<小牧長久> 常識は必ずしも正解に非ず
毎年ドラフト指名により多くの新人がプロ野球の舞台へと足を踏み入れる。
甲子園大会で名の知れた高校生スラッガーや優勝投手。六大学野球リーグの最多勝投手に、都市対抗野球で企業の看板を背負い戦った大エース。そして中にはアマチュアながら日の丸を背負い戦った者達も。
そうした選手はプロ上位指名で多額の契約金・年俸を手にし、入団時点で顔や名前がファンの間にも知れ渡り、マスコミからも大きな期待を受ける。とにかく注目を集める選手たちである。
しかしそうしたスターの影で、鋭く輝く光星となり得る存在は多くいるのである。
下位・育成指名、そして素材型選手の存在である。
2013年秋。プロ野球ペナントレースも終わり、Aクラスに入ったチームはクライマックスシリーズを、Bクラスやクライマックスシリーズで早々に敗れたチームは秋季キャンプを行っている時期。
ここ高知県では、開校1年目を終えようとする土佐野球専門学校が秋季キャンプを張っていた。そしてそのキャンプのオフ日。第2期生の入学選抜試験が行われていた。
「長久、あの子はどうでしょう? ゼッケン番号、25番」
昨日付けでプロ野球の任意引退申請が受理され公示も成された、今となっては『元プロ野球選手』の広川博・40歳。彼は引退後にこの学校の教員となる予定のため、早くも入試試験官と言う一仕事を行っていた。
「広川さんはどう思いますか?」
そしてこちらは2年前に再起不能の大怪我で若くしてプロを引退した小牧長久・23歳。年齢的にもプロ野球経験的にも広川の後輩なのだが、教員歴としては1年先輩である。そのため広川の教員活動における師匠のような立ち位置となっている。
「なかなかいいスイングでは? 長久はどう判断します?」
「40点?」
「ま~た低い点を」
広川は先ほどからずっとこうして受験生を見てきたのだが、小牧はかなり辛口評価しかしない。そしてたまに「70点」とか「80点」とか付けたかと思えば、見た感じあまりいい選手ではなかったりする。広川としてはいまいち分からないところである。
「いいスイングはしているんですけど……まぁ、結果次第ですね。」
「60点分は実技試験へ取っておく。ということで?」
「まぁ、そういうことです。期待はしておきます。するだけなら無害ですから」
肯定的な一言を発したかと思えば、どことなく意味深な部分を残している。
土佐野球専門学校における受験方式はこうなっている。
基本的なものとして投野手の区別なく打撃・走塁・守備のテストを、その上で投手は投球テストを行う。そしてその後、実際に守備・ランナー・審判等を付けたより実践的なテストが行われるのである。
新しくできたばかりの新・1年1組球場。そのグラウンドには多くの受験生、試験協力者である野球科生、審判養成科生などが集まっており、その様子を教職員がスタンドから見つめる。
「やはりあの選手いいバッティングです。先から4打数3安打」
「確かに『成績は』いいですね」
先ほど広川が注目していたゼッケン25番の選手。実践テストにおいてなかなかの成績を残しているのだが、どうも小牧の表情はあまりいいものではない。ひとまず見ていたグループが終わって次のグループが試験へと入る。
「長久。少し話をしても?」
「どうぞ?」
「なぜかあまり表情がすぐれないのですが、教員の先輩から見て彼は思うところがあるので?」
「別に広川さんの言うようにいいバッティングはすると思いますよ。ですけど、自分の注目する選手はそうした選手ではないというだけでしょうか」
「と、言うと?」
小牧はゼッケン番号71番を付けたキャッチャーを指さす。
「あのキャッチャー。自分は注目しています」
「あの受験生ですか?」
広川は首をかしげる。自分のメモによると、ゼッケン番号71の受験生は2つ前のグループにて打撃テストを行って4打数ノーヒット。2打席目のセンターフライはまぁまぁいい当たりだったが、全打席総括すればいいバッティングセンスをしているとは言えず、走塁のセンスもさほどではない。
さらに先ほどからパスボールはまぁまぁ多く、肩も送球のコントロールもいいとは言えない。
彼を高評価するなら、他にも評価すべき人がいるはずだが。
「バッティング、走塁壊滅。相手が初めて組む投手である以上は多少仕方ですが、パスボール多目。肩も送球のコントロールもあまり良くない」
と、小牧は広川の思い描いていた意見を正確に答える。彼にも71番が大した選手ではないことは分かっているのだ。だが、
「ですが初めて組む投手相手にも関わらず、その投手自身の持ち味を引き出すリード。投手の持ち味なんて、数球の投球練習ですべて分かるわけない。にも関わらず……」
小牧は見えない評価点を見出していた。
「ピッチャー主導リード」
「え?」
