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プロローグ

 仏教の漢訳・阿含経あごんきょうの中に「盲亀浮木もうきふぼく」という言葉がある。

 「盲亀もうき」というのは、目が見えない亀のことで、「浮木ふぼく」というのは、海面に浮かぶ流木のこと。大海の底でひっそりと暮らす亀は、寿命が非常に長く、百年に一度海面に姿を現すと言われている。


 あるとき、海面に達した亀は、漂っていた浮木の穴に自らの顔を突っ込んでしまう。

 浮木は、その場に留まっていたわけではなく、荒波にあおられ大海原を西へ東へ移動していた。しかも、その穴は亀の顔がちょうど入るぐらいの小さなものだった。


 目の見えない亀が、海上を漂う浮木の小さな穴に顔を突っ込む確率はどれほどのものだろう?

 百年という長き歳月と果てしなく続く大海原を想像すれば、天文学的な確率であることは間違いない。


 ただし、そんな出来事が起きる可能性がゼロだとは言い切れない。


 世の中には多くの人が存在し様々な出会いがある。

 中には、いくつかの偶然が重なって生じたもの――盲亀浮木もうきふぼくのような出会いも存在する。

 そんな出会いをすべて「偶然」で片付けてしまうのは正しいとは言えない。あり得ない偶然の重なりは「必然」なのだから。


 私と彼女は時空を超えて巡り会った。

 常識で考えれば、私たちが出会うことなどあり得なかった。


 しかし、私はこの出会いが偶然だとは思わない。

 なぜなら、この巡り会いには大きな意味があるのだから。私たちは巡り会うべくして巡り会ったのだから。



 つづく


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