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交錯する世界

作者: 紫乃

言葉に出来ないような痛みに襲われて目を覚ました。

場所はいつもの寝室。いつもの様に階段を降りて、いつもの様に支度をする。これが俺のいつもの日常。

集合場所に一足早く辿り着いた俺は近くのベンチに腰掛け、予定時間をただ待つ。10分程経った頃に、俺の前を通った男が散歩していた犬が、やたら俺の方に向かって吠えてきたので、何だか嫌われてるなぁなんて呑気に考えていたりしていたのだった。

この後も、暫く待ち続けていた。然し誰も来る気配もなく、気づけば時刻は12時30分を指していた。先程からなりっぱなしの腹を満たすべく、仕方なく対岸にあるコンビニに向かう事にした。


信号を待っていると、何処からともなく奇妙な音が聞こえてくる。アスファルトを鉄が削るようなガリガリという音。だんだんと音が大きくなった頃、車輪の外れた大きなトラックが俺の立っている側に向かって猛進してくる。

流石の俺も【死】を覚悟した。大きな爆発音を上げながら車は炎に包まれていく。


…確かに俺は車に轢かれた筈なのに、爆発に巻き込まれた筈なのに…何故俺は生きている…?

そこで全てを思い出した。



俺は…既に、死んでいたのだ………と。

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