。


そう語られるくらいブチ切れて大暴れしているヤニック相手にどうすれば良いか分からず敵味方共にオタオタする現場。


ヤニックが盗賊のみに攻撃を仕掛けるのでようやく味方だと分かり商団の護衛の冒険者?達がヤニックの援護を始める。


冒険者?の「?」はなんじゃい?


ヤニック乱入で数の上で厳しい状況だった商団側が一気に優勢になり盗賊達を追い込む!


普段大人しいヤツがキレるヤバい言葉を体現させるヤニック。

剣で切ろうが槍で突こうが弓矢で射ろうが・・・


バギィーーーン!!ガコーーーーン!!パキイィーーーン!!

全て拳で武器を破壊されて丸腰にされてしまうのだ。


ヤニックが得意な「武器破壊」の特殊スキルだ。

こうなってしまうと相手は拳闘士相手に素手での戦いに引きずりこまれて、


ドゴオオオン!!「ぐへえ?!」ドン!ドスン!「ぎゃああ?!」

ヤニックに次々と叩きのめされて行くのだ。


ヤニックが1番得意な戦法の一つだ。


完全な1人舞台になったヤニックは調子に乗ってやらんでも良い奥義の闘舞まで披露して一気に26人の盗賊をぶちのめした!


最後の1人を正拳突きでブッ飛ばして盗賊で立っている者はいなくなった・・・


《ああーーー!スッキリしたーーーー!!》

暴れ回って超爽快感を味わうヤニック。

やはり自分は戦場に生きる武人だと再認識したのだ。


「ご協力を感謝します、ヤニック王太子殿下」


ピシャーーーーーーーンン!!!


その超爽快感がこの一言で冷や汗に変わったヤニック。


《えっ?!何で?!俺の変装は完璧なはず?!》

混乱したヤニックは恐る恐ると声の主を見て・・・見るんじゃ無かったぁーー!!


そこにはヤニックも良く知る人物・・・つうか一昨日も会ったばかりのバシュレ伯爵、王都憲兵総監がいたのだ!


「なななななななぜに?ここにバシュレ総監閣下が?」


「いえ、此奴らは実はゴルド王国の特殊部隊の連中でしてな。

この街道で活動していて通商破壊戦をしておりまして、憲兵隊が商団を装って網を張っておりました」


《ゴルド王国?!通商破壊戦?!何だそんな話し俺は聞いて・・・・・・

ああーーー!!思い切り聞いてたよーーーー!!クルーゼの兄貴が言っていたよ!》


クルーゼから数回に渡りこのゴルドの特殊部隊の話しは聞いていたし憲兵隊の特殊部隊が迎撃作戦をしていた事も聞いていたヤニック。


ファニーの事で頭ボッカーンしてて完全に忘れ去ってしまっていたのだ!


「しかし驚きましたぞ。

王太子殿下は超高度な武器破壊能力をお持ちなのですなぁ。

その爽快な戦いぷり、恥ずかしながら見ていて私もワクワクしてしまいましたぞ」


《そうっすね・・・武器破壊はイリス師匠直伝だし、めっちゃ気持ち良く爽快に戦ってしまいましたね》


「我々も驚きました。殿下は拳闘士だったんですねぇ」

1人の憲兵が話し出したのをキッカケにして・・・


「そりゃ学園で剣技だとか言われても殿下は困るよな」


「学園の授業と本当の強さなんて別だよなぁ、うん分かるよ」


「そうだな、学園での評価なんてアテにならないよな」


口々にヤニックを褒める憲兵の特殊部隊員達、そりゃあガチの勇者の戦いぷりを間近で見たのだ、褒めたくもなる。


学園での王太子ヤニックの低評価は有名だ。

その反動も有って一気に憲兵達の中でヤニックの株は爆上がりしたのだ。


「ところで殿下はなぜここに?」


《その質問!当然来ますよねーーー!!》


ぶっちゃけ今のヤニックは出奔・・・トンズラかましている状態なのだ。

国王に許可なんぞ貰ってたらファニーに追いつかんから事後承諾を貰ってくれい!

