Episode32 血を受け継ぐ者
遥か太古の時代、レムリア文明。
レムリア人はシリウスやプレアデス星団からやって来たとされ、そこには言葉の概念は存在しなかった。
五次元の移動を可能としたレムリア人は、常に違う時間軸で共存しており、人々はテレパシーによる意思の疎通を行い、精神の調和を図っていた。
医療機関等は存在せず、各々に回復能力が備わっており、超古代人の寿命は今よりも遥かに長かったとされる。
それでも生命の寿命を迎えると動植物は結晶化し、それを再構築させ新たな物を創造する事も可能としていた。
この地球も同様に、寿命を迎えると同時にレムリア人によって再構築する事が可能であった。
そんなレムリア人の能力を手に入れようと、侵略してきたのがアトランティス人である。
アトランティスには現代の文明を遥かに凌駕する科学文明があった。
オリハルコンと呼ばれる超金属を操り、現代で言う所のコンピュータの様な物に制御され、主に飛空挺、潜水艇の原動力としていた。
このオリハルコンを元に製造された兵器は非常に強力であり、レムリア人の五次元の移動をも抑制し、レムリア大陸の制圧には時間がかからなかった。
こうして、レムリア人の血脈は徐々に失われて行った。かろうじて逃げ延びた少数のレムリア人は、ある一つの大陸にたどり着き、その大陸の動植物と共存していったのである。
また、アトランティスも天変地異による大津波、或いは隕石の落下により、一夜にしてその文明は滅んだとされている。
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「タクト……。タクト。うっ。うっ。」
「ユメカさん!タクトさんにはまだ二つの生命が」
「あると思うたか?ヒュプノスよ。そんなもの我が残すとでも思うたのか?ジャッジメントは終わりじゃ。フフッ。だーかーらー、他の心配をしたほうが良いと言ったではないか。」
嘲笑う様に小さな唇を右から左へと舐めずる。
「そんなっ!タクト!タクト!!嫌ぁああああ!」
大鎌をユメカへと向けタナトスの熱い口調が増す。
「冥土の土産に聞かせてやろうか人間。主らは死んだ後にどこへ行くと思う?天国か?地獄か?四方やそんなものは存在せぬ。ヒトは死後、誰の意思とも関係なく、その魂はこの星の核へ送られる。そうしてこの星は結晶化されて行くのじゃ。」
ネムリの顔が青ざめていく。
「それじゃあ、私やお姉様がやっていた事は……。」
「我らは自らを死神と名乗り、ジャッジメントと呼ばれる為事をしておる。それは生き残ったレムリア人の本質を見抜くために魂を選別しておるのじゃ。再構築の能力を持った者を見つけるためにな。これまでの天変地異の数々、我らの力で起こっていた事に気づいておったか?フフッ。それがアトランティスとレムリアの血を引く者の能力なのじゃ。」
「アトランティスとレムリアの……?そんな……、私は何も……。あっ。」
直感的に何かを感じ取ったのだろう。
ネムリは自分の周りに起きた過去の意図しない発火や落雷、水害等の様々な現象を思い出した。
「心当たりがあるようじゃの。フフッ。自然調和とでも言おうか、ヒトが増えすぎると我らの潜在能力で天変地異が起こる。それでもヒトは増え続ける。増えたヒトは自ら崩壊の道を選び争いを起こす。星の悲鳴が聞こえぬか?」
『ですから、ヒュプノス様も一緒にこの星を作り直しませんか?』
『人間を殺してレムリア人の子孫を探すのと、この星の寿命が先に来るか。どっちかなー?』
「わざわざ殺さなくてもいいでしょ!何でタクトと巻島さんを殺したの!賢者の石でも何でも勝手に作ってればいいじゃない!」
「煩いのう。我は今のこの星を救う気など毛頭ないのじゃ。片割れから得た時間逆行の能力を用いて、賢者の石を手に入れる。そしてレムリアの再構築と五次元移動の手法さえ掴めればそれで全てやり直せるのだからな。おっと、長く喋りすぎてしまったのう。さらばじゃ、人間。」
容赦の無いタナトスの大鎌がユメカの心臓を一突きにした。
残る二本の大鎌もそれに続いてユメカの胸元へ突き刺さる。
「い……。……あ。」
「ユメカさーーーーーーーーーん!」
『ヒュプノス様、どうしてそこまで人間に肩入れするのです?』
『私達も人間だったけどねー!』
「ラウラ、ナタリア、主らもアトランティスとレムリアの血を引く者。数は少ないが人間の世界にも存在しておるのじゃ。」
『あー!だから修道院にいた時から、不思議な力があったんだねー!』
「ここにいても仕方がない。早速賢者の石を獲得しに行こうかの。」
「タナトス。お前が欲しているのはコレか?」




