手帳
いよいよ夏休み!
せっかくの長期休みだから、だらだら過ごすだけじゃなく、いろんな予定をいれて思い出を作りたいですよね。
たくさんの予定を管理するのに便利なのは、やっぱり手帳!
ケータイやスマホに内蔵されているのも便利だけど、私は紙の手帳が好きです。
そんな手帳をキーワードにしたお話を書いてみました!
キーワードを設定した話は書いたことがないので上手くキーになっているかは疑問ですが…笑
前書きはこの辺にして、そろそろ本文へGOGO!
楽しんで頂けたら幸いです
「…それから、24日は午後まで授業が…」
始業式が終わったあとのホームルーム。
夏休みの課外授業の日程の最終確認を行っている。
手帳を開き、間違いがない事を確かめてから、ため息をつく。
ぼぼ課外授業の予定しか書いていないのに、すでに手帳のほとんどが文字で埋められていた。
「…さすが、進学校」
これで部活までやってたら大変だっただろうな、と思い、4月の自分の判断に感謝する。
それにしても、課外授業の予定しか入っていないのはなんとも味気ない。
お盆には父方の実家に帰省するだろうが、もっと他の…遊びの予定が欲しい。
欲を言えば、デートの。
まぁ、その前の段階すら踏んでいない人間が言えるセリフではないか…
もう一度ため息をつき、手帳を鞄にしまって立ち上がる。
教室をでると、むわっとした暑さに辟易した。
この暑さのなかを、帰らなきゃいけない…
図書室によってからもう少し涼しくなった頃帰ろうと思い、靴箱を素通りして特別棟に向かう。
図書室のドアを開けると、わずかにひんやりした冷気に迎えられた。
どうせなら夏休みの宿題をできるだけ終わらせてしまう事にして、自習スペースに向かう。
1番端に荷物を置き、今日配られた国語のワークを取り出す。
「古文、漢文、現代文それぞれ一冊ずつあるんだもんなぁ…宿題だけで夏休み終わっちゃうよ…」
どうせ予定ないから、いいんだけど。
自嘲気味ににそんな事を考えながら、宿題に取り掛かった。
「榊さん?」
半ばぼんやりしながら宿題をしていると、突然声をかけられた。
聞きなれない声。
動揺を隠しながら振り返ると、
「後宮くん?」
ほとんど会話した事がない…どころか挨拶した事があるかどうかすら怪しい。
その程度の親密度の彼に声をかけられたことにまた驚く。
「やっぱり榊さんだ!夏休みの宿題?」
相手が私だという確証を得ると、爽やかな笑みを浮かべ、さらに話しかけてくる。
「…うん、まぁそうだけど…」
場所が図書室ということもあり、できるだけ小さい、相手にギリギリ聞こえる程度の声で返事をした。
「そうなんだ!俺もなんだー。早めにやっつけちゃおうと思って」
「そっか。夏休みの宿題ってどうしても最後まで残しちゃうもんね。」
「榊さんもそうー?やっぱそうなんだよねー。毎年終わり頃に地獄を見るんだよなー」
気が合うのか、はたまた図書室で会話するということに少し罪悪感とスリルがあったからなのかはわからない。
だが、さして親しくもなかったのに関わらず思いの外話がはずんだ。
ほとんど宿題が進んでいないのに、
「げっ!やべ!もう5時‼」
隆貴との会話の合間に宿題をしていたら、いつの間にか随分時間が経っていた。
「どーしよ…あんま宿題進まなかったぁ…」
ぼそっとそうつぶやくと、聞こえたらしく
「俺もあんまり進まなかった!また今度頑張るよ。」
と、他に人ががいなくなったからか、大きめの声でそう言った。
「そっか。私もそうするー」
「うん。そんでさ、家いてもやる気しなくてやらないと思うから、図書室来ようと思うんだ。だから、菜耶も来てくれないかな?」
「え…と、…」
「今日菜耶と勉強して楽しかったし!進まなかったけどねー。それに2人で勉強した方が教え合えるし効率的だろ?だから、いいかな?」
「ん…いいよ…」
いきなりの誘いに面食らったが、こくんと頷いた。
「やった!さんきゅ!じゃあまた月曜日、図書室で。」
そう言って隆貴は自転車置き場に駆けて行った。
帰り道、駅のホームで、鞄から手帳を取り出すと、「図書室」と書き込んだ。
夏休みの予定、もうありますか?
私はまだ、課外授業と模試とオープンキャンパスと帰省としかありません…泣
思いっきり榊ちゃんと同じなんですよねw
唯一違うところは、後宮くんがいないところww
あんな人いないかなぁ…
気が向いたら後宮くん編も書こうと思います
いろいろツッコミどころがあるのでね笑
それでは、充実した夏休みを!