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Episode33 封印の地

封印の地、アルカディア


かつてそこは理想郷と呼ばれていた。

アトランティス人に侵略され、僅かなレムリア人が命からがらたどり着いた先はムー大陸と呼ばれた。

アトランティス程ではなかったものの、現代文明を超越する発電施設を所有していた。


争いを好まぬ大陸人のその大らかな性格は、レムリア人を快く受け入れ、共に文化の発展を築いて行ったのである。

これが後の人類の始祖とも言われる。


ムー大陸は数百年、数千年をかけて大きく発展した。

レムリア人の五次元移動技術を用い、様々な時間軸で他の大陸へ移動し、農耕や牧畜を広げた。


アトランティスの崩壊と同時期に、ムー大陸にも危機が迫った。

この時代には既に高次元エネルギーによって、大陸の移動は可能であり、新たな大陸を生み出す技術をも手に入れていた。

そして、様々な時間軸に海底都市、空中都市を造り上げた。


その中の空中都市ひとつ理想郷アルカディアである。

全ての種族が共存し、言葉の通じない生物にはテレパシーで意思の疎通を行い、やがてそれらの能力を総称して魔法と呼んだ。


理想郷にはアトランティス人の生き残りもいた。

やがて政治の発展と共に、統率者が現れ、アトランティス人との争いは再び勃発した。

ここでもオリハルコンは猛威を奮った。

機械を操るだけではなく、水面下で生物をも操り独自の進化を遂げさせ、生物兵器を手にしていたのだ。

高次元エネルギーを物ともせず、理想郷はそう時間のかかる事なく滅ぼされて行った。


最も能力に優れたレムリア三賢人、ホーグ、クエーサー、プルグヴィンギルは自らを犠牲に、その地に全てのアトランティスの血を受け継ぐ者を封印した。


━━━━━


「ん?トニ。どうしたんだい?」


『気づいていないのか?』


「ああ気づいているさ。久々だねえ。妹ちゃんだろ?こんな地獄ハイドみたいな所に飛ばされるなんて、何か仕出かしたのかな。」


『さあな。ここに来たって事はヤツのチカラだけじゃ出ることは出来ないだろうな。』


「やれやれ、いくつになっても妹ちゃんはおっちょこちょいだねえ。」


青年は言葉を喋る鷹、トニと共に雲を渡った。

ここはかつて己の先祖が荒廃させた地である。


今は誰も住まう者はいない。

キメラと呼ばれる猛獣、ドレイクと呼ばれる竜、ゴルゴンと呼ばれる魔獣。そういった類の霊獣はごろごろ存在する。


「カトブレパスか、ちょっと厄介だな。あ、矢を忘れて来てしまったよ。トニ、姉さんの所へ行って一本借りて来てくれるかい?」


『一本で足りるのか?死ぬんじゃないぞ。』


「その一本はもしもの時に使うのさ♪ボクにはコレがあるから平気♪」


青年は宙空からハープを取り出し流れるような手つきで奏でた。

その調べは猛々たる霊獣たちを次々と眠りに落としていった。


「ハァ、いいメロディ。聞こえているかな妹ちゃん。」

「聞こえておる!久しいのお主!早く助けるのじゃ!いかんもう死んでしまう!我のLPらいふぽいんとは間もなくゼロじゃ!」

「意外と近くにいるんだね♪待ってね、今トニが姉さんの矢を借りに行ってるんだ。あと3秒、2、1。」


トニの出現と同時に金色に輝く矢が一本現れた。

この矢が刺さったものはどんな物であろうと瞬時に死に絶えてしまう。


「ベリベリキューティー!姉さん。ありがとね。」

「おおおおおい!早くしてくれ!服が溶かされておる!」

「やれやれだね。」


『どうやら捕らわれているようだな。ベヒーモスに。』


トントントンと雲を駆け、地に降りた。


「ボク、この目で見るのは初めてなんだよね、ベヒーモスって。」


『私も見たことはない。それでどこにいるんだ。タナトスの妹は。』


「こ、こ!ここじゃ!ぶわっ、汚い!こやつのヨダレは溶解液じゃ!」


地面が揺れる。

定期的に起こる噴火の仕業か、いやそうではない。

青年が降り立った地、そここそがベヒーモスの体の上だったのだ。


「わーお。こんなに巨大生物だったのか。ボク達のご先祖様は何て生き物を生み出してくれたんだ。」

「食べられておる!食べられておるー!服が溶ける!もうバリヤーも解けてしまう!」


『おい、ベヒーモスの皮膚には矢は刺さらないだろうから、粘膜を撃て。』


「そうだねえ、えーっと。顔はどっちかな?」


再びトントントンと雲を駆け、地に降りようとした。

突として地面が細く浮き上がり、青年は振り落とされた。


「あらら、こっちは尻尾だ。」

「お主ら、遊んでおるのかーーー。」

「待っててね、矢が刺さる場所を探していたんだ。顔はあっち側だねえ。」


正面に回り、ベヒーモスと対峙する。

眼前に大きな山が一つあるようだ。

ただの呼吸、吐く息で飛ばされそうになり、吸い込む息で飲み込まれそうになる。

しかし、巨体故に動きは鈍足。


「こいつは呼吸器官と嗅覚が異常に発達したせいか、耳がないからねえ。ボクの音色は届かないって話だ。かわいそうに。遊びは終わりだよ♪」


濁った眼球に狙いを定め矢を射ると、断末魔を上げることもなく、眠るようにベヒーモスは力尽きた。


「あ!ダメじゃん!トニ!倒しちゃったよ!妹ちゃん助ける前に倒しちゃったよ!」


『うむ……。私もそこまで考えていなかった。』


「おーーーい、まだか!動きは止まったがどうやって出ればよいのじゃ。」


そこからは原始的な作業が始まった。

ベヒーモスの腹部の皮の剥ぎ取りだ。


━━━━━


「よ、よよよっと。礼を言うぞ太陽神アポロンよ。ところでお主、こんなところで何をしていたのじゃ?」

「ん、ここに実る果実は格別でね。たまたまいただけ。こんな奥まで来る予定はなかったよ。おっと、大丈夫かい?妹ちゃん?ふらついてるし、裸だし、何よりもどうしたのその姿。すっかり子供になってしまったじゃない。」

「これには深い理由わけがあるのじゃ。」


かくかく……。


しかじか……。


「ふぅん。人間、ねえ。懐かしいねえ。アヌビスの時以来かな。」


『人間は欲深い生き物だからな。タナトスが間違っているとは思わん。放っておけば良いのではないか?』


「そうもいかないって顔してるね。妹ちゃん。」

「そうもいかないのじゃ。転機フェイトを起こしてしまった我の責任もあるからの。それに人間の作る食べ物は非常に美味である!最も、人間にならないと食べられたもんではないがな。フフッ。」

「何だって?それは興味深い話だ。木の実しかここにはないからね、ボクも一緒に行っても良いかな?」

「うむうむ、お主の能力も必要じゃ。ちとアレを模造してくれぬか。」

「アレって?」

「アレじゃ。アレ。かつて我とアヌビスが作った、賢者の石じゃ。」


Episode34へ続く

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