「日本ではキャッチャーがリードを組み立て、ピッチャーを引っ張る。しかし71番の彼はピッチャーにリードの全権を渡している」
「し、しかしそんなことすれば……」
「ピッチャーが好き勝手しますか? メジャーでは一般的なリード方法です。そして何よりこうした場面では、ピッチャーの事を知らない自分よりも、ピッチャーの事を良く知っているピッチャー自身にリードしてもらう方がいいと言うのも一案。さらに言えば自分の好きな球を放るわけですから、ピッチャーも気分を良くする。心理的要素が影響しやすい『ピッチング』という仕事の上では大きなファクターかと」
彼は手元にあった受験生一覧からゼッケン番号71の受験者プロフィールカードを見つけ、赤ペンではっきり丸を付ける。
『(埼玉県出身、宮島健一。捕手ね。覚えとこ)』
小牧としては合格者第1候補を発見。仮に他の教員が低評価だとしても、1人の教員が熱く押せば通らないこともない。
「広川さん。甲子園を目指す高校野球との大きな違いとして、土佐野球専門学校は勝利を目指す必要がないことなんです。ゆえにこの学校が必要とするのは、今現在は成績を残せるものの最終的に大きくなれない人じゃないんです。仮に今は小さく、そして成長に時間がかかるとしても、結果として大きく偉大な選手になれる人なんです。そりゃあ、今現在成績を残せて、さらに大きくなれる人がベストですけどね」
例えるなら、レベル20で頭打ちとなる現・レベル10の選手よりも、レベル30で頭打ちとなるレベル1の選手の方が遥かに上であるという考え方である。なぜなら後者はレベルを上げてやれば前者に勝るから。そのレベル上げをすることがこの学校の存在意義である。
「だからこそ僕らは、成績に惑わされず才能を見極める必要があるんです。例え4打数ノーヒット。守備はボロボロでも、きらりと光る才能があるなら合格。逆に攻守にいい成績を残す選手でも、伸びしろがないのなら不合格にします」
そうつぶやきながら小牧はゼッケン番号38番の生徒を見つけて、こちらにも丸を付ける。
『(高知県出身。鶴見誠一郎、投手。今はせいぜい打撃投手だけど、こいつは伸びるぜ)』
合格者の選考、ホームページ上での合格発表や通知郵送も終了して一息ついたと言ったところ。
「ようやく一仕事終わりましたね」
小牧は一仕事終えたような態度をしながら日本酒を一気飲み。対してアルコールの飲めない広川は代わりにウーロン茶。ついでにおつまみ感覚でから揚げや新鮮なお刺身を口にする。
「本当に長かった。あんなに選考は時間がかかるものなんだ……」
「そりゃあ、学力試験と違って明確な合格基準はありませんから」
特に打撃結果や投球結果、身体能力検査などにも明確な合格基準はない。さらに『伸びしろ』という測定するのが難しい点についても合格判定に使われているため、かなりそこの判断は難しさが増す。
「だからこそ、普通ならば切り捨てられる受験生をねじ込めるわけですが……」
「たしかに。今回、長久が強く推薦をした受験生は結果がそれほど振るわない。振るっていても実力不十分と言っても仕方のない人ばかりでしたし」
今回、小牧が合格者選考会議にて強く推薦した人物は、投手の鶴見誠一郎、捕手の宮島健一。そして女子枠での筆頭合格がほぼ確定ではあったが、小牧の推薦で一般合格となった神部友美。その他にも6名を推薦したが、特に強く推したのはこの3人である。
しかしこの3人。鶴見はそれほどの実力があるように思えず、宮島は不合格候補。神部は女子枠合格確実の一方で一般枠合格とするには過大評価気味。少し小牧の人選には疑問符が付くところではある。
「から揚げ、レモンはどうしますか?」
「長久のお好きなように」
広川の許可を取ったところで、小牧はから揚げにレモンをかける。
「あ、それと。すみませ~ん。焼き鳥の盛り合わせ2人前と、熱燗」
さらに店員に向けて追加注文を要求しつつ、お冷を端に避けて冷酒を手元に寄せる。
「よく食べますね」
「先輩のおごりですから」
「まぁ、先輩ですしいいでしょう」
さりげなく机の下で財布の中身を確認。万札が十数枚入っているうえ、万が一の時はカードだってある。それにこの居酒屋はそれほど単価の高い店ではない。
「と言っても、タダでおごるのもしゃくですからね。取引といきましょう」
「後輩を相手にどのような取引を?」
「何の会話も無く食事するのも暇なものです。話のネタを供給する。と言ったところでどうでしょう?」
「いいですよ。どうせ自分も何の会話も無く食事するのは好きじゃないですし」
「取引成立。本日の食事代は私がもちましょう。それ相応の見返り、期待しますよ」
「う~ん。何の話をしましょうか?」
頬杖を突いてから揚げを食べながら何の話をしようかと考える。しばらして話のネタを閃いたようだが、ちょうど熱燗が届いたことで少し飲んでから話を始める。
「高校時代の話はどうでしょう? あっ、店員さん。焼酎水割り1つ」
