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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
90/90

90.ただいまのとき

3/3

本日ここまで


 一仕事終えた空気の私達は角を一つ曲がって雑談を。


「なかなか、いい感じだったんじゃない?ふーちゃん?」


 私の言葉に少しだけテレたふーちゃんはしたり顔。


「まーねー」


 朝からのゴタゴタは多分これで一件落着。



「さてと、この後は?」

「占いには……戻れないし?」

「お昼ご飯には……ちょっと早いよ?」

「だったら、お店でお手伝い?」

「「「「それだ!!」」」」


 みーちゃんの一言で、私達の方針がピタッと決まったのでお店に戻る事に。


 ここ数日でまだ通った事のない街並みを見ながら、自分としてはまださっき来たばかりの気がするお店ですが、朝の時とは違って少しばかりいい香りが外に漂い始めています。


「お腹減るね」

「一仕事終えたもんね」

「賄い……食べたい」


 ちょっとだけみんなで頑張ったので、ついさっき食べたはずの牛丼はどこへやら。

 暖簾は出ていませんが、扉を開けるとおかみさんが不思議そうに見てきます。


「さっきぶりだね?どうかしたんだい?」

「ちょっとゴタゴタがありまして、今日の占いは中止になっちゃいまして」

「あらあら、そうかい。ってことは、なんだい?今から手伝ってくれるって事かい?」

「もしよければ、ですけど」

「そんな事、大歓迎に決まっているだろう?」


 おかみさんは笑顔で迎えてくれて、付け慣れている前掛けを渡してくれます。


「戦力を追加だよ」


 おかみさんがそう言って厨房に通してくれます。


「ああ、タエさんか。今日はかなりいい肉が手に入ったから、肉料理を勧められそうだ」

「それはよかったですね、確認しても?」

「おうよ。俺も楽しみで、丁度これから見るところさ」


 大将と一緒に裏へ行き手に入ったいい肉とやらを見てみる事に。


「ん?……おかしいな?コレは、いい肉どころか……」


その塊は、料理人の手にかかる前から「期待」を裏切ることだけが仕事のような顔をしていた。


 もしかしたら今日は私の厄日なのかもしれないという思いが自然と湧いてきますが、まずは確認が必要。


「どんな感じですか?」

「……この通り、……みたいだ」


 大将は何も言えず、念のため肉をひっくり返して確認はするものの、首を横に振る。


 そこにあったのはお世辞にもいい肉とは言えないクズ肉で、多少の加工をしたぐらいでは出せそうにないモノ。


「今考えてみれば、新しく参入した業者だって割に気前のいいこと言い過ぎていたのかもしれないが、クソ……絞らなくて正解だったが、これじゃあ今日は厳しいな」


 文句を言っていてもこの後のランチは待ってくれないので、出来る限りの仕込みはしないといけない状態。

 他の食材はどうなのかと確認をしてみると、芋や卵は問題なさそう。


「今日もコロッケや卵料理を推せばとりあえずは、何とかなりません?美味しいですし」

「一般客はそれでどうにか出来そうだが、いい肉が手に入るかもしれないって常連客に言っちまって、それがまあ多分肉料理を頼むはずでな。……まあ、正直に話して今度にしてもらうしかないな」


 大将の腕でいくらカバーをしたところでクズ肉をいい肉同様まで引き上げる事は難しい訳で。


「今日の賄いは……色々と我慢してもらわねぇといけないな」


 ここの女給さん達が、賄いをどれだけ楽しみにしているか、私はよく知っている。

一つの歯車が狂うだけで、皿の上が寂しくなるのは当たり前。

 そして、よくない肉は再加工してもかなり厳しそうには違いなく。


「このお肉は、出せませんよね?」

「だな。だからと言って……捨てるわけにもいかない……火を入れて、コロッケの具にするにもちょっとこれだとバラツキがあり過ぎるし、処理も困るな」


 かなり悩んでいるので大将の手も止まってしまって、全体的にお店の中に不穏な空気というか、よくない空気の流れが出来てしまいそう。


 厨房には包丁の静かな音だけがこだまする。


 私もどうにかしたいと思ってはいるのですが、どうしようか迷っていると、変な空気を察したおかみさんが笑顔でこちらに来ます。


「なんだい、なんだい。辛気臭い顔をして?」

「ああ、いや、この通りで肉の仕入れが……な」

「そんなのいつものことだろう?お前さんの腕でうちのお店は成り立っているんだから、一々気にしていても仕方ないだろう?」

「だがな……」

「言ったところで、新しい肉は来ないだろう。いつも通り、やるしかない、だろ?」


 おかみさんが来ただけで、不穏な空気はパッと晴れ何とかなりそうといういつもの空気に変わっていきます。


「仕込みの手が止まっているよ?仕方ないねぇ、私も今日は手伝うから。ほら、ちゃちゃっとやるよ!」


 みんなで小さく頷いて、まずはランチを乗り切る事に。


 横で見ていただけですが、流石おかみさん。

 一気に場の流れまで変えてしまって、こんな時代でも挫けない強さを持っている事に尊敬をしようとしたのですが、何やらぶつぶつ言っていて。


「業者の顔は覚えているから、詫びで三日……いや、一週間は安くしてもらわないとね。もしくは、うちにかけた損害賠償でふんだくってやらないと気が済まないね!」


 どうやら怒らせてはいけない人を業者は怒らせてしまったみたいです。




スルッとこうやって毎回話が出てきてくれると嬉しいのですが(笑)


思っていたよりは、いい着地だった気がするのに

どこか落ち着かないのは何故でしょう。


次回は閑話スタートですが、本編もちゃんと進む……はず。


ネタバレは書きたくないのですが(笑)

この話を始めるきっかけの一部を、やっと書ける気がしています。


楽しみに待っていただけたら嬉しい限りです。


では次回も、大安吉日にお会いしましょう。

本日もありがとうございました。

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