片腕の王女編 1話 「片腕の王女」
みなさん、はじめまして作者のウッドと申します
この作品は素人が書いてる作品なので色々と見苦しい所が多いと思いますが暖かい目で読んでやって下さい^^
面白ければ評価など頂けると単純な作者は喜びます
書き続けた結果、シリアスな戦記物路線にしようとしても作者がすぐにギャグ方向に爆走することが判明してしまったので基本は緩い感じで進行するのでよろしくお願いします^^
素人作品なのでちょくちょく修正が入りますが長い目で見てやって下さい
よろしくお願いします^^)/
ここは、霊樹「ユグドラシル」が作ったとされる魔法がある世界。
霊樹は枯れ世界には魔物が溢れたとされ・・・・世界が滅びに向かうのを阻止すべく神樹より「瞳」を託された者達とその眷属達が魔物と戦い、世界には安定が訪れたとされる。
その世界にある中央の大陸レッジョ・ディ・カラブリアの中で「天龍王アメデ」の加護を受けし者が作ったと言われる国があった。
中央大陸の覇者である海軍大国「ピアツェンツェア王国」
400年近い歴史を誇り、13代続く王家が治める封建制国家で幾度なく起こった内乱や他国の侵攻を乗り越えた強国である。
中央の大陸の国家である事を生かして海軍戦力に注力して来た国だ。
現在は戦艦の大型化、魔導推進システムなどの開発に成功するなど目覚ましい近代化した大型の戦艦を30隻ほど保有しており世界NO、1の海軍力を保有している。
現在の国王は、ヤニック・フォン・ピアツェンツェア
21歳の時に王妃ファニーと結婚して6年間子宝に恵まれなかったが遂に王妃ファニーが懐妊し国内に歓喜の声が上がった。
10ヶ月が経ち、いよいよ待望の王妃ファニーの出産の日が来た。
初産で心配されたが若き日は辺境伯家の戦姫と謳われた彼女は苦痛を跳ね除けて無事に王妃は出産して2人の女の子が生まれた。
人々は歓喜の声を上げ、城には幸せの鐘が鳴り響くはずだったが・・・
しかし城内にそんな明るい表情の人間はいない、城のあちらこちらの物陰で声が聞こえてくる。
「そんな!なんて事だ」
「何と双子とは・・・・・」
「伝え聞くところによれば、姉方の腕が・・・・・」
「そんな!不吉な・・・・」
「禍の子」
・・・・・・
ヒソヒソと宮廷内に重苦しい空気が漂う・・・
王家に長き渡り蔓延る悪習、「女児の双子は禍を及ぼす」との言い伝えがあったからだ。
時は3代目国王の時代、生まれた双子の王女・・・幼き時は仲睦まじい2人の見目麗しい王女達だった。
時は流れ王女達は17歳になった、美しく成長した彼女達は女性として目覚め、2人同時に若く美しい公爵に恋をしてそれを巡り激しく争い始めてしまった。
男女の色恋の絡れからの争いは苛烈差を増し続け互いに憎しみ合う結果になった、そんな王女達の周りの者達の様々な思惑や野心が複雑に絡み合い最後には最悪の内戦にまで悪化した。
局地的な戦いであった内戦も2年も続く内に大陸を飲み込む大戦に発展した。
そんな戦いの中に一人の英雄が現れた、若干18歳英雄ライモンド辺境伯である!