最初は興味などなかった。むしろ「後に続く番組が中継でずらされる」と言う理由で毛嫌いすらもしていた野球。しかし父親に連れられて初めて行った甲子園球場。そのバックネット裏から見た豪快なストレートや、夜空に舞う白球に心を打たれた時から彼の人生の歯車は勢いよく回り始めた。
小学2年生から始めた野球は、小学校6年生の時にはすでに大阪府内でそこそこ有名になるほどに。そして中学校は有名なチームからも誘いもあったが、「いい環境でできる事」よりも「とにかく試合に出られること」を重視。それほど野球の強くない中高一貫校へと進学し、そのチームで1年目から大車輪の活躍。豊富な実戦経験を得てレベルアップし、高等部へと舞台を変えた。
高等部からは硬式野球部に入った小牧。9割以上が中学校からの内部進学組とあって、特に部内で浮くようなことはなかった。しかし元々野球に力を入れている学校ではないことに加え、大学受験が目の前になってくる高等部ともなると、レベルが大きく落ち込むのは少々悩みどころではあった。
そんな1年生春のある日。
面倒な6時限目、高校数学の授業を終えた小牧少年は、ボストンバックを左肩から掛けてグラウンドへ。すると早めに授業が終わったのであろう1年生他クラスの部員たちが、のんびりと着替えていた。
「ん?」
その一方で既に着替え終わり、1人でバックネットのラバーで壁当てをしている部員もいた。
『(あれは確か……)』
名前は柴野。
一般の公立中学卒業後。中高一貫校であるこの学校の高等部1年に入学してきた生徒。小牧も知り合ったのは高等部からだが、数少ない新規入学者だけに記憶も新しい。
どうも彼と他の1年生の間に壁があるように見えるのは、彼自身の人を寄せ付けない一匹狼の性格――と言うわけではなく、中高一貫校ゆえの特性。中等部での友人コミュニティが高等部でも持ち越されるため、新規入学者はそこに入り込めない。というのが大きな原因である。
「仕方ないか」
小牧はため息まじりに1年生グループの中でカバンを降ろすと、中からグローブを取り出す。
「おっす、長久。キャッチボールか? 相手でもしようか?」
中学校1年生から知り合った、同じアニメ趣味を持つ白神。
「柴野でも引っ張ってくるからいいや。それよりお前は早く服着ろ」
「はっはっは。見ろよ。この胸筋――いてっ」
着替え途中でパンツ1枚になっている白神を小突いておき、自分は制服の|上着≪ブレザー≫だけを脱いで柴野の元へ。
「柴野。暇ならキャッチボールにでも付き合えよ」
と、急に声を掛けられた柴野は、驚いてクッションボールを後逸。
『(やっぱり下手だなぁ)』
一応は小学校5年生から野球を初めて今年で6年目らしい。が、打撃も守備も安定しない。素直なところ、小学校3、4年生でも彼より上手い人はザラにいる。と言ったレベル。しいて言うなれば小学生よりも体つきはいいため、当たれば『小学生以上には』飛ぶくらいが彼の特徴であろうか。
「ほら。柴野。キャッチボール付き合えって」
「う、うん。いいよ」
この学校に来て以降あまり人と関わる機会がなかったためか、妙に初々しい態度をとる。そんな彼とキャッチボールを始める、片や1年生にしてエースはほぼ確定の天才高校生投手・小牧。
柴野の初球は小牧の胸元へ。
「柴野ぉ。回転かかってないぞ~。こうやって手首を利かせてっ――」
「うわっ」
山なりのボールに対して、低い球道のストレート。柴野は顔を逸らしてしまい、ボールも捕れずに後逸。バックネットのラバーに跳ね返ってきたおかげで、わざわざ拾いにいく手間ははぶける。
『(ほ、本当に下手だなぁ)』
少し力を入れて投げたせいもあるが、今の球は捕ってほしいところ。今のを捕れないのでは先が思い悩まれるところである。
「レ、レフトぉぉぉぉ」
ある日の練習試合。
登板していた小牧は7回の表に大きなレフトフライを打たれる。
何の変哲もないレフト定位置の凡フライ。まずアウトは間違いなしの打球であったが、今レフトにいるのは前のイニングから代打で途中出場している柴野。落下地点らしい位置にはいるものの、足取りはさながら居酒屋帰りのよっぱらいサラリーマン。彼はボールが落ちてくるなり慌てて後ろに2歩3歩進むが、さらにその後ろに打球が落ちる。
「フェア、フェア」
「あれまぁ……」
小牧もなんとなくは分かっていたが、案の定レフトオーバー。俊足の2年生センターがカバーから内野に返すも、この間にバッターはホームまで生還。ランニングホームランを許してしまう。
「な~んで、あの凡フライが捕れないかなぁ?」
マウンド上の小牧は頭をかきながら独り言。
運動神経の元々よかった小牧にしてみれば、フライの落下地点など簡単に分かった。少年野球クラブに入った2日目には安定してフライを捕球できたほどであり、彼にしてみればなぜ落下地点が分からないのかが分からない。
