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4話

「ぐっ……わしも歳かのぉ」

 

 1時間ほど耐えていた結界にヒビが入る。そのヒビは次第に大きく広がっていく。

 

 「わしもここまでかのぉ。何、簡単な事じゃな。わしは少しでも敵を減らすことにしよう」

 

 その言葉と共に学院長の魔力がふくれあがる。

 

 「これで少しは減らせるじゃろう」

 

 その瞬間学院長からの魔力によって周囲の魔物だけでなく中央棟諸共木っ端微塵にし爆破した。

 

 

 「ここまで魔物が流れてるってことはさっきの轟音……学院長だね……」

 

 集まっていた学院の生徒が扉を抑えている中、大陰寺だけは冷や汗をかいていた。

 

 「周りは、パニック状態な上に出入口は防がれているねぇ……もうここ捨てるしかないねぇ」

 「大陰寺!どうするんだ!」

 「仕方ないこれじゃ生徒は戦力になりゃしない。僕が出るよ」

 

 大陰寺の右腕に炎が集まる。その火力は徐々に上がり講堂のの中にいた生徒が気絶し倒れていく。

 

 「やり過ぎ……」

 

 グラがあまりの熱量に顔を顰め大陰寺を睨みつける。

 

 「まずは扉の前のあいつらが邪魔だよねぇ?御影のモノマネさ!火界鬼手急急如律令!ってね!」

 「クルちゃん達!伏せて!」

 

 その叫びと同時に決壊を維持していたビクトールたちが伏せる。その頭上を大陰寺が生み出した炎が通り過ぎ、内側から結界を突き破る。扉の前でたむろっていた魔物たちを一掃した。

 

 「凄!」

 「さて!パニックは納まったかなぁ?役立たずさん達?今魔物が大量に発生しているんだけども……」

 

 膝を震わし半泣きになっている女生徒を指さす。

 

 「君たちが無能だとかののしっているミカはさぁ、こんな状況でも震えたりはしないんだけどさぁ?なに?ミカより君たちは弱いのかい?」

 

 シンとその言葉で静まり返った。

 

 「そんな感じじゃ、ミカをどうのこうの文句も言えないねぇ?」

 「ふざけるなよ」

 「お?なにかな?そこの君」

 

 伸びていた男を指さし笑う。

 

 「あいつより俺らが弱い?巫山戯るなよ?成績なんざ底辺のあいつが俺らより上だと?」

 「そうだよだってぇ、魔物目の前にして震えてビビってるじゃないかな?」

 「……ってやろうじゃねえか?」

 「ん?」

 「やってやろーじゃねぇか!バカにされたままで引けるか!なぁ!」

 「……フッちょろいですねぇ」

 

 その一声が周りに伝播し、目付きが戦士のそれとなる。

 

 「ミカの名前を出すと扱いやすい人達ですねぇ?」

 

 大講堂の出口から生徒たちが飛び出す。

 

 「血気盛んですねぇ」

 「焚き付けたんでしょうが」

 「しっかしここの生徒さんは優秀です。数は少ないですが広範囲の魔法をしかも魔物に向けて怯みもせずに打てるのだからねぇ?」

 

 しかしいくら優秀とは言っても所詮は実践を経験したことがない子供。強がりで出てはいても限界が来ていた。

 

 「そろそろ私も出ますかねぇ」

 

 そう言って大陰寺は魔力を滾らせ舌なめずりをした。

 

 

 「これどうなってるんだ?白虎!」

 「我にも分からぬ。ただ全く微動だにせんのだ」

 

 瘴気に溢れた獣は白虎の言うとおりまったくうごく事がなく一種の像のようになっていた。

 

 「他の奴らは?」

 「うむ。わからんから困っておるのだ」

 

 頭を悩ませる白虎と御影。

 

 「取り敢えずこいつ放置でいいのでは?」

 「それは不味くないのか!?」

 

 大丈夫と御影が離れようとした瞬間だった。

 

 「う、ウウウウ」

 

 とうなり声が響く。

 

 「もしかしてあらがっているんじゃ」

 「そうかもしれんの……」

 『そこの者よ聞こえるか?』

 「「!?」」

 

 突如頭に響いた声に御影と白虎が目を見張る。

 

 『聞こえるのならいい。頼む。あそこへ。この島の中心へと連れて行ってはくれんか?

 もう、限界なんだ。瘴気に塗りつぶされる前に早く……』

 

 

 『頼む……』

 「敵じゃねーってのか?こいつ?マジで?……だったら敵は……」

 

 

 『敵などいないんだ。ただこの島で行き場の失った負の感情がこの島に滞在していた我らの中に入り込んできた』

 「……突然の事で結界も張れなかったと」

 『あぁ』

 

 

 「大変だったんだ……」

 『集められた負の感情それを浄化するために魔物にし、倒してもらうしか無かった。そしてお前たちと戦った時は理性がなく暴走してしまっていたのだ』

 「そんなことがあったんだね……あ、着いたよ学院だ」

 

 青い龍がとぐろを巻きつつゆっくりと瘴気に覆われた龍を下ろす。

 

 「あれ?玄武。早かったんだね」

 「まぁ、話終わるのを待つのだるかったし……自分でこの学院内に溢れた魔物をどうにかするってんなら任せてもいんじゃない?それよりも気がかりなことが……」

 「お主らも来ておったのか!」

 

 青龍と玄武が声のした方を見る。白い毛をたなびかせ、瘴気に覆われた獣を置く。

 

 「これで全部か?」

 「うん。そうみたい。あれ?でも朱雀は?」

 「御影を運んでおる」

 「大丈夫かな?」

 「まぁそのうち来るだろう」

 『ありがとう皆さん。おかげで私達はやっと自由になれる』

 

 その時、四神の頭の中で声が響いた。

 

 『我らが解き放たれたことにより、尻拭いとこれら魔物を倒すことができるようになった』

 

 4つの魔力が爆発的に上がる

 

 「おい待て何しようとしておる!」

 『止めてはしてくれるな。これは贖罪。油断したとはいえここの住人に多大な迷惑をかけたね。それに周囲の魔物は消しされる上、我らは元の場所へと戻れるだから……』

 

 膨れきった魔力は周囲を照らし轟音と共に爆発四散した。

 

 

 「お、落ちるぅううう!?」

 

 耳をつんざくような轟音が鳴り響くと同時に魔力混じりの爆風が朱雀と、その足にするされるように運ばれていた御影を襲う。

 

 「おい!普通に乗せろよ!」

 「るっせぇ!運んでやってるだけでも感謝しやがれ!これ以上文句言ってると叩き落とすぞ!」

 「んな!?」

 

 朱雀は御影にがんを飛ばす。その目に言葉をつまらせ目を逸らした。

 

 「それにしても今のは……」

 「自爆だろうな。全く。たしかあれって俺らに似てるが四霊だろ?まぁ何でもいいか。魔物が消えたんなら一件落着……」

 「まだみたいだ」

 

 その瞬間吐き気を催すような負の感情が朱雀と、御影を襲う。その正体が直ぐに現れた。

 

 「な、なんだよアレ……」

 

 ヒョロ長く黒い化け物。それが学院の中で佇んでいた。

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