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ユグドラシル編 1話 「不穏の気配」
















☆いきなり新シリーズの開始ですよ。


「この頃は本当に話しに落ち着きがない展開ですよねぇ」


もう少ししたら落ち着いて来ますのでお待ちください。


「では♪新シリーズスタートです!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





母である王妃ファニーとの再会から3年、シーナは10歳になり身長もグングンと伸びて140cnほどになり幼児から少女へと成長した、赤ん坊の時は少し虚弱だったがもう心配ないと育ての親であるノイミュンスターは安堵していた。


あれから王妃は2度ほどお忍びで訪れてシーナをウリウリして帰って行った。


ファニーにウリウリされると気持ちが良くなりすぐに寝てしまうシーナ、その寝ている我が子の髪を梳く王妃、何の憂いも無く母子が暮らす事の難しさ、「人間とは面倒な生き物じゃのぅ」とノイミュンスターは思う。


「今度はラーナを連れて来ます」と王妃は言うがなかなか果たされてはいない。


まだ見た事がない自分の双子の妹、どんな子かな?とシーナは会う日を楽しみにしている。

ちなみに全然シーナに会えなくて不貞腐れた王女ラーナが父ヤニック国王に「お父様とはもう口聞きません!」と父の心に特大の爆弾を投下したりしていた。


この時期辺りからシーナの取り巻く環境に変化があり、徐々にだが地龍としての事柄をノイミュンスターによって教えられ始めていた、それに付随して力の開放も少しづつ進み地脈の操作の修行に勤しむシーナ、今日もエレンお姉さんと近くの湖で修行をする。


「今日は砂鉄を使った技を練習しようか」


「うん!」シーナは武闘家の様に拳を胸元でぶつける何でそんな礼なの?何かシーナには武力馬鹿の気配を感じる。


「砂鉄」土に含まれていて磁石にくっつく黒いアレだ、そんな物で何を?と思うだろうが実に応用性があり攻撃や防御においての地龍の基本的な技の一つだ。


「先ずは鉄輪陣!防御用の盾を作る!」

重力操作の魔法で周辺の土から砂鉄を取り出して自分の周囲に纏う、それが三重の渦を作り出す。


「おおー」初めて見る魔法に感動しているシーナ。


エレンお姉さんは今度は物質操作魔法を使い纏った砂鉄を円形に流して圧縮して行き直径1mほどの盾を作り出す、この時の強度や数などは術者の技量に左右される。


地龍王様の鉄輪陣などは強度13(ダイヤモンドより硬い)の直径20m盾を200枚以上を作り出して変幻自在な動きで敵の攻撃を無効化する、まあ凄すぎて参考にもならないが。


エレンお姉さんが作った盾は直径1m強度5、数は7枚・・・少し修行が足りてないな人間の冒険者の技量だとDランクって感じかな?


鉄輪陣の最大の利点は土があれば触媒がいらない事でもある、大体の土には砂鉄が含まれているからな、たまに無い地層もあるが。


「これを槌に変え敵に撃ちだす!」エレンお姉さんが気合いを入れ魔力を注入すると次第に盾が円槌に変化する。


先端を尖らせて貫通力を高め徹甲弾にしたり、敵の直前で爆発させて榴弾の様な使い方も可能だ。


つまり自身の魔力が続く限り魔法砲弾を作り続ける事が可能と言う訳だ。

エレンお姉さんが作った槌は直径30mm長さが30cmの円槌だ貫通力は低いが相手を後ろにぶっ飛ばすのに有効だ。


「えーーーーい!!!」


ドンドンドン!ドンドンドンドン!!!

目標の土壁に槌が突き刺さる!・・・・・しかし速度と威力がイマイチだ、エレンお姉さんははもっと修行した方がいいな!


そしてここからが鉄輪陣の本領発揮だ!


「鉄鎖捕縛陣!!」


撃ち出した鉄槌は即再利用が可能だ砂鉄だから流動性が高い、槌が鎖に変化して土壁に絡みつく。

このまま相手を捕縛するも良し絞め殺すのも良しだ。


「砂鉄の基本的扱いはこんな感じかな?」エレンお姉さんがシーナを催促する。


「わかった!やって見る!鉄輪陣!」シーナが覚えたての重力魔法を使い土から砂鉄を集め様とする、が盾に出来る程には集まらない、魔力操作が未熟だからだ。


「うぬぬぬぬぬぬぬぬう!!」


顔を真っ赤にして頑張るシーナだが砂鉄がマダラに自分の周囲を回るだけだ、まぁ初めてで砂鉄を取り出せるだけ驚異的なんだけどな。


「ぷはあ!ダメだぁー」集中力が切れたシーナ、と同時に周囲のせっかく集めた砂鉄が霧散してしまう、これからは鍛練あるのみだな。


それから3時間ほどの鍛錬を終えて町に帰って来た二人はノイミュンスター様に呼び出される。


「最近、魔族共がこの国に侵入している様だ、二人は単独行動はしないで常に5、6人で行動する事、湖は防御機構の外だから安全が確認されるまで行くのは禁止だ」とノイミュンスターは真剣な表情で2人に伝達する。


