88.こんにちは、袋小路
今日もいつも通りの三話です
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「では、みんなに折角なので手伝って貰いましょうか」
「「「「え?」」」」
自分達に話が降られると思っていなかった四人が声を揃えて反応しますが、驚かせるつもり満々の私としては、みんなを使わないという選択肢はあり得ません。
「えーっと、ふーちゃんは最後ね?まずはつっちーが男の子の前にぴょこんって飛び出して、目を奪うでしょ?」
私は指を一本立てて、つっちーの動きから説明を始めます。
「つっちーを目で追ったら、つっちーがそのまま後ろを確認しながら公園近くへ誘導してね?で、つっちーに違和感を覚えて追いかけない場合は、みーちゃんの出番」
二本目の指を立てます。
「みーちゃんはつっちーを追わなかった男の子の前に飛び出て、道を塞ぐ役割です。素早く、自己判断で行く手を阻んで、出来れば数回連続してさっきも言った公園の方に誘導してくれると助かるかな?」
そして三本目の指を立てます。
「ひーちゃんは全体を俯瞰視点で見ながら、つっちーとみーちゃんのサポート。みんなのお姉さんらしく、バシッと成り行きを見守りながら、公園に誘導を完ぺきにこなしてくれればオッケー」
最後の四本目である小指をピッと立てて、名前を呼ぶのはもちろんふーちゃん。
「ふーちゃんは誘導先で尻尾を立てて怖がらせる役。尻尾を立てるついでで男の子の手の平には、ヒイラギの葉っぱのトゲトゲに刺さった痣のようなものを見せてあげるから、それっぽく怖がらせてあげてくれる?」
ふーちゃんは私の言葉に頷くのですが、てしてしと肉球で叩いてきます。
「今みたいに、スタンプしてみるのは?」
「かなりいいんじゃない?ナイスアドリブ!」
「ふふん。僕もやればできるからねー?」
今の一言でも大満足なのか、ふーちゃんはさっきまで怖がっていたことを忘れてしまったかのように、ルンルン状態。
「じゃ、みんなの準備が整ったら作戦、開始!」
「「「「おー!」」」」
声もそろって、一応ひーちゃんが皆と相談を始めますが、ものの数分もしないうちに方向性が決まったのか、準備完了の声。
え?私?
みんなに誘導させて、ふーちゃんがこれでもかってぐらい怖がらせたところに出て来て、いい所を全て一人で総ざらいするような役をするつもりですけど?
それって、ズルい??いえいえ、適材適所。
怖がらせるのも、大事で。それに、痛くないと覚えないでしょ?
……決して、私がちょっと子供を泣くぐらい怖がらせて楽しもうなんて思っている訳……無いじゃないですか。
「みんなイケそう?」
最終確認をしてみると、元気のいい返事が返ってきます。
「うん、大丈夫」
「相談済み!」
「お昼ご飯、奮発してね?」
「ふふ、悪戯しちゃお」
四人共やる気満々なので、早速作戦開始!
私の作戦通りにつっちーが男の子の目の前に突然飛び出すと、ビクッと立ち止まる男の子。
ジッと突然出てきた狐のつっちーを見つめますが、どうやら追われる事に慣れているのか、判断は素早く迷わずに反対側へ逃げ出します。
すぐにつっちーが合図を送ると、連係プレーを見せてゆく手を阻むのはひーちゃんとみーちゃん。
私の指示は各自の判断とお願いをしていたのですが、それでは脇から抜けるリスクがあったみたいで、二人で進もうとした道をジッと見つめて、来るなと威圧をするように進路を塞ぎますが、それでも何度か無視してすばしっこさを見せて対抗をするものの、こっちの方が数枚上手。
数回の駆け出しと停止を繰り返したところで、近くにあったのは少し広めの公園……ではなく稲荷神社。
「神社でも、いいよね?」
「問題ないよ」
ひーちゃんからの確認に返事を伝えると、男の子は身を隠そうと逃げ込むように神社の境内へ。
突然始まった誘導に訳も分からずその場を後に駆けていた男の子は肩で息をするほど、焦っている様子。
かなり辛そうに肩で息をしていたはずなのに、吸う空気が何故かヒンヤリと冷え、思わず息を止めた男の子。
「……不敬」
突然、神社の狐の像がブレたかと思うと、一匹のキツネが両ひざに両手をついて必死に呼吸を整えている男の子へ逃げる事を許さないスピードで走って寄ると、そんな言葉をぽつりと言って、動けない男の子の両足のふくらはぎの辺りをすれ違いざまに連続でタッチ。
男の子の足には強い痛が走り、思わずその場にバタンと倒れる。
「さっすが、みんな。完璧ですよ」
「でしょでしょ?」
「あとは、見守っていればいい?」
「うーん、これだけ頑張ったら今日のランチはちょっと豪華なお昼がいいかなー?」
三人は楽しそうに私の中へと戻りますが、ふーちゃんはまだ男の子に見える状態で、どうやら成り行きを最後まで見届けるつもりの様子。
「坊や?どうしてこうなったのかは、分かっているよね?」
うずくまっている男の子に声を掛けると、睨むようにキッと強い目で私を見てきますが、あえて私は口角をあげるようにニヤリとした顔になると、タイミング的にもバッチリなのか、男の子が慌てて自分の手の異変に気が付き握っていた両手をパッと開くと、先程カードを盗んだ右手の平だけがボツボツと赤黒い斑点が等間隔で並び、ジクジクとする痛みが男の子の手を刺激します。
「さてと、どうしましょうかね?」
思った以上の恐怖の顔に罪悪感がチクリとしますが、同時にちょっとだけ楽しくなってきちゃったので……どうしましょうかね?
有難い事に、キャラクター達が動いてくれるのは助かる限り。
ただ、今回や次回辺りは作者的にはかなりの難産で(笑)
スルッといかない話は疲れますね。
難産の時は一人だとどうしても色々とチグハグが多いのですが、サポートのお陰で酷い事にはなっていない事がとっても助かる。
変わりに作者がヘトヘトに(笑)
いや、まあ自分が疲れる分にはいいんですけど、疲れるは……疲れるんですよねー




