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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
80/90

80.ただいまの、そのあとで

2/3


もう一話ありますが、本編はここまでで


 それはまるで小さな約束をしたような感じ。


 そっと、双葉さんの唇の上にあった自分の人差し指を戻すと自転車をしっかりと持ち直し、勢いをつけて跨ります。


「知らない方がいい事もあると思うので、ここまでで十分ですよ」


 そんなに突き放すような言葉を言われるとは思っていなかったみたいで、双葉さんは猫が驚いた時のようなピタッと止まった状態に。

 私は振り返る事もせず、グッと強くペダルを漕いで双葉さんを置き去りに。


 とはいっても、角を一つ曲がった先に紫乃さんの家はあるので、時間にするとたった数秒なのですが、どうやら双葉さんは双葉さんで追うつもりをグッと堪えたのか、それとも動けなかったのか。

 私の跡を追わないでくれた模様。




 そして、驚きは紫乃さんの家の前で次に起こる事に。


「おかえり」

「……うん、ただいま。って、なんで外にみんなでいるの?」


 家の前にはふーちゃんを恭しく両手に抱えたままの紫乃さんと、紫乃さんの従者みたいな位置で目をキラキラとさせながらふーちゃんを見つめる紫乃さんのお母さん。


「ふふん。みんなで楽しい時間を過ごしていて、気配を感じたからお出迎え?」

「お出迎え……されるような話じゃないんだけど?って、紫乃さん、自転車ありがとうございます。お礼になるかわかりませんけど、ちょっとだけサドルはいい感じにしておきました」

「サドルだけいい感じ?って……ありゃ、本当にサドルだけ何故か新品??本当に、なんていうか、タエちゃんは飽きさせないよねぇ」


 クツクツと笑う紫乃さん。


 大事なものを借りていたので、そのまま返すのは当たり前。

 私ぐらいのヒトになれば、熨斗つけて相手がビックリするぐらいまでしないとキツネがすたります。


「じゃあ、わたしも。ふーちゃんをおかえししますよ」


 そっと抱える両手を伸ばし、私にふーちゃんを紫乃さんが返してくれます。




「で、どうするの?」


 私の肩の上にタッと重さの少ない蹴りを見せて乗ってきたので、聞いてみる事に。


「喋っちゃったし、家の中に戻ればわかるけど……かなり楽しんだから、寝るまでは出ていていい?」


 そういえば、ふーちゃんは完全に一人でどうにかなると思っていたので、紫乃さん達とどういう感じだったのか、殆ど分かっていない状態。

 一応、少し遅れる話やこれから家に向かうなどの事務的な連絡はしていたのですが、今の言葉を聞く限り、結構色々と派手な感じにやっている気もします。


「私はいいけど、みんなには後で怒られてね?」

「ヴェ!?」


 そんな話聞いてないと言わんばかりの顔になってしまうふーちゃんですが、その様子も含めて紫乃さんや紫乃さんのお母さんは楽しいみたい。


「なにやら、盛り上がっていた感じです?」

「ええ。今日一日の話をさっきしてくれて」

「今日の話?」

「冒険の果てのお土産まで、一緒に食べさせてもらったんですよ?」


 その一言に思わず肩の方にぐりゅんと首がひん曲がるような勢いでふーちゃんを見る事になるのですが、ふーちゃん本人としてはなんて事のない顔で。


「明日は、雪ですかね?」

「……タエちゃん?季節が違いすぎるよ?因みに、その言葉はふーちゃんさんが関わっている感じ?」


 紫乃さんはいつの間にか私よりもふーちゃん推しに変わってしまっていたみたいで、ファンが一人減ってしまった気がするのですが、そんな空気も察した紫乃さん。


「別に、どっちって話はしていないよ?……というよりは、まあこんな時間だからまずは、家に入りましょ?」


 言われてみると玄関先で夜中に近い時間に賑やかしい事をしても迷惑なだけ。


 誘われるままに今日も家の中へと入ると、低めの机の上には洋菓子の紙があり、この時代では珍しいワインまで開けている模様。


「派手にやったね?」

「美味しいデザートに美味しいお酒は付き物だし」

「因みに、アレ何処まで行ったの?」

「昼間の時間で、西の方?」


 何の気なしにふーちゃんは言いますが、西といっても多分東京の西というよりは、名実ともに関西の方まで行ったみたいで、紫乃さんや紫乃さんのお母さんが流石に私達を怪しむ危険性が。


 あるかと思いそうになるわけですが、どうやらそんな空気は全くない状態。


「ふーちゃんの冒険ってすごいのよねぇ」

「うんうん。落語もいいけど、冒険譚っていうのもたまに聞く分にはアリかもしれないわ」


 ふーちゃんの喋った話が私も気になって来るような口ぶりでお二方が言ってきます。


「あ、そうだ。タエちゃんが帰ってきたんだから、もう一回乾杯しない?」

「それは名案ね。おせんべい残っていたかしら?」


 ぐいぐいと押される形で机のそばに着席させられたかと思うと、湯呑をコトンと置かれて、ビンからトクトクトクといい音でワインが注がれます。


「お話も、お酒も楽しくやりましょ?少し遅くなった理由も色々とあるみたいだし?聞きたいから――ね?」


 紫乃さんの目はしっかりと私を獲物としてロックオン。


 ぎくりとした一瞬を見逃してはくれなかった模様。


 今夜も寝るまでが長くなりそうな気がします。





ちょっとだけ賑やかさが戻って来て、正直一番ほっとしているのは作者だったりします(笑)


恋愛っぽいものとか上手く書けません。


というか、まあ色々と上手くは書けないのですが(笑)


がんばってるなーって生暖かい目で見てもらえると嬉しいですね。

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