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116.クラン勧誘会(4)

クラン勧誘会は、ここで締めです。

4もかかると思わなかったw

ガイとガドルドが、ガで被るなぁ。まあ、いいかな。

ガエイの時もで、ガが好きなのか~

(ハイエルフの真ん中の・なくしました)



 ※



<ゼン殿、あの記録に、間違いはないのだろうか?!>


 客室から戻って来たオルディアスは、ゼンに襲い掛かるような勢いで尋ねて来る。


「はい。俺も、記録してたのを横で見てましたから、内容に間違いはないと思います」


<では、我等の村を襲った、邪竜信仰の暗黒教団とやらは、ギルバイアと『流水』のラザン殿とで、壊滅させた、と言うのは、本当に真の話なのか?>


「はい。本部らしき場所を突き止めたギルバイアさんが、追手から逃げていた所を、『流水』の一行が出くわしまして、事情を聴いて、そのまま協力する事になりました。


 教団の前線基地、教団支部なんかも、ギルバイアさんの仲間と一緒に、いくつか襲撃してから、教団本部に乗り込み、最高司祭はギルバイアさんが見事討ち取りました。


 何の目的にか分かりませんが、さらわれていた竜人の方も、4名、無事に保護しました」


<そうか!さすがは、竜人族一の戦士、ギルバイアだ!>


 この話の主戦力は、ゼンの師匠のラザンで、最後に召喚された3匹の邪竜を軽く倒したのも、言うまでもなくラザンなのだが、それは今言う必要のない話だろう。


「ギルバイアさんは、生きていた竜人の方々を取りまとめ、村に戻り、復興作業をするとおっしゃっていました。囮として動いていたお二人の事、とても心配されていましたよ」


<うむうむ。我らは、アルティ殿の護衛があって、追手は全て殲滅していたのだが、途中からそれも来なくなり、おかしいとは思っていたのだ……>


「チッ、先に、教団を潰されていたか。余計な事を……」


 アルティが舌打ちし、不穏な呟きを洩らす。


<アルティ殿!貴殿の多大な尽力には感謝しているが、余り妙な事を言われては……>


「なに、そのままであれば、我等で潰していたのだ。場所が分からんかったから、出来なかったまでの事。


 それより、その変装も誓いも、無意味な物になったのだ。外されよ」


 その場にいた者で、その話を全て理解出来ていたものは、ゼン以外にいなかった。


 だから、オルディアスとコルターナが、その兜を外した時、誰もが驚いた。


 蒼き竜と、純白の竜の顔が、その下から現れたからだ。


<ああ、すまん。これは、奴等を討ち滅ぼすまで解かんと誓った、竜人の戦闘形態なのだ>


 二人が淡い光に包まれたと思った瞬間に、そこには、竜の角だけが名残を残した、偉丈夫な美青年と、アリシアと同じ様な美しい銀髪の美少女に、今までの甲冑姿のままで変身していた。


(鎧は魔術で、形状が持ち主の変化に対応するようになっているのか……)


「それで、アルティ殿、というのは?」


 彼女は竜人ではないのに、その護衛と言うからには、二人以上の強者なのは間違いなかった。


「ふん、控えろ、子猿めが」


 ギルドの会議室の時の軽い口調から一転して、大仰なものになり、目深に被ったフードを、バサリとめくる。


 その、緑の加護深き、黒に近い濃碧の髪、エルフよりも長く目立つ尖った耳。


 それを見た、この場にいた全てのエルフが片膝をつき平伏し、恐れおののいている。


「わ、我らが始祖のお一人、ハイエルフ、アルティエール・ブラフマス様!」


 エルフ以外は平伏こそしなかったが、その、ただ者ではあり得ない、強い力の波動、とてつもない威厳には、感じ入るものがあった。


 ゼンは、それよりも、普通エルフというのは、物静かで平和主義の、おっとりした知的な森の賢人、という印象が強いのに、そのエルフの始祖が、大きな吊り目気味の鳶色の瞳を好戦的にギラギラ輝かした、戦闘意欲満々の様子なのに、激しい違和感を覚えていた。


「なんじゃ、妙な目で、わしを見おってからに」


 一人だけ、微妙な思いで見ていたのに気づかれた様だ。


「アルティエール様は、祖先に獣人の血でも?」


「………始祖であるわしに、何故他種族の血が流れていると思うかや!」


 怒りにギラリと輝く目で見られるのは、心臓に悪い。


「いえ、なら、獣人みたいに戦意を、敵意を周囲に振り撒かないで欲しいのですが。


 ここは、敵地ではありませんよ」


「はん!結構な伏兵もいる様な街で、平和ボケも極まっておるようじゃな!」


 それは、もしかして、街に潜伏している敵の“草”の事を言っているのだろうか?


