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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
76/90

76.歩みが遅くなる……

1/3


いつも通りに、変わりなく




 何故か少し火照った私は、心を落ち着かせる為にも鼻から大きく息を吸う。

 口からフゥと長く息を吐いていると、何故か耳の中で懐かしい曲が聞こえる気がした。

 その懐かしい曲は吐く息に音を乗せ、次第に音は形になって鼻歌へ変わる。


 横を歩いている双葉さんの事は鼻歌を歌っている間に忘れていき、鼻歌はそのまま少しばかりの歌詞をなぞる。



 ふふ~な~ら~きみ~のこ~えを~ふ~ふふ~ある~いてゆく~



 歌はサビに入ったところで、一度聞けば心に残るような強烈なメッセージを持っているにもかかわらず、何故かスッと忘れる事もあるという穏やかだけど不思議な曲。

今日一日を通して、双葉さんといると都度思い出す人とこの曲はたびたび重なる。

 そんな鼻歌は優しいメロディにのって隣にいる双葉さんにも勿論聞こえてしまっているわけで。


「なんとも、哀愁の漂う曲、ですね」

「あー、双葉さんもこの曲は……そのうち聞ける日が来ますよ」


 サラッと言ってしまった後、もしかしたらまずかったような気もしたのですが、覆水盆に返らず。キョトンと聞いている双葉さんは半分納得したような、そんなものかな?と思っているような。

不思議な顔をしながらも少しだけ私の鼻歌を真似てみるのですが、まず男性と女性という音程の違いが私達の間にはあって。さらに、双葉さんからすれば知らない曲というのもあって、少しだけ外国の国家っぽい曲に変わっていく様はなごやかで。

 流石におかしくなってきた気がしたのか、双葉さんが残念そうにしながら言います。


「そのうち……聞ける、ですか?」

「ええ。気を長くして、そのうちをまっているといいですよ?」


 外国の国家っぽい曲をあえて私が鼻歌で歌うと、あ、やっぱり全然違っていたんだなと気が付いたのか、少し困り顔に。


 和やかな空気で自転車を転がしながらの散歩も気が付けば結構進めていて、もう少し進めば寝泊まりさせてもらっている紫乃さんの家につきそうに。

 少しずつ終わりの空気を双葉さんも感じたのか、覚悟を一度決めた顔に一瞬だけなったかと思うと、首をぷるぷると左右に振って、さっきの酔いを醒まそうとしているような感じにも見える動き。


 そんな動きを少し繰り返していたので流石に声を掛けようかと気にしていると、今度こそ覚悟が決まったのか、双葉さんが口を開いた。


「あの、もしよかったら……占って欲しいのではなく、聞いて欲しい……というか、あ、でも遅い時間ですし、あんまり引き留めるのも悪いというか……」


 それはとっても双葉さんらしく、誠実ででも私の時間を少しだけ欲しいという気持ちを感じる声掛け。

 さっきみたいな公園や朝、出会った時のお宮さんはもう少し手前で曲がったりすれば寄ることが出来たのですが、ここまで真っすぐに来ていると今更戻るのも変な感じ。

 でも、なにかしら話を聞いて欲しいという気持ちがある事は分かったので、歩みをさらに遅くしてみる事に。


「では、今もかなりゆっくりの私達ですが、歩幅を縮めて進みましょうか」

「え、あ、はい。いいんですか?」

「ええ。もちろんですよ」


 時代的にいえば普通とは真逆。

 男性の歩幅に女性が合わせて行かないといけない時代に、逆に女性に合わせて貰うわけですが、双葉さんにはそういう部分の抵抗は低いみたい。


「どういう風に聞きましょう?私が質問をして、双葉さんが答える形がいいですか?それとも、私は何も言わず、ただ……そうですね、牧師さんのように言葉を聞いてあげる形の方がいいですか?」


 確認をしてみると、どれが一番いいのだろう?と考えるそぶりの双葉さん。

 アレも喋りたい、コレも喋りたいという雰囲気がオーラの様に双葉さんからあふれ始めていて、それは多分いつも彼の頭の中に色々な言葉が詰め込まれているのを察せる程。

 ただ、その言葉の蛇口をひねっていいのか、もしくは小出しにするべきか考えているみたいで、元々遅くなっていた私達の歩みは止まる形に。


「道の真ん中では、……まあ、こんな時間に人通りも殆どありませんが、迷惑が掛かりそうですから、とりあえず端に移動しましょ?」

「あ、そうですね、ええ」


 近くの十字路があったので、角っこの丁度チカチカしていない電灯の下へゆっくりと移動して、そうだと一つ思いついたことをしてみる事に。


「せっかく椅子があるのですから、座ってお話しちゃいましょうか」

「え?椅子ですか?」

「ええ、ほら……この通り」


 紫乃さんから借りている自転車のスタンドを立て、そのまま座って見せると双葉さんがああと納得。

 電灯の下に二台の自転車が揃って止まって、二人の距離はちょっとだけ歩いている時より離れましたが、即席の相談場所の出来上がり。


「色々と喋りたい事もあるみたいなので、少し私は静かにしますから、一気にでもいいですから、双葉さんが喋って下さい」

「あ、はい」


 自転車の上、緊急相談室が電灯の下で始まります。




作者としては、アレも、コレも……実は……と色々と話したい話が今までも一杯あったのですが(笑)


多分、今回についても色々とネタバレというか、どう感じました?とか問いかけたい(笑)


でも、そういうのは全部読み終わって、読んだ人の中で消化してもらいたい気持ちもあって。


なので、まあタイミングは気にしないようであれば聞いてもらっても答えますし、聞かれなくても喋りたい(笑)……おしゃべりな口は 作者←こいつ です(笑)


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