第二話 食事
ボクは誰なのだろう、思い出したくても思い出せない。ただ、やみの中をかけていた。
いつの間にか光が見えて僕はホッとしたのか、道で座りこんで、ねてしまっていた。
ガサガサ音がして目を覚ますとフードがはがされた。そのままボクはかみの毛をつかまれてあらがえなかった。いや、そんな力など、僕にはなかったのだ。かみの毛をつかんでいたお姉さんが目に入った。お姉さんをみていると、なぜかボクを知っている気がした。そして思わずこうつぶやいた。
「僕って、なんなの?」
すると、お姉さんは少し困ったような表情を浮かべていた。しかし、そのあとボクはうでを引っ張られた。
5分くらい歩くと、1つのこじんまりとした建物についた。お姉さんに連れられて中に入ると、内装も少しジミだった。しゃがんだお姉さんが聞いた。
「何が食べたい?」
お姉さんが僕を見下ろしている。お姉さんの蒼い目をボーッと眺めていると、
「じゃあ、手軽な野菜いためにするか。そこに座っとけ。」
そして、お姉さんは台所に向かった。僕はおぼつかない足で、席に着いた。すると美味しそうな匂いがただよってきた。
「ほいよ、食べな。」
目の前には光かがやく野菜たちがいた。お姉さんは野菜を白い大地に乗せて大地と野菜をかきこんだ。そして、ボクはマネしていためものを食べた。口の中に温かみが広がった。こんなにおいしいものがあるのかと思って、いつのまにか野菜たちがよく見えなくなっていた。
「おい!大丈夫か?」
お母さんの声だ、でもよくみると声のヌシはお母さんではなかった。ていうか、ボクの名前が出てこないのになんでお母さんは思い出すんだろう?
ふしぎに思いながら、ボクはだんだん眠くなっていった。