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泥中の華

三月七日、大地は大ゆれにゆれた。

平重衡、平通盛、平維盛、平忠度は兵を率い、

洲股で源行家と一戦を交えた。

行家辛くも一命を脱し、菊池隆直討たるる。

そのころ春日社に第四殿あるも、

神鏡突然に落下崩壊する珍事起こる。

六日吉野の僧徒蜂起し、

以仁王の子を名乗る童有り。

法皇奈良の僧徒に捕らえしむ。

二十六日、伊勢の神宮、

日吉社に伏せたる怪異を卜する。

法皇勅使を立て三十五国に

興福寺修造を求め経を読ましむ。

二十ニ日春日社の鏡が敗れし事、

及び打ち続く旱魃を卜う。


二十六日、詔が下され東大寺建立始まる。


「何事じゃ。」

寺の寺住も真っ青な顔をして驚愕したものだ。

法勝寺の蓮池の周囲に、

黒山の人だかりが出来た。

「ほんに…。」

人々は口を開けて驚いた。

池の中の蓮の華が一つ双頭で咲いた。

華麗に咲き誇る双頭の華は陽射しに照らされ、

何事かを予知して居るので有ろうか。

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