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020.野外任務(3)赤熊討伐

野外任務(1)の熊の居場所、林から森に変えました。


よし、野外任務終わった!祝20話突破。


熊との戦闘が雑?気にしないで下さい。私も気にしません(ぉ


次からの闘技会の話で第1部終了とします。何話かかるか未定ですが……




 ※



 夜が明け、朝になる。


 冒険者の活動時間は限られているが故に、農民と同じ様に、朝日が昇って明るくなれば、即活動時間だ。


「……私、低血圧だから、朝はきついのよね……」


「むにゃむにゃ、サリーそれ、私のブラシ~」


 時に例外もある……。


 女性陣は早朝が弱いので、なにか違う軟体動物のようにホニャホニャ?している。


「ミシアの葉でも噛め。少しはスッキリするぞ」


 そう言ってリュウエンは一足先にテントを出た。ゼンも一緒だ。見張り役のラルクスは外でそのまま朝食の支度をしている。


 ハーブの一種であるミシアには覚醒効果があり、味もスーっと喉にしみるような、独特の味がする為、それを加工した食品等もあるのだが、冒険者は効果が大きいので、生のミシアの葉を直接噛む者が多い。


「でも、私、この独特の味苦手で……」


「むにゃむにゃ、美味しくないよね~」


「テントは流石にベッドと同じ寝心地というわけにいかないせいか、どうも女性陣の寝起きが悪いな。そんな様子じゃ、ゼンに笑われるぞ~」


 朝食の用意をすでに済ませたラルクスが、中々テントから出てこない女性陣の様子見に中を覗いて、笑ってからかうと、間一髪で身を伏せたその上を火の玉( ファイヤーボール)が唸りを上げて通り過ぎていった。


「これから身支度整えるから、覗くな、スケベ!」


「いやいや、お前!なんでもすぐ魔術ぶっぱなすなよ!冗談になってないから!」


「勿論、冗談じゃないわ。大丈夫よ、それ位、シアが速攻で治癒してくれるから」


 サリサリサは寝起きで機嫌が悪く、ジト目が怖い。


 治すぞ、おー、と杖を振り回してるアリシアはまだ寝ぼけている。


「治るからそれでいいってもんじゃないだろうが。火傷は痛いんだぞ……」


 諦めてスゴスゴとテントを出るラルクスの背中の哀愁が悲しい……。




「しかも人が用意した朝食遠慮なくパクパク食うとか、どういう神経してるんだか……」


 適当に昨夜の残り物を焼き直して軽く味付けをして、パンに挟んだ簡単な物だ。


「ご苦労様、いつもありがとう(棒)」


 ニッコリ笑って棒読みセリフ。


「ありがとうだね~」


 やっと覚醒したアリシアは状況を少しも理解していない。


 余りにも和やかというか、何処か殺伐とした物もあるのだが、それはこの際無視するとして、リュウエンは昨夜の、悪夢の様な出来事とこの朝の光景のギャップが凄まじくて目まいがしてくるようだ。


「……リュウさん、なんか顔色悪いけど、どうかした?」


 気遣い上手のゼンに心配をかけてしまう。


 付き合いの長く、親しい間柄の幼馴染達は何も気づいていないと言うのに。


「いや、俺も少し寝起きが悪いだけだよ」


 とりあえず、昨夜の事は、仲間達には知らせない事にした。無駄に不安を煽っても仕方がない。知らせるとしても、フェルズに戻って状況が安定してからでいいだろう。


「じゃあ今日は、まず森の探索と、昨夜の狼の解体に分かれる訳だが……」


「ああ、そいつは俺が引き受けるよ。女性陣とゼン引き連れて行ってくれ」


「ゼンは残した方がいいんじゃないか?結構、量があるぞ」


「分かってる。しかし、ゼンには色々な経験させた方がいいだろ?もう解体の指導は昨日ので充分だろうし。他の種の魔物の解体がある訳じゃない。俺が残るのがベストさ」


「しかし一人で残って何かあった時は、どう対処する?」


 ラルクスは3色の石がはまった腕輪二つを出して説明した。


「そいつなら、これの出番だな、通信魔具だ。と言っても通話が出来る奴じゃない。あれは結構な値段がするからな。3色の石がついてるこれの信号で、符丁を決めて、状況を知らせるんだ。双方向で、どちらからでも連絡出来る。色は、赤、黄、青だ。勇者のいる異世界の、何か代表的な色らしい。


