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132.専属鍛冶師

とても遅いですが。

ニルヴァ直してたら、時間が……。

後書き、二つ書いてない所も見つけて、これ合わせて3つか。

何か書きますw

8//28 20:30 後書き部、書きました~



 ※



「そろそろ、防具の事を頼みに、ガゼバ親方の所に行って、様子見して来ようかと思うのですが、旅団が使っている鎧に変えてもいい、と希望されますか?」


 ゼンは、朝食後にくつろいでいる、各チームのリーダーに問いかける。


「……その、やたらと力を感じる鎧を、各チーム全員に提供するというのかい?」


 『清浄なる泉』のリーダー、エルフのザカートが、何か変な目つきでゼンを見ている。正気を疑ってでもいるような?


「勧誘会の時、武器や防具の提供という話をしませんでしたか?……してませんでした。いっぺんに言っても混乱されるかと思いまして」


 そうだ。いい話過ぎる、と言われて、そちらの話までは、結局出来なかったのだ。


「なので改めて。旅団で使っている皮鎧は、師匠が倒した砂漠の魔獣、グランド・サンドワームの皮で造られた鎧で、下手な金属鎧よりも余程優秀です。


 その魔獣は、変異種で、山の様な大きさだったので、素材は、それこそ山の様になっていまして、今の規模のクランだったら、もう2つ3つクランがあっても、その全員分造れるぐらい、素材が有り余っているんです」


 ゼンは、素材を提供出来る理由を説明する。


「なので、もし今の防具にこだわりとかないなら、親方の所に素材を持って行って、造ってもらう様に頼みますけど?


 クラン全員でお揃いとか、変かもしれませんが、そこは色やデザインをチーム毎に変えたりすると、特徴があっていいかも、と思うんですが。


 うちは、術士のローブとかの裏地にこれで補強しているので、後衛の装備の強化にも使えます」


 ゼンの話を聞いて、それぞれチーム毎にざわついている。


 すぐに決められる話ではないのかもしれない。


「リュウさん、鎧の性能を説明とか、お願い出来ますか?俺は、ハルアと組んでもらう鍛冶師を雇えるか、とか、今、鎧の製造を大量に頼めるか、親方に聞きに行ってきますから」


