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流星

突然の摂津福原へ都を遷すと云う暴挙に反旗を翻す者は

一人としていなかった。

帝とても未だ幼い幼児に過ぎなかった。


車駕は列を為し都から福原へと続いた。

流石に平氏の女房達も、清盛入道の強い意志には逆らえず、

住み慣れた屋敷を後に、

さだめし後ろ髪を引かれる思いであったろう。

「母様。」

「何で有ろう云うて見やれ。」

「帰りとうござる。」

「それは云うては成らぬぞ。」

女房は入道の恐らしい顔を思い出した。

平氏と云え全て頭領の意志に同調するものである筈も無い。

急な事とて

平頼盛の屋敷を急ごしらえの宮とした。

法皇は平教盛の屋敷に逗留する事となった。

して、上皇はと云えば、

清盛の屋敷に輿を降ろされた。

帝は清盛の別邸に徒御なさいました。


此の頃、

法勝寺の蓮池に

雙頭の蓮が咲いたとて、

人々は不気味がったそうな。

七月十九日の晩

満天の星空に妖しげな流星が現われたと云う。

光は炬火の如しとある。

当時の人々にして見れば

何の兆候かと怪しく思われる筈であろう。

二十一日、

朝廷は諸山陵に使いを遣わして、

ご即位を告げられたと云う。


入道の勝手な振る舞いに、源氏ならずとも

憤りを覚える者は多かった。

「見て居れ。」

破れ法衣を身に纏った

法師の群れが居た。

何処の何者で有るかは

誰にも判ろう筈もなかった。

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