014.西風旅団の実力鑑定
ども。時間通りの14です(ドヤぁ
内容を色々省略している割に長いです。
一応主観視点じゃないし、仕方ないのか。
でも主観の外伝も結構長いんですがw
とりあえず、この後、迷宮でボス戦やって、
武闘会の観戦して(旅団は出ない)というのが大まかな流れです。
お楽しみに?
※
今日、西風旅団+ゼンは、迷宮のロックゲートではなく、ギルドの訓練施設に来ていた。
西風旅団の実力を見てもらい、迷宮のボスに挑めるかどうかの判定をしてもらう為に、前もってギルドに予約を頼んでおいたのだ。
本部の隣にある魔獣の解体倉庫の更に向こう、闘技場程ではないが広い円形状の施設。闘技場と違うのは、しっかり屋根がある事ぐらいか。
入ってみると、結構な冒険者でにぎわっている。
「あれ、なんか随分な人がいるな……」
「普通の昼間なんて、冒険者は皆、外で討伐任務か、迷宮に潜っているとばかり思ってたな」
前に訓練に来た時は、実際そうだったのだ。
旅団メンバーとゼンは不思議がりながら、ギルドのカウンターで職員に指定された場所に行く。そこには、壮年の、意外と若い青年が、使い込まれた皮鎧を着て待っていた。
「俺が、今日お前らに頼まれた実力判定をするレオだ。元B級の冒険者で、冒険者のランクアップ試験の判定もしてるから、その内また会うかもな」
爽やかな、裏表のない笑顔。どうも、気持ちのいい男の様だ。
「今日はよろしくお願いします。西風旅団です」
リーダーであるリュウエンが代表して挨拶をする。
皆も後ろで頭を下げる。一人一人の名前の紹介が終わると早速始まる。
練習用の、木で出来た木剣を持ってきて手渡してくれや。バスターソード風の大型の物とラルクス用であろう短剣風の木剣が二本。
「それには重量調節の魔術がかけられている、一応魔具の一種だな。自分の武器と同じぐらいに調節してくれ。やり方は、その魔術師のお嬢ちゃんに聞いてくれ。多分その方が分かりやすい」
「すみません、私、戦棍も使えるんですが……」
アリシアが、遠慮深くオズオズと手をあげて言った。
「ん、おお、確かに。すぐ用意するからな」
メンバーの情報が書かれた資料を見てレオは頷くと、軽快な動きで控室らしき場所へと走って行った。
「流石、元B級、って感じな動きだが、なんで引退したのかな。怪我とかなさそうだし、引退には早すぎる年齢なんだがな」
リュウエンはサリサリサに重量調整を手伝ってもらいながら言う。
「人それぞれでしょ。はい、終わり。ラルクは?」
「ああ、大丈夫だ。今の見ててやり方は分かった」
ラルクスは器用に2本の木剣の調整を終えた。
そこでレオがメイスっぽい木製の戦棍を持って来た。お礼を言って受け取ったアリシアはすぐ調整終え、準備完了だ。
「じゃあ、見てみようか。俺はそれなりに力を加減するが、君らは全力で打ち込んでくれ。後、君らに割り当てられたのはここ、この四角のラインで区切られた場所だから、そこからは出ないでくれ。見学するそのポーター君も端の方にいてくれ。見学者はこれを持って」
レオはゼンに護符らしき物を渡した。
「ライン上には、魔術の防御壁が張ってある。君らの魔術や攻撃が外に出る事はない。ここから魔力が供給されて、ポーター君の身も守ってくれる。気が散らない様に、不透明にするか?」
「そんな事出来るんですか?」
「それなりに金のかかった施設だからな。ほら」
レオが手元で何かを操作すると、ライン上に白い壁が現れた様に見え、他の冒険者達の区画は見えなくなった。妙に広い、四角い部屋の中にいるような感じだ。
「他の冒険者の情報を盗もうとする奴もいるからな。見えてた所は、自信があるか、偽情報掴ませようとしているか、だな。今の時期じゃ仕方ない」
言っている事が意味不明だ。
「あの、そういえば気になってたんですが、今日ってなんでこんなに人がいるんですか?」
レオは一瞬キョトンとして首をかしげ、説明する。
「そりゃ、闘技会が近いからな。大会出場者はそろそろ調整して仕上げに入るだろう。君らは出ないのか?」
「ああ、そうだった!闘技会あったんだ。
あー、俺ら、フェルズに来て日が浅いし、G級上がったばっかなんで、出るつもりはないんですよ」
疑問の解けたリュウエンは気分すっきりで、心おきなく実力を出せそうだ。
「そうか。ランク別、職業別なんてのもあるから、遠慮はしないで出てみるのも、フェルズの冒険者を知るいい機会になると思うぞ」
木剣で素振りし調子を見たレオは軽く言う。
冒険者の中で浮いた感のある旅団メンバーは乾いた笑顔でソウデスネと言うのであった。
※
「じゃあ始めるか。最初は個別に。次に連携を見る。
連携は補助を使った場合、使わなかった場合とか、色々見よう。俺にはもう、魔術防壁をここの専属術師がかけてくれてるから、攻撃魔術を使用しても大丈夫だ。
その防御壁で魔術の威力を見る魔術様式になっているから全力で来い。と言っても、ペース配分もあるだろうから、全力攻撃術は個別の時で、連携の時はそちらの判断に任せるよ。
