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1―1.紫、それは必然

 醤油、ちり紙……かな。

 あーそうだ。セロハンテープ。

 無けりゃ困る物達を上げてみたら、意外と多い事に気が付いた。


―――――

六月某日―校庭

 ジャージが無けりゃ見学か。

 ああそうさ。只今オレだけが体育の授業にジャージを忘れた言わばうっかりさんだ。

 大体、サッカーなんてボールがありゃ愛犬ブライトとでも出来んだろ。

 だから見学は悪くねぇ。っていうより見学が退屈で仕方無い感じなんだよな。

「何か……飽きた」

 あんな遠くでサッカーしてるし、先コーはチームに混じって騒いでる。

 つまりだ、何か暇潰ししてても見付かんねぇし怒られる事も有り得ねぇな。

 よし、寝てやる。

「ん……ねむ」

 座って近くの木に寄りかかる。

 根元に手を置いた瞬間の違和感。

「……んあ?」

 何か柔らかいな。

 手の平サイズの大きさで、どっちかというと人間の皮膚みたいな違和感。

 ……冷たい。

「うわっ!」

 やや遅れて手を話す。

 木の側の柔らかい物体か。これはお笑い的な展開であって欲しくねぇぞ……。

 そっと右手を見た。

「……ふぅ」

 茶色いアレじゃ無いみてぇだ。

 何となく、まるで寒天みたいな感触のあった木の根元に目線を送ってみる。

「き……きのこ?」

 冷気の正体はコレだった。

 真面目な描写なら、淡い紫色の傘に同色の柄が付いているみたいな感じだろうか。

 まあ、んな堅くならずに淡い紫色のきのこが生えてるって覚えてくれよな。

「ふうむ……」

 誰がどうするよ? これ。

 まあ、毒きのこには見えるわな。

 触ったけどさ。

「…………」

 校庭の方を見る。

 まだ、先コーも全員が真剣になってサッカーの熱い火花を散らしてる。

「……採集だな」

 ああ、誘惑には勝てねぇ。

 毒きのこでも、初めて見た物体は持って帰りたくなる暇つぶし野郎の性だな。

 別に食えるかもしんねぇし。

 それにだ、姉きとか誰かに聞いてみたら種類が分かるかもしんねーぞ。

「ん……汚っ」

 触ってみたら萎えるな。

 いや、ここで負けたら駄目だ。

 こうやって……抜けた。

 まあ、取り合えず制服のポケットにでも突っ込んどけば良いんじゃねぇかな。

 安倍シュウヤ。スコア。

 紫きのこ×2獲得。


―――――

帰り道―総勢四名

「わ、何ですかーこれ!」

「きのこっぽい」

「変な趣味ですねー」

「誤解デスヨ?」

 クミはやや拒否しながらも、どっか楽しそうにしてる。

 さすが霊に慣れてるだけあるな。

「……どうするんですか?」

「まあ、姉きに聞いてみるよ」

「あの……間違って食べないで下さいね」

「はは、平気だって」

 ミライは優しいヤツだな。

 こうやって、心配してくれてさ。オレが誘惑に負けて食べない様に……ってそれは心配し過ぎだと思いますがどーですか。

「それ食うんか?」

「いや、食いたいか?」

「遠慮するわ」

 そんでもってツバサ。

 双子の兄妹、おんなじ様なリアクションじゃ無かったのは驚かされたけどさ。

「毒きのこですよー」

「さよか? 食えそうやで」

「……わ、私は毒だと思います」

「そうですよねー」

「いや、食えるて!」

「あ、本当に食うなよ? 死ぬから」

「……お兄ちゃん無理しないで」

「そやかて、引く訳にはいかんやろ!」

「グッと食べて下さいねー」

「よし、行くでっ!」

「わーツバサ! 早まるな!」

「ど……どうしよう」

「あ、まだ生ですよー」

「そういう問題じゃねぇし! このままだと死ぬ可能性あっから没シュートな」

 きのこを素早く取り上げる。

 まあ、ツバサが口開けてきのこ食おうとしてたから止めない訳にもいかんだろ。

 うーむ個性的だ。まるで漫画みたいに個性的で非常に分かりやすい性格だな。

「ともかくだ。コイツが食えるきのこだったらツバサにやるからーよろしく」

「あ、いらんわ」

「早いな」

「もらってどうするん?」

「それはごもっとも」

 テンションの変わりやすいヤツ。

「あ、私に下さいよー」

「え! 本気?」

「もちろん嘘ですー」

「何だよそれ!」

 不思議な行動を取るクミ。

 って、何でここまで個性的なヤツらが仲良くなったんだろうか。

 友達ってそういうもんだよな。

 気付いたら、仲良く話してたみたいな感じで理由は考えなくても良いんだよな。

「あ、私こっちだからー」

 そう考えてたら別れ道が来た。

「じゃあな、クミ」

「ほな、明日」

「また明日ですね」

 賑やかな挨拶をする。

 夕焼けが出てて、それがちょっぴり別れを惜しむ様な効果が出てたりする。

「みんなまたねー!」

 にこにこ笑って走り去った。

「さて、行くか」

「何か眠くなったわぁ」

「クミさんが帰ったから?」

「ま、そうかもしれんな」

 後ろ姿を見送った後、オレらは少し賑やかさを失った様な何かを感じていた。

シュウヤ:えーと、開始一発目からカンペが出てないってのはどういう事だ?

ナツハ:私も言われなかったわよ。適当に喋っちゃって良いんじゃない?

シュウヤ:そうだな。じゃやるか。

ナツハ:最初なんだから、自己紹介でもした方が障害無く先に進めるかもよ。

シュウヤ:所で、またオレら二人?

ナツハ:あ、やっぱりミライちゃんがいてくれた方が良いんでしょ。

シュウヤ:その……まあ何だ。二人より賑やかな方が良いかなぁと思ったからさ。

ナツハ:うん。そういう設定にしておくから安心して。

シュウヤ:姉き誤解すんな! ほんの一パーセントも合致してねぇからな!

ナツハ:はいはい、分かったわよ。

シュウヤ:ったく……あ、今回は文字数が限界なので自己紹介は出来ません。

ナツハ:カンペ係が出たわね。

シュウヤ:都合の良いタイミングだな。

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