むしろ6年間も野球をやってきて定位置への凡フライ1つまともに捕れないことに、逆に才能を感じるとでも皮肉を言ってやりたいほど。しかし小牧はそこを堪えて、気にしていないかのように振る舞う。
それが彼にとってのエースの風格であり余裕でもあると思っているし、何よりこのくらいの下手さでは試合で使われることは滅多にない。仮にあっても控えメインの試合であろうし、変則的な今日の試合を除けば主力である自らの背中を預けることは今日以降ありえないと断言できる。
『(今日くらい、大目に見ようか。どうせ練習試合だし)』
その小牧は割り切ったことで崩れはせず、その後続の打者をまとめて打ち取る。そしてその直後、凡ミスに対して平謝りの柴野を横目に自ら逆転ツーランを放ち練習試合の勝利に貢献した。
フライを捕れない理由にはいくつかある。
レフトを守れる人はライトやセンターも守れる。また別のパターンもしかりと思っている人もいるが、ライト・センター・レフトは打球の回転や、それに伴いフック・スライスの方向などが大きく異なる。また定位置から見て各塁の位置関係もポジションによって違う。そのため『外野』という守備位置を簡単にはひとまとめにはできないのである。
そして中学軟式から高校硬式に変わるに至って、硬い硬式球への恐怖心なども理由に出てくることがある。
しかしである……
「もっとバック、もっとバックだ」
「え? え? え?」
センターを守る2年生の指示を受けるライト・柴野だったが、フライの捕球は入部半年以上経った今でもなかなか安定しない。
だが彼は決して不慣れな守備位置なわけではなく、レフト・センター・ライトとどこの守備位置でも一様に同じ。またボールを恐れているようなことはなく、打撃練習時にはインコースのストレートにも思い切って踏み込むほどのガッツを見せる。打てるかどうかはまた別の話ではあるが。
「これは本格的に3年間補欠。いや、ベンチ入りすらないかな?」
小牧はブルペンで投球練習をしながら、グラウンドのでの守備練習を眺める。
生徒数自体は大阪府だけあって多いが、部活への入部率、特に体育会系となると格段に低いこの学校の野球部。1~3年生が揃う春~夏ならまだしも、1~2年しかいない時期ともなると18人のベンチ入り人数が埋まるか埋まらないか。というところまで少なくなる。それでも3年間ベンチ入りがないということは、それほどひどい実力だということである。
監督がノックの打球をセカンド頭上へと放つ。右中間に抜けた打球にぎりぎり追いついた柴野は逆シングルでなんとか止めると、ゆっくり足場を整えて中継のセカンドに送球。他の外野手ならば真正面で捕れるくらいには余裕で追いつく程度の打球であり、あの余裕のない守備には練習でもひやひやさせられる。
そして打撃練習でも彼は初心らしさをのぞかせる。
監督の方針により、毎度のことチームバッティングを意識した、ランナーを進めることを考えた打撃練習。いわゆる右打ち練習である。
『(こいつ、打てないなぁ)』
かなりスピードを抜いている打撃投手の小牧であったが、右バッターボックスの柴野は空振りが続く。流すことの意識しすぎによって振り遅れ空振りが目立ち、時にはやや早めのタイミングを意識したような試行錯誤。しかしその時の打球は左側へと飛んでいき、監督からの怒号が飛んでまたも振り遅れ空振りが始まる。
守れないだけではなく打てない。これでも走れるならここぞという時の切り札にもなろうが、特に足が速いわけでも走塁が上手いわけでもないのだから、これではせいぜい人数が足りない時の穴埋め要員である。
しかしそんな部員も試合に出られることがある。
いや……出ざるを得ないことがあるのである。
2年秋の公式戦。
夏大会における部員のほとんどが3年生で占めていたこと。今期の1年生の部員数がそれほど芳しくなかったことで、部員数総勢14人全員がベンチ入りを果たした今秋。
キャプテン・小牧率いる野球部は、彼の投打にわたる活躍であらゆる敵を撃破。そして勝負は春の選抜甲子園大会を賭けた地区大会にまで及んだ。
ところが不測の事態が起きる。
「デ、デッドボール、デッドボール」
大阪府が誇る名門高校との地区大会1回戦。相手方エースと小牧長久の投げ合いとなったこの試合は、熱いゼロ行進で13回裏が終わって0ー0の投手戦。お互いに代打・代走をつぎ込む総力戦となっていたのだが、14回表。1年生レギュラーの外野手が足にデッドボールを受けた。
「立てるか?」
ネクストバッターの小牧が急いで駆け寄り起こそうとするが、立ち上がるなりすぐにバランスを崩す。デッドボールで直接負傷したわけではなさそうだが、回避行動に移った際、そして転倒した際に足を捻ってしまったようである。
「臨時代走を認めます。最も打席の遠い選手が1塁に行ってください」
