第八話 紅い眼
私が席につくとこの王様はベラベラ話し始めた。
「アンスを死んだものにした理由を話すにはまず、紅い眼の秘密を話す必要がある。」
「王家に引き継がれているってこと意外に何かあるのかい?」
「それが、あるんだ。紅い眼には力がある。」
力か…そんな話を聞いたことがない。
「紅い眼は蒼い眼とは違う。そうだなぁ、ベルさん。この果物ナイフで私を刺してくださいな。」
そう言って。王様は私にナイフを手渡した。こいつはバカなのか?
「さぁ、どうぞ。」
顔から自信が溢れている。しょうがない、本気でいくか。そう思い、私はナイフを持って立ち上がった。一瞬で王様の頭上を超えた。それなのに、王様は私のもといた場所を見つめている。王様の背後に立ち。切りかかった。ナイフが王様の喉元に迫った瞬間、手が止まった。ナイフが動かない。いつのまにか、自分の身体さえコントロールできなくなった。王様は私のナイフを取り言った。
「席に戻りなさい。分かったでしょう。人のではない力があったのが。」
私は席についた。この王様には敵わない気がした。
「あれは何なんです。あの力は一体…」
「あれが紅の眼の力です。私は守る力を紅い眼から手に入れました。」
「紅い眼…」
「少し長くなってしまいますが、聞いてください。私達、皇族はこの屋敷からでることを10歳まで許されません。理由は危険だから。命を狙われること多々があります。しかし、10歳を超えるとそれぞれ紅い眼を持つものは能力を手に入れる。しかし、手に入れるために試練があるんです。あそこに森が見えるでしょう。」
王様が指さした方向には、少し葉が散り始めている森があった。
「10歳の誕生日の夜に親はあの森へ紅い眼持つ自分の子供を送るんです。そして、その子は必ず帰ってくるんです。生きてても、死んでても。そしてもし、生きていれば、その子は能力を手に入れたことになる。」
王様はため息をつき続けた。
「ここからアンスの場合についてです。あの子は初めて王家と市民の間に産まれた子でした。まさか、紅と蒼の眼を両方とも持つとは思ってませんでした。産まれた時イザは死んでしまったんです。そして、10年間あの子を育てて、誕生日を迎えました。紅い眼を持つから当然、森へ送りました。そして次の日の朝、森の入り口にはいなかったんです。一日中森を探しても見つかりませんでした。こんなことは過去には一度もありませんでした。森が蒼い眼に惑わされたのかもしれません。一度は大々的に探そうとも思いましたが、そんなことをしてしまうと、王子が悪用されるかもしれないってことで秘密裏に探してたんです。しかし、まともに試練を受けていないとなると問題があるんです。」
王様は顔を曇らせた。
「昔、自分の子を愛してやまない、国王がいました。その王は、自分の子を愛するあまり、試練に行かせないかったんです。別に何もありませんでした。しかし、数日後。その子供は眼を紅く光らせ、氷の力で暴れ回ったんです。」
「その子は、どうなったんです?」
「死にました。王様によって。」
窓がガタガタと音をたてた。
「あの子も暴走してしまうかもしれない。そうなる前に、私のもとに来させないといけないんです。なので、協力してくれますか?」
そう言い、王様は頭を下げた。
バカらしい。どうせ私が拒否したら、力でどうにかするつもりなんだろう。
「分かった。今すぐ、連れてこれば良いんだろう?」
「もちろんだ。」
「すまんが、戻ってくるのは、夜になっちまいそうだ。」
私は立ち上がった。ドアノブに手をかけると
「お願いします。アンスを急いで、連れてきてください。」
「分かってるさ。」
作り笑いを王様に見せて、部屋を出た。
ふー、長い廊下に少し突っ立ってしまった。すると執事の男が通りかかり、私を見て言った。
「どうしました?涙目ですけど?」
「すみません。少し目にゴミが入ったみたいで。」
私は歩き始めた。何かをそこに置いて。