「分かった。混乱してるみたいだが、断るところはないだろうさ」


 自分達ですら、最初は戸惑ったのだ。他のチームの混乱も、共感出来てしまう。


「もしかしたら、形見の鎧を使ってる人とか、いるかもしれませんから」


「いるかねぇ。防具は特に消耗品だから、武器ならいるかもしれないが、な」


 ラルクは、疑問を口に出して、首をひねる。


「いないならいないで、話が進みますから」


 ゼンは食堂を出て、先に部屋に戻っていたハルアの所に行く。



 ※



「ハルア、ちょっとつき合ってもらえるかな」


 ノックをして部屋に入り、声をかける。


「え?デート?ボクはもちろんOKだよ!」


 パっと顔を笑顔で輝かせるハルアが、ゼンは困る。


「誰もそんな事、言ってないんだけど……」


「わ、私も行きます!」


 ハルアと一緒にいたエリンが、慌てたように言う。


「……別に、来るのは構わないけど、デートじゃないよ」


「も、勿論です。補佐とは、雇い主に何処までも付き従うものですから」


 そこまでしないだろう。


「何処までも来られても、それはそれで困るけど……」


 まさか、トイレまでは来たりしないだろう。部屋にそれぞれあるし、常識的に、来る訳がない。


「行くのは、鍛冶師のとこ。俺の知ってるのは、ガゼバさんとこだけど。専属の鍛冶師を雇って、ハルアと組んでこれから先、頼む物を作って欲しいから。


 ハルアが希望の鍛冶師とか、いる?いるなら、別のとこ行くけど」


「あー、よく一緒にやってる子、ガゼバさんとこの徒弟、弟子だから、多分、その子で頼めたら、その子でいいと思うよ」


「子?子供?」


「あ、ボクらエルフに比べたら子供だけど、違うよ。ドワーフの、女の子」


「え、また女の子?」


 増える予定の鍛冶師が女の子、と聞き、反射的にゼンは嫌な顔をしてしまう。


「何か問題あるかな?」


 ハルアには、ゼンのその反応の意味が分からない。


「あるような、ないような……」


 冒険者でなく技術者、鍛冶師を雇うのだ。別に男女の性別は問わないだろう。


 とにかく3人は、小城を出てガゼバの店に行くのだった。


「よお、久しいな、『流水』。なんか、派手にやってるみたいじゃねーか」


 上客が来た、と思ってもらえているのか、ガゼバは上機嫌にいい笑顔だ。


「どうも。派手、なんですかね。上級上がった時に備えて、クランの前身、みたいなのを、人集めて作っただけですよ」


 ガゼバは商売柄、冒険者の動きに敏感なようだ。


「おー、クランか。いいねぇ。俺ぁ、前に、別んとこで鍛冶師やってたが、フェルズは、何故か二つしかクランないだろ。クランさえあれば、いっぺんに大口の注文来たりするしな。是非、どんどん作ってくれ」


「……自分のとこ、一つしか作れませんよ。でも、今はギルドもクラン推奨してますから、もう少ししたら、結構増えるかもしれませんよ」


「推奨って、ずっと前からしてるじゃねぇか。それなのに、全然増えてねぇぞ」


 ガゼバの愚痴は分かるが、本当に変わる予定なのだ。


「ちょっと事情があって、もう少ししたら、増える様になる、筈なんです。


 で、それはそれとして、ですね。うちで、専属鍛冶師として雇えるようなお弟子さん、いますか?このハルアと組んで、細かな物を作ってもらったりするのに、雇いたいんですが」


「ほう。ハル坊、ギル専じゃなかったか?」


「今、一時的にギルドから貸し出してもらってるんです。こちらに、よく組む子がいるって聞いたんですが」


「ああ、あいつね。まあ、腕はそこそこだが、あいつ、人見知りするんだよな。ハル坊なら大丈夫だろうが、専属って事は、そっちに住み込みなんだろ?」


「ええ。ハルアと一緒に実験的な物とか、後は注文ある人は、武器の補修とか頼むかな。大口はこちらに持って来るつもりなんです」


「こちらは、その方が助かるな」


「前頼んだ皮鎧も、チーム毎のカラーが出る感じで、色とかデザイン変えてこちらで造ってもらおうと思っているんですが、今は大丈夫ですか?」


「おう、今は別にそれ程仕事はつまっておらんそ。あれまた作るのか。あれは性能いいからな。どこのパーティーだ?」


「『剛腕豪打』は金属鎧使うかな?獣人二人は多分、皮鎧にすると思います。


 『清浄なる泉』『爆炎隊』『蒼き雷電』『破邪剣皇』『いにしえの竜玉』は、竜人二人は、自分達の鎧使うかも」


「少なくとも、5チームの、術士以外ので、術士のも、またあれで補強してもらうと思います。まだ全員の確認は取れてないですが」


「おう、結構な大口だ。旅団以外、6チームも集まったのか」


 ガゼバは、思っていた以上の大口で、揉み手をせんばかりだ。


「はい。色々と手を尽くしまして」


「『剛腕豪打』は、ガドルドの兄弟だよな。確かに、あいつらは重い鎧の方が安定するんだろうが、あの素材で補強した方がいいだろうな。二人には、鎧持って来る様に言ってくれ」


「はい。分かりました。やっぱり、ドワーフ同士だと知り合いですか?」


「だな。しかし、あいつら人間嫌いとか言ってなかったか?」


「そこら辺も、なんとか口説き落としました」


「やり手で結構。『破邪剣皇』ってのは、うちを使ってないな。鎧のサイズ計らにゃならんから、チームでこっち来るよう、こいつらも言ってくれ。他は大丈夫だ。色や、どんな感じにするか、注文あるなら、そのメモも頼む。