治療のために一時ベンチ裏にひくことに。球審は臨時代走を認め、ここはひとまず打席の最も遠い2番バッターが代走に出た。
「監督。あいつの怪我は?」
小牧がフォアボールで繋ぐも後続が倒れて無得点。1塁から駆け足で戻ってきた小牧が監督に問いかけるも、監督は険しい表情で視線を逸らす。
「そ、そんな……」
「仕方ない。小牧。マウンドに急げ」
監督は小牧をマウンドに送りながら14回裏の守備シフトについて考える。
ここまで使った選手は先発メンバーを含めて13人。そしてそのうちの1人が負傷した今、ここは最後の1人をグラウンドに送るしかない。
「柴野。レフトだ。行けっ」
もう2度と試合で巡り合う事などないだろうと小牧は思っていたこの状況。しかしながら総力戦の果ての緊急事態によって再び来てしまった。
『(絶対にレフトに打たせないようにしないと……打たれたら終わる)』
センターの足は速いが、かといってレフトの守備位置までカバーできるほどの足はない。仮に抜かれようものならば、スリーベース、場合によってはランニングホームランとなってしまいかねない。それはつまり、サヨナラ負けを意味する一打ともなりうる。ということだ。
14回の裏の小牧。
振りかぶった彼は相手バッターに背中をしっかり向けるトルネード投法。そこからはじき出されたストレートは、右バッターのアウトコースに外れる。
『(外れた。けど、インコースを引っ張られるよりは……)』
絶対にレフトには打たせない。その意識が強まる小牧は、その心理的変化によって投球が崩れ始める。
「ボール、フォア」
間違ってもインコースはダメ。アウトコースに集める。
結果としてアウトコースから大きく外れ続け、ストレートのフォアボールを許してしまう。
いきなりランナーを出してしまった小牧は、今度はアウトコースへの意識と同時にランナーへの意識を背負わなくてはならなくなる。
「ボール、フォア」
あろうことか2者連続のフォアボール。
ここまで好投をしてきた小牧らしからぬ投球内容に、監督がタイムを掛けて伝令をマウンドに走らせる。
「伝令です」
マウンドに集まっていた内野陣の輪に入ると、わざわざそう前置きしてから監督の言葉を伝える1年生。
「ここまで来たら、後先考えるな。と」
「無茶言うなぁ。監督も」
不満げな顔を浮かべる小牧は、ロージンバックに手をやりながらも視線はレフトに泳ぐ。
自分だってフォアボールを出したくて出しているわけではない。できればストライクゾーンに入れたいし、早くこの回を終わらせたいのである。しかし『レフトに打たせるわけにはいかない』と言う、拭えない意識がストライクゾーンへと投げさせないのだ。
「プレイ」
内野陣や伝令の1年生も散って、ノーアウト1・2塁から試合が再開。プレートに足を掛けてサイン交換。その終了後にセットポジションに入ると、バッターに動きがあった。
『(送りバント、か)』
早くもバントの構え。1点を取ればサヨナラの相手方にとって、確実に3塁へランナーを進めたいのは当然の事。むしろ前のバッターがバントの構えすら見せなかったのが不自然なほどだが、ここまで5打数4安打と小牧相手に唯一調子がよかっただけにヒッティングに出たのも当然だろう。
そして3塁にランナーを進められる可能性がある状況に小牧が動揺しているかと言えば、一概にそうとも言えなかった。
『(ここで1つアウトが貰えるのはありがたい……)』
連続のフォアボールで未だノーアウト。むしろ打ってこられた方が3者連続フォアボールの可能性もあるだけに厳しいが、バントとあればレフトに打球が行くことはまずない。確実にアウトが1つ貰え、自分にとってもいい息抜きの時間となる。
初球。
アウトコースに球が集まっていたこれまでに反し、インコースへのストレートが投じられる。それを確実にバットに当てられると、打球はピッチャー前の弱いゴロ。
「ピッチャー。ボール1つ」
3塁は間に合わない。そのキャッチャーの判断に従った小牧は、確実に打球を処理してアウトを奪う。
1アウトを取れた一方でランナーは2・3塁。打球次第では内野ゴロでも帰ってくるだけに、小牧の心理的な負担も大きくなる。
『(こんなのをあともう1イニングやらないとダメなのか)』
仮にここを抑えても15回の裏がある。そうした将来的な負担の予感も小牧に圧し掛かる。
「ボール」
またもアウトコースに外れてワンボール。
敬遠でもスクイズ警戒でもない。またもレフトを意識したアウトコース集中。
キャッチャーはストライクゾーンに投げろとミットを叩き、バックも「打たせて行け」と声を掛けるが、入らないものは入らないのである。
カウント1―0から、変化球でストライクを奪おうと投じた2球目。
『(しまっ――)』
カーブがすっぽ抜け、真ん中へと緩い棒球が飛んでいく。それを名門校のバッターが見逃すはずもなく、教科書通りのきれいなスイングで弾き返した。