 で、赤は、緊急事態発生、至急応援求む、て感じか。

 黄は、何か起きたが、応援を呼ぶほどの事態ではない。

 青は、異常無し。本日は晴天なり、て感じかな」


 二つの内の一つをリュウエンに渡し、実際にちゃんと動作するかの確認をする。


 ラルクスが、軽く気を指先に集め、腕輪の赤い石に触れる。すると、リュウエンの持っている方の腕輪の赤い石が赤く輝いた。


「へぇ、成程な……」


 リュウエンも自分の持つ腕輪の青い石に軽く気を流す感じで触れると、ラルクスの持った方の腕輪の青い石が光るのだった。


「実験成功、と」


「なるほど、通話出来なくても大雑把な状況をお互いに知らせ合える訳だな。これは別行動する時、確かに便利だな」


「そうそう。何かあったらそれで連絡しよう。どうせ昼には戻ってくるだろ。始終連絡しなくていいぜ。そっちのが人数多いんだ。マズイ事が起きるとしたらこっちだろうから」


 軽く危ない事を言っている。ラルクスなら大抵の事は心配いらないだろう。リュウエンはそう判断する。


「そうだ、リュウ、森の中だと、バスターソードは余程広いところじゃないと使いにくいぞ。刺すぐらいか縦に斬るぐらいにしか使えん。予備の剣の方だしておいて。それで無理なら広い場所まで敵を誘導しろよ」


「分かった。そうする」


 有り難い助言だ。


「サリサ、素材がどうの、でなく、火炎系使うなよ。周り中の木に燃え移って燃え広がって自分達まで逃げられなくなった挙句、この辺りの森林全部焼失とか、お前の術の威力だと、充分あり得る事なんだからなー」


「……なに、あんた。旅団のお母さんかなんかなの?出かける前に偉そうに注意なんかしてくれちゃって……」


 こちらは、有り難くない助言、と言うか、一言多過ぎたようだ。


 サリサリサの周囲に大小さまざまな氷の槍が現れ、目標めがけて今にも発射されそうだ。


「ゼン、昨夜のグレイウルフ、川の近くに全部出してくれ……」


 ラルクスはゼンの腕を引っ張って。サリサリサ方面の盾にして隠れ、ゼンと話している。とても賢く卑怯な選択だ。


「あ、うん。分かった、行こう……」


 ともかくゼンの隣りでその陰から出ないようにしつつ小川に移動だ。


 ゼンがグレイウルフの死体を全て山積みにしたのを見て、格好よく引き受けてしまったが、これは一人では終わらん、ゼンが帰ってきたら手伝ってもらおう。とラルクスは格好悪く思っていた。


 ゼンがリュウエン達の所に戻って来たところで改めて、赤熊レッドベア探索に出発だ。


 いきなりの遭遇戦はないと思われるが、先頭はリュウエン、サリサリサ、アリシア、しんがりがゼンである。木の密集した暗い森では1列で移動せざるを得なかった。


 しばらく、獣の気配や足跡、縄張りを主張する爪痕等を探したが、中々見つからず、奥へ奥へと進んだ一行は、余り鳥の鳴き声も聞こえぬ静かな森の奥で、かすかに水の音、水が落ちる音ががするのに気づいた。


 どこかに滝でもあるのだろうか、とその音を頼りに進むと、一気に森を抜け、開けた場所に出る。高台から少量の水が滝となって流れ落ちて、泉のような場所を形成している。


 その水は、リュウエン達が来た方向とは別の方に流れる小川となって森に流れている。あの小川の源泉がここだったのか、単に支流で合流しているのかまでは分からなかったが。


 そこに、4頭の赤熊レッドベアが水辺の浅瀬に立ち、水を飲み、小川にいる魚を爪ですくい取ったりしていた。1匹が5メートル級、残り3頭も軽く4メートルを超える大物ぞろいだった。群れなのか親子なのかは分からないが、集団行動をしているようだ。


