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戦乙女の英雄 その4

王立学園に編入したファニー、初登園した途端に絡まれた・・・


「貴女がヴィアール辺境伯家の令嬢ファニー様ですのね?

遠い所からのお越しで申し訳ございませんが、ヤニック王太子様の婚約者は私と決まっておりますのよ?」


ファニーは率直に思った、「この人誰?!」と・・・

え~と?ファニーは謎の令嬢の胸元を見る、貴族の生徒は皆家門を記したバッチを胸に付けるのが義務付けられているからだ。


《んーと?ああ!ブリタニア伯爵家の令嬢リアナ様ですわね》

南西の諸島郡を治めるブリタニア伯爵家、海に囲まれた美しい領でバカンスなどの観光で人気の地域だ。


とりあえず挨拶からですわね、

「初めましてリアナ様、ヴィアール辺境伯家のファニーと申します。

至らぬ点が多々あると思いますが宜しく御鞭撻の程をお願い致しますわ」

優雅にカーテシーをぶちかます、ファニーだった。


「あう?・・・こっ・・・こちらこそよろしくお願いしますわファニー様」


《ふむふむ、これは実家からの指示で私に絡んでますわね》

直感でリアナ伯爵令嬢個人は悪い人間で無いと判断したファニーはニコリと笑い。


「是非ともブリタニア諸島のお話しをお聞きしたいですわ」

友達になってしまおうと思った。


「な?・・・ええ!よろしくてよ」頬を赤くしてツンとするリアナ嬢。

これはファニーも知らない事だが、ファニーは同性から好かれる傾向がある。

普通の令嬢から見るとファニーは「騎士」を思わせる雰囲気があり、カッコいいと思うんだそうな。


エスティマもアッサリとファニーに陥落したのはファニーが、「騎士様枠」だったからと言える。


「では、お近づきの印にお茶会などを致しましょう」

とリアナ伯爵令嬢の手を騎士がエスコートをする様に取るファニー。


「え・・・ええ!行きましょう!ファニー様」

「イケメン」に手を取られて恥ずかしいリアナ嬢、エスコートされるままにサロンへと連れて行かれる。


「やっぱりファニー様、素敵ですわー」


「ドキドキしちゃいました、私もエスコートされたい!」


「きゃーーー♪♪♪私も手を握って欲しいです」


キャイキャイと百合話しに華を咲かせる令嬢達だった。




その同時刻、王立学園の前に立ち竦む王太子ヤニック・・・


「どしたー?入らねえのか?ヤニック?」

専属侍従としてヤニック付きで働く事になった勇者クルーゼ。


クルーゼがピアツェンツェア王国の王族に仕えてくれると知った国王はめっちゃくちゃ喜んだ!