 もしそうなら、彼女は、このフェルズにいる敵勢力を、全て把握しているのかもしれない。


「……アルティエール様は、ギルマスの事はご存じですか?」


「あれは、わしの系譜じゃ。人の血で薄まっても、有能さは受け継いでいるようじゃな」


 やたら自慢げに、背格好はゼンぐらいしかない、少女の外見をした始祖は言う。


 確かに、このめったやたらに物騒な感じは、義母のレフライアと共通するものがある。


「……とりあえず、その話は後で」


 ギルマスに紹介して、本当に敵が判別出来るなら、“あの話”も早まるかもしれない。


「ところで、オルディアスさん達は、これからどうされますか?竜人の村に帰られるのでしょうか?」


「いや、村の再興資金を稼ぎたいし、『流水』には、恩返しもしたい。ラザン殿を見つけるのは大変そうだ。ここで、クランに参加させて欲しい」


「それは、助かります!


 アルティール様は、勿論、エルフの里に帰られるのですよね?」


 ゼンは、これから協力して貰わなけれないけないかもしれない相手に、つい本音が出てしまった。


「なんじゃ、そのいい笑顔で、わしだけ帰らせようとするのは!」


「いえ、だって、アルティール様は、等級に当て嵌めるとS級に匹敵する実力がありますよね?クラン的には、バランスが崩れてしまいます」


「むう。確かに、わしだけ飛び抜けていては困るじゃろうて。そうじゃのう。エルフも多いようじゃて、精霊魔術の指南役でもしてやろうか」


「で、里にはいつ?」


「なんで子猿は、わしをそう帰らせようとする!」


 どうも、トラブルメイカーな感じがひしひしと伝わる強者を厄介払いしたい思いが、自分でも意外な程強いようだ。


「いえ、エルフの方々は、偉大なる始祖様がいては、保護者つきで見張られているようで、やり難いように見受けられるのですが?」


「そんな事はないじゃろう。偉大なる始祖の傍にいられて、嬉しいじゃろう?栄誉じゃろう?感激じゃろう?」


「え、ええ。まあ……」


 視線を逸らしながら適当な相槌を打つ、ザカート、セイラ、ロータス。(ロッテは、エルフの里の出ではない)


「……こちらは、とりあえず置いておいて、『剛腕豪打』は、どうでしょう?」


 ゼンは、いつまでもエルフ事情に構っていても、話が進まないので、残りのチームにクラン参加を聞く事にした。


「……ワシらも、お主には面倒をかけた。ギルドの秘書官殿にも教えられたでな。世話になる事に、しようと思う」


「ファナさんに?」


 ファナは、ゼンがそちらを見ると、パっと視線を逸らす。


(ドワーフには、細かい気遣いの機微を、期待する方が無駄でしたか。こういうのは、相手に知らせずにやるのがいいんでしょうに……)


「……では、最後に、『破邪剣皇』は、どうされますか?」


「そうだな。ここには、色々問題があるようだ。それらが解決するなら、参加してやってもいい」


 ハイ・エルフ様とは違う意味で、『破邪剣皇』のリーダー・ガイは、尊大に上から目線で言い放つ。サブリーダー・ロータスは、呆れ顔だが止めるつもりはない様だ。


「問題、ですか。何でしょうか?」


 実際に問題があるなら、それを早めに取り除くのは、いいに決まっている。


「まず、ここでは使用人に、スラムのガキ共を使っているようだが、部屋に掃除に入れたりして、貴重品が盗まれたりしたら、どうするつもりなんだ!そもそも、使用人にわざわざスラムから雇う必要があるのか?」


(ああ、そっちの話か。むしろはっきり言い出してくれるのは、有り難いな。どうするのか、はっきり言えるから……)