 術士連中は、前みたいに補強するから、ローブとか持たせてくれ」


 ガゼバは話が早い。隣りでエリンがいちいちメモしてくれているのも頼りになる。


「後、専属の鍛冶師だが、コロンでいいんだろ?ハル坊」


「コロちゃんがいいならね」


「おい、奥からコロン、呼んで来てくれ」


 店で商品の整理をしていた徒弟らしき男が、慌てて奥に走る。


「なんでしょうか、親方……」


 しばらくして、妙にテンションの低い、小さな声。


「前に言ったよな、こいつは『西風旅団』にいる、『流水の弟子』だ。今度、作ったクランの方で、専属の鍛冶師雇いたいって言ってな。お前、行く気あるか?」


「え……?コロンが、ですか……?」


 いかにも気乗りしなさそうな声で答えるのは、片目を前髪で隠した、以前のハルアの様なボサボサなオレンジ色の髪の、どっしり小柄なドワーフの少女だった。


「コロちゃん、やっほー」


 ハルアが馴れ馴れしい挨拶をする。


「あれ、ハルちゃん。なんで?」


「ボク、しばらくゼンとこのクランに出向なの。一緒に色々作ろうよ」


「う……。ハルちゃんはいいけど、人、いっぱいいるんでしょ?」


「そりゃね。でも、女の子も沢山いるよ。お風呂あるし、食事は美味しいし、部屋広い。鍛冶の窯、一人で独占だよ?」


 ハルアの誘いは巧妙だ。


「むう……。魅力的、だけど……」


「素材とかも、色々提供しますから、お願い出来ませんか?」


「前にも珍しい素材、出してもらった。覚えてるだろ?店がなきゃ、俺のが行きたい話だぞ」


 ガゼバは本気のため息をついている。店と弟子を放り出したい気分のようだ。


「えとえと……。じゃあ、お願いします……」


「やったね~~」


 ハルアは、エリンと手を合わせて喜んでいる。エリンの知り合いでもあるのだろうか。


「じゃあ、専属契約だが」


「私にお任せ下さい」


 エリンは、堂々とガゼバの前に出る。こういった役目も慣れているのか、本当に有能だ。


 二人は、細かい契約の交渉を始める。ガゼバは、それ程無茶な事は言わないだろう。


「ふんふん。まあ、条件自体はそんなとこだろう。それとは別に、『流水』」


「何ですか?」


「すまんが、また素材の話だ。この4種は、持ってるか?」


 前の時と同じで、ガゼバがメモに書いた素材の名前を見せる。


「え~と、3種はあります。1種が、似た様な魔物のならありますけど」


 ゼンはガゼバにそれを見せる。


「馬鹿野郎、これはそいつの一つ上級の魔物だ、充分じゃ、ねぇか!」


 ガゼバが、ガハガハ上機嫌で笑う。


「代用出来ますか。良かった」


「一級上の物が出来ちまうが、悪くなるよりはマシだわな」


 バシバシと太い腕で、ゼンの背中を遠慮なく叩く。


 素材を適価で売った頃に、大荷物を背負ったコロンが出て来る。


「荷物は、それだけですか?」


「あ、後、鍛冶の道具を……」


 コロンが大荷物をそこに置き、また奥に引っ込む。


「ちと気弱だが、センスはいい奴なんで、おおいにこき使ってやってくれ」


「はい。大事なお弟子さん、お預かりします」


「なんなら、嫁に貰ってもいいぞ」


 とガハガハ笑う。もう間に合ってます、とは流石に言わなかった。


 社交辞令で、曖昧な笑顔を返す。


「ななな、なに、言ってるんですか、親方!」


 鍛冶道具を袋につめたコロンが、真っ赤な顔して慌てている。その声も小さい。


「そうだよ、ボクの旦那さん候補なんだから~」


「ハルア!ここでそんな話、する必要ないでしょ!」


 無駄にハルアとエリンが話に加わる。


「おおう、さすがは『流水』だ。もうそんなに嫁候補いるのか」


 ガゼバが何故嬉しそうにしているのかは、意味不明だ。


「じゃあ、荷物持ちますから、行きましょうか?」


「は、はい……」


 なんだか、メリッサと気が合うじゃないだろうか、と思う気の弱さだ。


「ちょっと、一時的に秘密な物も造ってもらいたいんですが、誓約魔術とか、契約魔術、大丈夫ですか?」


「……あ、はい。秘密な物を造らせるお客様は、それなりにいますから……」