「よし!!侯爵の地位を!!」「やめんかい!そんな爵位は要らんわ!!」

国王からの提案を問答無用で断ったクルーゼ。


ピアツェンツェア国王と勇者クルーゼは若い時からの親友だったからこの様な不敬な態度も許されるのだが意外とクルーゼは行儀が良い。

誰かが居る時は絶対にこの様な物言いはしない、頭に血が昇りキレていない限りは。


そして、ごねにごねた国王に押し切られてクルーゼは渋々エスピナス子爵に収まったのだった。


それから、クルーゼの他にも数人の「勇者」がヤニックの配下になっており。

新生王太子一派は本人も含めて超絶やべえバリバリの武闘派の集まりになった。

まぁ、これは単にヤニックの人望だったと言える。


「はあ・・・気が重くて・・・ここで何されるが分からないから怖くて・・・」


「やっぱし女に取り囲まれるんじゃね?お前王太子殿下だしな」


「やっぱりそうなりますよね?そうなったら助けて下さいよ?クルーゼ兄貴」


「嫌なこった」と笑うクルーゼ。


そもそもヤニックは「戦場帰り」である。

一般的な勉強なんて5年以上全くしていない、学園内の同級生の中でも非常に頭の悪い分類に入る。


その代わりに魔法学においては世界最高峰レベルなのだが・・・

そんな感じなので「魔導研究課」に所属して誤魔化そうとしていた。


「おら、グダグタ言ってねえでさっさと行くぞ」


「へえーーい」とても王太子と侍従に見えない二人だった。


ヤニックが部屋に到着すると・・・

冒険者のイノセントとジャックが居た、説明するマジ長なので二人の詳しい事は「本編」や「幽霊退治屋セリス」を見てねっ!☆


言うに及ばすこの二人も黙示録戦争、人魔大戦を戦った「勇者」である。

王家からの依頼で学園内での王太子ヤニックの護衛任務に就くのだ。


「よおし、で?ヤニックよ、学園内から学生の侍従を3人選ぶぞ」

突然そんな事を言い出したクルーゼ。


「ええ?!マジですか兄貴?俺、これ以上の侍従は要りませんよ?」


「そう言う訳にいかねぇよ、王太子殿下」イノセントが笑う。


「俺等に本物の侍従の仕事が出来る訳が無いだろ?」

2mを超える大男のジャックも呆れた様に笑う。


「で?ヤニックは誰を選ぶ?」


「俺に知り合いなんて居る訳ないじゃないですか?ずっと戦場に居たんだから・・・

あれ?・・・侍従って女性でも良いんですか?」


「別に構わんぞ?侍従で無く侍女に変わるだけだ」


「ならヴィアール辺境伯家令嬢のファニーさん、今の所はそれしか知り合いが居ませんね」


「ふ~ん?まぁ、そのファニーって嬢ちゃんは決まりだな」

こうしてファニーは、なし崩し的に王太子ヤニックの侍女にされてしまう。


「そうだな後は様子見て増やすしか無いな・・・」


「貴族社会特有のバランスってモンもあるんだろ?」


「そうですね?」貴族社会の事もイマイチ分かって無い、ヤニックだった。

そしてこの決定をファニーに伝える役目を担ったのはジャックだった。


ジャックに決まった理由は・・・今から書きます。




「面会?わたくしに?殿下の侍従様が?」


「はい、いかが致しましょうお嬢様?」

ファニーも一応高位貴族なので専属侍女のトリー女史の他に5人の侍女が付いている。

・・・ファニーが妙な事をしない様に見張る監視員とも言うが。


「叔母さま?」


「断ると不敬になりますよファニー」


「はあ・・・分かりました。談話室でお会いしましょう」

嫌な予感しかしなくて断りたいファニーだったが仕方ない。


ファニーが居る寄宿舎は当然だが男性の立ち入りは一切厳禁だ、護衛騎士や用務員さんですら女性の徹底ぶりだ。


例え恋人、婚約者であろうとも絶対にダメだ。

それが嫌なら別に建物を買うか借りて通学するしかない。

国王ですら監視員が同行しなければ入れないまさに女の園なのだ。


ちなみに不埒な目的で侵入したら誰であろうとも速攻で犯罪奴隷落ち、強制労働が待っている。


談話室は寄宿舎と外部を繋ぐ唯一の部屋だ。

「厳重です事・・・」本来なら貴族の親が自分の可愛い娘を不埒な者から守る為の措置なのだがファニーの場合は脱走防止の為に寄宿舎にブチ込んだのは言うまでもない。


「まぁ、この程度ではわたくしの足止めは出来ませんけど・・・」

ファニーが本気を出せば余裕で乗り越えられる高さの塀なので何の問題もない。


「脱走したらお仕置きしますからねファニー」


「はあい」またブスーと不貞腐れるファニーであった。


談話室に着くと・・・

「まあ?!熊さんですわ?!」ファニーの目がキラキラ輝く。

《きゃーーー♪♪♪なんて素敵な筋肉なんでしょう!素敵ですわ!》


「熊じゃねえよ、失礼だなファニー、ガハハハハハハ!」

身長2m超えの大男のジャックが大笑いする。

ファニーは筋肉フェチで筋骨隆々の大男は大好きなのだ。


ジャック登場で一気に機嫌が良くなった現金ファニー。

いそいそとジャックの前の席に座るファニー。


「早速ですが貴方はご結婚はなされてますの?」


「ん?結婚か?娘が二人いるぜ?」いきなり見合い的な質問をするファニー。


「そうですか・・・」

いきなり撃沈するファニー、彼女に結婚願望が無い訳では無い。

どちらかと言うとめっちゃある!


「うう・・・やはり素敵な人は結婚が早い・・・」

なぜか周囲の好みの筋肉達は早婚者が多い・・・何故かは知らん。


「ファニー様・・・まだ諦めてないのですね・・・」

叔母であるトリー女史も姪の筋肉好きは知っている、なので筋骨隆々の男性を探しているのだが先述の通り良い男性が見つからない。


ファニーにとって背後にお花のエフェクトが出る線の細い王子様になんぞお呼びではないのだ。


後にヤニック王太子の筋骨隆々の体を見た時のファニーの反応が楽しみである。

・・・とある場所ではその話しを書いてるので18歳以上の方は読んで見て下さい。


「なんか良く分からないがすまんかったな、ファニー」

ファニーはなぜジャックが自分を呼び捨てにしてトリー女史もそれを咎めないのか不思議な事態な事に気がついていない。


普通で考えたら不敬なんてレベルではない。


「いいえ、ジャック様が悪い訳ではありません。

この子の趣味と巡り合わせが悪いだけです」


「叔母様酷い!・・・って叔母様はこちらの方をご存知で?」


「ご存知も何も貴方の従兄弟のジャック様ではありませんか!」


「えっ?!えええええ?!あのジャック兄様?!」


実はジャックはファニーの母スージィーの兄の子供である。


子供の頃は良く遊んでもらっていたがジャックが14歳、ファニー4歳の時、

王都の騎士見習いになってからは会える機会がなかった。


ファニーの記憶に残るジャックはそこまで筋骨隆々では無く、普通の少年だったので潜在的にその可能性を排除していたのだ。


「気がつかねぇのも無理ないぜ10年前でファニーは4歳だったからな。

身長は騎士団に入ってから自分でもアホかと思うくらい伸びたなぁ」


思わぬ所で従兄弟と再開したファニーだった。

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