物理攻撃は俺の腕次第になるが、健闘してくれ。この木剣はでは、当たってもそう怪我はしない。威力は後で防壁の数値で見れるからな」
レオの説明が終わり、最初は個別。
リーダーのリュウエンからだ。
リュウエンはバスターソード風木剣を構え、全力で剣を打ち込んでいった……
(中略)
「ふむ。剣士とスカウトの打撃は、フムフムかなり、いいな。予想外だよ。じゃあ次は魔術な」
荒い息を吐き膝を地について疲れ切った二人に対し、流石は元B級、二人続けた模擬試合形式な実力判定をしても息一つ乱していない。
「次は魔術。種類とか、あり過ぎると、全部見るのがに時間かかるんで、得意なのを2、3種に絞って、それを俺に、ボス敵だと思って全力で。いいかな?」
「はい!」
サリサリサの瞳がランランと輝いている。妙に意気込みが凄い。
「あ、すまんが、杖はこれ使ってくれマナ消費が半分以下に抑えられる杖だ。威力補正はないから、純粋な術の威力が見れる」
レオは前もって用意してあったであろう杖を持って来る。
慣れない杖だが、魔術の純粋な強度(威力)を見るの為だ。
「炎と氷と、後、雷を使います」
「おお、三種の属性が使えるのか凄いな」
サリサリサには全属性使えるのだが、今はいちいちそんな自慢めいた話を口にしたりはしない。
「いきます。………」
小さく呪文詠唱をし、精神を集中させて、魔術様式を組み立てる。
「『地獄の業火』」
小さな種火の様な光がレオへと高速で飛んで行く。彼にそれが当たった、その瞬間、レオの全身が炎に包まれた、かに見えた。
炎は少し時間をおいておさまる。そこには、防御壁で無事なのだが、サリサリサの魔術の余りの凄さに目を丸くしているレオがいた。
「ちょっと待てよ。今の魔術って、高位魔術なんじゃ?魔力強度は……C級に届きそうだな……」
「サリー、すごーい。だって彼女は、王都の魔術学校主席卒業者ですよ。しかも飛び級の!」
親友を自慢したくて仕方ないアリシアが脇から口を出す。
「な、なるほど………」
「次は普通にアイス・ランスと雷帝撃を行きますので………」
判定が終わって茫然とするレオ。
氷の槍は、中級魔術だが、その大きさが尋常でなかった。普通に人間大の氷の槍が高速で飛来するのだ。元B級でも怖いものは怖い。
雷帝撃というのは、彼女オリジナルスペルらしく(少なくともレオは知らない)、敵の周囲を3つの金属球が現れたと思ったら、周囲を回りながら敵役であるレオに極太の雷をあびせながら延々と回り続けるのだ。
恐らくそれを止めるには、金属球を破壊するか術者を倒すか、しかないのだろう。だが金属球は一定の、決まった距離を取るように設定されているらしく、近づくと遠ざかるのだ。
槍を投擲するか、弓矢や投げナイフ、後はは魔術など、中距離的な攻撃で破壊するしかない。
ギルドの専属術者は、防御術特化でそれのみならA級と言える術者だ。だから防御壁がもつが、C、やBの術者の防御壁だったら、危なかったのでは?
冷や汗が止まらないレオだ。
「君、なんでG級なの?」
「仲間と同じじゃないと、意味ないじゃないですか」
流石に大魔術の3連発でふらつくサリサリサは言って、
「この杖いいですね。上位魔術とか燃費悪いから、欲しいです。売ってもらえませんか?」
「いやいや、ギルドの備品だし、同性能のがあっても凄い高いぞ」
ガッカリと落胆するサリサリサの次はアリシアだ。
「えーと、君は神術士だが、攻撃系の術は覚えているのかい?」
サリサリサから交代で杖を渡してもらうと
「光系と、後、死霊系の浄化術ですね」
「ふむ。浄化は、通常人や生物には無害判定だからな、脅威度判定がつかないから光だけでいい。一つだけだし、集中して全力で………」
と言いつつ嫌な予感のするレオだった。
「は~~い。じゃあ行きます。………聖なる威光」
光の柱が、レオの頭上から降臨し、炸裂した。
(こ、これ、光系の最上級攻撃術じゃ?防御壁がギシギシいってるぞ……)
しばらくそれは続いた………。
「よ、よかった。防御壁、壊れんかった………(汗)。魔術強度は、こちらは完全C級か………、B級に届きかねない威力だ………」
(新人のこの歳で、中堅ランクに匹敵する術の使用者って、どれ程将来有望なんだよ………)
「いやあ、うちの女性陣はどこかおかしい、いつもおかしい………」
悟りきった表情のリュウエンとラルクスは乾いた笑みを浮かべるのみだった………。
ちなみに、女性陣の派手な術はゼンに大うけだった。
「あ、すみません。私の戦棍……」
「あ、そうだったそうだった」
何故か忘れられがちな戦棍。
アリシアがおっとり木製の戦棍を構えると、普段のおっとりさが嘘のようにキビキビして動作が早くなり、戦棍で突く殴る突く殴る。妙な迫力がある。
「……おお、よかった。戦棍さばきは普通に……G級じゃないね……」
彼女は補助や治療をメインにしているが、実は武器戦闘の成績もかなり優秀だった。そこらの雑魚魔物なら軽く撲殺だろう。
(こんな有能人材を、教会が手放すだろうか?)