打球は左翼線へのライナー。
タッチアップするには際どいが、レフトに打たれたことで小牧は負けを確信。やや脱力した動きで、一応のバックホームに備えてキャッチャーのバックアップに入る。
と、小牧はレフト・柴野の動きに違和感を覚える。
普段の彼であれば落下地点が分からずにあたふたしているのだが、今の彼はどうも落下地点へ一直線に向かっている。
そして、
「ゴー」
「よし、ボールバック」
3塁ランナースタート&キャッチャーのバックホーム指示。
柴野は体勢を立て直してから中継のショートに送球。山なりワンバウンドを受けたショートは、ホームに向かう3塁ランナーを刺そうとがむしゃらに全力送球。コントロールなんて気にしている暇はない。逸れたところで1点が入れば2塁ランナーなど関係ないのだ。
その送球はわずかに1塁側に逸れる。その送球をキャッチャーは体を寄せて捕球したのだがそれが勝負を分けた。ホームベースのバックネット側が大きく空いてしまったことで、そこへとランナーが滑り込みベースをタッチ。
「セーフ、ホームイン。ゲームセット」
延長14回に渡る大激闘。
小牧長久の力投も空しく1―0のサヨナラ負け。
しかし小牧は負けたことによるショックはほとんどなかった。そもそもレフトに打球を打たれた時、むしろ2人目のランナーを出した時点で負けを薄々感づいていたからか。それとも……
『(柴野……今の打球を捕れるのか)』
定位置の平凡な打球は捕れずにいる柴野が、横に逸れた会心打を処理できた。偶然かもしれないが、果たしてこれだけ切羽詰まった状況でその偶然を手繰り寄せることができるのか。
「「「ありがとうございました」」」
礼が済み、春のセンバツ出場の可能性が事実上消滅したことを実感する。だがそれでもなおショックはない。
『(もしも、もしも柴野に隠された才能があるなら……甲子園も)』
夏の舞台が彼の目には浮かんでいた。
エース・小牧長久による「今日は雰囲気を変えて自由にやってみよう」という鶴の一声で、、まずは全ての部員を本来とは別の守備位置に移してのシート|打撃練習≪バッティング≫。名目上は「緊急事態に備えてどこでも守れるようにする」「他の守備位置を知ることで本職に生かす」と言ったものだが、小牧の隠れた理由は予想外の的中を見せる。
例えば、柴野のように凡フライも捕球できない下手な、野球経験7、8年目の外野手の適正守備位置はどこか。
もちろん言わずもがな補け――
「ショートっ」
である。
振り返る1年生投手。下手な先輩のところに打球が飛んだと思って焦り声だったが、三遊間の打球を逆シングルで捕球した柴野は、4歩5歩と多めのステップを踏んで体勢を整えてから1塁へと送球。セーフのタイミングではあるが、不慣れなショートを守っている割にはいい守備。逆に言えばこれだけの守備をしていながら、まだ『経験』と言う大きな伸びしろがある大型内野手であるとも取れる。
『(ショートは内野手の中でも上手い選手がやるところ。逆に下手な選手がやるべき場所ではないけど……結局は適正か)』
慣れないセンターを守る小牧は、彼の守備を見ながら関心を示す。
一般的に守備の得意ではない選手が守らされることの多いアマチュアのライト、レフト。そこを満足にできないにもかかわらず、内野の要でもあるショートに才能の欠片を見せる。非常に意外な話ではある。とはいえ、
「ショ、ショートっ」
「うわぁ」
相変わらずフライ捕球は苦手なようで、定位置へのフライを落球してしまう。この守備力は非常に怖いところであるが、選手間の距離が短い内野では他の守備位置の選手が十分にカバーすることができるだろう。
「柴野ぉ。そろそろ上がれ」
ひとまず今現在、打撃練習をしていた人も終了。まだ打撃練習を終えていない柴野が準備を整えるためにショートから帰る。
ひとまずもう1人が打撃練習を行っている間、置かれた移動式ネットの裏で素振りをして準備を整え、終わり次第入れ替わりに右打席へと入る。いつもならば空振り連発なわけだが、守備での良いリズムに引き続いて打撃でもそこそこの調子を見せる。
振ったバットに当たった打球はサード真正面への速いゴロ。空振りの多い彼にとってみれば、たとえ凡打であっても球足の速い打球を打てたことは非常に大きい。そのあとはそれでもほかのメンバーに比べれば空振りは多いものの、いつもに比べれば空振りは少ない。そしてそれに対していつもよりも多いのはレフト・ショート・サードへの引っ張り打球。
『(柴野はプルヒッターだったか)』
今まで彼の下手っぷりを見せられてきた小牧にしてみれば新たな発見である。
今まではチームバッティング至上主義的な監督により右打ちを半ば強制されていたのだが、本日は大エース様の鶴の一声があっただけに、チームバッティング無視の引っ張りを見ても何も口を出せず。1塁側ファールグラウンドで椅子に腰かけ、腕組みをしながら渋い顔を浮かべている。