「……まず、何故スラムの子供を雇うのか、ですが、それは俺がスラム出で、義父の方式を真似た慈善活動として、スラムの子供達を雇っています。


 全員が、俺の従者登録をしてますので、もし何か被害に合われたら、当然俺が責任を取ります」


「ど、どう取るって言うんだよ!」


 ガイは、『流水の弟子』がスラム出だと知らなかったようだ。


「被害の3倍額、賠償します。子供にもきつい罰を受けさせます。それが、本当なら、ですが。


 なので、そういった事件が起きた場合は、ギルドの真偽判定官を呼びます」


「げっ……」


 スキルの能力というものは、単純な物程習得しやすく、人の心を読むのではなく、ただその言葉の真偽を判別するスキルというのは、だから習得しやすく、その能力を強めるのも、普段からの修練を欠かさなければ、容易に強化出来る。


 だが、国の正統な真偽官などは、貴族や金持ちの買収にいくらでも応じるので、その信頼度はゼロに近い。


 冒険者ギルドの真偽官は、違う。だから、小さな村や街では、揉め事があった場合、冒険者ギルドにその判定を求めるぐらいだ。


 その能力を妨害する魔具等もあるが、ギルド専属の真偽官は、その魔具の存在すら見破ってしまうので、教会の真偽判定ほど絶対ではないが、民衆の信頼は厚い。


 つまり、下手な言いがかり等つけたら、逆にこちらがいらぬ恥をかき、クランから追い出されかねない、という事だ。


「子供達は、商会の方で見習いとして厳しく訓練してもらってから、こちらで働いてもらっています。


 貧しい身分の幼い者達ですから、信用がないのは分かりますが、出来れば長い目で、暖かく見守って欲しいのです」


「……絶対の保証をする、というのであれば、それ以上は言わん!」


 これ以上は藪蛇だと判断したようだ。


「ありがとうございます」


「では、別の問題だ!」


「はい、なんでしょうか?」


「ここは、お前達が勧誘して集めたクランだが、お前等は皆、年が若い!冒険者としての経験不足な者ばかりだ!」


「はい。その通りですね」


「なら、クラン・リーダーはどうする?確かにお前らが招集した集まりだが、まさかお前達がリーダーになるつもりじゃないだろうな?」


「そこら辺は、大体の参加パーティーが揃ってから、皆で話し合いを、と思っていました。


 それ以前に、クランになる為に、全てのパーティーのリーダーと、過半数のメンバーがB級に昇級しなければ、クラン活動自体、始められませんが」


「そこは一旦棚上げだ。


 俺は、経験豊富なのも大事だと思うが、一番強い奴にクラン・リーダーを、そいつのいるパーティーに、チーム・リーダーとなって欲しいんだが?」


 余裕綽々だが、それだと別に、『破邪剣皇』は候補外になる。


「そうすると、『いにしえの竜玉』ですか?」


「なんでだよ!」


「ハイエルフのアルティエール様がいますし、竜人もかなり強いですよ」


「ババアは指南役と言ってただろうが!竜人は、強くても二人しかいねぇ!