 いきなり目当てがまとめていると思わなかった旅団側と、敵の接近に滝の音で気づかないでいた赤熊レッドベア側の出遅れは互角だったが、狩りをするつもりで来た旅団側の方がまだ心構えがあった分、行動を先んじたのは旅団側であった。


「アリア、俺に補助!サリサ、あいつらの足元の水を凍らせて動きを封じてくれ!ゼンは待機だ。大物過ぎて危ない!」


 リュウエンがすぐに赤熊レッドベアの一番大きな集団のボスと思われる個体に向かう。


「……『氷結乱舞フリージングダンス』!」


 その時、小川は凍り、泉も凍り、その小さな滝さえもが凍り付いた。まるで時間が止まったかのような美しい光景であった。


 中位の魔術呪文であったが為に、呪文詠唱、魔術形成の間が長く、4頭の内2頭が水から出て、リュウエンを迎え討つ態勢になっていた。大型のボスもその内の1頭だった。


 リュウエンには、ここが開けた場所だったので、本来の武器が使える絶好の狩り場であった。


 闘気で身体強化をし、先頃覚えたばかりの大技スキルを使った。


「『|大・切・斬《 オーバー・ザ。ブレイク》』!」


 リュウエンのバスターソードが一瞬青く輝き、彼の放った斬撃は袈裟懸けに吸い込まれるように5メートル級のボス大熊を襲い、大熊は斜めに、完全に綺麗に切断された!


「は?」


 放った本人が一瞬、ほうける程の一撃だったが、敵は1頭のみではない。


 Goaaaaaa!


 横合いから残った赤熊レッドベアが、リュウエンの動きが止まった隙に、頭めがけて爪をふるう、その瞬間、ゼンが投げた拳大の石が赤熊レッドベアの鼻面を直撃した!


「す、すまん」


 謝りながら、自分の鼻を押さえ、苦痛に鳴く赤熊レッドベアのがら空きな腹にバスターソードが水平に斬り込まれる。


 一瞬後に、切り口から内臓が飛び出る残酷グロな光景、今度はその腹を押さえる赤熊レッドベアの首筋に斬撃を浴びせとどめを刺し、苦痛から解放してやった。


 足元が凍り、動きを完全に封じられていた二頭の赤熊レッドベアはサリサリサが風の斬撃呪文で頭を斬り飛ばした。


 リュウエンの間抜けな一場面がなければ、西風旅団の完全勝利だった。


 彼は何度ゼンに命を救われるのだろうか……。



 ※



「なんだ、せっかくの通信魔具も使わず、もう戻ってきたのか。忘れ物かなんかか?こっちはまだ解体、全然はかどってないぞ」


 彼等が森に入ってから小一時間強、と言ったところだ。ラルクスがそう思うのも無理はない。


「解体4頭追加だ。俺もやる。ゼンには、赤熊レッドベアの解体を教えよう」


 ゼンは頷き、グレイウルフの死体の山の横に、赤熊レッドベアの死体を追加して置く。


 ラルクスは目を丸くして驚いている。まさかこの短時間で狩りを済ませて戻って来るとは流石に思わなかったのだ。


「おいおい、どうしたんだ、この順調過ぎる成果は。ゼンはもしかして俺らにとって幸運の女神、いや、女の子じゃないんだ、男神?少年神、とか言うべきか?」


「……そうかもしれんな。森の奥に、滝と、泉のような場所があってな。水飲みとかしている赤熊レッドベア4頭と鉢合わせた。半数は凍らせて動きを止めてからサリサが、もう半分は俺が、覚えたてのスキル技使って1頭、もう1頭も、まあ一応俺が……」


「おお、そいつは凄い。後でそのスキル見せてくれよ。赤熊レッドベアを仕留める技なんだ。さぞ威力があったんだろ?」


 そこでたまらずサリサリサが吹き出した、


「それが聞いてよ。確かに、一番でっかい赤熊レッドベアのボスっぽいのを、そのスキルで、一撃で肩から脇腹まで完全に切断したのよ」


「へえ。赤熊レッドベアは毛皮には結構な物理耐性あった筈だが、成程このデカイ奴か。見事、斜めに輪切り状態だな。凄い威力だ」


 ラルクスは一番大きな赤熊レッドベアの死体を検分する。


「面白いのはここからなのよ。ププッ」


「多分、初めて使ったの?あっさり大物を両断出来て、リュウったら、は?とか言って、驚いて、完全無防備になっちゃったのよ!そこを残りの1頭が攻撃してこようとして……」