それにしても柴野という選手。守備しかり打撃しかり、監督やチームの事情によって才能を封じされていたところがあるようで。
そのリミッターが外れた今日の練習。プレースタイルにも結果にも文句を言われることなく、柴野は守備でも打撃でものびのびと野球をやっている。その結果が今までとは比べ物にならないほどの好結果である。
『(もし、これが今日だけの突発的な調子の良さじゃなければあるいは……)』
「っと、センターぁぁぁぁ」
彼の高めに浮いた緩い球を左中間へ。センターの守備範囲かと思われたが、間に合わずレフトとセンターの間を破っていく。
「おぉぉ。すげぇ」
小牧はその打球を目で追ったのち、右バッターボックスにいる彼へと視線を向ける。
この野球部はもちろんほかのメンバーもまったくの無力ではないが、投打にわたって小牧の力に頼り切っている。だが『フライ処理』や『流し打ち』など一部を除けばかなりの才能を持ち合わせる存在。彼を上手く使えるならば、小牧に次ぐ大戦力として夢の舞台への原動力ともなりえるだろう。
出場校の多い大阪であっても1つしかない夏の甲子園の出場権。地理的には近くとも、目標としては非常に遠い舞台へのキップを奪い合う戦いが幕を開く。
1回戦、2回戦、3回戦と弱小校相手の試合が続いたことで、プロ注目エースの小牧長久が打撃・投球双方で圧倒的な大活躍を見せて怒涛の3連勝。
しかし4回戦以降ともなるとプロから注目される選手も目立ち始め、レベルの違いが顕著になる。そうした連戦で大きな力となるのはエースの圧倒的力量の一方で、それを支える周りのメンバーでもある。
その中で特に意外な成績を残しているのは、去年まで補欠の補欠と言ってもいいほど戦力外であった柴野。新1年生も入ったことで選手登録枠も埋まるようにはなったのだが、それでもベンチから外されることはなかった。それどころか背番号4を貰い受け、8番・セカンドでレギュラーとなるに至っていた。
打率は2割前後と心もとないが、好投手の小牧によってロースコアゲームとなることが多いこのチームでは、その程度の貧打は目をつむることができる。むしろ1年前と比べて大いに成長したとみられるくらいで、また彼の特徴はその守備力でもある。
決勝進出を賭けた準決勝。相手は前年甲子園出場の名門校。1点を争う終盤戦に、ここまでの疲れからエース・小牧の執刀が目立ち始める。そして7回の表……
「しまった」
4番への一投はど真ん中。少しシュート回転がかかってくれたおかげでかえって真芯直撃は防いだが、それでも芯に当たったボールはピッチャー返し。自分の左足元を襲う打球に小牧が捕球を試みるも、痛烈すぎる打球に処理が間に合わない。
『(くっ、ノーアウトからランナーを出しちまっ――)』
センター前ヒットを確信して振り返る。ところが、
「うやっ」
難しいイレギュラーバウンドに対し、か弱い女子高生のような声を出しながらも逆シングルで捕球した柴野。2歩、3歩とステップを踏む間に体勢を整え、へたくそな送球モーションで1塁へ。のんびり守備のせいで鈍足4番バッターともギリギリのタイミングだが、
「アウトっ」
間に合った。ヒット性の打球が一転、内野ゴロで先頭バッターの出塁を阻止する。
「よし、よくやった。柴野」
ガッツポーズを彼に向ける小牧に、柴野は嬉しそうな表情でファーストからのボール回しを受け――グローブで弾いた。
「「「えぇぇ……」」」
あれだけの好プレーをしたセカンドが、何気ないボール回しを落球。内野陣全員で驚き半分、呆れ半分の反応。彼はゴロ捕球に関して、さらに言えば横に逸れた打球には滅法強いのだが、真正面のライナー&フライには滅法弱いのである。そのため、
「小牧くん。お任せするよ」
「よ~し、柴野、どいてろ」
「はい」
次打者の打ち上げたセカンド定位置の凡フライ。それをわざわざ柴野がその場から避け、代わりにマウンドから駆け足してきた小牧が落下点へ。これを難なく捕球してアウト。
このようにセカンド守備範囲のフライに関しては、必ずと言っていいほどピッチャー・ファースト・ショート・ライトのいずれかが処理することになっている。
こんなヘンテコチームであるが、野球とやらは面白いもの。8回裏に小牧がバックスクリーンに均衡を破るホームランを叩き込み、9回表には一二塁間を割りそうな打球を柴野が横っ飛びで捕球。天才高校生投手と下手くそ球児の活躍によって名門校を撃破。
そして雨による雨天中止を挟んだ3日後……
「ストライクスリー、バッターアウト。ゲームセット」
攻めては柴野の三塁線を破る先制タイムリー、小牧のツーランなどで5点を奪う。守っては先発小牧がバックに助けられつつ、9回を3安打無失点で完封。高校を初の甲子園へと導いたのであった。
「と、いう話なんですが面白かったですか?」
