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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
75/90

75.よるの温度差

3/3


本日ここまで


 店主は名残惜しそうにしていたが同時にかなりすっきりした顔に。

代金には少しばかり多い金額を双葉さんと二人で渡し、後腐れなくその場を離れる。


私と双葉さんはお互いに自転車を転がす形で公園を後にした。


 ただ、さっきの最後の会話が心に残ってしまったのか、浮かない顔をした双葉さん。


「本を読むのが好きだとは思っていましたが、新聞も読んでいるのですね」

「活字を読むのが好きで。女性の口からああいった話が出たのは何というか、不思議?いえ、考えてみれば当たり前ですけど……僕の周りにはそういう人は少なくて……」


 まだこの時代、女性蔑視……いえ、女性軽視は当たり前。

 ただ、軽く見られているからといって女性が弱かったかといわれるとそう言うわけではありません。


「知らないだけですよ。全てを常に見せびらかす人なんていませんからね」

「言われてみれば、そうですね」


 横並びに二人自転車を転がしながら紫乃さんの家へ向かう道中、結構遅くなっているのでふーちゃんにお願いした伝言は正しく伝わっているといいのですが、どうなったかな?


 そんな考え事をしていると分かっていない双葉さんは相変わらず浮かない顔のまま。


「うーん、双葉さんは……辰?いえ、虎あたりですか?」

「え?」

「さっき、干支の話の時にかなり驚いていたので」


 占いというよりは傾向や人となりでそれとなく口にしてみた所、歩みを止める程度には驚いた模様。


「凄いですね?それも、占いですか?」

「いえ、占いは前に進む為のモノ。干支を当てたのは……勘と経験ですね」


 小さな頷きをしながら答えると、私の言葉に興味を持った双葉さんが一歩分だけ寄ってきます。


「勘は分かりますが、経験ですか?」

「ええ。占いは経験を積んだ先の手仕事。勘は元々いい方なんですよ?」

「因みにですけど、じゃあどうやって寅年って?」


 何かきっかけがあったのかと興味を持った双葉さんがさらに一歩寄ろうとしたのですが、私も転がしている自転車があって寄り切れず、苦い顔に。


「まず、パッと見た感じで双葉さんは二十歳を超えているように見えます。それに早朝時間に一人で動いても咎められない訳ですから」

「あー、まあ会った時も仕事前でしたが……」


 今朝の事を思い出したのか、微妙な顔に逆戻りの双葉さん。


「ちゃんと料金を払って更にそれなりにいいお店でお昼を済ませる収入も。となればお仕事もしているはず。まずここで辰年よりは後の可能性が高くなりますが……先程の酉年の人よりはかなり若めに見えるので今年の干支である子よりは、先」


 と、それなりの観察眼でもってアタリをつけてみた所、ホ~とフクロウでも鳴くかのような低く納得をしそうな声。


「後はそうですね。身なりも持っているものもそれなり以上。本を読む趣味や新聞を読むことが出来るとなれば、学業もある程度おさめているでしょう?」


 自転車をチラリとみて、本を持っているであろう背広を再び見る。


「そんなところからでも、色々と分かるものなのですね?」

「ですです。あ、それでしたら私、どんな感じに見えます?」


 そうだ、私が勝手になんとなく双葉さんを当ててみた訳なのだから、同じことをしてもらうのも面白いかもと逆に聞いてみると、え?って顔になって、何故か顔を赤く染めていき、ぎゅっと目を何故かつむる双葉さん。


「えぇと、その態度は……見るに堪えないと?」


 そんなに変だとすれば、若干のマズさはあるものの、あと一日ぐらいとも思うので、微妙な状態。


「いえいえいえいえいえ、ち、違いますっ。直視するには、その、眩しすぎて」

「……街灯もまばらなのに?」

「街灯じゃなくて、その、あの……タエさんが」

「私が眩しい?……それは、ちょっとマズイですね?」


 さっきも酔いでちょっとナニカが溢れた気がしますが、眩しいとなるとちょっと属性もついてしまっている可能性が。

 ただ、一つだけ安心なのはふーちゃんの悪戯ではない事だけは確定している事。

とはいえ、ちらりと頭の中を想像してもそんな事をしそうな子はいないわけで、首をかしげる。


「えっと、タエさんが眩しいというか、その美しすぎて……」

「私程度はそこら辺にごまんと居ると思いますけどね?」


 若干、整っていると言われることはありますが、言う程でもないという自己認識。

 それに、一緒に働いている先輩女給さん達は粒ぞろい。うん、やっぱり別に大した事ない気がします。


「いえ、そんな事、絶対、ありません。毎日のように築地や銀座を走っていても、ここまでお綺麗な人は……み、みません」


 流石にここまで言われると、ちょっと自分としても恥ずかしくて。

 ほんのりと自分の頬が赤くなったような気が。

そして、双葉さんの止まっていた足を動かす為にも、ちょっとだけ誤魔化すように前に進みます。


「ほら、行きますよ?……送ってくれるんでしょう?」

「え、あ、はい」


 足を止めていた双葉さんを再び動かすことには成功したのですが、お風呂上りでもないのに何というか少し火照ったような気が。

 少しだけこの火照りの理由を考えますが、多分さっきの熱燗が今になってきいてきただけのハズ。



本日も読んでいただき、誠にありがとうございます。


また、繰り返しになりますが本年もよろしくお願いします<__>


彼等の時代はモノが無い頃だったので、どうにも今の人間が書くと色々と感覚がズレます。


でも、分かったフリってそう言うもの。


その時代に行けるはずもなく、また、話を聞くことは出来ても同じ空気を直に感じることは難しいのです。

でも、雰囲気だけでも読者さんが味わえたなら私としては大成功。


苦しかった思い出ではなく、懐かしさだけを思い出せるといいなぁと思います。


いつも通り、次の大安吉日までに頑張っておきますので(笑)


次回大安吉日にまたよろしくお願いします<__>


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