 サリサリサは笑いがこらえ切れず、またプーっと吹き出してしまう。


「ゼンが大きな石投げて、九死に一生を得たのよ!オークキングに続いて、またゼンに助けられちゃって……ぷぷっ」


「サリー、そんなに笑っちゃ、リュウ君が可哀想だよ~」


「だって、カッコつけて、「大物過ぎて危険だから、ゼンは待機だ!」とか言った、その後すぐの話なのよ。私は、台本ありの喜劇かと思ったくらい……」


 サリサリサは余程ウケたのだろう。その場でしゃがみ込んで、息をするのも苦しげなくらいに笑っている。彼女には少し笑い上戸の気があった。


 リュウエンは憮然としているが、嘘偽りのない全くの事実だ。反論の余地すらない。


「はあ、そりゃまあなんとも……」


 どうにも慰めようのない状況だったようだ。まあ、結果的には何の被害も出さずに討伐任務を完了出来たのだ。それで良し、とするしかないと思うのだが。



 ※



 獲物の解体は、昼になってもまだ終わらず、目を離すと危ないので昼食は川岸で取る事にした。


 昼から熊肉は重いので、川で魚でも、と思ったのだが、あいにく釣りの道具を持ち合わせていなかった。ゼンに釣りを教えようかと思った旅団メンバーは残念がったが仕方がない。それは次の機会にすればいいだろう。


 魚は、サリサリサが魔術で水を操作し、魚を周囲の水ごと捕獲、魚入りの水の立方体が、フヨフヨ浮いて陸地まで移動、術を解除すると地面に魚が落ちる。なんともシュールな光景だ。


 これを適当に繰り返し、昼食分の魚を確保した。


 これにゼンが感動して、瞳をを輝かせて凄い凄いと目連呼するものだから、サリサリサはすっかり調子に乗って、


「いやいや、少年、この程度の魔術で感動するな、小生テレるではないか、はっはっは」


 と変な口調になっている。


 隣では何故かアリシアが頬を膨らませ、「私だって、色々治せるもん。リュウ君、ちょっと大怪我してみて?」とか無茶ぶりしていた……。




 焼いた川魚で昼食を済ませた後は、解体の続きだ。


 赤熊レッドベアがどれも大物で、毛皮を剥ぐのに苦労したり、グレイウルフの物量に時間がかかったりしたものの、どうにか全ての処理が終わったのは午後の中途半端な時間だった。


 川での血抜きは、肉がすぐに悪くならない様に冷やす意味もあるのだが、売るのもなるべく早めがいい。今から帰れば、ギリギリ、フェルズの門の閉門時間に間に合う。


 夜は魔物の活動時間であり、基本、都市の門は通行出来る時間が決まっていて、夜、閉門されたら、余程の緊急な要件でもない限り入れてもらえないのが辺境の都市の掟だ。


 人型で知能の高い(人種ひとしゅとは違う)魔物が人に化けて都市内に入ろうとする事例も多々ある。そうした事態を避ける為の決まりだった。


 だが、今回の野外任務は元々3日を想定していた。今から行って、ギリギリ門前払いをくらったりしたら、街道横でキャンプと間抜けな事になる。


 なので、予定通り今日はここで泊り、明日朝にフェルズに戻る事とした。


 つまり残りは自由時間だ。


 ここでリュウエンは、ゼンに昨日の剣の稽古の続きをする。


 各自自由なので、ラルクスは各種武器魔具の点検整備、サリサリサはそこいらの岩めがけて魔術実験。(環境破壊はするなよ、と声をかけたラルクスは……以下略)