高校時代の話を終えた小牧は、広川の方へと意識を戻しながら白身魚のお刺身に端を伸ばす。しかし広川からの返事はない。
「おや?」
と、広川はほんのり頬を赤らめて熟睡中。彼が手にしていた水に思わしき透明な液体を見てみると……
「あれまぁ……やっちゃいましたねぇ。広川さん」
小牧の注文していた焼酎水割りを、お冷と間違えて飲んでしまったようである。その結果アルコールに滅法弱い広川は、酔いに負けて熟睡している。というわけである。
「これじゃあ、おごりは無しかな?」
この状況でお金を出してもらうのは難しいだろう。一応、小牧自身も現金やカードを持っているため無銭飲食にはならないが、取引が成り立たなかったのは残念でもある。
彼は焼き鳥の串からもも肉を外して口の中へ。そして酔いつぶれた40くらいのおっさんを目の前に、頬杖を突きながらふと考える。
『(高校時代の監督は決して素人じゃなかった。それこそ高校大学とガッツリやってた経験者。そして自分もプロにドラ1で入ったレベルの経験者。なのに……)』
今はもう顔つきは変わっていようが、あのころの柴野を思い浮かべた。
『(下手な選手は外野で、二遊間は上手い選手。そしてチームバッティング優先の流し打ち至上主義……)』
経験者の持つ経験則が、あの名手の才能を握りつぶしていた。
経験者ゆえの経験にとらわれる視野の狭さ。逆に経験のない人間の方が固定観念のない分、彼を生かすことができたのではないだろうか。そして結果的には小牧らも彼の才能に気付いたが、その原因はあの秋大会でのレギュラーの怪我&レフトフライが重なった偶然。その偶然がなければ気づかなかっただろう。ならば決してそれは小牧らの先見の明ではなく『運』。
「ダメだな。経験に流されちゃ……」
小牧は2年目の指導者生活に向けて信念を強く持ちなおす。
指導者は才能を生かす立場であり、才能を殺す立場であってはならない。
プレーをするのは選手であり指導者ではないのだから、時に指導者の10年以上にわたる経験則よりも、選手の数年の経験が有効なこともある。
「柴野……きっと自分が教員としていられるのは君のおかげ。ド素人の君にこれだけのものを教われるとは思わなかったよ……」
と、そのすぐあとに彼の背後にあったふすまの奥から声がかけられる。
「失礼します。ご注文のお刺身の盛り合わせでございます」
「ありがとうございます」
体をひねって女性スタッフから注文の品を受け取る。すると彼女は彼の向かい側を見て首をかしげる。
「あの、お連れの方は大丈夫ですか?」
そこにいたのは酔いつぶれた広川。小牧も心配になって彼の肩をたたく。
「広川さん、広川さん。大丈夫ですか?」
「も……」
「「も?」」
「もう食べられないですよぉ……」
しばしの沈黙が訪れる。
「こんな寝言する人いるんですね」
「わ、私も初めて聞きました」
「君みたいな可愛らしい子が言うならまだしも、こんな40のおっさんが言ってもねぇ?」
「あはは」
おそらく大学生くらいであろうスタッフに話を振ってみるも、店員としては苦笑いをするのみである。
「あ、そうだ。これと……あと、これも追加注文で」
「はい、喜んで」
注文も済ませた小牧は彼女の背を見送り、今度は40のおっさんへと目を向ける。
『(広川さん。きっと、広川さんも自分のような経験をすると思います。そしてきっと、自分の判断の過ちに後悔すると思います。ですが、きっとその後悔は糧となる)』
指導者経験1年の20代による思いは、果たして指導初心者の40代に届いたのか不明だ。
だが、もし届いていないとしても、きっと彼は何度だって話すだろう。
それが高校時代、運動下手の人間から学んだ何よりの経験であり、指導者生活を送る上での一番の教訓であるからだ。
『(生徒たちの経験を活かしつつ、自らの経験を授けていきましょう。彼らを明るい未来に向かわせるために)』
常識だから正しい
実はこれ、非常に危うい発想でもあります
自分がよく出す例がこのようなものです
飛行機で有名なライト兄弟の実験は、当時のさまざまな科学者によって
『非科学的だ!!』と否定されていたのです。
いわば当時の非常識であり、『飛行機はあり得ない』が常識でもある
……では、現代の空を飛ぶ鉄の塊はなんなのでしょうか?
魔法の力を用いているわけではなく、
『科学』を用いた『飛行機』であります
常識とはあくまで多くの人間や有力者が支持しているだけであり、
それが必ずしも正しいことであるとは限りません
だからと言って非常識が正解であるとは言いません
非常識だからとすぐさま否定をすることはせず、
一度よく考えてみる
きっと世界が広がると思います
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次回予告:宮島健一ストーリー
投稿日時:未定




