4―1.人を疑う事無かれ
夢を追い求める自分がいる。
ソイツは、周りからみても生きる活力を与えてくれっから最高だ。
なおかつ、自分でも生きてて楽しいし日々の生活も充実して来る。
夢は、ぜってー捨てんなよ。
―――――
教室―五時間目
ほんのちょっとの休み時間に。
あんまり短いから、もうちょっとだけ延ばしてくれても良いだろ教育委員会。
「ねー、知ってる?」
「何だ? またオカルト系か?」
「違うよー。最近だけど、クラスで変なチェーンメールが流行ってるんだってー」
「変なチェーンメール?」
オカルトにかすってやいないか。
ちなみに、チェーンメールの意味が分かんねぇヤツは近くの高校生に聞いてくれ。
「どう、興味持ったー?」
「バッチリ掴まれた」
「じゃー、説明しますねー」
そう言うと、クミは近くの席にあった椅子をオレの机まで引きずって来た。
んで、それに座る。
「何でも、見た目は普通のチェーンメールらしいんですけど、それには宛先と受信時刻が付いて無いらしいんですよー」
「普通はあんだよな」
「そですねー。まさかシュウヤ氏、あんまりメール来ないから忘れたんですかー?」
「うっさい! ド忘れだよ」
思い切り心に突き刺さるボケ方だ。
クミのヤツ、こんなに毒舌なボケをかます所は姉きに似てきた気がする。
「それでですねー、肝心の本文には何が書いてあるのかですけどもー」
「早く、もったいぶんなよな」
「ここで止めたら発狂しますかー?」
「多分。知りたさで狂うな」
それか誰かに聞きに行くと思う。
「絵文字ってありますよねー」
「ああ。色付きのハートとかだろ?」
「噂なんですけどー、本文にはそれだけが書かれて送られて来るらしいですー」
「うわ、何か不気味だな」
「まるでシュウヤ氏みたいだねー」
「はっはっは。全然笑えねぇ」
「スベりましたかー」
自分の額を愉快に叩くクミ。
不覚にも。ちょっと可愛かった。
「絵文字の意味は分からないですけど、気を付けた方が良いかもですよー」
「ん。どうやって気を付ければ良い?」
「携帯をへし折って下さいー」
「うわー、ナイス名案。ってばか」
まさに究極の手段とでも言おうか。
受信不可能に出来るけど、その代わりに巨大な被害を被る羽目になっからな。
「受信拒否は無理か?」
「何しろ、宛先が不明ですからねー」
「やっぱオカルトじゃんか」
「いやー、そうなっちゃいますねー」
「これはアレか。何となく心の準備をしておけよって言う警告なワケだな」
「オフコースですよー」
意味はもちろんっていう英語。
世間では、こいつを伏線と言う。
んで、オレから見ると、そんなもんは関係無しに危なさが伝わって来る。
「私達の中では、誰に来ますかねー」
「うわー、来て欲しくねぇ……」
「私は来て欲しいですー」
人の不安をよそに何を言うんだ。
ともかく、オレ達五人の中で誰かがそのメールを受けとるかもしれない。
ついでに、ソイツは異なるメール。
何らかの呪縛があって、受け取ったヤツに何らかの効果をもたらすメール。
大体こんなトコか。
「暇潰しになりましたかー?」
「まあな。いろんな意味でなった」
我ながら素直じゃねぇな。
と、六時間目開始の鐘が鳴る。
「そろそろ時間だな」
「みたいですねー」
椅子を元の場所に戻して、時計をちらりと見ると、クミは焦った表情を浮かべる。
「あ、私も楽しかったですよー」
立ち去る間際の一言。
それから、クミは走って行った。
「……楽しかった?」
独り言は、虚しく鐘に溶ける。
オレは、ただ話を聞いてただけなのに、何故かクミには感謝された。
ホントに、変わったヤツだと思った。
ナツハ『えっと、お久しぶりです』
シュウヤ『もう忘れるくらい、間を空けて投稿してしまったな……』
ナツハ『ほんとに細く長くよね』
シュウヤ『まあ、言っとくけど途中で投げ出したらオレが許さねぇからな』
ナツハ『ま、怒りは抑えて』
シュウヤ『都合なんて関係ねぇよ。オレが問答無用で続けさせる!』
ナツハ『ヒートアップしたわね……』