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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
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86.その時、の事

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もう一話あります


 残念ながら予想通りだったみたいで、怪しい男よりも先に列の先頭の人間がお手伝いを請け負ってくれます。

何処からともなく取り出す机にヒイラギの葉っぱ。他にも色々とモノがぽんぽん出るので手品を見ている子供の様にお客さん達ははしゃぎますが、その様子が怪しい男の期待を膨らませているみたいで、最初に居た位置よりもかなり前のめりになっているのが分かります。


「では、そろそろ占いを始めようと思います」


 そう言って、色々出したポケットからおもむろにカードを取り出すと、怪しい男の笑みは最高潮に。


「おや?珍しい事もあるものですね?」


 私が突然今までよりも一段と張り上げた声を出すと、待っているお客さんもビクッと驚き跳ねます。


「タエさん、おまっとさん。塩、持って来た」


 周りの空気を壊すように親方が塩を握りこぶしに入れて持って来てくれます。


「助かります。お借りしますね」


 そう言って、両手を器のようにして親方の持って来た塩を両手で受け取ると、そっと手を合わせるように動かし、両手から塩がぽろぽろとこぼれ落ち、足元には塩の山が出来上がります。


「どうやら、占うより先に片付けないといけない事があるみたいなので……どうぞみなさん、そのまま成り行きをご確認くださいね?」


 私がそう言うと、一陣の冷たい風がブワッとこの辺り一帯に強く吹くと、足元にあった塩の山がサラサラと溶けていき、何故か少し離れた位置でパキンと氷が割れる音。


「少々おいたが過ぎましたね?」


 後ろを振り返るようにグルンと首だけを動かし目だけはギョロっと怪しい男を見つめると、男は慌ててその場から逃げようとしますが、先程の音が示す通り、男の足元だけが凍っていて、靴は地面に縫い付けられたかのように動けずにつんのめった後、手をつきます。


「ええ、ええ。私は怒っていませんよ。昨日の占いで目的を見失い、手に入れようとしてもソレは叶わないとも伝えましたとも。ただ、こんなことをされるとは思いもよりませんでした」


 そう言いながら、近づいて行くと男は逃げようと必死にもがきますが、足が凍っていては動けません。


「決して、私が言うわけではありません。あなたが盗ったカードがただ静かに私に伝えてくれているだけです」


 危害を加えるつもりはないのですが、男は殴られるとでも思ったのか防御姿勢を取りますが、気にせずに胸ポケットへ手を伸ばすと、目当てのカードが手に当たったのでスッと引き抜きます。


 男はその後も何もされなかった事に安堵の溜息をつきますが、動けないまま。


 周りのお客さん達は静かに息を呑んだままで、ちょっとした騒ぎになりつつあるのか遠巻きに見ていた人たちまでなんだろうと寄ってきます。


 私は机の横まで戻って、胸ポケットから返して貰ったカードをそっと、予言を与えるようにぽつり、ぽつりと放ちます。


 取り返したカードを机の上に、まずは一枚。

「愚者が示すは、利用された子供の事」


 そして、二枚。

「月が示すは、欺瞞に満ちたお札の事」


 最後の一枚を頂点に据えられる星型を象るように三枚目。

「悪魔が示すは、金や欲で人を縛り使い捨てたその性根の事」


 四枚目をそっと置くと、見ているお客さん達がゴクリと唾を飲む音がはっきりと聞こえる。

「塔が示すは、計画破綻」


 しん、と場の空気も凍った。


 言葉を並べていくと、男の顔はみるみるうちに赤から白へ。


 最後の一枚、五枚目を星型の頂点に。


「そして、審判が示すは、罪の暴露。私に関わるべきではありませんでしたね」


 私の言葉と共に、がっくりと項垂れた男のポケットから落ちたのは先程子供に渡した百円札。

 そのお札が弱い風に飛ばされて、大金だと別の男がパシッといい音で捕まえる。


「おい、なんか悪いことしたみたいだが、お金は大事……ん?」


 男は言葉を止めると、ジッとそのお札を見つめる。

 眉を顰め、何度も確認すると隣の男に持ってくれと言って無理矢理渡すと、財布からぺらりと自分の百円札を取り出す。


「……文字が、潰れてらぁ」


 その一言でざわざわと一気にここが街中だったと分かる程に喧騒が戻ってきます。


「にせ、さつ?」


 喧騒と同時に、誰かが言った言葉。

 その一言はこの場に居た誰も彼もの視線を独り占めする強烈な一言。


 白を通り越して青やら黒やらの色になっていた男もこの場に居てはと思ったみたいですが、足は相変わらず動けないまま。


「タエさんの空気がいつもとは違ったが、大捕り物だとはみんなも思っていなかったぞ?」

「カードが伝えてくれただけ、ですよ」


 そうか、とだけ親方はつぶやき、顔をあげる。


「すぐに、近くの交番から人を呼ぼう」


 こうなってしまっては、占いを続けられる空気もなくなりそうなものですが、男は感情の無い目で私を追います。


「人を騙すから、紙にも裏切られるのです。人はその手に星を収めることは無いのです」


 私の言葉に目を大きくして、ただ、ただ、ジッと私を見つめたままの瞳。


 彼は何を見たのでしょうね?


 まるで監獄の中に閉じ込められた者を見るように、人々は距離を取った。





カードを出す件……

あれでよかったのか、結構今も悩んでいます。


もっと荘厳に、趣ある形だと格好も付くのですが、中々いい形に収まらず。


勢いでもって、書いた一話なのですが……うーん、正直作者でも賛否両論ありそうと思っている話。


意見、ご指摘、もっとこうしたらいいんじゃないの?等々、あれば言って貰って構いません。

ここでサクッと直す……事は出来ると保証できないのですが、そう言う書き方を止めるように努めますので。


お気軽に、ご意見、感想等々はお待ちしております。

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