2 冒険の前に
「お供AIはプレゼントボックスに一時間後だったな。まずは武器屋に防具屋を探すか。えっと、マップの開き方は?確か、マップって言えばいいんだっけ?おお!出た!クリックすると三Dで見れる!スゲーな」
マップを見れば武器屋と防具屋はカゲナツのいる時計塔から南西へと二百セメル、武器屋と防具屋は隣同士。防具屋とは別に服屋があることに驚きだ!
「服屋には後で寄ってみるか。武器と防具っていくらぐらいなのかな?そう言えば所持金はいくらだろう?所持金を見るにはメニューを開かないといけなかったよな」
カゲナツがメニューと言うとゲームでよく見かける半透明でシンプルなメニューが現れた。メニューの右下に所持金が表示されている。
「所持金は三千ベル。多いのか?少ないのか?お、メニューのステータスから装備が見れるのか!装備は新米冒険者の剣に新米冒険者の服。うん、防御力が紙だな。攻撃力も期待できなさそう。そろそろ武器屋と防具屋へ行こうかな」
カゲナツは目的の場所へ走り出した。驚くことにサービスが開始されたばかりの平日なのに人で溢れ返っている。ぶつかりそうになりながらも目的の場所に辿り着いた。
「まずは武器屋かな?それにしても武器屋も防具屋もかなりデカイ建物だな!外観は、青い屋根に赤レンガを基調としたシンプルな作りで派手すぎず、地味すぎず、好印象だ。さっそく入ってみるかな」
カゲナツが武器屋のドアを開けるとチリンチリンと音が鳴りNPCの女性の店員が挨拶をして声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。初めてみる冒険者さんですね。お客様のニーズに合わせた武器をご紹介したいので、お客様のご職業をお伺い立てさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「俺は闇魔法の使い手、職業は魔法剣士だ」
「闇魔法で魔法剣士ですか…?そうですか。でしたら、こちらの闇属性を付与されている黒妖剣はいかがでしょうか?ちなみにお値段は三千二百ベルです」
「…お金が足りない」
「でしたらお客様、当店は武器の買い取りも行っております。何か売れる武器があれば是非」
「新米冒険者の剣は買い取れるのか?」
「新米冒険者の剣でしたら、状態が良ければ六百ベルですかね」
「なら買い取りを頼む」
カゲナツは冒険者の剣をアイテムボックスから取り出して店員に渡した。
「ほう、これはかなり状態が良いですね!一度も使った形跡がありませんね。錆び一つない!七百ベルでどうですか?」
「それで頼む」
「交渉成立ですね」
店員のNPCは笑うと八重歯をキラリと光らせた。カゲナツは本当にNPCなのかわからなくなった。カゲナツが二千五百ベル渡すと店員は上機嫌でお金を受け取り、カゲナツが店を出るときには大きく手を振ってくれた。
「また来てくださいね」
カゲナツはちょっと恥ずかしかった。防具屋に行くつもりが金欠である。フィールドに出る前にもう一時間経ったはずなので、プレゼントボックスをカゲナツは開いた。