 だから、俺様がなってやるよ!」


 後で、アルティエールから、半殺しにされる未来しか見えない一言を、言った気がする……。


「つまり、ガイさんが、この中で一番強い、と?」


「そうだ!」


 それを聞いて、ダルケンもザカートもシグマもガドルドも、リーダー格のほぼ全員が、不満顔しかしていない。


 オルディアスはよく状況が分かっておらず、リュウとしては、一番年下リーダーの自分が、口出しする事ではないと思っているようだ。


「不満な人が、大勢おられるようですが?」


「なら模擬戦だ!全員、蹴散らしてやるよ!」


 ガイはやる気満々だ。自信だけは、人一倍強いらしい。


「えーと。じゃあ、リュウさん、ガイさんと模擬戦して下さい」


「え、俺か?」


「なんだなんだ!『流水の弟子』が相手じゃないのかよ!」


「リュウさんは、旅団のリーダーですから。もし、万が一、リュウさんを負かす事が出来るなら、お相手しますよ」


 ゼンの言い分は、完全に挑発だった。


 ガイがリュウを負かす事はあり得ないし、それが出来たなら、相手をしてやる、と完全に上からの、余裕の発言だった。


「おい、ゼン。俺で大丈夫なのか?」


 隅でコソコソ、リュウがゼンに弱気な事を言う。


「今のリュウさんなら、余裕ですよ。相手の得意なスキルは“加速”です。


 強い、と言えば強いですが、見えるなら、対応も出来ますから」


 ゼンは、本当に少しも心配していない。リュウへの信頼は盤石だ。


 リュウとしても、ゼンの信頼を裏切りたくはないが、相手は年上で、経験も絶対的に上の相手だ。自分の剣が、他のパーティーのリーダー格に通用するのか、不安になる。


「ダルケンさんとも鍛錬してたじゃないですか。多分、ダルケンさんより弱いですよ?」


「そうなのか?」


「そこは、間違いないですね」


 確かにリュウは、ダルケンとも何度か相手をしてもらっている。だがそれは、お互い本気ではない、鍛錬としての相手だ。


 それでも、多少は気が楽になった。


 考えてみればリュウは、ゼンやロナッファとも訓練をしている。


 当然ながらガイが、それ以上の相手とは思えなかった。



 ※



 皆で中庭にゾロゾロと出る。周囲で見学だ。


 ガイとリュウは、中央に進み出て、相対する。


 ガイは普通の片手用の木剣。リュウはいつもの、バスター・ソードを模した木剣だ。


 すでにアリシアから防壁の付与もされている。


 余程の打撃でなければ、痛打とはならないだろう。


 その場の流れで、ゼンが審判をしている。


「それでは、準備が良ければ始めて下さい」


 ガイはすぐ、リュウに向かって走り、横一閃の剣撃を放つが、リュウはしっかりと木剣で受けている。


 ガイはそのまま動きまわり、左右上下、色々な振りで剣撃を放つが、どれも完全に受けられてしまっている。


 相手は大振りの大剣で、こちらの方が早く、細かな技を出せると言うのに、まるでその全てが見えてでもいるかの様に受けられる。


 だが、勝負はこれからだ。


 ガイの所持スキル“加速”は、己の全てを加速させる。


 その思考も、剣も、足も、全てを速める、全加速なのだ。ついてこられる訳がない。


 リュウは、敵であるガイの動きを見ながら、確かに速いのだが、ゼンとロナッファの、瞬動戦に比べたら、充分目で追える速度でしかなかった。


 瞬動が、爆発的な加速であるのに対して、ガイの加速は滑らかに、段々速くなるだけなので、むしろ見やすいのだ。


 勿論、ただ見えるだけなら意味はないが、今まで瞬動の鍛錬をして来た足は、ガイの速さにしっかりと追い付ける。


 剣も、小城に来て、『爆炎隊』のメンバー達と訓練して来た事で、さまざまな動きに対応出来ている。


 そして、ゼンから速く動ける場合の、弱点も叩き込まれている。


 リュウは、側面から来たガイの剣撃を、大剣で受け流し、剣の柄で、ガイのみぞおち近くを刺すように思いっきり叩き、振り抜いた。


 ガイの攻撃が速かったからこそ、その一撃はカウンターとなって、ガイの身体に届き、その場から吹き飛ばした。


 ガイは、ものの見事に吹き飛び、見学者側の真横の緩衝防壁にぶち当たった。


 緩衝防壁は、その衝撃を綺麗に吸収して、ガイはその中に埋まり、包まれる格好となった。


「勝負あり、でいいですよね?」


 ゼンの問いかけに、防壁に埋まり、意識も飛びかけたガイは、小さく頷き、負けを認めた。


 ―――


「お前、その若さで、すげぇ強いな!」


 ガイは、それまでの態度が嘘のように、目を輝かせ、嬉しそうな顔をしている。


 まるで、お気に入りのオモチャを見つけた、子供の様に、陽気にはしゃいでいる。


 他のパーティーの冒険者達は、目を丸くして、その変わり様に驚いている。


「リーダーは、強い人が好きで、強者と戦うのが大好きなんですよ。


 だから、このクランへの参加は、リーダーにとって、凄くいい経験になると思いますよ」


 自分のリーダーの性格を熟知している、サブリーダーのロータスは、こうなる事は分かっていたのだろう。


 こうして、クラン勧誘会は終わり、全てのパーティーが参加を了承する事となった。




ダ「いよっし!クラン決定だな。クランの名前とか、城の名前決めよーぜ!」

シ「気が早い奴だな。一人で、いや1パーティーっで、抜け駆け生活満喫しやがって……」

ザ「まったくです。何が、参加を考えてくれ、ですか。自分達はちゃっかりすぐに参加しておいて」

ダ「たった3日だ!グダグダ言うなよ」

ガ「戦い甲斐のありそうな奴ばっかで、俺は嬉しいぜ!」剣

ガ「まあ、いい酒が飲めて、いい物が食えるなら文句はないわ」打

オ「クラン、というのは初めてだ。慣れぬ身ゆえ、勝手が分からんな」

リ「一番若輩ですが、よろしくお願いします!」





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