「魔族・・・ですか?」エレンお姉さんの眉間に皺がよる。


「魔族って北の大陸にいるんだよね?なんでこの国に来ているの?」不思議そうなシーナ


魔族は「ユグドラシルの瞳」を受けた種族の一つだ、魔力を開放した姿は見た目は悪魔に似ているが全然違う存在でどちらかと言うと種族的には人間に近い。


この世界では悪夢や天使などは別の次元の存在で顕現する事はほとんど無い。

仮に顕現したとしても龍種の方が圧倒的な力を持っているので悪さを働いてもあっと言う間に蹴散らされてしまうので向こうがこちらを嫌って出て来ないのだ。


地龍が山やスカンディッチの監視をしているのは人間や超常の存在より魔族に対して警戒しての事だ、奴等は進化間際の竜種や若い龍種を捉えて使役し兵器として利用する竜種、龍種の天敵と言って良い存在だ。


対龍種用の結界のせいで奴等の領域だけは龍種の力が及ばないので捕らえられると捜索が困難なので最大限な注意が必要になる。


「おそらくは目的はシーナ達だ、捉えるなら天龍や海龍より同じ地上にいる地龍の若者の方ががやり易いからな」とノイミュンスター様が再度注意を促す。


「どこに潜伏しているのか分からないの?」とシーナが尋ねるが、


「残念ながら奴等は隠蔽の魔法に長けているから捜索は困難だな、本国(地下都市)でも索敵範囲を大幅に拡大しているが今の所は収穫無しだ」


なんとも不穏な話しに二人は不安そうな顔になる、するとエレンお姉さんが意を決して、「シーナを本国に行かせるべきです!」と進言する。


「エレンちゃん?!」と驚くシーナ


突然エレンお姉さんが真剣な面持ちでノイミュンスター様にシーナの避難を進言する。


「うむ、それはもう本国でも検討に入っている、数日中にはお主と共にシーナは本国に疎開させるから準備して置く様にな」とノイミュンスター様は決定事項を二人に告げる。


「えっ?本国?あたしは行きたくないよ?町から離れるのはいやよ?」


「お主は敵の優先目標だ今回に関しては意見や意思は聞かない、エレンと共に本国へ行け、これはお主だけの問題ではないぞ?エレンや護衛につく者達の安全にも関わる話しじゃ、自分の我儘で皆を危険に晒して良いのか?」と正論でシーナを諭す。


「うっ・・・んー、むう・・・」

ブスっと膨れるシーナだが狙われている者を護衛の難しい町に置いておくほど地龍は愚かでは無い、誰かを犠牲にする自由は認められない。

シーナも内心で理解しているので必要以上には食い下がらなかった。


「まあ本国に旅行に行くと思えばいいじゃない、私は結構楽しみよ」頭をヨシヨシしながらエレンお姉さんがシーナに微笑む。


「むー」理解はしているが不満なシーナだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スカンディッチ伯爵領より南へ50kmにあるアスティ公爵領、建国以来400年続く由緒正しき筆頭公爵家が治める領地だ。


肥沃な耕作地が広がり国内屈指の穀倉地帯である、歴代の当主と領民達の努力による成果だ。


しかし哀しいかなどんな時にも愚かな者は現れるものだ。


現当主のイタロ・フォン・アスティ公爵がその筆頭とも言える。


己れでは何も成して無いのに父や祖父達の功績だけを享受する典型的な馬鹿者だ。

得てしてこの手の馬鹿者は外からの巨悪の計略に簡単に掛かる。


シーナ放逐にも積極的に1番後押しした人物である。



「父上!何なのですか?!あの者達は?!」一人の青年がイタロに対して激昂していた。

マッテオ・フォン・アスティだ、アスティ公爵家の三男坊で歳は19歳で軍人だ。


普通高位貴族の子息は騎士や文官を目指すのだが「どちらも性に合わん」と軍人になった変わり種の男だ。


「煩いぞマッテオ、あの者達は私が雇ったのだ」いかにも煩わしそうなイタロは手を振って退室を促すがマッテオは一歩も引く気は無い、


「雇った?どう見てもこの大陸の者に見えないのですが?西の大陸でゴルド王国の不穏は父上の耳にも入ってるはずですが?」マッテオの声のトーンが低くなっていく。


「だからこそだ!この機会に西の者共の力を吸収して力を得てアスティ公爵家が王家に変わる絶好の機会なのだ」とイタロは得意気に言い切った。


愚か過ぎて話しにならないとマッテオは思った。

西の大陸は長年に渡り群雄割拠の修羅の大陸だ、平和ボケしたこの国の公爵如きがどうこう出来る相手ではない。


「なるほど・・・解りました、失礼します」

父に愛想を尽かして、これ以上の話し合いは無駄と判断し部屋を後にするマッテオ。


国外の勢力を領内に引き入れてしまったのでは一刻の猶予はない、急ぎ王都へ帰還し宰相閣下や兄達と協議せねばなるまい!と足を早めるマッテオだった。


ピアツェンツェア王国に不穏な風が流れ出す。


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