「君、教会から何か言われなかった?」
「ん~~~。冒険者が飽きたら教会に戻ってきなさいって。飽きるわけないのに、おかしいですよね~~」
屈託のない笑顔を浮かべるアリシア。実際教会から残ってくれと懇願されたのだが一顧だにしなかった。彼女はリュウエンの相棒になる為に神術を習いに行っただけだったのだから。
深い溜息をつくレオ。
「この鑑定続ける必要あるのかなぁ………。いや、あるか。術系だけ突出しても、駄目な時はあるのだ」
後ろ向いていたレオは一人小さくつぶやくと、旅団メンバーに向き直る。
「一応言っておくが、剣士、スカウトの君らも、すでにG級の腕じゃないよ。迷宮で何か開眼したのかな。今すぐF級に推薦してもいいぐらいだが、せっかくだし、迷宮制覇してからがいいのか」
単なる実力鑑定が昇級確実のお墨付きが出てしまった。
「休憩をはさんむ。マナポーション飲んだりして、疲れを取ってくれ。それから連携みるからな………」
レオは控室に戻って行った。こちらはこの場で休憩のようだ………。
(小略)
「さあ連携を見るぞ。魔術師の君は当然分かってると思うが、威力の強い魔術は、味方を巻き込む恐れが非常に大きい。それらを(くれぐれも)踏まえてやってくれ。(懇願)
あ、ちょっと待った……」
レオパルドは控室に行って魔術障壁を貼りなおしてもらった(とても大事)。ついでに重ねがけも。
「よし、やるか………」
(大略)
「お疲れさん。どうだ、そっちとしては?」
全ての鑑定が終了し、さすがに元B級のレオも多少の疲れが見える。
「ボス敵がB級冒険者クラスなら、勝てそうにないかな、と……」
こちらは疲労困憊な旅団メンバーは、その場で大の字に寝転がってダウンだ。
ゼンが用意して持って来た水筒を各自に渡してまわる。気が利く子だ。
「今のクラスで、そんな事されたらこちらが困る」
と言いながらも、遠距離から攻撃魔術だけに絞れば倒されそうな気がする……
「連携も悪くない。いや、かなり良かった。ただ、前衛に剣士一人でスカウトがサポートしてるのは上手く機能しているようだが、多少薄く感じた。前衛増やした方がいいんじゃないか?」
「前は、募集かけてもロクなの来なくて……。でも、今は優秀な候補者がいるんで、その子が育つのを待つ、というか、俺達が鍛えるんです」
リュウエンは話しながら、水筒を運んでいるゼンに目をやる。
「ほう……」
色々事情がありそうだが深く突っ込むべき話ではないだろう。
次にサリサリサの所に行く。
「なるほど、パーティー戦闘では魔術は低位で小刻みに敵を削るか、中位の範囲魔術で集団に一撃入れる感じか。(良かった、常識的だ)」
「私、高位の魔術使えても、魔力容量が多い訳じゃないんです。だから、迷宮だとどれだけ撃てるか、継続戦闘を考えないとすぐ魔力なくなりますから……」
「そこが今後の課題か。魔力容量を増やすには、なるべく限界近くまで使う方がいい。探索の最後に入り口近くで大魔術を使うとかして、危険の少ない方法で鍛えるといいな」
サリサリサは成程、いい事聞いた、と今後の参考にすることにした。
「逆に、神術士の君は容量あるのに、攻撃の光以外は皆低位なのか。治癒術も補助も」
「その、早く教会出て、冒険に出たかったので、必要最小限な術だけを習って。光だけはとっておきを一つだけでもあった方がいいと、先生だった大神官様に言われまして~」
とっておきが最上級で、下位、中位、上位が置き去りとは……。
(つまり覚える時間があれば習得出来た、と。どちらにしろ、女性陣は規格外だな。決して前衛系の男性陣が弱い訳ではないのだが……)
この差がいつか、致命的なチームの亀裂にならなければいいが、とレオは漠然とした不安を覚えるのだった……。
一言コメント
ゼ「凄い!みんな凄いと思ってたけど、サリサとアリシア凄すぎる!」
サ「そうでしょそうでしょ!」
ア「ふふ~~~ん」
この為に張り切って派手めな呪文使った二人
残り、無言w
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