異国の手紙
ずっと昔に海の向こうの国へ渡っていったあの子から、手紙が来た。
異国のデザインの便箋。無地の封筒に書かれた見慣れぬ文字。
数年振りに来た手紙は、僕とはまったく違う世界で彼女が生きているんだという寂しさを感じさせた。
僕の部屋の窓から見える海は、よく彼女と遊んだ海だった。
同年代の子たちと違って、水遊びよりも浜辺を歩くことが好きな子だった。彼女の隣を歩きながら、僕は色んな話を彼女から聞いた。
この海はどこか遠くの国へ繋がっているんだと。ここから見える水平線の向こうで、僕らの知らない誰かが生きているんだと。
『いつか、ね、水平線の向こうに行きたいの。水平線の向こうで生きている見知らぬ人に会いたいの』
潮の香りのする髪を掻き上げて、遠くを見つめながら言っていた。
折り畳まれた便箋をそっと開くと、昔隣を歩いたときに嗅いだのと同じ、彼女の髪の潮の香りが漂ってくる。
『海の向こうの君へ』
今、水平線の向こうで生きている、彼女のことを思った。
あまり長いのが書けないという悩み。
今回の作品はそこそこ気に入ってるのに最後が上手く決まらなかった。いつか書き直したい。