 こんな気弱そうなのに、鍛冶でガンガン熱した金属を叩くのか。何だか不思議な感じだ。


 その後、恒例の小城を見て、驚き固まるコロンを、中に案内して、洗濯場の横にある、元々鍛冶の窯があった一室に案内する。


 かなり古い型だろうから、造りなおす必要があるだろう。


 ゼンは、とりあえず荷物を部屋の隅に置き、人を呼びに行く風を装って、ボンガを実体化する。


「コロンさん、このボンガは、金属や鉱物の精製スキルがあるので、窯や他の設備を造り直すのに、指示をして下さい」


「よろしく~」


 ボンガはおっとりと、鍛冶師のドワーフ少女に挨拶する。


 コロンは、余りに巨体なボンガに、最初は怯えていた風だったが、ニコニコ温和なボンガを見ている内に、すぐその気性を理解したのか、小さな声で挨拶すると、やって欲しい事の指示をすぐ出し始めた。


 それはいいのだが、一緒について来ていたハルアとエリンが、


「「ボンガ?」」


 と、二人で疑問顔していた後、ジーっとコロンと作業しているボンガを見て、


「「あー!」」


 と仲良く大きな声を上げるので、仕方なく二人の口をゼンが塞ぐ。


「もしかして、分かるの?」


「そりゃ、会った事があるんだから、分かるよ」


「そうです!見くびらないで下さい」


 仕方ないので、二人は自分達の部屋に押し込む、と、そこにはカーチャがいた。


「教官、どうしました?」


「……あー、もう仕方ないか……。エリン、誓約魔術の魔具出して。それとカーチャさん、俺もう教官じゃないから、ゼンでいいですよ」


「あ、はい。ゼン……さん」


 さんもいらないと思うが、今は放っておこう。


 ゼンは、誓約魔術の魔具で、三人に口外しない事を宣誓させた後、ハルア、エリン、カーチャの、エルフ3人娘に、自分の従魔が人種ひとしゅである事を説明をした。


 まあこれも、クランには追い追い打ち明けようと思っていた事だ。


「最終進化で、人種ひとしゅまで……さすが、教官です!」


 早速間違っている。


「へー、凄いなぁ」


「そんな風に、なるんですね……」


 ある程度驚いている二人に、ゼンも尋ねる。


「ボンガの事、なんで分ったの?」


「そりゃ、ボク達森で、動物達と遊んだりするし、違いが分からないと、困る事もあるから、感じで分かるよ」


 エリンも頷いている。冒険者でもない二人でも気づかれるのだ。他も駄目だろう。


 気配とか、“気”とかで特定出来てしまうのか。自分も出来るけど……


 もう、一度どちらかで会わせたら、そちら以外では会わせられない。でなければ、秘密には出来ない、という事だろう。


 鍛冶場の部屋に戻って、カーチャにボンガを見せたが、


「一目瞭然です」


 と、はっきり言われた。


 覚悟を決めて、クラン内では早めに打ち明ける事にしよう、と思うゼンだった。




ハ「コロちゃん、ゼンの事どう思った?」

コ「へ?え?ハルちゃん、何の話?」

エ「ハルア、そういうの、無理に聞く話じゃないでしょ」

カ「そうそう。人を好きになると、相手を自慢したくなる気持ちは分かるけど」

ハ「あ、ネタばれ、早いよ~」

コ「……え、ハルちゃん、あの子が好きなの?」

ハ「うん~。コロちゃんには昔、話したでしょ?ボクが、仕事に使う素材、道にばら撒いちゃった話。ゼンは、それを拾ってくれた子なんだ」

コ「あ……。そう言えば、超速便の子が、『流水の弟子』だって話は、聞いた事あるかも」

ハ「そうなんだよ!だからボクもう、会ったその日に舞い上がっちゃって、求婚したんだよね」

コ「………え~~~!!!」

エ「ハルア、極端……」

カ「私も、聞いた時はどうかと思ったけど、その昔話聞くと、気持ちは分かるかも」

コ(前は、コロンと同じで、余り人と話すのが得意じゃなかったハルちゃんが、変わった切っ掛けの人……)

ハ「だって、しょうがないじゃん。気持ちが溢れそうだったんだもの」

コ「……ハルちゃんは、勇気あるなぁ……」

ハ「そうでもないよ。ただ、自分に正直に生きたいだけだから」

コ(そういうハルちゃんが、コロンはまぶしいです……)





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