 アリシアは今日も二人の訓練風景を嬉しそうに横で見学。


 リュウエンは、ゼンが一人の時でも訓練が出来るように、一通りの素振りの仕方を教えた。


 素振りは剣の基礎中の基礎。戦闘経験にはならないが、腕力、上体の筋肉を鍛えられるし、自分がどのような動きでどこまで出来るか、等の限界を覚える事も出来る。


 構え、振る、突く、横なぎに払う、斜めに斬る。上段、中断、下段。


 それぞれの動きでおかしい所がないか、リュウエンが横から前から後ろからチェックし、何かあれば注意し、それを直し、そして続ける。


 やはりゼンは飲み込みが早い。そして、恐ろしいばかりの集中力だ。自分にはこの一度限りの、一生に一度の機会である、とでも言わんばかりの真剣さで、全身全霊を込めて稽古に打ち込んでいる。


 だからこそか、横で今見ている瞬間にも、みるみる動きが良くなり、上達しているのが分かる。教えれば教えただけ吸収し、間違いを指摘すれば、打てば響くがごとく、修正された動きが返ってくる。ついこちらも熱中して、基礎を飛び越え高度な技まで教えそうになっていた。


 無駄に急ぐ事はない。今は基礎を繰り返し、素振りをして力をつけ、腕力、体力、持久力を得るのだ。


 昨夜ラルクスとも話した通りに、目下の課題は体力づくり、身体つくりだ。基本となる身体が出来ていなければ、ゼンの攻めは軽い攻撃となってしまう。それに、長く戦い続けられないし、高度な技を覚えられたとしても、いつかどこかで破綻して、身体を壊す事になりかねない。


 ここで例に出すのは心苦しいが、サリサリサがいい例となってしまう。


 彼女は恐らく、十年、いや百年に一人の天才なのだろう。それは、卒業するまで5年かかる魔術学校をたったの2年で卒業した事からも分かる。


 彼女は全ての属性魔術に精通し、下位から中位、上位、そして恐らく最上位の魔術までも扱える驚異の天才(ラルクス曰く天災)魔術師だ。だが悲しいかな、彼女の魔力容量は、普通の、その年の少女としての一般的な魔力容量を超える物ではない。


 だから、彼女は最上位の魔術が使えても、それ一発で魔力容量を使い切り、卒倒してしまうだろう。


 上位も1発が限度。2発目は撃てない。


 だから、彼女は通常戦闘では下位や中位の魔術をやりくりして戦闘をしているのだ。


 そして彼女は今、その魔力容量を増やそうと悪戦苦闘している。ラルクスにふざけて攻撃魔術を使ったりしているのも、その一環なのだろう。多分……。そうであるといいなぁ……。


 ゼンの鍛錬は日が落ちるまで休みなく続いた。(リウュエンも夢中になって休憩入れ忘れた) 


 夕食は熊鍋だ。


 ゼンは、野菜や肉のアクを取る、という料理の技法を知らず、昨夜は煮た物を捨てるなんてそんな勿体ない!、と騒いでいたが、今日はもうその事を覚えているので、騒ぐ事はない。捨てたアクを未練たらしく見つめていたが。


 熊は普通クセのある肉なのだが、魔獣の熊ともなるとそこは緩和されるのか、普通に美味しく食べられた。


 他愛のない話で盛り上がりながら仲間達と鍋をつつく。平和で緩やかな時間。


 リュウエンは昨夜の悪夢の様な存在を思い出さないでもないのだが、あれが弱者と見下した者の所に再び現れるとは考えられない。今は忘れよう。



 今夜は、昨夜とは逆の順番で見張りをする事になった。


 ゼンも見張りに参加したいと申し出てくれたが、昨日今日と続けた鍛錬のせいで、腕に筋肉痛が来ている様子だった。なので、今夜はゆっくり休んでもらう事にした。


 筋肉痛は限界まで鍛錬している証拠のような物だ。これを続けていけば、いずれ痛まないようになり、彼に足りなかった力がつくようになるのだ。



 そうして、2泊3日となったゼンにとっては初めての野外任務は終わり、翌朝、西風旅団一行はフェルズへの帰途についた。

リ「終わった。初スキル技披露!なのに扱いがひどい……」

ラ「まあまあ。俺の方がある意味ひどいと思うんだがね……」

サ「今日も好調、魔術が冴える!」

ア「楽しかったね~。私は迷宮より外の方が好きかも~」


ゼ「うん、楽しかった……。こんな日が、ずっと続けば、いいのに……」




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