とクルーゼに丸投げして来たのだ。


「無駄に体力だけ余ってて普段役立たずなので何か力になれる事は無いか?と変装をしてこの近辺で情報収集してました」

超無難な言い訳をする事にしたヤニック。


あまり余計な事を言うと自爆する予感しかしないかったからだ。

半分事実、半分嘘を言って誤魔化す、前半が事実、後半が嘘だね。


普段役立たずと言う所が事実なのが悲しい所だが仕方ない。


「おお・・・そうでしたか。

しかし世の中には、その様にお考えになられる王族は残念ながら少ないです。

殿下がその様なお考えでいらっしゃる限り私は死ぬまでお供させて頂きます」


腰を折り臣下礼をするバシュレ伯爵、しかしどこか疑っている様にも見える

周囲の憲兵達も同様にヤニックに対して礼をとる。


この事がキッカケで国王になったヤニックを深い絆で終始1番良く支え続けるのは近衛兵団でも騎士団でも無く憲兵隊になるのだ。


「ありがとうございます皆さん・・・」

感動したヤニックは憲兵達に深く頭を下げる。


「で・・・殿下いけませんぞ臣下に頭を下げるなど」


「いえ、今ここに居るのは、ただこの近辺を歩いている近隣に住む平民なので問題はありませんよ」そう言って笑うヤニック。


「そりゃそうだな」年配の憲兵が笑うと・・・


「ワハハハハハハハ、そうだそうだ」と周囲にも笑いが伝染して行く。


「これ!お前達は!」そう諫めるバシュレ伯爵も少し笑っていた。


ヤニックは自分が酷い考え違いをしていた事に気が付いた。

何でもかんでも1人で解決する事が正しい事だと思っていた、それが王だと。

しかし頼り頼られて国が一丸となり進む道が正しいと気が付いたのだ。


それをまとめるのが王の役目だと。

この日を境にしてヤニックの行動は大きく変わる事になる。

そしてその王を支えるのはファニーしか居ないと確信している。


「それでは俺は国の王妃なる女性を攫ってこないとダメなのでそろそろ行きます。

後の事はよろしくお願いします」ヤニックはそう言ってニッと笑う。

もう隠すのはやめたのだ。


するとバシュレ伯爵は少し驚いた表情を見せた後に、「殿下の思う様、御存分に」と再度臣下礼を取った。


こうしてまたヴィアール辺境伯領を目指して走り出すヤニック。

何か気分が良くなって思わず全力で走り始めて丘陵越えの大ジャンプをする。


すると目の前に何か青い大きな物が見えた?!

「へっ?!」


ドッシーーーン!!!「「きゃあああああ??!!」」

衝突した衝撃で意識を飛ばすヤニックの耳に可愛いらしい悲鳴が聞こえて来た。


・・・・・・・・



・・・・・



・・・





「うわあああ?!」気絶から覚醒して飛び起きたヤニック。

すると目の前に龍の顔があった。


「うお?!」これにはビックリするヤニック。

どうやら寝ているヤニックの顔を覗き込んでいたらしい。


「あー・・・どうも」ペコリと頭を下げるヤニック。


「「ふーん?リアクションはそれだけ?人に思い切りぶつかっておいて?

ごめんなさいは?」」可愛いらしい声だが不機嫌そうな声の龍。


「ぶつかって?ああ!そうか!すみませんでした!」

ようやく自分が龍と激突したと理解したヤニックは素直に謝る。


「「空を飛ぶ時は前方確認!!いいね?」」


「すみません、何か勢いずいちゃって」頭をポリポリと掻くヤニック。


「「ふーん?私を見ても全然、驚いたり怯えたりしないんだね君?

どこかで龍種に会ったりしていたの?」」


「あー、はい、俺の師匠の相棒が地龍なんで、暫く一緒に訓練に付き合って貰ってました・・・

貴女は・・・天舞龍のリール様ですよね?

初めまして、ピアツェンツェアのヤニックと言います」


ヤニックは天舞龍リールと激突していたのだ。

恐ろしい程の低確率を引き当てるヤニック、運が良いのか悪いのか・・・


しかしこの出会いからヤニックは天舞龍リールからの助けを得る事が出来る様になるので素晴らしい運の良さだろう。

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