後の4代目国王になる第3王子ライモンドの集めた辺境伯軍の兵士は精強だった。
辺境伯軍は次々と敵をなぎ倒してライモンドの軍は辺境伯の地より進み続け遂には王城の奪取に成功する。
返す刀で敵の拠点の城を連続で攻撃し尽く壊滅させた。
中央大陸の大戦を征したのは辺境伯軍だった。
その後ライモンド手によって捕らえられた兄の王太子、姉であった2人の王女、渦中の公爵が大乱の原因とされ民達の前でギロチンに掛けられて、官民合わせて16万人の死者を出した最悪の内乱はここに終止符を打った。
これで平和が訪れる、国民は誰もがそう思った。
そうして訪れた平穏の5年の月日が流れる・・・
ライモンドの治世の元でピアツェンツェア王国は、ようやくかつての繁栄を取り戻しつつあった、良い事は続きその年に4代目国王ライモンドの元に双子の女児が生まれた。
かつての双子の王女と違いその双子の王女は民に祝福され王に愛された。
しかし間の悪い事に大量の死者を土葬した為にそれを餌とした鼠を媒体にし致死率の高い疫病が国内に蔓延、ライモンド国王もそれに倒れ崩御してしまう、しかもその3ヶ月に王妃も同じ病に倒れ亡くなってしまう。
英雄ライモンドの死は国内に衝撃を与え国は再び混乱した。
その収拾を図るべく王弟が立った、しかし優秀な兄側についただけの王弟にその力はなかった。
それどころか自己保身の為に一連の不幸をあろう事か「双子の女児の禍」とし将来の政敵の双子の女児の排除の為に王弟が国内にその悪評をばら撒いた。
その後反発してくる者達を粛清し王弟は国王を自称した。
その事に危機感を持ったライモンド王の忠臣たちは正統な後継者の幼い王女達を国外に逃がす為に奮闘するが残念ながら力及ばす力尽きた。
哀れ守護してくれる者を失ったまだ片言しか喋る事が出来ないのに反逆者の汚名を着せられ幼い王女達は王弟により処刑される。
しかしその直後に怒れる「地龍王クライルスハイム」が王城に攻め入り王に随伴する500名を超える地龍の龍戦士達と共に城を撃ち滅ぼした。
瞬く間に崩壊して崩れ落ちていく王城・・・
あっと言う間の出来事に逃げる事すら叶わない王都の住人は恐怖と絶望感の元でそれを見ていたが、地龍王は王弟とその臣下を討ち滅ぼすと龍戦士達を連れて山へ帰って行った。
残った王侯貴族は恐怖した・・・
それは地龍達が攻めて来て天龍教の神殿で神官が天龍に救いの祈りを捧げたが国の守護龍なはずの天龍が一体たりとも現れなかったからだ。
ことごとく現王室の者が死んでしまい、急遽王家は親戚の公爵家より立てる事となり当たり障りない凡庸な公爵が引き継いだ。
「禍の双子は1人は地龍王へ生贄とし1人は慈しなければ国は滅ぶ」恐怖に駆られ、地龍王クライルスハイムの真の思惑を勘違いした5代目の国王となった男がそう宣言した。
その様な悪習は幸いな事に根付く事はなかったが「王家の禁忌」しては残ってしまった。
幸運な事に以来300年以上に渡り王家で双子の女児が生まれる事は無かったが第13目国王ヤニックの時つまり現在に「禍の女児の双子」が生まれてしまう。
「どちらかを生贄に」と考えた宮臣達だが考えるまでも無き事、姉の片腕が無かったのだ、宮臣達は国王に姉の女児の生贄を進言する。
「王よ禍の根は早い内に摘まねばなりません」と詰め寄る臣下達・・・
「しかし!それは遥か昔の話しだ!今の世は人と龍は良き関係を保っておるではないか!」王は激昂する。
王はようやく授かった愛する娘を守る為に必死に抵抗した!当たり前だ!
しかし大勢の宮臣達の説得、加えて三大公爵家の連名での進言などで旗色は悪い。
さらに不運な事に激しい嵐が国を襲う、実際は季節外れの台風だったのだが「それ見た事か!」と言わんばかりに糾弾の声は強くなるばかりだ。
このままでは国が割れる!そう思って遂に王は頭を下げる事になった。
「双子の姉を生贄にする」これは国民や他の貴族に知られる訳にはいかない、更に混乱を助長させてしまうからだ。
事を秘匿する為に1人のメイドが選ばれて密かに単身で「地龍王の山」まで行く事になった、無論メイドも共に生贄となる運命なのだが・・・
そうしてメイドが旅立つ日になった。
後宮の一室に一人の女性が赤子用の籠の前に立ち「愚かな母を許して下さい」と涙する母親の王妃ファニー・・・
そうして籠の中でスヤスヤと寝る娘のラーナの額に口づけする王妃ファニー、傍らには悔しみの涙を溢す侍女達の姿があった。
「皆の者、後の事は頼みましたよ」
涙する侍女達や女官達に背を向けて部屋を出る王妃、扉を閉めると同時に侍女達の膝は崩れたのだった。
そのメイドは簡素な布に巻かれた女児を乳母とお世話係の女官達から受け取り夜中に一人で城を出た。
そのメイドは子をしっかりと抱きしめつつ乗り合いの馬車を乗り換えながら一週間の旅を経て・・・
そのメイドは「地龍王の山」の前へ立つ。
「地龍王の山」を幼い子を抱きしめて登るメイド服を着た女性は子を見て覚悟を決めた様子で呟く。
「シーナ、貴女だけは母の命を地龍王様に捧げても守って見せます」
自らの子を抱く王妃ファニーの姿があった。